《アイアンクロス》東部

「短期決戦とはらしくもないな」

ハインケル中將は迎撃準備を整えるミュラーに尋ねた。

「簡単です。ここは本命じゃない。それだけです」

「つまり共和國の侵攻作戦はだと?」

「間違いなくそうでしょう。敵の本命は」

言葉を區切るとミュラーは自前の地図を広げた。

「今我々がいるフォートレス要塞は帝國東部でも比較的その北部に位置してます。そしてここ東部の敵は共和國だけじゃない。南の連合王國、そしてさらに南の連邦も攻勢をかけてくるでしょう」

「なんだと!確かに三國のきに不穏な雰囲気はあったが…」

「ええ、複數の自由商人から得た報です。間違い無いでしょう。彼らは金が全てですからね」

「ミュラー、お前はいつから商人を懐していたのだ?」

「ハインケル中將にお仕えするようになる頃には。まぁそんな事はどうでもいいでしょう?問題はこれから我々が東部各地を奔走することになるということです。まずはここで共和國軍を殲滅し、南へ進軍し連合王國軍、連邦軍と各個撃破する必要があります。今東部で自由にける遊撃部隊は我々しかおりませんので」

「ならば司令部に意見申して西部から幾らか引き抜いてもらえば良いのではないか?」

「殘念ながらそれは出來ません。この全面攻勢の糸を引いてるのが他でもない西の合衆國である可能が高いからです。これに関しては確信はありませんが…」

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実はこの時ミュラーの考えは半分は的をていた。この時帝國西部に位置する合衆國手の元対帝國包囲網が完しようとしていた。しかし現実はミュラーの思のさらに上手をいっていた。

數ヶ月前 連合王國國

「今日皆様に集まっていただいたのは他でもありません」

合衆國上院議員のジャクソンは不敵な笑みを浮かべ、その場にいる全員に語りかけた。

「我々合衆國から提案させていただくのは、以前より協議されていた対帝國包囲網の的な作戦案になります!」

その日連合王國には合衆國含め、共和國と連邦の上席も集結していた。

「つまりこの案によれば帝國軍の大半を合衆國側の西部に引き付け、そのすきに我々三カ國が東部側から侵攻、しかしその全てがで、主攻は四カ國連合軍による帝國北方の中立國家ユイタヤからの侵攻と…」

作戦案を見た共和國參謀総長のニュクスはジャクソンに尋ねた。

「最終局面を前に全軍が各個撃破されたらどうなる?」

「むしろ各個撃破されてもらわないと困る」

橫合いから切り込んだのは立案者の合衆國大將のモートンだった。

「どういうつもりか?モートン大將」

怒りの表をあらわにしたニュクスはそう問いかけたが、モートンは至って冷靜に切り返した。

「今言った通りだ、三カ國には北側から順番に時間差をもって侵攻してもらい各個撃破されてもらわないといけない、その方がむしろ相手の気を引き付けられ、さらに東部に赴いた帝國軍増援部隊を帝國南東部に縛り付ける事が出來る。さらに注文を付けるなら、連邦軍だけには出來るだけ耐えてもらわねばならない」

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その一言に表を悪くしたのは他でもない連邦のヴァトゥーチン中將だった

「なるほど?つまりは我々が最も出を強いられることになる訳たが、その見返りはあるのだろうな?」

「當然だ、功すれば第1功はあなた方連邦のものになる。それに、北部ユイタヤからの侵攻は我々合衆國が主導で行う、連邦軍は南部に主力を展開してもらえればそれで構わない」

功すればか…まぁいいだろう。しかしだな、我々三國が1番懸念しているのは功するにせよ失敗するにせよ、貴様ら合衆國の出があまりにもなすぎはしないか?」

その一言に三國の出席者は聲を揃えてそうだと反論した。

「おっしゃる通り確かに我々が最も犠牲のない役割を擔うことになる。しかし帝國軍の大半を抑える役割を貴殿らは擔えるのか?」

モートン大將がそういうとガヤは靜まり、會議室に平穏が訪れた。

「他に策もなかろう、帝國を抑えるにはこれしかあるまい」

そう呟いたのは連合王國軍の老將モントゴメリー名譽大將だった。

程なくして的な作戦立案と期日を定め、共和國の侵攻に端を発した対帝國包囲戦が始まった。

要塞外に展開したミュラー引いきる帝國軍三千は共和國軍十萬と対峙していた。

一方の共和國軍を率いるアルマーズ大將は帝國軍の不穏な配置に頭を悩ませていた。

「攻撃を開始するか否か…上からは要塞を占拠する必要はないとは言われてはいるが、あまりこちらに犠牲を出したくない…」

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軍議でアルマーズが幕僚達の前でそうつぶやくと他の者が意見する前に急報がった。

「報告します!傭兵部隊の一部が突撃を開始しました!」

「なんだと!やむを得ない!全軍に攻撃を開始せよと伝えろ!」

「食いついてくれたか。よし、全軍後退!敵を要塞砲のまでおびき寄せるぞ!」

安堵するミュラーは即座に後退の指示を伝えた。

その頃共和國軍は思わぬ自に陥っていた。バラバラに攻撃を開始したために指揮系統のれが生じていたのである。

「まずいぞ、このままでは敵の要塞砲のに突してしまう!全軍を停止させよ!」

しかしアルマーズ大將の指示が末端まで行き屆く訳もなく、むしろ短時間に発せられた食い違う指示が現場の將兵を混させ、遂にに全軍の半數が侵してしまった。

「要塞砲全砲門発!敵を駆逐しろ!!!打って打って打ちまくれ!」

要塞司令ルッツ上級大將の激が飛ぶと、數百ある要塞砲が火を吹き、共和國軍を殲滅した。

この一瞬にして共和國軍の數萬の命が吹き飛ばされ、その激しい攻撃の中を生き延びた者も五満足にはいかなかった。

そしてこの戦況は共和國のみならず、連合軍全を震撼させた。

「報告します!フォートレス要塞攻略部隊、壊滅的打撃をけ後退したとの事!」

速報を聞いたニュクスは頭を悩ませた。

「あまりにも崩壊が早すぎる、これでは今後の作戦に支障が…」

前線の狀況が伝わった共和國軍軍首脳部は戦慄していた。このままでは共和國軍の失態に他の連合軍の足並みがれなねないからである。

しかし意を決した総參謀長ニュクスは連合王國に対して攻撃開始を催促させる伝令を飛ばし、事態の修正を図ろうといた。

一方火急の報がった連合王國軍は十分な準備が整わぬままの出撃を余儀なくされ、カイリー大將の率いる総勢5萬の軍勢が帝國領を目指した。

早急な出撃と編だったとはいえ、5萬の大軍からなる連合王國軍は連勝を重ね、既に帝國領の深くまで侵を果たしていた。

しかし、4つ目の砦の攻略を前に足が止まる。

理由は簡単で、本軍の速さに補給が滯り始めたのである。

「攻略前に一時的に軍を休ませる他無いか」

カイリー大將は次の砦の攻略の前に全軍を野営地にて3日間の休息を取らせる事にした。

共和國軍を砕した要塞守備隊と第7師団は戦勝を喜ぶ間もなく數日後別れを告げた。司令部より第7師団への連合王國國境地帯への増援に向かう司令が屆いたからである。

両者は形式的な別れを告げ、要塞守備隊は引き続き共和國軍の牽制、第7師団は南への行軍を急いだ。その道中。

「で、ミュラー準將次の作戦は決まったのかね?」

「當然です。既にベルント中佐に次の作戦を伝え、先行部隊一個中隊を任せておきました。中將の許可待ちです」

「お前の悪い癖だ、なぜもっと早くそれを言わない」

「一応形式的にも…それに、今この質問をされることも計算の上です」

「はぁ、とりあえずベルント中佐には作戦開始を急がせろ」

「了解です。急ぎ伝えておきます」

ベルントの元に伝令が到著すると、ベルントは指示を飛ばした。

「中隊各位オペレーションβ、各小隊は先刻伝えた通りに行を開始せよ」

作戦開始の號令が飛ぶと、ベルント中隊は本隊から先行し、敵中深くに侵していった。

この時既に前線の帝國領の砦の二ヶ所目が攻略され始めた時だった。

連合王國軍が補給の整備や再編を始めてから三日目の日中、司令カイリー大將の元に急報がる。

「帝國軍ゲリラによって補給線が崩壊しつつあるだと?!」

「はい…しかも敵は徹底的に夜襲と資の放火、それから負傷兵がかなり出てます…」

「死を作るよりも戦闘に參加出來ずに資だけを消耗する負傷兵の數を増やしにきてるとでも言うのか…?」

「ここは引くべきかと…」

カイリー大將にそう進言したのは、第8師団長マイケル中將だった。

「そうしたいのは山々だが、共和國の遅れを取り戻さなければならない…時にウィリアム、このままいけば兵站はどれほどもつか?」

資の統括を擔うウィリアム準將は資料をあさりながら答える。

「ざっと見積もっても次の砦の攻略はギリギリ可能な範疇ですが、それも作戦次第。その後は到底無理な話だ、大將閣下、引き返すなら今しかない」

「悪いが、し時間をくれ…」

この時點でこの場に居た全員がある程度の覚悟を決めて居た。これは合同作戦の一環で、最後に勝利すればこの犠牲も無駄にはならないということを。

「今回の襲撃の果は?」

第7師団特殊中隊を率いるベルントは各小隊長に果報告を求めた。

「糧食2000、武800、人員150、敵死亡4」

「糧食1700…」

各小隊からあげられる報告に対して、ベルントはこれといった反応を示さず、手紙をしたため、伝令を本隊に送った。

「各小隊、作戦はあと三日続けるように言われている。明日の襲撃からは敵の負傷兵をさらに増やすことに専念しろ。敵本隊を圧迫させる。」

この時既に連合王國軍前線で戦える將兵は2萬5千、そしてその他後方の2萬のうち半數の1萬が手前の2つの砦に駐留し、それに該當しない部隊はまだ國境から前線に向かう途中にあった。

また、ベルント中隊の襲撃により前線の負傷兵はこれまでの戦いの分を含めて既に3千人を超えており、戦死者は2千人に達していた。

一方第7師団本隊は対連合王國の前線基地であるマーズ砦に到著していた。

「ご無沙汰してます。レオナルド上級大將」

ミュラーはレオナルドに敬禮をし久しぶりの再會を喜んだ。

そもそもミュラーはこの地でレオナルドと共に功績を挙げ続け、気が付けば準將という位にまでたどり著いていた。ミュラーの戦眼もこの地、というよりも、レオナルドの元で培われたものだった。

「久しぶりだねミュラー大佐。いや確か今はもう準將だったかな?」

「ええ、もう準將になりました」

ミュラーはどこか落ち著いた様子で返すと、レオナルドは顔をしかめた。

「で、ミュラー準將、どうしてここに來たのだね?」

し立ち寄っただけです。連合王國に対しての仕込みは間もなく完了します。あとは閣下が決戦を仕掛ければ敵は瓦解します。それよりも我々は南に向かい、対連邦の…」

しかしミュラーが言い切る前にレオナルドが遮る。

「南か、南ね…時にミュラー準將。君は敵の本命を。主攻をなんだと捉える?」

何か含んだ言い回しをするレオナルドに対して、ミュラーは即答出來なかった。そして程なくして答えは導き出される。

「南…南…つまり全ては…北か!そうか北か!」

「斷定するのはまだ早いよミュラー。それに合衆國のきも気になる。そこでだが、君たちはいつでもける準備をしてここにとどまっていてしい」

「承知しました。上にも伝えておきます」

こうして大陸全土を巻き込む帝國包囲網がいよいよ本格的に帝國を締め上げていくことになるのだった。

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