《アイアンクロス》西部戦線異狀あり②
西部戦線で戦闘が開始される2日前、シュペーア旅団から引き抜かれたデュッセルドルフ大尉率いる獨立大隊は戦場のさらに10km西の森の中にを潛めていた。
「敵の補給基地はこの先の山中にあるんだな?」
「偵察によれば間違いなく。しかしデュッセルドルフ大尉もこれで佐に出世ですね」
「無駄口を叩くな。確かにこの任が終われば正式に佐に昇進するらしい。だがまずはこの作戦を功させなければならない。我々のきに西部戦線の命運がかかっていることを忘れるな」
デュッセルドルフはそう言ったがひとつ分かっていることがあった。この大隊は捨て石。昇進はするが二階級特進で中佐になることを。
しかしその中であってデュッセルドルフの中で唯一頼みにしているものがあった。出発直前にシュペーアから渡された手紙である。シュペーアからはもし行き詰まることがあれば封を切れとの命令をもらっており。敵中にあるデュッセルドルフ大隊の頼みになる報がっているのだと期待していたのだった。
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2日後、デュッセルドルフ大隊は東の方で鳴り響く轟音を合図に前報のあった合衆國軍の補給基地を攻撃した。合衆國の攻撃が始まってから基地の攻撃を開始したのは、開戦前に敵を撤退させてしまえば、西部方面軍に加えて國防軍第1軍主力をその後西部方面に展開させ続けなければならなくなり、第1軍を他の戦線に投できなくなってしまうという理由がある。東部戦線の狀況からして、西部戦線における勝利は合衆國軍を殲滅して初めて勝利と呼べる代になってしまったのである。
しかし事態は悪い方向へ進んでいた。大隊が補給基地を攻撃するとそこはもぬけの殻だったのである。
それどころか、基地を包囲する形で始めた攻撃に対して合衆國軍の伏兵がさらにその外側に展開しており、逆包囲される形になってしまったのである。
「デュッセルドルフ大尉!大変です!敵に包囲されました!」
「報告!マックス小隊及びベルガー小隊通信途絶!オットー尉、マッテオ尉戦死!」
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「なぜ我々の行がバレてるのだ!」
「分かりません!とにかくご指示を!」
「こうなったら…この基地を逆に利用するぞ!敵の総數は我々とほぼ変わらないと思われる!一時的にその場から拠點に後退しつつ防戦し、戦線を再構築!その後一點突破を図り味方陣地に撤退するぞ!」
「「「は!」」」
出すべき指示は間違えたものでは無かった。味方が混するこの狀況の中戦線の安定を図り一點突破で出する他に策は無かった。
しかしここで戦的撤退を果たせたところで、既に戦略的に敗北を期しているこの狀況下において味方の元へ戻るのは至難の業であり、そもそもこの作戦そのものが帰還の保証が一切なく、敵陣地を破壊して玉砕が前提に近いものであり。大隊の兵は知らされていなかったし、デュッセルドルフももちろん知らされているものでは無いが、デュッセルドルフと數人の將校は作戦の無謀さに気が付いていた。
デュッセルドルフはふと思い出す。例の手紙はこの狀況のために持たされたのでは無いか?デュッセルドルフはポケットにしまってあった手紙を開けた。
『大尉へ
おそらく大尉は今敵に包囲され、絶的狀況にあるだろう。正直この作戦に大した意味は無い。私は再三反対したが結局負けてしまった。さらに最後まで反対をしていたせいでこんな貧乏くじまでひかされて、大尉という有能な副まで失おうとしてる。それは避けたい。
いいか大尉、西だ。西を突破しろ。包囲の西側を突破しひたすら西に向かえ。そして潛伏するのだ。細かい指示は君の大隊に所屬している中隊長と小隊長達にも手紙で渡してある。もし窮地になった時に君が西を攻撃するように指示を出せば各隊はそれぞれ私が事前に渡した指示にそって行してくれる。この先は大尉が包囲を突破した後に見てもらえれば大丈夫だ…』
全てはシュペーア將の憶測通りに進んでいる。デュッセルドルフはをで下ろすと全に指示を出した。
「戦線をさらに小する!全部隊中央に集結せよ!」
それから30分ほどかけて拠點中央に集結した大隊に対してデュッセルドルフは指示を飛ばす。
「全軍西に攻撃を集中!敵に綻びができたらそこから一點突破しろ!」
一方合衆國側も西への突破を想定しておらず、西側を攻撃していた部隊は帝國軍の猛攻に対して戦線を維持できなくなっていた。
「今だ!全軍突撃!出するぞ!」
デュッセルドルフ大隊が出する頃には大隊の約三割が戦死、半數以上が負傷していた。
その後大隊はシュペーアの指示に従いそれぞれ小隊ごとに敵に占領されていない村々にバラけて潛伏した。
合衆國軍後方を攻撃する作戦が失敗に終わったのとほぼ同時期に主力同士の戦線にも綻びが生じはじめていた。北側合衆國A軍団に増援部隊が到著し帝國軍右翼の一部が後退を始めたのだ。
右翼を指揮するフェルディナンド中將は中央に援軍を求めたが、中央も左翼もかなりの負擔を強いられており、援軍要請は卻下された。
數時間後、気がつけば右翼は最北部を抜かれはじめ、北側から大きく半包囲されるような形になっており、明日、明後日には帝國軍の崩壊が近づいているかのように見えた。
迫する総司令部とは逆ににシュペーアは淡々と自陣を守り続けていた。シュペーア旅団の損害はほぼ皆無に等しく、敵のA軍団とB軍団のくさびとして機能していた。むしろ北の右翼が未だ崩壊に至ってないのはここの守りがあるからであり。その責任はかなり大きなものになっていった。
「シュペーア將、右翼があまりよろしくない様ですが…」
そう尋ねたのはアレクサンドル佐だった。
「まぁ今のところ全くもって問題ない。むしろ南側でなくてよかった」
「と言いますと?」
「まぁ見てれば分かるさ。そうだ佐、賭けでもしないか?今日か明日。好きな方を選んでいいぞ?」
「今日か明日?なんの話です?そもそもこんな狀況で賭けなんて…」
「まぁまぁ佐、賭けは賭けられるうちにしないとね。とりあえず選んでみたまえよ」
「將のそういうところあんまり好きじゃないんですけどね。まぁそしたら今日にしときます」
「お目が高いね。負けた方が勝った方に一回奢りな」
「まぁいいですよ」
「まぁ佐君の勝ちなんだけど」
そういうとシュペーアはニヤッと笑いはるか北を指さした。
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