《アイアンクロス》帝國VS連邦②
さらに後退した帝國軍の新たな戦線はそれまで戦線が敷かれていた平原などではなく、山岳や橋梁や森林、中には地帯など、防衛しやすい土地にそれぞれ即席の野戦陣地を構築したものになっていた。
「最初からこうしてりゃアイツらだって死ななくて済んだのによ…」
そう天を仰ぐようにマイヤーはクラウゼ準將に投げかける。
「こうなった以上は負けられませんね。エルヴィン大尉のオヤジギャグ、私結構好きだったんですけどね…」
先日の戦闘で包囲されたエルヴィン中隊とベック中隊の救出は結果間に合わず、それぞれ指揮エルヴィン大尉とベック大尉は連邦軍の包囲の中戦死した。救出に向かったアインホルン中隊もそれなりの損害をけ、中隊長のアインホルン大尉も負傷。次席のバルツァー中尉が殘りの中隊を指揮していた。
しかし師団の中で目立った損失はこれらだけで、他の部隊は欠員こそ出てはいるが、損失は1割2割といったものだった。
「フロイライン、悪いがいくつかの部隊を解して他の部隊に充當させて再編をお願いしたい。急ぎで頼む」
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「承知しました」
第25師団は軍を再編すると、山岳にて防衛線を敷いた。無論その他の師団もそれぞれ再編を済ませ、來たる連邦軍に備えた。
2日後、連邦軍將校達がいっせいに笛を鳴らすと、連邦軍は鬨の聲を上げて突撃を開始した。
しかしものの數十分で連邦軍は撤退を開始した。即席ではあったが地形を活かした帝國軍の抵抗は激しく、連邦軍は大した果もあげられなくなった。
帝國側もほとんど被害を出さず、連邦軍の戦法にも慣れ、効率的に連邦軍を殲滅していった。
連邦軍はあまりの被害の多さに進撃を停止した。
現狀の戦力差は帝國軍約50萬に対して連邦軍約70萬。帝國軍の被害は戦死約2萬の負傷者が約5萬捕虜數千。連邦軍の被害は戦死約20萬の負傷者が約10萬。連邦軍は捕虜になったものはほとんどおらず、負傷した者の中でも重傷者は手當すらしてもらえず、ただ死を待つのみといった酷い有様であった。
戦略的に考えると帝國軍全として今後連邦軍に戦力を割くのはあまりましくないため、帝國軍は反転攻勢をかけて連邦軍を撃退したいところであったが、戦力差を考えるとリスクが大きく、かといってこれ以上連邦軍が果敢に攻めてくるとも思えず、次の一手に詰まっていた。
西部戦線や、連合王國戦のように敵の補給を叩くにも現在余剰戦力は皆無に等しく、攻勢をかけようにも敵戦力をそいでいくか、西部戦線に殘る第1軍の増援を待つような狀況で、狀況の打開は難しい形になった。
今帝國軍が抱えてるその問題點をマイヤーは理解していた。東部戦線に赴く前に増援部隊を率いていたフォーゲル大將にあれやこれや言っていたのはこの為であった。
むしろこの場で膠著狀態に持ち込むのがマイヤーにとっても妥協點で、倍に近い敵を前にして今の時點で戦線を維持出來れば良いだろうという判斷であった。
「あとは西の戦線が片付いてくれりゃあ問題ねぇんだけどなぁ」
そうマイヤーはぼやきつつ防衛戦を継続していった。
対帝國包囲網に參加する4カ國にとっての最大の脅威は帝國南部に國境を隣する皇國の存在だった。
皇國は近年まで鎖國をしており、他國に比べて技など劣っていたが、政変が起こり開國して以來、他國の文化や技などを積極的に取り込み、現在技などの水準は他國にも劣らないものになりつつあった。
これを恐れた合衆國や連合王國などは皇國に対しての輸出などを制限した。その結果皇國は鎖國時代とまでは行かないが國際社會の中で孤立を深めていき、同じく國際社會孤立している帝國と結びつくのは必然的な流れであった。
帝國と皇國は同盟とまでは行かないが技流や貿易に関する條約をいくつか結んでおり。対帝國包囲網の參加國は彼ら皇國の參戦を防ぎたいという思いがあった。今回の対帝國包囲網の時間差攻撃はその為であり、全て約で事を進めていた。あくまでも各國がそれぞれの判斷で攻撃すれば、あくまでも同盟関係ではないと主張出來るからである。
皇國側も帝國と敵対している國々が表向きに同盟を結び帝國と対立するようなことがあれば、帝國と同盟を結び、それに応じようとしたが、皇國にとって大義名分が無い以上國民からの同意なども得られずらい狀況に置かれた。
しかし皇國民は他國の上層部の予想と反し、開戦派が多く、むしろ皇國上層部は國民を抑制する方の対処の方が課題になっているような狀況だった。
連邦と帝國との戦いが始まって數日、帝都に使者が訪れた。使者は他でもない皇國からである。
「お目にかかり栄です。皇帝陛下。私は皇國より參りました。トモツグ イワクラと申します」
「表をあげよ」
帝國歴518年5月、ここに後に帝皇同盟と呼ばれる同盟が立した。この同盟が立した當初は約であり、どのような會話がなされたか、どのような取り決めかは歴史書には殘されておらず。同盟として表舞臺に出るのは約1年後の話である。
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