《アイアンクロス》主攻②
帝國軍対連合軍の三日目の戦いが始まった。
この日の連合軍の砲撃は今までよりも小規模なものだったが、それでもいくつかの帝國軍陣地が吹き飛んだ。
連合軍はより損害が酷い帝國軍陣地に攻撃を集中し、帝國軍は早くも隘路の中に後退を余儀なくされた。
「想定よりも早いですね」
「お前さんの中では想定だろうに」
ハインケル中將とミュラーの間でそんな會話がなされる中、早くもミュラーの策が到著した。
「ミュラー準將。お待たせしました」
そこに居たのは西部方面軍のデュッセルドルフ大尉改め、デュッセルドルフ佐だった。
「西部戦線の借りをお返しに參りました。例のものは既に配備済みです」
「ありがとう大尉。いや、正式に佐になったんだっけかな?兎にも角にも非常に助かった。シュペーア先輩にミュラーが謝していたと伝えておいてくれ」
「謝には及びません。ミュラー準將がいなければ今頃西部戦線は崩壊し、私もあの戦いで命を落としていたことでしょう。けた恩をお返ししにきたまでです」
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「友軍を助けるのは當然のことさ」
「なら我々西部方面軍も當然のことをしたまでです」
デュッセルドルフがミュラーら第7師団の將校達を案すると、そこには列車砲と航空機があった。
これらはまだ試作段階であり、その試験運用を中央と西部方面軍が共同で研究開発を行っていた。
「ミュラー準將、これらは…」
「隠していてすみません中將。これはシュペーア先輩から極で自分だけ教えてもらってたんです。こっちの列車砲は各戦線を縦橫無盡にき回り、敵に長距離砲で打撃を與える兵。こっちの航空機は最近開発されたものなのはお分かりだと思いますが、それを兵として転用したものです。両者ともまだ試験段階ですが、背に腹はかえられません。まだまだ不安要素はありますが実戦投と行きましょう」
その日の午後、デュッセルドルフが率いる大隊はそのまま後方で列車砲と航空機の展開を始めた。
既に連合軍の重砲の位置は午前中の段階でベルント隊が的確に無線で連絡をれていた。
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その座標に向け、列車砲の砲が移しつつ、航空機も弾を乗せて飛び立っていった。
「ほ、報告します。帝國側より、空を飛ぶが…」
連合軍司令部にそのような報告がると、ポール大將は司令部から飛び出し空を見た。
「あれは…最近開発されたという航空機…なぜそんなものが戦場の空を飛んでいるのだ…」
その瞬間だった。帝國軍陣地の裏手より轟音が響き始めると、連合軍の野戦砲陣地を直撃した。
「何が起きてる!」
ポール大將が司令部の通信手を問い詰めると、通信手は青ざめながら報告した。
「だ…第1、第4の野戦砲陣地の…通信が…途絶えました…」
「なんだと…既に帝國軍の重砲はほとんど破壊したはずだ!それに発地點は帝國軍陣地のさらに裏の方にも見えた!そんな長程の兵なんぞあるはずがない!とにかく!両野戦砲陣地に再度通信を試みろ!」
「は、はい!…『こちら司令部!第1野戦砲陣地、第4野戦砲陣地!応答せよ!繰り返す…』」
しかし両野戦砲陣地からの応答はなく、しばらくして第2野戦砲陣地から通信がる。
『こ、こちら第2野戦砲陣地!共和國軍所屬のヘンリー上等兵です!第1、第4は壊滅的な被害です!至急増援を!負傷者が多すぎて手に負えません!』
「至急醫療班を送る!両陣地の野戦砲などは!」
『ダメです!もはや両陣地は機能を喪失しました』
帝國軍の列車砲は1回の砲撃で連合軍の重砲を數臺破壊、その後も2回3回と砲撃を繰り返し、連合軍の重砲を破壊していった。
殘された連合軍第2第3野戦砲陣地は列車砲の被害はなかった。しかし次なる攻撃が彼らを襲う。
「隊長!地上から合図が見えました!」
「よし、投下しろ!」
地上からベルント隊が信號を送ると、それを見た航空機隊5機が弾を投下した。
緻に計算されたタイミングで航空機隊に信號を送り、落とされた弾は殘された第2第3野戦砲陣地に著弾した。
『司令部へ!こちら第2野戦砲陣地!第1第4野戦砲陣地は…』
『こちら司令部!何があった!おい!ヘンリー上等兵!応答せよ!繰り返す!ヘンリー上等兵!応答せよ!』
時を同じくして第3野戦砲陣地とも通信が途絶した。
「ダメです…全ての野戦砲陣地との通信が途絶えました…」
「現場に向かってる醫療班とは通信は出來ないのか?!」
「や、やってみます」
だがしかし
『こちら司令部、第104醫療班、応答せよ』
『こ、こちら第104醫療班!ちょうど良かった!至急更なる増援を求む!』
『どういうことだ!狀況は!』
『帝國軍です!おそらくこちら側に潛伏していた部隊が居たと思われます!現在それらの敵部隊から攻撃をけ、現場に向かえません!』
無論醫療班を襲撃したのはベルント隊である。実はこの襲撃は想定外ではあったが、航空機隊に信號を送った位置にたまたま連合軍の醫療班が通りかかり、偶然このような形になったのである。
ベルントとしては連合軍陣地側に帝國軍が潛伏していることがバレてしまう為、不本意ではあった。ただ、ベルント隊は疲弊しており、本國側に一時帰還するにはちょうどいい頃合でもあった為今回の襲撃に至ったという経緯だった。
ベルント隊は軽く連合軍醫療班を蹴散らすと、増援が到著する前に再び姿を消し、2日後には帝國軍陣地の戦列に顔を並べることになる。
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