《2番目の村娘は竜の生贄(嫁)にされる》
2週間の新婚休暇を貰った。
普通なら、この休暇は貴族なら、毎日毎日だらだらと新婚さんは、ラブラブ子作りに勵む所だ。
しかしながら、私とクレイグの間には、ただの上司と部下、仕事仲間という意識が強い。式も挙げていないし書類上のサインだけで、指すらもないので、もはや結婚しているのかも謎に問われる。
それでも、実家に挨拶にと言われたので、ああ、そういや、この竜人と結婚してたわ。と忘れかけていたことを思い出した。
1週間みっちり、鬼の侍長に鍛えられ上げ、主人のフィリス様のしさに癒される日々だったからな!!リオン様と並ぶと絵畫のようで、目の保養であった。
私、この方達このかたたちの幸せを邪魔しない!!応援する!むしろ親衛隊になりたい!!
とかに思うほどのファンにり下がった、ただの村娘である。
荷を持ち、クレイグの所に行くと、彼は一回転して竜の姿に戻った。相変わらず栗の冴えない竜で、その辺りにたくさんいる竜とあまり見分けがつかなくなりそう。同じようなの竜が多い。
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因みにリオン様はしい黒竜で我が主人はしい銀の竜姿を見せてもらったことがある。私はそれを見た時で
「うおおおお!!綺麗!!凄っ!!主あるじいいいい!!もうほんと、おしいおうつくしい!!」
と涙と鼻水で駆け寄ったら、リオン様に尾でバシンとぶっ飛ばされ
「汚い!鼻水だらけでフィリスに近づくな!バカ人間!!」
とイケボで怒られた。
その時、近くにいた夫は笑ってたが。とりあえず手を引っ張り起こしてくれた。まぁ一応優しい。基本的にうちの夫らしき上司は。
とりあえず、またクレイグによじ登ろうと腕まくりをしたら、今度は尾を差し出してここに乗るよう指示されて、ちょこんと座ると背中まで簡単にヒョイと乗れた。
「最初の時もそうしてくれたら良かったのに!!」
と文句を言うと
「あの時はほら、他ほかの人間が沢山いたし、威厳?ってヤツを示さないと舐められるからって言われてたので、態度でかくしないといけなかったんですよー…」
「まぁそういうことなら仕方ないわね」
どうでもいいわ。あんな薄な村!!
バサバサと飛びながら
「ねぇ、フィリス様付きさまつきになれて、私、本當に幸せ!あの方あのかたのしさを見ていると癒される!ポーリーナ見ても何なんとも思わなかったのに!」
「ポーリーナーとは?誰です」
げっ!ヤバ!!しまった!!ポーリーナが村1番の人だと知れたら!!……でもよく考えたら、もしポーリーナがここに來ても、どの道この夫と結婚させられてたのか。
「夫婦に隠し事はなしですよ?」
「誰にも言わない??」
「口はいですから」
とクレイグが言うからついに喋ってしまった。
「私さぁ…、2番目なのよ。あの村むらでしかったの…。1番はポーリーナ。でもポーリーナはね、男爵家けとの嫁りが決まってたから、とかいう理由で、私が竜の生贄にされたってわけ。お前さえ黙ってれば平気だー、とか言われてさ」
と言うとクレイグは
「えっ!?そうなんですか!?…まぁこちらもいろいろと誤魔化してましたし…ジュリエットさんには何か申し訳ないことばかりになったのでそれは黙っておきますよ」
と言った。
「ありがとうクレイグさん。あ、そうそう!ポーリーナは、村を出る前に、積年の恨みで腹を渾の力で毆り付けておいたからスッキリだわ。あの時は死ぬと思ってたしね」
と言うとクレイグが我慢できず笑った!!
「ぶはっ!!な、何それ!!あっはっはっ!!おかしい!!凄い!!へ、変な人だ!!」
と飛び方がおかしくなる。
「ぎゃっ、よ、酔うからやめてよぉ!」
「ひいっ!ジュリエットさんが笑かすからです!!あっはっはっ!!信じられない!!」
と笑いながらも何とか空に浮かぶ島が見えてきた。
「本當に島が浮いてる。凄いわ。」
やはり何頭か竜は飛んでいたりする。
し飛ぶと村や街も見えてきた。
ようやく侯爵家けらしき所の上空で降りて、私を下ろして一回転して人間姿に戻るクレイグ。
荷を持ってくれた。
「じゃあ、行きましょう…」
と言い、玄関の呼び鈴を押すと、中から執事風しつじふうのお爺さんが出てきて
「クレイグ坊っちゃまぼっちゃま!!お帰りなさいませ!!」
と言う。
「やあ、エルマー!元気そうだね!」
「おや、この芳しいかぐわしい香り!まさかそちら人間?これはこれは!貴重な獲を捕まえてきたのですね!料理長に早速夕飯として準備させましょう!」
「ひいいっ!」
と私は震えた!夕飯に出されるっ!!
慌ててクレイグが
「ち、違う違う!彼はほら!例の50年に一度の竜の花嫁さんだよ!…ええと、手紙読んだ?私のお嫁さんになったんだよ。1週間前にね」
と言うのでエルマーさんは目を丸くして
「と、とんでもないご無禮を!!そこそこ可い程度のレベルのだったので食料しょくりょうかと!!すみませんでした!!奧様!!」
と謝ったが、お前ほんと失禮だな!何なの?竜族ののレベルって!そりゃ、皆みんな、私より綺麗な人多いけど!そこそこで悪かったなあ!!
「料理長達にも伝えて!彼は食料しょくりょうじゃないって!!」
とクレイグが言う。その、食料しょくりょうはやめてくれ!!恐ろしすぎる!私ここで2週間も生きてられるんかい!?デッドオアアライブの2週間じゃん!!
と恐怖した。
それから居間に通されて、長男夫妻とクレイグの両親に會った。
皆みんな、私をギラついた爬蟲類の目で最初見ていた。ゴクリと生唾なまつばを飲む音がして怖い。クレイグが必死にまた説明した。
長男の、グレン・アーサー・ラスキンさんが
「ああ、結婚したとは手紙に書いてあったが、本當に人間としたのだな。王子命令か…」
「私…、人間を見るの初めてですわ…ってもよろしくて?」
と妻のペネロビさんが私に興味を持った。
そして手袋を外して頰ほおをったり腕をサワサワと手付きてつきがヤバイ。ジュルっとすする音おとまでしてからに!!お前まだ私のこと食料しょくりょうだと思ってんだろう!!
「味しそ…、じゃなくて健康な方かたなのね!」
とか言いやがった!!
「あの…、ペネロビお義姉様おねえさま…ジュリエットさんはよく働いてくださってますよ!?フィリス様付きの侍でして!!」
と言うと、ようやくペネロビさん達含めて家族は顔を変えた。
「ま、まあまあ!フィリス様の侍さんになられたのね!!(それは無理だわー。つまみ食いは…)」
とかおいいいい!ちっちゃい聲で何言ってんのおおお!やっぱり食う気だったんだ!!怖い!!
「それにしても…クレイグ…お前が結婚とは。仕事一筋だと思ったのに!もう一生結婚しなくて孫の顔も見れんと思っていたのに!!良かった本當に!!」
と父親のジョン・ホール・ラスキンさんが涙ぐんで母親のシドニーさんも
「クレイグ!!2週間は離れの部屋を使っていいわよ!!お二人とも頑張ってね!!」
と期待した目で見られた!!ないんすけど。
「ええと…、あの…、ほら、私は、ジュリエットさんと住む家いえも、休暇中に見つけなくてはならないのであまり晝間は居ないかもしれませんので、その間あいだ…ジュリエットさんの相手をしてもらえると助かります…。くれぐれも食べないように!!」
と夫の最後の言葉がマジ怖い!!
          
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