《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第3話 冒険者ギルドと通貨

アウルベアと別れた後、割とすぐに森の出口が見えてきた。

そしてどうやら人間の街は本當に直ぐの場所にあったようだった。

「ふむ、まだ日は高いし人間たちも多くいるようだな」

街の様子を見ると、田舎の村といったじではあるが、

割と人口は多く、行商人たちや店なども多く見けられた。

「ほう、それなりに栄えているではないか。

これだけ店があるならば姿見かがみの一つや二つあるだろう」

アウルベアが我の事を人間の子供だと言っていたのが、

とても気になる魔王であった。

そして街のり口から、數分歩いたところにある、

店の一つに目的のものである、大きな三面鏡さんめんきょうを見つけた。

「な、なんだと……! こ、これが我だというのか!」

どうみても十歳ほどの子供が姿見に映し出されていた。

店の前の鏡の前で、神的ショックでけずにいたソフィに、

どうやら店の主であろう男が気づき、慌ててソフィに聲をかけてくる。

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『お、おいどうした坊主……。

母ちゃんか、父ちゃんとはぐれちまったのか?

見回りの者を呼んでやろうか?』

見るに見かねた若い店主は、ソフィが親とはぐれて困っていると

勘違いしているようだった。

聲をかけられてようやく意識を戻したソフィは、首をふって斷った。

「い、いや大丈夫だ。」

そしてその時、ソフィのお腹から空腹を知らせる音がなった。

そういえばこの世界に來てから、何も食べていなかった事を、

思い出したソフィだったが、店主は納得といった顔で、

ざるに乗せていた売りの果実らしきものを手渡してきた。

『ほれ坊主。腹が減っていたんだろう、これをやるよ』

ソフィに向かって果実を投げてよこしてきた。

「お、おお! よいのか? すまぬな、ちょうど腹が減っておったのだ」

ソフィは渡された果に、かぶりついて食べる。

「うむ! 味い! もっとしいくらいだ!」

そう言った後ソフィは、自分が無一文なことにようやく気付いた。

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「……そういえば我は金を持っておらんかった」

ソフィは魔たちの王ではあるが、筋の通らないことはやらない分であり、

金がないからと強奪するような格ではなかった。

「……店主よ、手っ取り早く、金・を・手・に・・れ・る・方・法・はないか?」

ソフィが真顔でそんなことを言うものだから、店主は盛大に笑ったのだった。

『坊主、そんな方法があったら、おれたちゃ商売なんてしてねぇぜ?』

まだ笑っていた店主だったが、最後にいいことを教えてくれた。

『そうだな、坊主がもうし大きかったら、

この先にある冒険者ギルドに登録して、クエストをこなして、

金稼ぎも出來たんだろうがな』

見た目がまだまだ子供のソフィでは、無理だと告げていた。

「何? なんなのだ、その冒険者ギルドというのは?」

ソフィの世界であるアレルバレルには、

ギルドというものがなかった為に、ピンとこなかった。

『うーん、ギルド自知らないって顔だな』

ソフィが頷いて見せると、店主は説明を始めた。

『依頼を出したい者と依頼をけたい者が一箇所に集まる、

需要と供給が同時に行われる場所って言えばわかるか?』

まだよくわかっていない様子のソフィを見て、店主は話を続ける。

『そうだなぁ……、例えばこの店に売っている薬草が足りなくなった場合、

調合するために必要な素材を集める必要がある。

だが、客が多く來ていると素材を集めに行く時間がない、

そういう時に俺たちの代わりに、集めてきてくれる人を雇いたいわけだが、

募集してもすんなりと、取りに行ってくれる人が集まるかは分からないだろ?』

コクリとソフィは頷く。

『そんな困った時に、便利なのがギルドだ。

ギルドに【薬草の素材を集めてくれる方を銅貨十枚で募集】と、

依頼を出しておくと、その依頼を見てくれた人が、

俺の代わりに素材を集めてきてくれるわけだ』

「なるほど。ギルドっていうのは、そういう依頼を出す側とける側、

両方のけ皿となる組織……ということか?」

店主は正解だといって頷いて見せた。

「なるほど、その組織がギルドというのか、では冒険者ギルドというのは?」

『冒険者ギルドは、討伐依頼があったときに、

冒険者ギルドに所屬していない者が退治しても懸賞金を

貰えなくてな、基本的に魔を討伐して

生計を立てているものが、冒険者ギルドを利用するじだな』

「なるほど、そういうことか」

『ああ。そして俺たち商売人が商売をしようとすると、

まず商人ギルドに所屬する必要があるんだ。』

「商売を主としてる者は商人ギルド、力自慢たちが魔を狩ったりするのが

冒険者ギルドという訳か」

『まぁ、大まかにいえばそういう事だな。

ちなみに依頼を多くこなしていけば、

それだけ勲章レベルが上がっていくんだ』

「ん? 勲章レベルとは何だ? 冒険者ギルドに所屬していれば、

を討伐すれば、懸賞金がもらえるのだろう?」

『ああ。だが勲章レベルが低い新人が、

いきなりAランクのめちゃくちゃ強い魔を、倒すなんてできないだろう?

だから、ギルドが冒険者ごとに勲章というクラス分けを作り、

その冒険者に見合ったクエストを、けられるようにしたというわけさ』

『依頼をこなしていけばギルドに認められて、勲章レベルが上がっていき、

勲章レベルに見合った報酬のクエストをけられるというわけだな』

「おお! 素晴らしいシステムではないか!

それでその報酬とは、それなりにもらえるものなのか?」

『そうだな。勲章レベルは一般的に一番下がGで一番上がAなんだが、

Gクラスの依頼報酬は、銅貨三枚~五枚くらいが相場だな』

この世界の相場自を知らないソフィは首を捻る。

「この店にあるもので銅貨五枚だとどれが買える?」

ソフィが近にあるもので相場を推し量ろうとする。

『ん~そうだなぁ。銅貨五枚だと……、さっきの果実三つ分くらいだな』

ソフィはガクリと肩を落とした。

「そ、それだけしか価値がないのか……」

『まぁ、この果実は結構味しくて高い部類の果実だからな』

「我はそのざるにある果実全部買いたいのだが……」

ソフィがそういうと嬉しそうに店主は笑う。

『ははは、そうかお前さんこの果実が気にったみたいだな。

このざる全部を簡単に買えるくらいの勲章レベルは【Eクラス】だな。

Eクラスになれば、一回のクエストで銀貨二枚~三枚が相場になる』

詳しく店主から教えてもらうソフィ。

【銅貨十枚=銀貨一枚 銀貨十枚で金貨一枚 金貨五十枚で白金貨】らしい。

「白金貨あればこの店にあるものはどれが買えるのだ?」

『はっはっは、白金貨なんてあればこの店にあるものどころか、

この通りにある店全ての品々を買っても、まだおつりがくるぜ?』

「なんと!」

この通りには店が溢れんばかりに並んでおり、空きスペースがない程である。

それくらい多くの店に売られているものが、すべて手にるというのだから、

ソフィの中で白金貨の存在は、とても大きくじられた。

『ちなみに白金貨の上にもまだ【金貨こうきんか】というものがあるんだが、

これはもう俺たち一般人は絶対に手にれられない代だ。

それこそ國・家・規・模・の・買・い・・をするときに使われる金貨だな』

金貨か、いずれは手にれてみたいものだな。」

店主はソフィの言葉に遠くを見るような目で、同意して見せたのだった。

「そうか、店主ありがとう。我は冒険者ギルドに登録してくるぞ、

金を稼いだらさっきの果実代と、そのざるの中をすべて買いに來る」

そういってソフィは冒険者ギルドに向かおうとするが、

慌てて店主は呼び止める。

『ま、待て坊主! 冒険者ギルドにるには試験があるんだ、

坊主の年では、まだ早い!』

「何? 登録するだけでも試験がいるのか?」

『ああ……試験にもよるが、坊主のような年齢のガキを、

通すほどギルドは甘くはないぞ』

「ちなみに年齢制限みたいなのはあるのか?」

『いやぁ……、特に年齢制限はないんだが……」

「ならばよい、けてみてダメならダメなときに考えよう。

大変有意義な時間を過ごさせてもらった。それではな、店主よ」

そう言ってソフィは今度こそ、店から去っていった。

『もしかして俺は、余計な事教えちまったか?』

怪我でもさせてしまったらと、去って行く年の背を見ながら、

本気で心配する店主であった。

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