《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第5話 Eランク冒険者と最強魔王

外に出るとすでに騒ぎを聞きつけていたのか、

大勢の人間達がソフィとEランクの男たちを取り囲むように集まっていた。

『おい、何があったんだ?』

外に居た事を知らない者が、ギルドの中から出て來た冒険者に訊ねると、

どうやら中で様子を見ていたその男が口を開いた。

『ああ、あの子供が冒険者ギルドに登録しにきたんだが、

橫にいたあいつらがそれを笑った事で、喧嘩になったんだよ』

『なるほどな。それにしてもあのガキもやめておけばいいものを、

あの男はDランク間近と呼ばれてる【両斧使いのジャック】じゃねぇか』

『……ああ、可哀想に死んだなあのガキ』

説明を行っていた冒険者の言葉に他の男たちも頷いた。

周りに居た者達の中には、何とか助けてやろうと考えていた者も居たが、

冒険者の説明に両斧使いのジャックという名前が出た事で、

助けに行こうとしていた足を止めていた。

どうやら両斧使いのジャックというのは、この町で相當に有名なのだろう。

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『……おいガキぃ! 覚悟は出來ているんだろうなぁ?』

一番最初にソフィに絡んで笑って來た男、

【両斧使いのジャック】がソフィに斧を向けながら口を開いた。

「クックック、何の覚悟をすればよいのだ? 汚いゴミをる覚悟か?」

ジャックは鬼のような形相でソフィを睨みつける。

『てんめぇ……、もう許さねぇっ!』

ジャックは左右に持つ斧を用にクルクルと回した後、

同時に振りかぶりながら、ソフィに向けて両斧を一気に振り下ろす。

男の腕力は相當なものだと、見ている全ての者たちにじられた。

そして両手の斧にソフィのが叩き切られたかと思われたが……。

『……な、なに?』

両斧はソフィのに當たったと同時に刃が折れて砕けてしまった。

「クックック、あまり笑わせるなよ?

そんな脆弱な武で本気で我のに傷をつけられると思ったのか?」

そしてゆらりと、本當にゆっくりしたきでジャックの手を軽く摑んだ。

ソフィは摑んだジャックの手をひょいっと軽く持ち上げると、

引力が空に向いているのかと思える程に、あっさりとジャックのが浮く。

そのままソフィの頭上より高く持ち上げたジャックをそ・の・ま・ま・振・り・降・ろ・し・た・。

――ただそれだけだった。

地面に叩きつけられたジャックは、ズドンという衝撃音と共に地面に埋まった。

一部分が埋まるというものではなく、

が地面を突き破って埋められたのだった。

「なんだ? 軽く振っただけだったのだが……。

お主しっかりと食べておるのか?」

『 『えっ……!?』 』

ジャックと同時にソフィに攻撃を仕掛けようとしていた二人の男が、

仲間が地面に埋まったのを見て、慌てて攻撃を止めてその場に固まる。

「……こ・い・つ・が・一・番・弱・か・っ・た・の・だ・ろ・う・な・、まだ二人も殘っておる。

Eランクの実力とやらを我に……見せてみろ!」

だが、ソフィがEランクの実力というものを見ることはなかった。

一人の男はソフィに顔を摑まれてそのままジャックと同じように、

地面に埋められてしまい、そしてその様子を見て逃げ出した、

もう一人の男を笑いながら追いかけた後に背後から、

逃げる男の背中に飛び乗って、そのまま服の襟を摑んで空高く投げ飛ばした。

意識を失って落ちてきた男の顔に合わせるように、

地を蹴って空に浮かび上がると、そのままソフィは廻し蹴りを叩き込んだ。

蹴り飛ばされた男はそのまま、熊の魔が居た森の方向へ、

飛んでいったかと思えば、僅か數秒程で男の姿が見えなくなった。

「……む、しやりすぎたか? しかしこれではア・ウ・ル・ベ・ア・の方が、

まだマシだったのではないか?」

10歳程の子供がEランク冒険者3人を相手に圧倒する姿を見て、

その場に居た者達が呆気に取られて言葉を失っていたが、

アウルベアという言葉を聞いていた一人の男が口を開く。

『お、おい小僧! ア・ウ・ル・ベ・ア・と・戦・っ・た・事・が・あ・る・の・か・?』

自分を取り囲んでいた數多くの野次馬の中に居た、

一人の男の質問にソフィは言葉を返した。

「……むっ? ああ、ここに來る途中の森で偶然遭遇してな。

あやつも生まれたての魔のようで、大したことは無い奴だったが、

まぁそれでもここに埋まっている男よりはまだマシだったな』

『な、なな……!? ギルド指定のCランク魔モンスター、

【アウルベア】を倒した……ですって?』

そう告げたのは質問した野次馬の男ではなく、

先程、窓口のギルド職員に呼び出された事によって、

この場に現れたギルドの上層部の人間であった。

……

……

……

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