《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第6話 異例のランクアップ

片方の腕だけが地面から生えているように見えるジャックの手を、

多くのギルド職員たちが摑み上げて救出をしている。

もう一人の男のほうも先程救出されて、

命に別狀はなかったが今後冒険者として活するまでに、

數か月の治療が必要だろうと診斷された。

そして、森の方へ蹴り飛ばされたもう一人の男は、

森と町の間で倒れているところを町の守衛に救助された。

こちらも命に別狀はないそうだが、當分は冒険者に戻ることはできないだろう。

そして三人をそんな狀況下に追いやった張本人であるソフィは、

ギルド職員に連れられてギルドマスター、

【ディラック・ウィルソン】の部屋に通されていた。

『……君が、件の騒ぎを起こした年かね……?』

いかつい風貌で濃い眉が印象的なディラックは、

苦蟲を噛み潰したかのような顔でソフィに聲をかける。

「うむ、我が冒険者ギルドに登録しようと、

プロフィールとやらを書いてる最中に、あのゴミ共が喧嘩を売ってきたのでな」

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悪びれずに淡々と話す口調と容は、見た目の子供からは全くあっておらず、

異様なものを見るような目でディラックはソフィを見る。

『……気になる點がもう一つあるのだが、

我がギルドで懸賞金をかけている、Cランク魔モンスターの、

【アウルベア】を倒したというのは本當かね?』

ディラックから懸賞金の話が出ると、それを聞いたソフィは即座に反応する。

「何? あいつに懸賞金だと?」

『ああ……この辺ではあの魔は、【災害級】として指定されていてな。

これまでの被害の大きさを加味して、奴を討伐した者には懸賞金として、

【白金貨】の報奨金を出しているのだ』

ソフィはガタッと座らされていた椅子から、

勢いよく立ち上がって聲をあげた。

「何! 白金貨だと! あ・の・果・実・が・、全・て・我・の・も・の・で・は・な・い・か・!!」

『……果実? な、何を言っているか分からないが、

この辺境の冒険者ギルドに所屬する者達の中で上位のランカー達が、

共にパーティを組んでもらって討伐に向かってもらったのだが、

それでもあの災害級のアウルベアを誰も退治出來なくてな……。

それからは誰も奴の縄張りにることはなく、

懸賞金だけが高くなっていったという事なのだ』

(あいつがCランク魔で退治すれば白金貨がもらえていただと!

し、しかし、今更戻って倒すわけにもいかぬしな……)

『………そういう理由ワケで、本來ならば君の話を、

鵜呑みにすることはできんわけだが、

うちのギルドの上位に位置される【両斧使いのジャック】と、

そのパーティ仲間を君が倒したという事で、

ここに連れてきてもらい、詳しく話を聞かせてもらっていたという理由ワケだ』

「……ちなみにアウルベアは、今後どういう扱いになる?

我が倒したと証拠がなければ今後も討伐隊が組まれて、

あやつは今後も狙われ続けるという事か?」

ソフィからまさかそんな言葉を言われると思っていなかったディラックは、

し何かを思案するようにソフィを見つめていたが、やがて口を開いた。

『……アウルベアの生死が分からない以上は、

ギルドとして今後も懸賞金を取りやめるつもりはない……』

ある程度予想通りの答えが返ってきた事で、ソフィは質問を変える。

「では、我がアウルベアをある場所に連れてきたとして、

今後悪い事をさせぬと奴に誓わせれば、ギルド指定から外してもらえるか?」

『何……? まぁそりゃあ構わないが、相手は魔で言葉も通じず、

誰かに黙って従うようなやつではない筈だぞ?』

ディラックは質問の意図が読めず、訝し気にソフィを見ながら告げた。

「お主はディラックといったな、お主でもお主の部下でもいいが、

森のり口に奴を呼び出すから、そこで確認してもらえないか?」

『な……!? そ、そんな事ができる訳がないだろう!

奴は災害級とギルドが認めた、兇悪な化けだぞ!』

今度はディラックが椅子から立ち上がって機を強く叩いた。

「……ふん、我を信じないというのならば、別にそれでも構わぬ。

お主達は今後もその災害級とやらに、勝手に怯えて暮らせばよい」

そういって話は終わりだとばかりに、

ソフィはギルドマスターの部屋を出ていこうとする。

それを見たディラックは慌てて聲を張り上げる。

『ちょ、ちょっと待つんだ!

わ、分かった! 明日俺が君と一緒に見に行くから、案をしてしい!』

ギルドマスターのディラックは、この年の話を信じることにしたのだった。

『……っと、そういえば大事なことを言い忘れていた……。

君は今後も冒険者ギルドに所屬する気があるということでよいのだろう?』

冒険者ギルドに登録に來た所にジャック達に喧嘩を売られてしまい、

登録自がまだだった事を思い出したソフィは間をおいて頷く。

「そういえばこのギルドに所屬するには、試験があるのだったか」

『うむ。通常であれば我がギルドの試験と戦ってもらって、

力量を確かめて合否を決めるのだがな?

君はすでに我がギルド所屬の勲章ランクEの冒険者を倒す程の力を示している。

それ程の強さを持つ者に試験は不要だと考えた。

よってギルドマスターのワシの権限で、ギルドの加試験は免除する』

「おお! それは話が早くて助かる。

我は早くE・ラ・ン・ク・の・ク・エ・ス・ト・とやらを、けなければならぬのでな!」

試験の免除はソフィにとって、この部屋で聞いた中で一番の吉報であった。

『……そして冒険者ギルドでは、どんな者でもGランクの勲章階級から始めて、

クエストをこつこつとこなして、ランクを上げていくというのが通例なのだが、

もし本當にアウルベアを我々の前で連れてきて見せて、

アウルベアに今後我々人間に危害を加えぬと約束させる事が出來るのであれば、

特別に君を勲・章・ラ・ン・ク・E・の・冒・険・者・として、所屬してもらおうと思っている』

「なんと! それは真か! お主はなんと、

なんと話の分かる男なのだ、ディラックよ!」

ソフィは先程までの態度とは打って変わり、喜満面に溢れるのだった。

「む、ところでディラックよ、我は今無一文なのだが……、

悪いがしばかり金を貸してはもらえぬだろうか?」

Eランクになるといっても現狀は、

冒険者ギルドに登録したてのGランクであり、

當然クエストもまだ何もけていないソフィは、泊まる宿の金もなければ、

何かを食べる為の金もないのだった。

『うむ、それは構わんが……。それならば今夜は、

ギルドの空き部屋に泊まるかね? 今回に限りだが食事も用意させるぞ』

「なんと! それはとても助かるぞ」

ギルドマスターのディラックにとって、アウルベアの一件は定かではなくても、

勲章ランクEであるジャックを倒せる程の強者であるソフィが、

この町のギルドを気にって所屬してくれるとなれば、

ギルドに一晩泊めるくらい、何て事は無く安いモノだと考えるのであった。

そしてディラックの言葉に甘えたソフィは、

ギルドの空き部屋に案されて、言葉通りに出てきた食事の中に

大・好・・に・な・っ・た・果・実・が出てきた事で、

このギルドとギルドマスターのディラックを、ソフィは気にるのであった。

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