《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第26話 呪縛の

リングの上でソフィは腕を組んで、

次の対戦相手がリングにあがってくるのを待つ。

次の相手はリーネの兄であるスイレンで、

ルードリヒ王國の領土にあるギルドの中では間違いなく、

最強の冒険者であった。

前の試合の後処理が終わったリング上に、

ようやくその姿を見せたスイレンだが、

すでに視線をソフィに向けていた。

『それでは大將戦、はじめ!』

二人がリングにあがり準備が整ったと、

判斷した審判は試合開始のコールを告げた。

魔法使いの常套手段である先手必勝といった魔法詠唱もなく、

ソフィは腕を組んだままかない。

スイレンもまた視線だけはソフィからは離してはいないが、

戦闘態勢といったじではなかった。

「………どうした? 試合はすでに始まっているようだぞ。」

ソフィは挑発をするように、スイレンに聲をかける。

『その年でその余裕、大したものだな。』

スイレンは自分の半分くらいの長しかない、

ソフィのその堂々とした態度に素直に心する。

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『………まぁじっとしていても仕方がないか、

し試させてもらうとしよう。』

スイレンは態勢を低くして、一気にソフィに向かって駆け出した。

恐ろしい速度のソフィの魔法よりも、さらに早くスイレンはき、

すかさず持っているクナイを、ソフィに投げつける。

ソフィの避ける作に合わせて隙をい攻撃を打ち込むつもりで、

背後に回り込もうとするが、ソフィは全く避けずに、

クナイをそのまま手で払いのけてそのままスイレンの首を摑もうとする。

『………なんというやつだ。』

――忍、【至影たいどうしえい】。

「………ほう?」

ソフィはスイレンの首を摑もうとしたが、

握る直前に影だけが移したかと思うと、

影の後を追うようにスイレンのが移して避けられたのだった。

「………ほう? 影が本のように移しただと?」

『我ら影忍は自在に影をる事が出來る、忍びを捉えられると思うな。』

そしてスイレンが腕を左右に振ったかと思うと、

ソフィはその場からけなくなった。

「……何だ? かぬ?」

『貴様はもうこれでけまい。』

スイレンの影を至影たいどうしえいは自分だけでなく、

他人の影をも自在にり、金縛ることも可能なのである。

「ほう、これがリーネの言っていた影忍の技という訳か。」

リーネの言葉を出した瞬間、

スイレンは攻撃しようとしていた手をやめて、ソフィの前に姿を現した。

『お前、妹のことを知っているのか?』

試合の最中だというのにスイレンは手を完全に止めて、

影を縛っているソフィの前で質問を始めた。

「リーネは我の友であり、仲間だ。」

続きを促すようにスイレンはソフィの言葉を待つ。

「貴様の事は大まかにではあるが、リーネから話を聞いている、

影忍の里を王國に渡す事は、どういう意図でやったのだ?」

スイレンはそこまで知っているか、

という顔を浮かべていたがやがて話始めた。

『簡単なことだ、王國軍を手中に収め、

いずれこの王國自を、影忍のものにするのだよ。』

ソフィはやはり自らの里を守るためにやったのかと、

納得しようとしたが、スイレンはさらに話を続けた。

『だが私の作る影忍の一族は、先代までの愚かな風習など切り捨てて効率よく、

この國を支配していずれは、この大陸そのものを私のものにすることだ。

その為には妹のリーネをうまく使わねばならんのだ、

リーネがどこにいるのかを知っているというのであれば、

直ぐに私の元に連れてくるのだ。』

ソフィの中で、めまぐるしくスイレンへの評価が下がっていく。

スイレンの言い方では、影忍を想って里を守るためではなくて、

影忍を使って國を支配しようとする、まるで暴君のような発言であった。

「………リーネをどうするつもりなのだ?」

『決まっているあいつは優秀な忍びなのだ、

この大陸を支配するには、妹の力が必要だ。』

「それはリーネの意思など無視して、

自分の思い通りに、利用するという事か?」

徐々にソフィは、苛立ちを含んだ聲に変わっていく。

『私は影忍の首領だぞ? 自分の同胞、

ましてや家族を自らの國の発展に使うのは、當然のことだろう?』

國の為ならば嫌がる者をも、利用するといった発言をするスイレンに、

ソフィの思う統治とは、また違うだとじ始めていた。

スイレンの言葉はまさしく、アレルバレルの初代皇帝であった人間を、

彷彿とさせるような、そんな言い草であった。

「………ふむ、どうやら我はお前を過大評価していたらしいな。

もうよいお前はここで退場してもらう。」

ソフィは目の前の男に、同じ統・治・を・す・る・側・の人間だとじていたが、

自分とは決定的に考え方が違うことをじて、興味を失ったのだった。

『おい、貴様どういう狀況か分かっているのか?』

そういってスイレンは、至影たいどうしえいでけなくしているソフィに語り掛ける。

『命を助けてもらいたければ、妹を私の前に連れてこい。』

ソフィは溜息を吐いた。

そして――、

「今・す・ぐ・に・我・の・前・で・跪・け・」

ソフィの目・が・紅・く・なっていき、

ソフィの言葉を聞いたスイレン、は言う通りに跪いてしまう。

『な、なんだと?』

が勝手にいていき、スイレンは抵抗しようにも全くけない。

「いいか、よく聞け。」

――呪文【呪縛のカース・サングゥエ】。

けないスイレンの心臓に、ソフィの呪の言の葉が打ち込まれた。

そ・れ・は・一・方・的・な・契・約・で・あ・る・。

『リーネに危害を加える行為をすれば、お前とその関係者は即座に死ぬ。』

契約の言葉をソフィの膨大な魔力をトリガーにしてソフィは、

スイレンに呪縛のカース・サングゥエを打ち込んだのだ。

これにより、今後しでもリーネが何かされた場合、

スイレンたちに呪縛のが発して、その命は終わりを告げる事になる。

『何を馬鹿なことを、ハッタリだ! いいか? 覚えていろよ、

お前だけは俺の手で確実に殺してやるからな。』

頭にが上ったのかスイレンはソフィを睨みつけてそう宣言した。

「勝手にすればよい、だが忠告はしておいてやる。

この試合が終わった後に、リーネに手を出そうとするだけで、

お前は死ぬ、分かったな?」

【呪縛のカース・サングゥエ】の発條件は二つ、

一つ目は、自分の遙か格下の相手に対してのみ発可能で、

二つ目に、契約容を理解させることである。

そして契約容を話したソフィは、けないスイレンを蹴り飛ばした。

吹き飛ばされたスイレンは、そのままリングから會場のり口の壁まで、

一直線に飛んでいって、壁に埋まったまま意識を失った。

『しょ、勝者、ソフィ!』

リング外へ飛ばされたスイレンが、生きていることを確認した後、

審判は勝利コールを告げたのだった。

そしてこの瞬間、グランのギルドはリルバーグのギルドを下して、

あっさりと、一回戦を勝利で飾ったのであった。

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