《じゃあ俺、死霊《ネクロマンス》で世界の第三勢力になるわ。》3章 モンスター図鑑

3章 モンスター図鑑

この図鑑は、ギネンベルナ王室が編纂した、全國に生息するモンスターの特徴、生態、戦う際の注意事項などを記したものである。これを読めば、読者諸君は危険なモンスターに対する最低限の知識を得る事が出來るだろう。ただし、留意しておいてほしい。ここに記されているのは、あくまでも多種多様なモンスターの一側面に過ぎない。諸君が実際に剣を握り、モンスターと相対する際には、必ずしも本に書かれた知識だけが全てでない事を忘れないで頂ければ幸いだ。

●“危険度”について

そのモンスター一のみに対して、人間が戦いを挑む場合の脅威の指針。

S……生の頂點に位置する種族。人間が大軍をしたとしても、討伐は極めて困難。ドラゴン種などが該當。

A……非常に兇暴。人間単では歯が立たず、屈強な戦士たちによる軍隊の形が必要。オーガ、ゴーレムなどが該當。

B……危険だが、達した知識と技量があれば討伐可能。ただし一人では苦戦を強いられるであろう。ライカンスロープ、トロールなどが該當。

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C……単では弱く、一人前の戦士なら十分応戦可能。だがこのランクのモンスターは群れをすことが多く、個としての弱さを補っているので注意されたし。オーク、ゴブリンなどが該當。

D……極めて脆弱、もしくは危険のない生群。

●モンスター詳細

・ホーント

死霊目 怨霊科 危険度C+

攻撃の高い霊魂型アンデッド。

一箇所に複數固まっている事が多い。個々はさほど強力ではないが、複數に取り囲まれると対処が難しくなる。この狀態で長時間過ごすと生気を吸い取られ、最終的にが塵のように崩れてしまう。

見た目はゴーストに似ているが、理を失っており、ただ他の生に危害を加える事だけに執著する。主に生気を吸い取る事で攻撃するが、ホーント自は生気を利用するを持たない。他者を呪う副産として生気を吸っているだけだと思われる。戦爭や大規模な災害など、複數人が犠牲になった場所に発生する事が多い。その時の痛みの記憶を抱き続けており、それが攻撃に繋がっているようだ。すなわち、殘の高い事件事故であるほど、大量かつ強力なホーントを生み出しやすいということである。死傷者の多い事件が起こった際には、必ず神殿に連絡をれ、霊の祈禱をあげてもらうこと。

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・メイルレイス

死霊目 魂魄科 亡騎士亜科 危険度C

レイスが戦死者の鎧などに憑依した姿。

を持たないレイスと違い、剣などで武裝している事が多い。中は所詮レイスなので、慌てず落ち著いて対処されたし。

レイスは本來実を持たないアンデッドであるが、稀に強い死の気配を帯びた品に憑依する事がある。メイルレイスは、その中でも鎧や甲冑など、人型の武裝に取り憑いた個である。中っていようがいまいが気にしないようだが、中りだとゾンビと見分けが付かず、紛らわしい。得を持つことから通常のレイスよりは注意が必要だが、剣の技量などは到底再現出來ないので、そこまで脅威ではない。むしろ恐ろしいのは、戦死者の鎧がき出す事で、あたかも死者が蘇ったように見える事である。ゾンビ同様、生前の姿を保ったままかれることは、我々生者に多大なる恐怖をもたらす。このモンスターに遭遇した際には、まず相手がモンスターであることをしっかりと認識することを心がけたい。

・セイアージ

無尾目 鰭尾ひれお科 危険度Dー

青蛙。三本足の蛙。後腳が尾のような構造をしており、それをしならせて魚の様に泳ぐ。

ヒキガエル程度の大きさしかないが、表から分泌する分には毒があるので注意。

主に山深い清流に生息する。皮からねっとりしたいわゆる“ガマ油”を分泌しており、これを目的とした獲が後を絶たない。セイアージの油は弱い火種でもあっという間に高溫になり、目にると激痛と共に視力を弱らせる。また、この油で炙った革布は抜群の撥水を獲得する質がある。

現在、セイアージは猟準II級種に指定されている。許可証なき狩猟は見つかり次第罰せられることを忘れるべからず。

・ドワーフ

亜人目 髭長小人科 危険度ー

かな髭が特徴の亜人。

小柄で、大人のドワーフでも人間の子ども程度の長しかない。生まれた時から髭が生えており、常に長の半分の長さに生えそろう。この特徴から、ドワーフには存在しないと考えられている。繁の仕方はドワーフ側の協力を得られない事もあって、現在でも判明していない。

寶石の採掘に目がなく、種族全てが鉱夫と言っても過言ではないほど掘りに執著する。そのため滅多に地上には姿を現さず、都市も全て坑道に建設される。地下建築の技はどの種族よりも高いと言われているが、近年その撤回を求めてホビットの大規模なデモが起こった為、以降この様な発言は控えるようにとのれが出された。

●既存のモンスター

・レイス

死霊目 魂魄科 危険度C−

魂のみで実を持たないアンデッド。霊魂タイプの中ではもっとも下等なモンスター。

では人に害をなせないほど無力だが、數が集るとそれなりに悪影響が出るので、群れる前に早めに浄化することがましい。

死後を失い、魂だけの存在になったのが霊魂タイプのアンデッドであるが、それら霊魂が最終的に行き著く先がこのレイスと言われている。無數の怨念、思念が凝り固まって集合した姿であり、それ故にまとまった思考が出來ず、ただ無念を喚くだけの存在にり果ててしまっている。故に浄化するのも比較的簡単であり、ただ祈るだけで霧散する個も多い。旅先で出くわしたのであれば、元同じ人間のよしみで冥福を祈ってやるのもありだろう。

・ゾンビ

死霊目 人科 危険度C

もっとも一般的なアンデッド(生きていない)モンスター。元が人間で、かつ完全には腐敗していないものが該當する。

人間だった頃の能力と理をほとんど失ってしまっているため、非常に脆弱。ただし外傷では倒しづらく、攻撃の際は火で燃やすか、銀製もしくは聖水で清めた武が有効。

アンデッドモンスターとは、死後誰からも弔いをされなかった死者が変容した存在である。生前の記憶に基づき、所縁ある地に巣食ったり、普段と同じ行を取ろうとする。この時、生前の執著や後悔の念が強いほど、強力なアンデッドになりやすいという報告がある。ゾンビはベースが人間ということもあって、もっとも遭遇機會が多いアンデッドと言えるだろう。墓地が整備された市街地ならともかく、旅先で野ざらしの故人を見つけた場合は、ゾンビになる前にきちんと弔いすべし。

ちなみに、鳥や獣のゾンビの報告例はほとんどない。死者へ祈る習慣が獣には見られないことから、ゾンビ化には“後悔の念”が重要なのではないかとする説が挙げられている。

・ゴースト

死霊目 人魂科 危険度C

霊魂タイプのアンデッドの、人間の思念が霊化したもの。

レイスと違い明確な自我を持つ為、悪意を持って人間に害をなす個もいる。実はないため害は出にくいが、に憑依されたり、呪いをけ続けたりすると命に関わる場合もある。

人間の魂が変質したモンスター。自然死では発生しにくく、事故など突然の死によって生まれる事が多い。多くのゴーストは死をれる事で仏するが、稀に生前の執著が強い場合は、この世に留まり続けて無念を果たそうとする。しかし霊魂タイプのアンデッドの行き著く果てがレイスであるように、いずれ自我を失い、呪いを振り撒くだけの怨霊と化す。そうなる前に神殿に連絡し、荒ぶる魂を宥めてもらうのが得策だろう。また極めて稀に、自我を保ち続けてより上位のアンデッドに変質する場合がある。いずれもゴーストより対処が困難なので、そうなる前の浄化を心がけるべし。

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