《異世界でもプログラム》第二話 火消し部隊

真辺は、この會社で唯一の"火消し部隊"の部門長をやっている。

"火消し部隊"それは、仕事としては本來有ってはならない事だが、いろいろな要因が重なり、納期に大幅な遅延が発生したり、重大な問題が発生したりして、急な対応を強いられた時に、サポートを行う部門という事になっている。

その道のエキスパートが揃っているが、一癖も二癖もある連中が集まっている。

そんな愚連隊を率いているのが、真辺なのだが、本人は至って普通の會社員のつもりで居るらしいが、変わり者である事は、周知の事実だ。

そんな真辺は、自分は"プログラマ"だと言い張っていて、SEシステムエンジニアでも、ITプロフェッショナルでもないと言い張る。

會社が名刺に”システムエンジニア”と肩書を書いたら、その名刺は一枚も使うことなく、機の中に眠っている。

使える言語の數は社で一番多し、マイナーが言語も使いこなす技量や知識もある。扱える端末の數もずば抜けている。會社としては、そんな彼の肩書が”プログラマ”では、現場での発言や立場が軽く見られる事を、理由にしている。

しかし、別の見かたもある。彼が”プログラマ”では、単価が數十萬違ってきてしまう。會社と真辺の間でとられた、妥協點は、”肩書なし”だが、現在では、それが彼の肩書になっている。

火消し部隊としては、様々な現場に顔を出し短時間で、業務を理解して問題點のあぶり出しを行わなければならない。プログラム言語や端末特が”わかりません”では、通用しない事を一番理解している。

彼の大きな欠陥の一つが、部下たちにも同じレベルの事を求めている事にある。

彼、曰く『自分のような欠陥品ができるのだから、大學出の人間が出來ないわけがない』が、部下や取引先の人間によくいうセリフになっている。

そんな火消し部隊の隊長が、職場でよく言っているのは、

『言語なんて、書き方の違いはあるが、"力→計算・判斷→出力"が使えればなんとかなる』だ。

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暴言である事は、彼が一番理解している。しかし、言語理解や開発手法は重要ではないというのが、彼の本的な考え方なのだ。彼らは、研究者でも、學生でも、教育者でもない。顧客の便利を目指す、”プロ”なのだ。

そんな彼と彼の火消し部隊には、會社の部署からだけではなく、他の會社からも要請がってくる事がある。

先日も、2月末納品のプロジェクトで、客との認識違いが、1月末に発覚して、火が燻り始めた現場に急遽呼び出されて、火消しを行っていた。

『”客との意見の相違”と、いわれ』行った現場は、大変優秀な営業が現場に確認も取らないで”自分の判斷”で客とやり取りを行っていた。

”自分たちがしでかしたことではない”と、いう気持ちが強い、開発や現場営業の士気は最悪な狀態になっている。ただ、士気が低かろうが、納品の時期は決まっている。撤退を決めるか、それでも納品までこぎつけるのか、それとも客と渉をして納期をばすか?その判斷時期が押し迫っていた。

この案件で、真辺達に課せられた役目は、現狀を把握して、上層部に正確な報を伝える事だ。

撤退が決まれば、速やかな撤退準備を行い。殿しんがりを務める事になる。無理やり納品してお茶を濁すというアイディアもあるにはあるが、真辺はその選択肢はないと考えていた。

怒り心頭の客との渉を行い。現場の人間に全員に、3日間の休みを取らせた。休みの間で、現狀解っている報を整理して、自分のチームメンバーだけでソースコード一式を検査して、客が言っている事や営業が話した事の裏取りを行う。

現場には、ドキュメントがしっかり殘されていて、議事録も殘されていた。

それらをベースにして、火が著いたシナリオを構築し、整理していく。

口が軽い"優秀な営業"がいるために、営業を通さずに、客の擔當者と話をするのは至難のわざだ。そこで、客の上層部と直接パイプを繋げる事にした。

真辺が率いる部隊は、火消しを擔當しているので、いろんな部署だけではなく、外部の會社にも伝手ができやすい環境にある。同じ業界なら、間に一人挾めば大抵の開発會社には繋がりが出來る。客にも二人挾めばよほど小さな企業ないかぎりは繋がりを持つ事が出來る。

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この時も、以前一緒に火消しをしたシステム會社の人間が、客の上層部を知っていた。

客の別部署に話を繋いで貰って、自分たちが仕事をする部署の上層部に繋げてもらった。

こんな水面下での渉は本來やるべきではないが、今回の"火"は一部の客と口の軽い営業が燃料を投下している。それらを排除するしかない。

まずは、雑談レベルとして、客の現場サイドの人間と話をした。

やはりというか予想通りの展開だ。現場としては、現狀出來ているで、それほど機能的な問題はじていない、それよりも新しい仕組みがったシステムを早くリリースしてしいとじているようだ。

そのことは議事録からも伺えることだ。それではなぜ"火"が燻ったのか?

簡単な事だ、客の上層部と優秀な営業口の軽い愚か者が問題なのだ。客の上層部は、優秀な営業口の軽い愚か者が言った事を、”そのまま”上層部に伝えて居た。そして、リリース前になって、”自分が依頼した機能”が出來ていないと騒ぎ出した。それが出來ていないと、自分の失點につながるからだ。しかし、現場としては、そんな瑣末な機能よりも他の機能の充実をお願いして、現場サイドでは納得していた。

まず、真辺達がやったのは、現狀の狀況の整理だ。”出來ている/出來ていない”の區分でも、”リリースできる/顧客確認済み/テスト開始できる/ソースコミット済み/デバッグ中/開発中/仕様待ち/他のモジュール待ち/必要ない”の區分に振り分ける。客擔當者への聞き取りを行い。モジュールの確認を行っていく。そうすると、大抵の場合・・・「あぁそれ必要ない」や「え?どういう事」という話しがボロボロ出て來る。

この現場では、735本のモジュールが存在していた。

実際に、開発が終わっているのか、デバッグが終わっているのかは、現場擔當者が出てこないと解らないが、客との話では、仕様待ちとなっているに関しては、ほぼ必要ないだ。

客が開発中と認識しているのが、優秀な営業と客の上層部の話で決まった機能だ。それ以外は、ほぼほぼ問題なく終わりそうな雰囲気がある。

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結局、よくある火付け現場になっている。議事録が殘されている現場でも認識の違いが発生するのだ。

客と開発者のコミュニケーション不足から発生する現象だ。話をして議事録を殘しているだけではなく、客と客の上司との會話や開発者と営業のコミュニケーション不足が招く古典的な火事現場だ。開発者は、客擔當者に負擔をかけないために承認は擔當者レベルでもらうだけにして、客は開発者に気を使って、部資料から報告書を作して報告をおこなう。

開発者は、客とのやり取りで問題がないと資料を作して社の上司に報告をおこなう。

これが、解った真辺達は、今後は現場の開発者を全員集めて話をする事にした。

真辺達には指揮権はないが、狀況確認の為に”必要な事”という名目で話を聞く事になる。休ませている間に作した報告書をベースに話をする事になるが、優秀な営業口の軽い愚か者は含めない。

実際に、開発者がどういう認識で居るのかを知りたいからだ。

開発者達は、なぜこんな事になったのか把握出來ていなかった。

客が急に"この機能はどうなっている?"といい出したのが始まりで、その時に、現場の責任者が不在で擔當者レベルでの話をしていた。納品が近づいているので、當然の事だ。

そこに、終わっていると思っていた”新機能”の話。現場は、”新機能”に関しては、”今は考慮していません”と答えるしかなかった。

ここで、客が上役にそのまま報告をしてしまって、上役が”優秀な営業口の軽い愚か者”に”どういう事だ”とクレームをれる。”優秀な営業口の軽い愚か者”は、自分の失點になると困るので、開発サイドの問題であるかのように説明して、開発させますと言ってしまう。

慌てる現場だが、”優秀な営業口の軽い愚か者”は自分が居ないと何も出來ないと思いこんで、打ち合わせや會議に顔をだすようになる。開発が終わらないのは、人手が足りないからだと、他のチームの仕事が終わった若手を投する。現場は更に混する。客は、金額が変わらないまま人が増えているので、なんとかなると思い込む。”優秀な営業口の軽い愚か者”も”問題ない”と説明する。

しかし、納品間近のシステムに、業務を理解していない人間をれてもほぼ戦力外となってしまう。そして、”優秀な営業口の軽い愚か者”は、自分が他の部署に頭下げて人を融通して貰ったのに、使わないのはどういうことだといい出す。

これが、この現場で発生した事だ。

たった一言の説明があれば問題にはならなかった。

そして、”優秀な営業口の軽い愚か者”がコミットした機能は、直近では必要がなく、運営対応ができるで、次回のリリースがあれば、そこで、実裝する予定となっている機能なのだ。

真辺達は、これらの報告書を上層部に提出した。”優秀な営業口の軽い愚か者”の話はスルーして・・・だ。

誰がやったかは、終わってから會社が調べればいい事で、こじれてしまった糸をほぐす事がまずは大事なのだ。

會社からの指示は

「業務続行」だった。

納期渉を行えというだ。735本中。次回リリースに回せる。73本。新機能が殆どだ。客がいらないと言った機能も含まれている。

現場での話し合いはうまく行く事が多い。問題は、上役が出て來る時だ。何か、お土産を提示しないと話が進まない事がおおい。

客の社での立場もある。その為に、その報をリサーチしてから渉に臨む。

基本的には、納期渉は現実的ではない場合が多い。

その為に、真辺達が取った作戦は”実質的な納期延長”だ。納期に間に合いそうな機能でのリリースを行い。

バージョンアップでの機能追加を行うという事にした。まずは、現場が実際に必要な機能だけをリリースする。

開発者からの聞き取りで、バージョンアップするまでの期間として、2ヶ月と見積もられた。真辺は、それを3ヶ月と説明した。火が付いている現場の人間たちの心理は、自分たちが客に迷をかけていると思っている場合が多い。その為に、自分達が多無理をすれば・・・と考えてしまう。その為に、ギリギリの納期を申告してしまう。その為に、何か問題が発生した時の対応ができなくなってしまう。そして、新たな火が噴出して、炎となってしまう。そうならないために、最低でも1.5倍の納期を客に申告する。

それで納期よりも早く出來てしまっても、文句をいう客は居ない。

渉のやり方もいろいろあるが、今回は客の社で使うツールだったので、リリースを予定通りに行って、次のバージョンアップ時にれる機能を先にコミットして、客の面子を潰さないようにする。確かに、使えない機能は出て來るが、それは3ヶ月後にリリースすると約束する。そして、もう一つ大事な事は、『このリリースは社で多くの人に使ってもらう事を前提しているので、問題が発生したときの為に、3ヶ月間は弊社の人間が対応を行う。その為に、出張扱いで誰かを張り付かせます』と、お願いする事だ。

客からは、幾つかの要ったが概ね了承の返事を貰った。

問題は、この余計にかかる3ヶ月間の予算だが、真辺達の分をれても、かなりの損失になる。

會社と真辺達の考えは一緒で、この3ヶ月間できっちり納品を行い。次に繋げる。そして、その次で損失分を回収するように渉する。

この時の営業は、現場に近い営業が行い、”優秀な営業口の軽い愚か者”には出てもらわないようにする。

そして、現場の開発者達は、本來なら2月末で一區切り著くはずだった仕事を、3ヶ月延長しなければならなくなった。途中からった若手には、2月末で元の部署に戻ってもらう。

正直居てもらっても迷にしかならない。真辺の部下達がその代わりに雑務のような事を擔當する。業務知識の必要がない。DB周りやネットワーク周りの事やOS周りの事をそれぞれ擔當する。殘ったメンバーでソースのレビューを行っていく。火が著いた現場では、途中から、コピペの嵐になる事が多い。同じような事をやっている部分をコピペしてすこしだけ修正を行って、コミットするような事が行われる。

そのまま放置していると、同じような機能で発生した障害が隠されたまま進む場合がある。そうならないために、共通化を行う必要があるのだが、そこまで手が回らない事が多い。その為に、言語的に、可能な範囲で、共通化作業を、並行して行っていく。

業務的に同じような事を行っている部分が多くなっていく、それらが使われているモジュールを把握するだけでも、デバッグの時やテストの時に役立つ報となる。

そして・・・真辺達は、3ヶ月間の延長業務を終わらせて、無事鎮火した事を確認した。

新たな契約が結べた事もいいニュースとなった。間が1ヶ月空いてしまったが、6月からの仕事としてバージョンアップと新機能の追加業務を注できたのだ。

現場の人間たちは、この一ヶ月を使って、客との打ち合わせや新機能のプロトタイプを作ったりする業務を行う。

現場を離れて、これらの事を上層部に報告して、會議室を出た。

「んーん」

真辺は久しぶりの休みを取る事にしていた。年末から働き通しだ。

趣味が、プログラムという生粋のプログラマではある46歳獨。ついでに天涯孤獨。更にいうと、郊外に一戸建てを持っている。そんな人間でも休みがしいと思う事はある。

が居た事もあるし、それなりの経験はある。男が好きなわけではなく。対象は普通にだ。

帰っても、自分で遊びのプログラムを作っているが、それが仕事でけたストレスの発散になっている。

家には、待っている人は居ないが、去年の夏までは、兄妹貓を飼っていた。30歳になる前に拾った貓だった。夏に、最初に妹貓が天壽をまっとうして、追うように兄貓も亡くなった。二匹とも、真辺に懐いていて、ダメだと言っても、布団の中にってきて寢てしまう。いつの間にか真辺も許していた。

そんな待つものが居なくなった家に帰るのが辛くて、仕事に打ち込んでいた事もあるが、自分が休まないと部下たちも休めない。

今回は、丁度いい機會だから、長期休みを取る事にした。

実家があった街に行って墓參りもしておきたい。そして、いろいろやっていなかった事も片付けてようと考えていた。

長期休みは、無事、會社に承諾させた。

1ヶ月間の休みだ。次の現場はまだ決まっていない。

で待機になる事も考えられる。それならそれでも良いと思っている。

半年近く最新技報を調べていない。それらを調べながら、次の現場が決まるのを待っている事になるだろう。

部下たちの休暇の申請も會社に掛け合って全部許可させた。

びをしながら、帰ろうと歩いていた。

「ナベ!」

嫌な予しかしない、篠原営業部長の聲が聞こえた。さっきの報告にも顔を出していたし、真辺が休暇を取る事を知っているはずである。

しかし、真辺は知っている。ここで、返事をしてしまうと、明日からの休暇がなくなってしまう可能が高い事を・・・。

「ナベ!!聞こえているのだろう!」

真辺は聞こえないフリをして、玄関に急ぐ。

篠原と真辺の付き合いは長い。この會社に真辺をったのが篠原だ。もう20年近い付き合いになる。篠原は、真辺の5つ上の先輩になる。前の會社の上司だ。

「ナベ。急ぎの仕事じゃない。休み明けの相談だ!」

「旦那。それなら、そう言って下さいよ」

「お前が無視するからだろう。それで、この後時間あるか?」

「え?ないですよ。この後、予定があります」

「おぉそうか、予定はないのだな」

「あいかわらず、人の話を聞かない人だな」

「解った。解った。おまえの好きな、食わせてやる」

「あぁ・・・はい、はい。どうせ斷ってもダメなのでしょう」

「まぁそうだな。強制って手段は取りたくないからな」

「わかりましたよ。それじゃ、いつもの店でいいですか?旦那のおごりですからね。こっちからは誰か連れていきますか?」

「そうだな。醫療系に詳しい奴居たよな?」

「居ますよ。何系ですか?」

「全般的な事が解ればいい。」

「あぁだから、電子カルテなのか、機作なのか、醫事會計なのか、それもとオーダーですか?産婦人科と歯科は勘弁してください」

「さぁな。お前を名指しの要請だからな」

「・・・あぁ・・・はい、はい。それなら、俺一人でいいですよね?」

「そうだな。それじゃ、19時にいつもの店に、俺の名前で予約れておく」

「はいはい。19時ですね。また中途半端な・・・」

「先方の指定だからな。絶対に來いよ」

「解っていますよ。それじゃ後ほど・・・」

真辺は、篠原に手を振りながら別れた。

今の會話から、病院関係の仕事である事はわかる。名指しという事は、病院から直接の依頼だとも考えられるが、それよりも大手のSIerからの依頼である可能が高い。

面倒な事にならなければ・・・。大抵こういう場合は、面倒な事になる。火が噴いている現場じゃなければいいと思っているが、自分を名指しという事は、それも考えにくい。

憂鬱な気分のまま、時間まで自分のデスクで時間を潰す事にした。

「ナベさん。どうかしました?」

デスクに座ったら、部下が聲をかけてきた

「あぁ篠原の旦那に呼び出された。」

「え・・・イヤですよ。私、もうお休みの予定で、ツアーの申込みしちゃったのですよ」

30代前半ので、石川聖子。真辺の部下になってから、3年目。真辺の部下の中では若手だ。

「あぁ大丈夫。業務開始は、6月からだよ」

「そうなのですか・・・良かった。それで、私達の休暇はどうなりました?」

「大丈夫だよ。全員分諾してもらった」

あちらこちらから、”うしっ”や”やった!”などと聲があがっている。

やはり、皆気になっていたようだ。

真辺は、部下に”真辺さん”や”部長”とは呼ばせていない。現場でも、”ナベさん”と呼ばせるようにしている。

客の上層部がった會議では、しっかり役職で呼ぶようにさせているが、それ以外の場所では、”ナベさん”と呼ばせている。

それにも理由がある。現場で”部長”などと呼ばせると、真辺にも決定権が有るのではないかと勘違いするものたちが出てしまう。その為に、自分たちはサポート部隊である事を認識させるために、役職では呼ばないように徹底している。

「ナベさん。それじゃ、明日からお休みでいいのですよね?」

「あぁ問題ない。どうせ有給が余っているだろう?しっかり休めよ。最初の一週間は俺の権限で振替休日を割り振っておいた。後は、好きにしろ!」

「はぁーい」「了解。」

全員がきっちり休むようだ。

「次の現場の報はいつもの方法ですか?」

「あぁロクでもない場所かもしれないけど、解ったらMLに流す。俺が出社予定の日も流すから、都合が良い奴は會社に出てきたら、話をきかせてやる」

「了解です。それじゃ、私は上がります!お疲れ様!」

皆口々に帰りの挨拶をしていく。

真辺の部署にはタイムカードが存在しない。真辺が廃止したのだ。その代わり、全員が固定給になっている。

殘業代が出ると思うと甘えになるという考えだが、月100時間分の殘業代が上乗せされた金額になっている。これも、會社側との渉の結果だ。

ただ、仕事がっていないときには、上乗せ分がカットされる。そして、會社規定のフォーマットでの出勤簿の提出が義務付けられている。

部下たちの休暇の予定を確認し終わった。

「さて、後30分か・・・プラプラ歩いていけば、丁度いいくらいだな」

席を立って、會合が行われる鉄板焼屋に向かった。

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