《異世界でもプログラム》第十一話 神との會議

えぇとどういう事でしょうか?

『クスクス。やっぱり揺しているね』『うんうん。揺しているね』

あっ私は”しんいち””まのべしんいち”です

アリーダ様は霊様のお名前なのでしょうか?

『違う。違う。僕は、エト』『クスクス。私は、エリ』

『エリ。エト。しんいちさんが困っておられるでしょ。さがりなさい』

アリーダ様でしょうか?

『そうよ。私がアリーダです。わたくしの事は、アリーダで構いません。いろいろ聞きたい事があろうかと思います』

『やぁ~い。やぁ~い。エリ。怒られた』『クスクス。エトが怒られた』

あっはい。アリーダ様。

『アリーダと呼んでください』

アリーダさん。

『アリーダです』

・・・・アリーダ。それで、今どんな狀況なのでしょうか?

いですね。まぁいいでしょう。今、私の権能で時間を止めています』

え?そうなのですか?

それで、私の事を”転生者”と呼んだのは?

『貴方は、前世の記憶がありますよね』

え?あっはい。

ダメなのでしょうか?

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『いえ、大丈夫です。イレギュラー的な狀況だった為に、対処が出來ていない狀況なのです』

イレギュラーという事は、私が初めての事なのでしょうか?

『そうですね。転移者は今までもいたのですが、転生者は初めての事です。話をしてよろしいか?』

あっはい。大丈夫です。

『私は、この世界をまとめる管理神だと思って下さい』

はい。解りました。

それで、私に何か用事があったのですよね?

『いえ、なにもありませんよ。挨拶とエトとエリが話しかけてしまったので、それのフォローですよ』

え?そうなのですか?

てっきり・・・。

『”てっきり”なんなのですか?』

あっ何かチート的な能力でも授けてくれるのかと思って期待していました。

『あぁそう言えば、アース神の所からの転生でしたよね。それも、日本といいましたか、あの獨特の進化を遂げた場所ですよね。変態的と言ってもいいくらいな文化の場所ですよね』

そうですが、そんな獨特ですか?

『民族的に単民族に近いのに、枝から完全に違う進化ですからね。管理神の中でも議論の的ですよ』

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あぁそういう事ですか。

『えぇそうですね。”ちーと能力”はあげられません』

そうなのですか?

『貴方の、前世を見させていただきました。貴方にわかりやすく説明すると、システム管理者が”1ユーザ”に特別な権限を與えるようなシステムがまともな運用が出來ると思いますか?』

そう言われたらそうですね。

これは、私が間違っていました。

すこし教えてください。

『なんでしょう?』

もし、私がシステムの問題點・・・バグを見つけた場合。そのバグを利用した場合には、どのような罰則があるのでしょうか?

バグだけではなく、セキュリティホールや組み合わせで発生する問題を含めての事です。

『何もありません。あるとしたら、その力を使って、貴方がこの世界を破壊しようとした場合に、私の権能で貴方を消去するだけです』

解りました。ありがとうございます。

”世界の破壊”とおっしゃいましたが、それは、どういった行為を指すのでしょうか?

また、消去は警告なしで行われるのでしょうか?

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則事項に関しては、定めていません。そうですね。消去の実行の前には警告を発する事にしましょう』

ありがとうございます。

例えば、國一つ滅ぼすような事は則事項だと思いますが、魔を100倒す事は則事項になりませんよね?

『今言った両方共別に則事項にはなりません。貴方にわかりやすく言えば、刀や魔法で倒すのは大丈夫ですが、核の様に、影響が後に殘るような兵は困ります』

そうなのですね。

解りました。技や文化のブレイクスルーはどうでしょうか?

『問題ありません。”出來るのなら”好きに生きてください。すでに貴方もこの世界の住人なのです』

ありがとうございます。

最後に一つだけ教えてください。

”なぜ”私なのでしょうか?

『それは私にもわかりません。あっそれから、ステータスの隠蔽は誰にでも出來る事ではないので、匿して下さいね。貴方の・・地球人からしたら、ステータスプレートは・・・あぁ、貴方なら”本當の”使い方が解ると思います』

解りました。

この世界を楽しみます。

ありがとうございます。アリーダ。

『いえいえ。それでは、また機會がありましたら、話をしましょう。異世界からの來訪者よ』

『バイバイ。またね』『クスクス。また會えたらいいね』

気配が消えたみたいだ。

立ち上がってみるが、大丈夫そうだ。父が怪訝な表でこちらを見ている。

「アル。どうした?何か問題でもあったか?」

「いえ。大丈夫です」

流石に、転生者の話やアリーダはしないほうがいいだろう。

「アル。霊神様の加護は得られたのか?」

「あっ確認致します」

”ステータスオープン”と唱えると、目の前にステータスが表示された。

名前:アルノルト・フォン・ライムバッハ

[異世界日本語変換:1.00]

鑑定:2.55

魔法制:2.89

霊の加護

鑑定はなんとなく解る。”調べる”だろう。異世界日本語変換は、前に取得したスキルだろう。たしか、隠蔽しますかと聞かれて、”はい”と答えた記憶がある。と、いう事は、[]で括られているは隠蔽されていると考えればいいのだろう。

それにしても、魔法制はどんななのだろう?

「父上。ステータスが表示されました。」

「そうか、”霊の加護”は得たのか?」

「はい。父上。魔法制とは、どんななのでしょうか?」

「お!そうか、アル。よくやった。魔法制が顕現したか?數値はあるのか?1.00にはまだなっていないだろうが、どの程度だ?」

え?2.89あるけど、これは異常な事なのか?

「はっはい。橫に表示されている數値は、0.89です。」

2を省いてみたけど、どうなのだろう?

父の顔を伺ってみる。明らかに驚いている。

「本當か?間違いじゃないな?」

「はい。0.89です。」

「そうか、よくやった。子供の時に、火の魔法が使えたから、もしかしたらと思っていたが、そうか、そうか、ライムバッハ家もこれで安泰だ!」

「父上。この數字がすごいのですか?」

「そうか、すまん。説明をしていなかったな。」

父から説明を聞いた。

ステータスプレートの數字は、顕現しただけだと、0.01~0.10が一般的で、訓練をする事であがっていくのだと言う事だ。

1.00が最初の壁と言われていて、1.00を超えると不自由なく使えるようになっている証拠なのだという。一部の天才が、長年の修行で2.00の壁を超えるのだという。

魔法制は、言葉通りの意味で魔法を制する力で、1.00を越えた辺りから複數の屬の魔法を使ったりする事が出來るのだという。

魔法の規模や詠唱の時に影響は、この數字が大きければ大きいほど、小さな力で済ます事が出來て、霊の加護が大きければ、小さな力で大きな結果や複雑な指示が出來るようになってくる。

2.00を超過している俺は天才の部類にるのだろうか?それとも、初めて魔法を使ってから毎日の様に繰り返してきた結果なのかは、検証してみないとわからない。

「アル。他の神殿を回るぞ。0.89もあるのなら、霊の加護も顕現するはずだ」

「あっはい。父上。ステータスの容は、他の人には見えないのですか?」

「あぁそうだ。”鑑定”と”魔法制”が両方顕現して、ステータスを見る事が出來るという話はあるが、実際にそれが出來た者はいない。數値の問題なのだろうという結論にはなっている。アーティファクトで実現出來ているだけだな」

「わかりました」

それなら、安心していいのだろう。

それから、父に連れられて、風の霊/水の霊/火の霊/地の霊/木の霊/武の霊/守の霊/闇の霊/霊を順番に回った。剣の霊や槍の霊は、"武の霊"の眷屬になるらしい。

本來なら、全てを回る必要はないのだと言っていた。多くても、3つの加護が得られれば、最高の魔法師になれる。父は、火・風・地・木の加護を得ている。4つの加護を持っているのは、父を除くと2~3人しかいないらしい。エルフの長が5つの加護を得ているらしいが、長い時間をかけて得た力とエルフという種族特だと話していた。

父は、自分を超えるかも知れないと思って、ライムバッハ家の領にある神殿全てで加護を得る為の儀式を行う事にしている。

そして、俺は無事全部の加護を得る事が出來た。得手不得手なのか、數値にはばらつきが出ている。

ステータスは

名前:アルノルト・フォン・ライムバッハ

[異世界日本語変換:1.00]

鑑定:2.55

魔法制:2.89

霊の加護

 地の加護:0.35

 火の加護:0.95

 水の加護:0.21

 木の加護:0.09

 風の加護:0.45

 闇の加護:0.11

 の加護:0.18

 武の加護

剣の加護:0.89

 守の加護

チートはなしと聞いていたが、十分なチートだと思うのだけど・・・。

「どうだ、アル。これで領地にある神殿は回ったが、加護は得られたか?」

「はい。火と風と地と木と武の加護を得る事が出來ました。」

「本當か?」

「はい。間違いありません」

「そうか、そうか、やはり、俺の息子だ。よくやった。アトリアにも報告しないとな」

「はい」

隠蔽の仕方も覚えないとな。

さっきの話だと、俺なら使い方が解るとか言っていたからな。

今晩にでもいろいろ検証をしないとならないな。

屋敷に戻って、母に報告をしたら抱きつかれた。

実の母なのに、ドキドキしたのはしょうがない事だろう。

その後、お祝いだと言われて、俺の好きなばかりをテーブルに並べてくれた。

正直に言えば、食事に関しては、満足なんてしていない。日本人としては、”白い飯、味噌にお新香と海苔”ネバネバ系と生卵と貝類と甲殻類が食べられないが、それでも日本食がしくなる。

それでも、お祝いだと言われれば嬉しくなる。父も母も喜んでくれている。妹もまだ何もわからないと思うが、それでも沢山の料理を見て喜んでいる。

珍しく、父が酔っ払っている姿を見た。

日本に居る時にも、結局父親とは酒を酌みわす事が出來なかった。新しい人生では、父と酒を酌みわす事が出來るだろう。

その為にも、今出來る事をやっていこう。

「ルグリタ。今日は、一人にしてほしい。ダメか?」

「アルノルト坊ちゃま。解りました。侍を部屋の前に控えさせます。何か有りましたらお聲がけ下さい」

「うん。ありがとう。おやすみ。ルグリタ」

普段、部屋の中に一人か二人の侍が控えている。

寢ている時に、何か有った場合への対処だと言っている。正直、人の目があると寢にくいがしょうがない。そういうだと諦めた。

今日は、いろいろ試すつもりなので、ダメ元で言ってみたら許可してくれた。これはすこし嬉しい誤算だ。明日からも是非一人で寢るようにしたい。

そうしたら、また魔法の訓練が再開出來る。

今日は、ステータスプレートの検証だな。

”ステータスオープン”

うん。同じようにステータスが表示される。アリーダが、俺なら”本當の”使い方が解ると言っていたな。

このステータスプレートってちょっと大きめのタブレットってじだよな。

長押しとか出來るのか?

目の前に浮かんでいるステータス”鑑定”の項目を指で長押しするようにってみた。

へ?當り?

鑑定の項目からサブメニューが表示された。

----

隠蔽

説明

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取り敢えず隠蔽を選択した。

”スキルを隠蔽しますか(はい/いいえ)”

(はい)と答える。

ステータスが表示されて、鑑定が[]で括られている。再度、鑑定のメニューを表示させる。

----

隠蔽解除

説明

----

と、変わっている。今度は、説明の項目を選択する。

----

鑑定:2.55 隠蔽中

・生き・スキルの鑑定が出來るようになる

に関しては、「名前・材質・レア度・価値」が表示される。

生きは、「名前・種族・スキル」が表示される。

スキルは、スキルの説明が表示される。

距離は、魔法制に依存します。

表示項目は、鑑定のレベルに依存します。

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そうか、説明は”鑑定”がないと表示されなくて、”隠蔽”は、隠蔽が使えなければ表示されないのか・・・。

同じように、父に申告しなかった加護は隠蔽しておくことにする。

アーティファクトだけらしいが、どこでスキルを見られるか解らない。見られてもいいようにしておくことも必要だ。

レベルも隠せるかと思ったが、レベルに関しては、本人にしか見えない”らしい”。

説明の読み込みは、明日にしよう。

流石に今日は移し続けたから疲れたよ。

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