《異世界でもプログラム》第十二話 従者?奴隷?
ステータスプレートの検証は、夜にまた行うとして、今日も朝から剣の訓練をしている。
”剣の霊”の加護が得られた事で、クラーラさんを始め食客の皆さんの訓練が激しくなると言われている。
午前中の訓練は、今まで以上に実戦に近い形での訓練になっている。
「アル君」
クラーラさんが、坊っちゃん呼びから、稱で呼んでくれるようになった。
「はい。」
”剣の霊よ。我の剣に集いし、刃やいばとなれ”
今朝から、與える魔力は省略するように言われている。今までは教えられていなかったが、魔法制が0.89あるという事で、霊に渡す魔力をコントロールする方法を教えてもらった。
ゲームの様に、MPの表示があるわけではないが、神力に近い事を言われた。霊に與えすぎると、神力が枯渇して、魔力欠乏癥に陥って気を失ってしまうのだという。
また、実戦で一々魔力の量を言っていると、相手にバレてしまう事もある為に、なるべく魔力を省略する様に心がけるのだという。
今教えられている魔法は、一般的に知られている魔法だが、家々に伝わる伝と言われる”詠唱”も存在するらしい。”詠唱=イメージ”の伝達や霊への指示になるのだが、例えば、先程の”刃やいば”を”剣”に変えてもイメージが”切れ味を増す”事になっていれば、魔法は同じ効果をもたらす。
「うん。しっかり出來るようだね。」
それから、5分剣を振っていると、魔法が消えた覚が伝わってくる。
「クラーラさん。弾けたようです」
「そうだね。魔力はどのくらい込めたの?」
「はい。イメージ的には、魔力5です」
実際には、魔力1でやってみている。
「そうか、やはりアル君は霊にされているのだろうな。上級剣士や魔法剣士の5倍以上の長さ継続出來ているからな」
「そうなのですか?」
「うん。魔力5だと1分位じゃないかな。」
「そうなのですね。父上の加護を継承しているのかもしれません」
「そうだね。うん。もうしやってみようか」
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「はい!」
霊の加護は、親から子に、そして孫へと継承される事が多い。
特に、霊との約束を守っているような場合には、継承される可能が飛躍的にびるのだという。
継承されない場合、父と母で違う加護を持っていたり、霊に無茶なお願いばかりしていると、加護を失う事になる場合があるのだと言われている。
午前中は、クラーラさんに言われるがまま剣を振って、走り込んだ。
晝の休憩を挾んで次は型の訓練を行う。
晝飯を食べていると、クラーラさんが話しかけてきた。
「アル君」
「なんでしょうか?」
「君。地と火と木と風が使えて、剣の加護も取得したのだよね?」
「あっはい。そうです」
「伯爵も優秀な後継ぎが出來て安心だろうな」
「いえ、まだいろんな事を覚えないとならないです」
「それはそうだよ。君はまだ5歳なのだからな」
どこか、クラーラさんが遠くを見て居るように思えてしまった。
「どうかしましたか?」
「いや、大丈夫だ。よし、午後は魔法を使わないで、無手の訓練をしよう。君が無手で戦うという事はどういう事か解るか?」
すこし考える振りをする。
俺が無手で戦うシチュエーションは敗北して逃げている時しか考えられない。
それを素直に答えるのか迷っている。
「はい。僕が無手の狀態で、戦うのは、奇襲をけたか、暗殺者に狙われた時だと思います」
「うん。正解。その時に、君が取るべき最善手は何になる?」
これも簡単だ。
伯爵家の後継ぎとして考えれば、無闇にその場に留まることではない。逃げ出して、命を保つのが正解だろう。
「はい。戦う事ではなく、自分の命を守る事ではないでしょうか?」
「なぜそう思う?」
「僕がその場に殘って戦うよりも、逃げた方がより多くの命を救えると思ったからです」
「そうだね。アル君。その考えを持ち続けるのだよ。君は魔法師として歴史に名を殘すかもしれない。でも、前線に出て戦うよりも、戦う必要が無いようにするのが、君の本來の役目だよ」
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「はい。肝に銘じます」
「うん。よろしい。それでも、無手で戦う事はあるだろう。武勇を誇るのではなく、生き延びる事を優先にした戦いをしなさい」
「はい。お願いします」
それから、クラーラさんや食客の人と武を持った人間との戦い方を學んだ。
主に逃げる方法だ。それが必要になるような場面には出くわしたくないが、伯爵家の後継ぎとしては必要な事なのだろう。
が傾くまで、小休憩をはさみながら訓練が続いた。
加護を得てからの生活は大きくは変わらなかったが、小さくはいくつかの事で変わり始めていた。
まず、夜は一人で寢るようになった。一人前ではないが、児から子供に切り替わったのだろう。
の訓練だけではなく、貴族としての教養をにつける座學が始まった。最初は立ち居振る舞いや挨拶の仕方やライムバッハ家の歴史的な事を覚えていく事になった。
そして、小さな変化の中で嬉しかったのが、”お小遣い”を貰えるようになった事だ。
それに合わせて、週に一度街に出る事が許されたのだ。勿論、一人ではなく、クラーラさんやルグリタと一緒に行く事にはなっている。
それでも、街に出られるのは嬉しい。初めて見る事が多い上に、実際にれられる喜びがある。
ジャンク的な食べもあった。ルグリタと一緒の時には、あまりいい顔をされないので、魔道屋や神殿を中心に廻っている。クラーラさんと一緒の時には、普段食べられない様なも食べている。後は、武屋や雑貨屋を見て回ったりしている。
今日はルグリタと街に出ている。
雑貨屋と魔道屋を見て回っている。あと、出來たら本屋にも行きたいと思っている。
雑貨屋で、積み木の様なおもちゃが売られていた。
木で出來ていて、値段も手頃だ。お小遣いを貰っているけど、そんなに使いみちが有るわけではない。
5,000ワト/月を貰っては居る。貨幣価値的な事を考えれば、十分すぎる。
屋臺で売っている串焼きが、80~120ワト程度な事を考えれば、1ワト=1円位だろう。紙幣はまだ無く、基準は、金貨の様だ。國ごとに金貨/銀貨/銅貨/賤貨となっている。
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1賤貨=1ワトになる。後は10區切りになっていて、
10賤貨=1銅貨=10円
10銅貨=1大銅貨=100円
10大銅貨=1銀貨=1,000円
10銀貨=1大銀貨=10,000円
10大銀貨=1金貨=100,000円
10金貨=1大金貨=1,000,000円
その上にも、あるのだがこの辺りまで覚えておけば困る事はないだろう。
「ルグリタ。これを、ユリアンネにあげたいのだけどいいかな?」
「坊ちゃま。まだすこし早いかと思います」
「そうか、解った。何かお土産を買っていきたいけど、何がいいと思う?」
「そうですね・・・」
「ルグリタ。こんな小さな人形ではどうだ?」
地球で言う”ぬいぐるみ”の様なが有った。
「これでしたら、大丈夫だと思います」
「わかった。これを、ユリアンネへのお土産にしよう」
1,300ワトの"ぬいぐるみ"を購して、屋敷に帰る事にした。
「にぃちゃ」
「ユリアンネ。ただいま。これお土産」
すこしウェーブがかかった金髪でクリクリお目々可い妹が首をかしげて
「おみあげ?」
買ってきた、なんとも言えない造形の”ぬいぐるみ”をユリアンネに渡す。
「にぃちゃ。ありゅがとう」
”ぬいぐるみ”を抱えた。妹の頭をでる。嬉しそうに、可く笑う妹がおしく思えてくる。
間違い無く、人になる。
妹の手を取って、父が居るであろう。書斎に向かった。
「父上。ただいま帰りました」
「アルか、今日はどうだった?」
「はい」
街の様子を父に伝える。
最初の頃は、俺が街で何をしていたのか確認する事がメインだったが、最近では、俺が街でじた事を父が聞いて対処を取るようになっている。
最初は何気ない一言から始まっていた。屋臺の料理が同じを出しているのに、料金が違う事を疑問として提示したのだ。それは、貨幣経済が産まれていれば當然の事だが、1店舗だけ明らかに安すぎる屋臺が有ったのだ。それを父にぶつけた所、すぐに父は確認に走らせた。結果、その屋臺は稅を治めていないだけではなく、材料に関しての仕れで不正を行っていた。
それから、父は俺に対して、街中の様子を聞くようになっている。こうして街から帰ってきたら必ず報告という形で話をするようになっている。
「アル。アンネにお土産を買ってきたそうだな」
「はい。ダメでしたか?」
「いや、いい。妹と仲良くなるのはいいことだからな」
「はい。ありがとうございます」
それから、他もない話をして、父の執務室を出た。
食事をして、湯浴みを行ってから、自室で日課になっている魔法の訓練を行う。
地/火/水/木/風に関しては、書籍もいろいろあって詠唱の方法が解ってきている。
問題は、闇とだ。は、一部の教會が匿してしまっている”らしい”。ここでいう教會は、地球でいう”宗教”に近い印象をける。
霊の神殿も教會と呼ばれているが、そちらとは関係がない。関係はないが、関係ある様に見せている部分がある。
その教會が、魔法に関しての報を匿しているのは、”治癒”に関わりがあるからだ。治癒魔法の使い手は、戦爭時だけではなく、通常の生活の時にも必要になってくる。その為に、治癒魔法の使い手だと解ると教會から接があるらしい。その為に、治癒魔法の使い手は教會以外にはなく、報もそれほど多くはない。
俺としては、まずは出來る魔法からやっていけば良いと思っている。
あと1年もすれば年學校に學する事になる。年學校で魔法の基礎を學ぶ事が出來る。そして、初等部/中等部と専門的な事を學べる"らしい"。
今日は、新しく見つけた風魔法の書籍を読みながら試してみる事にする。
最初の方は、毎回同じフォーマットなのだろうかと思える位に似ている。
霊に関する事が書かれている。もう何度も目にしている上に取り立てて新しい発見もないので、読み飛ばす。
この本に書かれているのは、初級魔法だけの様だ。
”風の霊よ。我に風を吹きかけよ”
詠唱後に、の周りを風が吹き抜けた。
これが基本なのだという。書に寄って、語尾の命令口調が違うのは、著者の癖なのだろう。
語尾を変えても魔法が発する事は確認している。
書を呼んでいていつも思うのは、魔法が”クラスClass”の様にじてしまう。
”風の霊よ”が、クラスをNEWしている部分で、”我”や”魔力の量”がプロパティやパラメータの様な気がする。そして、”風を吹きかけよ”がメソッドではないだろうか?
そう考えると、この書もリファレンスだと思える。
俺の予想が當たっているのなら、オブジェクトビューやクラスビューがしくなってしまう。
書には必ず”イメージ”が大切で、風魔法の書にも、一つ一つ図解で”風”の説明がされている。しっかりしたイメージを補完するが、詠唱だと書かれている。でも、それだと、俺のように風が”なぜ”発生するのかを考えたり、強いイメージを持てる者が魔法を行使する場合に、同じ詠唱でも違った結果が導き出される事になってしまう。
実際に、違った結果が出て來る事もあるが、”風を吹きかけよ”では風の強さが変わったり長さが変わったりするが、風は風のままである。イメージが大事なら、詠唱を行わないで、”を吹き飛ばすような風”でも大丈夫だろう。しかし、それでは魔法が発しない。
その事から、一つの仮説を立てている。
メソッド的なで最初から與えられた以上の魔法は発しないのではないかという事だ。
試しに、”風を吹きかけよ”の”我”の部分を、”ロウソク”に変えても魔法は発する。書には乗っていないが、複合魔法も発する。
”火の霊よ。1の魔力にて、風の霊に火の力を渡せ。風の霊よ、火の霊より渡された火の力を、1の魔力にて、風をロウソクに吹き付けよ”
と詠唱すると、火炎放の様に火で吹き付ける様になる。逆も出來るようだ。
”風の霊よ。1の魔力にて、火の霊に風の力を渡せ。火の霊よ、風の霊より渡された風の力を、1の魔力にて、ロウソクに火を纏え”
この場合は、火炎放ではなく、ロウソクの周りを火の風が纏う様なじだ。
眠くなってきたので、最後に、ステータスを見てから寢る事にする。
名前:アルノルト・フォン・ライムバッハ
[異世界日本語変換:1.00]
[鑑定:2.55]
魔法制:2.97
霊の加護
 地の加護:0.35
 火の加護:0.97
 [水の加護:0.21]
 木の加護:0.09
 風の加護:0.59
 [闇の加護:0.11]
 [の加護:0.18]
 武の加護
剣の加護:0.89
 [守の加護]
朝は、いつもどおりに侍に起こされる。
今日は、朝から父に呼び出された。
「アル。今日の予定はどうなっている?」
「今日は、座學で魔法學を學習する予定になっています」
「そうか、それなら、午後からすこし付き合え」
「解りました」
午後になり、父に再度呼び出されて書斎にる。
「父上。」
「アル。そこですこし待っていろ」
「はい。解りました」
父の執務が終わるまで、部屋で待つ事になった。
時間にして15分位だ。執務を終えた父が部下たちを下がらせた。
「アル。來月には、年學校にるために王都に向かうのだったな」
「はい。そうお聞きしています」
「年學校の事は聞いているか?」
「はい」
王都の年學校は、貴族や豪商や各地から6歳になる子供が集まって教育をける場所だ。
學は自由だが、クラス分けの試験があるのだという。試験勉強もしているので、それほど心配はしていない。簡単な読み書きと四則演算が出される。
年學校は、基本的には誰でもる事が出來るのだ。ただし、貴族や豪商の様に一定以上の學金が払えない場合には、奨學金制度を使う事になり、その試験も並行して行われる。
俺は、父にわがままを言って、その奨學金制度を使わせてもらう事にしている。かる自信もあるし、落ちた場合は改めて考えればいいと思っている。
父から出された條件は、家名を外すことだ。”ライムバッハ家を名乗らないでけよ”と、いう事だ。年學校が義務ではないので、”アルノルト”としてけて、落ちてしまった場合でも、”アルノルト・フォン・ライムバッハ”で學する事が出來るという事だ。父に聞いたら、毎年數名はそうやって學をする者も居るという事だ。
その為に、年學校では、”家名”は名乗らないのが一般的になっている。名乗ってしまうのは問題ではないが、”家名”を使って何かをする事は”恥”だとされている。建前では、そういう事になっているだけでも過ごしやすいのかもしれない。”大貴族の子弟です”みたいな奴と仲良く出來る気がしない。父や母は、辺境伯と言われる位の地位にいながら、為政者としての仕事は”民の為”という建前をしっかり守っている。俺が、街中を歩いていても、父や母の悪口を聞くことはない。
「そうか、それならいい。アル。この後一緒に街に行くぞ」
「え?あっ解りました。何か準備するはありますか?」
「いい。そのまま付いてきなさい」
「わかりました」
執務室から出て玄関に行くと、馬車が用意されていた。
馬車に乗り込む。そのまま、馬車は街の大通りを走っていく、父から行くことを許されていない歓楽街に向かっている。馬車は、歓楽街にる直前で脇道に逸れて止まった。
「アル。付いてきなさい」
「はい」
店の中にっていく。
「ライムバッハだ。店主は居るか?」
「伯爵様。どうぞこちらへ」
店員の案で奧に進んでいく。奧の部屋のドアが開けられて、父の後に続いて中にる。
椅子が二つ置かれているだけの部屋で、父は迷わずに椅子に座る。
「アル。座りなさい」
「はい」
言われるがままに、椅子に座る。
辺りを見回すが、”これ”といって場所が特定できるがない狀態だ。先程案してくれた者が小さなテーブルを持ってってきて、父と俺の前に置いた。
その後で、同じく従業員であろうが飲みを持ってきてテーブルの上に置いた。
「伯爵様。ようこそ。お探しになっていた者が見つかりました」
「そうか。連れてこい」
「かしこまりました。11番と23番を連れてこい」
後ろに控えていた従業員が一禮して部屋から出ていった。
5分位経ってから、俺と同い年位のの子が二人連れてこられた。ここ奴隷商だな。本で読んで知識としては持っていた。
この世界には奴隷制度がある。ここの様に店舗を構えている奴隷商は、國の法律を準拠していると考えて良いだろう。奴隷にもいろいろあるが、一番多いのが戦爭奴隷で次が犯罪奴隷。そして、農村部などで口減らしの為に売られた子供だ。セーフティーネットがないこの世界では、奴隷制度がセーフティーネットの役割を擔っている。戦爭奴隷は、戦爭や紛爭の時に捕えられた者だ。賠償金を払えば解放されるが、王族や貴族に連なる者でなければ、払えるような金額ではなく、戦爭奴隷は自分でその分を稼ぐ必要がある。金銭が貯められれば、開放される。
犯罪奴隷は、何らかの罪を犯したで、こちらは奴隷から開放されるための條件が違っている。最後に、売りされた奴隷は、売られた時の金額と買われた金額と経費を貯める事で開放される奴隷だ。
店主が、の子の説明をしている。両者とも、売り奴隷だと言っている。
11番と呼ばれたの子は、人族で年齢が同い年で今年6歳になる。
23番のの子も同い年だ。こちらの子は、獣人と人族のハーフだという事だ。父親が貓族だという話だ。
父がなぜ俺をここに連れてきたのかがわからないので、観察をするだけに留めていた。
「店主。スキルは?」
「はい。両者とも、”魔法制”が0.30以上あり、11番は、闇と水の加護を持っています。23番は、武と守の加護を持っています。」
「そうか、それなら良さそうだな。教育は?」
「伯爵様がおみの水準にあると思います」
「そうか、アル。どうだ?」
どうだ?どう答えるのが正しいのか考えていると・・・。
「あぁ話していなかったな。アトリアとも話したのだが、おまえに従者を付けることを考えたのだが、おまえ自信が”魔法制”や”霊の加護”を持っている事もあり、一般の従者では務まらない可能もある。最低でも、年學校の特待生になれるくらいの者でなければ、おまえの従者は務まらん。最初は、領で探したのだが、いなくて・・・な。ジーベルの所ならと思って探させていたのだ」
「そうだったのですね」
どうやら、この奴隷商はジーベルと言うらしい。
「父上。私は、一人でも・・・」
「それはダメだ。一通りの事は自分で出來るようにならないとダメだが、伯爵家の後継ぎが従者も付けないのは、他の者から見た時に、伯爵家は領民を苦しめていると見られてしまう」
そうか、セーフティーネットがない世界で、伯爵家が売り奴隷を放置していると見られるのは問題なのか?
「わかりました。父上。それで、どうしたらいいのでしょうか?」
「そうだな。ジーベル。両名でいくらだ?」
「はい。二名で、大金貨3枚になります。」
300萬?安いのか高いのか・・・。
「そうか、アル。値段的にはよいと思うが、両名を従者に著けたら、おまえが二人の主人になる。學生の間は支援するが、それ以降はおまえが面倒を見ることになる。それで良ければ、両名をおまえの従者にする」
二人を見る。
明らかに、何かを期待する目で俺を見ている。そりゃぁそうだよな。伯爵家の後継ぎで同い年くらいの男の方が、いいだろうな。
ぎれいにしている様だし、健康狀態も良さそうだ。それに、スキルが顕現していると言う事は、奴隷商が神殿に連れて行った事になる。
二つの加護を持っていることからも優秀だという事も解る。いくらで売りしたのかは解らないが、農村地帯だと平均年収は100萬をすこし下回る位だと書かれていた。なくても、両者は300萬近い借金がある事になる(買い取りが半分としても150萬。年収が乗って、経費が計算される)。
「解りました。父上。二人を私の従者にしたく思います」
二人が明らかな安堵の表を浮かべる。
「そうか、ジーベル。そのように手配しろ。料金は後で屆けさせる。よいな」
「かしこまりました。伯爵様。この二名は、アルノルト様の奴隷としての登録でよろしいでしょうか?」
「そうしろ」
「制限はどういたしましょうか?」
「そうだな。主人を害するだけを則事項にしておけ、それ以外はしなくて良い」
「解りました。命令もよろしいのでしょうか?」
「あぁ構わない。二人を従わせる位の事は、出來なければ、今後伯爵家をかすことなぞ出來ないからな」
そういうことか、これは俺への試験でもあるのだな。
二人を従者とする事は認めるが、命令を守らせるのなら、自らの魅力で二人をかせという事なのだな。
奴隷商のジーベルに言われるがままに、魔力を魔道に流し込んで、二人との契約を行う。
二人が、俺の奴隷兼従者となった。
一旦二人が下がった。ないながらも荷を持っているのだという事だ。
馬車に乗り込んで待っていると
「アル。これで二人に日用品を買い與えろ」
「はい」
渡されたのは、金貨一枚だ。
「父上。二人の名前は?」
「そうか、奴隷は初めてだったな。売り奴隷の場合には、名前は主人が付ける事になっている」
「そうですか、解りました。最初の仕事ということですね。しっかり考えます」
「うむ。あと、學校にも連れて行け、後1ヶ月ある。その間に、ルグリタ達に言って侍の教育と試試験対策を行え。落ちた場合には、學金が二人の借金になると伝えておけ」
「わかりました」
當然の処置だろう。
さて、一ヶ月で奨學金を取れるくらいまでの教育が出來るかわからないけど、やれるだけやってみることにしよう。
それに、従者がいれば魔法の練習や研究も捗りそうだな。
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