《異世界でもプログラム》第二十五話 実地訓練

帝國からのアクションは”あれ”から一切なかった。

そして、エヴァのお母さんは、今寮に居る。

襲撃があった二日後に、使節団が王都に到著した。

そのまま王城に上がった使節団に、俺とクリスが接した。”辺境伯の後継ぎ”と”皇太孫の婚約者”の、分を使った。そのおかげか、簡単に、エヴァの母親に接することができた。

後で話を聞くと、この使節団自が、エヴァの父親が、関わっていた事が判明した。

そして、母親は、”すでに帝國では死んだことになっている”のだと教えてもらった。父親は、娘が帰ってこない事や、帝國部のきから、不穏なくを察知して、母娘を逃がす事にしたようだ。

母親は、そう書かれた、父から娘への、書狀を持っていた。

晴れて自由のになった母は、娘と再會した。エヴァは、母に抱きつき泣き続けた。ここ數日張で夜も寢られなかったのだ。

その後、王都にある教會で手続きを済ませた。帝國には戻れなくなったが、エヴァは、王國で過ごす事を決めたようだ。學生の間は、寮に住むことにした。エヴァの母親は、エヴァの宣言を聞いてから、寮に住み込みで手伝う事を申し出てきた。

寮は、ロミルダが、取り仕切っている。忙しい時などは、ラウラとカウラが手伝いをしている。

これから、學年が進むにつれて、ラウラとカウラは実習で外に出る事が増えているので、人手が必要になる。

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エヴァの母親が、帝國のスパイである可能がある為に、自由にするには不安がある。

それらの事を考え合わせると、ロミルダの手伝いをしながら、寮で過ごしてもらう事が一番の解決策であった。

やっと、落ち著いて學校の授業に打ち込めると思っていたが、明後日から実地訓練がある。

王都近くにある森にって、數日過ごす事になる。

森には、魔も居るらしいが、基本的には”獣”が相手になる。よほどの事がない限り、死ぬような事にはならないのだと言われている。

そのためにも、中等部の実地訓練には丁度よく、年に數回行われている。

今回は、學したての1年生が初めて実地訓練を行う事になる。二泊三日の予定となっている。

俺達の準備はすでに終わっている。簡単な初期魔法を覚えて、野営の準備もしてある。

は、パーティ単位となっている。俺達のパーティはなし崩し的にリーダが俺になっているが、何を言ってもダメだと思って、黙って引きけた。

最終的な行程をパーティメンバーである、エヴァとイレーネとギルと相談して決定した。

森の深層部には踏み込まないで、表層部での行軍に留め、夜間は、ラウラ達やユリウス達と合流する事になった。

3パーティで進む事も提案されたが、森の中を12名で進むのは危ないと判斷した。どうしても縦長の陣形になってしまうために、無理に大人數で移するのではなく、別々の計畫にする事になった。

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ラウラ達は、採取を中心に行う。ユリウス達は、表層部からし中に踏み込んで魔を探す事になった。俺達は、表層部で獣を仕留める事にする。

ギルから、獣の解皮などの買い取りに気を使う事を目標にしてみてはどうかと提案があり、それを採用した。

「ギル。食料も大丈夫だよな?」

「あぁ3パーティ分用意してある」

「現地調達しなくても済むようにしたのだよな?」

「そうだな。実際には、現地調達を行うだろうから、大分余裕が出てくるけど、いいのか?」

「どういう意味だ?」

「Aクラスの奴らは、現地調達をする事を前提にない荷で行くようだぞ」

「へぇそうなのか・・・無謀な事をするよな」

「え?いいのか?」

「だから何が?」

「主席殿は、ここでも主席を狙うのかと思っていたぞ?」

「それこそ、なんでだよ。説明けただろう。今回は、績考査には反映しない。実地訓練に慣れるためので、無理は絶対にするなと言われただろう?」

「そうだけど・・・」

「なんだよ。ギル。煮え切らないな」

「ルットマン子爵を覚えているか?」

「・・・だれ?」

心當たりがない。

子爵家に知り合いは居るが、そんな名前ではなかった。

「え?アル?まじ?」

「うん。本気。知らない。心當たりもない。それで、その子爵がどうしたの?」

「・・・・しょうがないか、アルだからな」

「そうそう、アルノルト様が、そんな些事な事なんて覚えているはずが無いでしょう」

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「クリス。そりゃ酷いな。まるで、俺が自分以外に、関心が無いみたいではないか?」

「違いますよ。アルノルト様は、自分自を含めて、関心が無いだけですわよね」

けして面倒になったとか、負けそうだから、訂正を諦めたわけじゃない。話が進まないのが嫌なだけだ。

「・・・ふぅ。それで、ギル。その子爵がどうした?」

「まぁいいか・・・ルットマン子爵は、ほら、年學校とかで試験の度に、おまえに絡んできた奴が居ただろう、あいつだけどな。この実地訓練で”自分の力”を見せて、正しい序列にするって息巻いているのだよ」

「なんだよ・・・それ・・・」

「わたくしも聞きましたは、かなりギリギリの事までしているようですわよ」

「ギリギリ?」

「えぇ子爵家の寄子に命じて、パーティを無理やり組ませたり、今回は、ポータを二人まで従事させる事ができるわよね?」

「あぁそうだな」

「そのポータに現役の冒険者を雇いれているようですわよ」

「はぁ馬鹿なの?訓練にならないよな?」

「えぇそうですわね。それでも、”アルノルト・マナベ”に勝ちたいのでしょう」

「あ!思い出した。あいつか・・・」

「え?今?」「・・・・」

俺を噓つき呼ばわりした奴だ。

學式で、ライムバッハ家の名前を名乗った後で、突っかかってきた奴だ。俺では、ライムバッハ家の品格がどうのこうのとか言っていた。認めないとまで言われたな。

その後で、ユリアンネを見て、一目惚れしたとか言った奴だ。子爵家の分際で、伯爵家。辺境伯の娘に言い寄ってきた。自分なら、伯爵にも侯爵にもなれると言っていたやつだな。

西側の大貴族だという話だが、正直本人はたいしたことがない。取り巻きは大量に居るようだが、お山の大將やバカ殿様といったじだ。

「それで、あいつが俺に勝つ?勝ってどうするの?そんな事で、何か変わるわけじゃないだろう?」

「・・・プライドの問題」

「ん?ギル。プライドって、そんなプライドなんかで腹は膨れないし、1ワトの価値も無いものの為に、仲間を危険に曬すのか?」

「アル。おまえ、本當に、辺境伯の後継ぎなのか?」

「そうだぞ。まぁ弟か妹が出來るらしいから、弟なら跡目を譲ってもいいかな」

「おま・・・それ、辺境伯にはいうなよ」

「え?もう伝えたぞ。弟なら、俺が支えるって、な」

「え?おまえ、嫡子だよな?」

「あぁそうだよ」

「なんで?」

「ん?俺、貴族の教育けていないからな。父上もそれを悔やんでいたからな」

「アルノルト様。そんな事気軽にいうものではありませんですわよ」

「そうか、家臣団にもそう宣言しているからな。ライムバッハ家では皆知っているぞ?」

「そうなのですか?ラウラとカウラも、ですか?」

「あぁ二人は、俺に著いてくると言っているが、父上には、なんなら俺を廃嫡していいと伝えてあるぞ」

「・・・」「・・・」

「そんな事よりも、明日からの事を話さないか?クリス。ユリウス達も食料は持っているのだよな?」

「・・・えぇ大丈夫ですわ」

「ポータはどうした?」

「ユリウス様の事もありますから、貴方たちのような事は出來ませんでしたが、二名雇いましたわよ」

「そうか・・・。ある程度使える者なら、そっちのポータとうちのポータを合流させてもいいな」

「そうですわね。その方がいろいろ安全かもしれないですわね。さっきのギルベルト様のお話を聞くと、々きな臭いですわよね」

「そうだな・・・」

二人と別れてから、ラウラを呼んで、今の話をした。

ラウラ達もポータを雇っている。俺達と同じで、教會から紹介してもらった。勿論、エヴァ経由だ。王都の教會は、先日の件で伝手ができた。すごく喜んでいた。それもそのはずで、帝國の”聖”が自分たちの所屬になったのだ。そして、教會から正式に帝國のフォイルゲン家に苦った。王國と帝國と言った図式ではなく、あくまで教會部の権力抗爭だというじに落ち著いた。大人の事が絡んでいるのだろう。詳細は聞いていないが、協會側から詳細に説明すると打診はあったが、遠慮した。ユリウスとクリスは聞いておいたほうがいいと言ったが、エヴァがまなかったので、拒否する事になった。

俺達が知っておかなければならないのは、ボニート・ルベルティが廃嫡されて、弟が後継ぎに任命された事。そして、帝國の”ルベルティ家”や関連の家に”エタン”や”ブノア”と名乗る者は存在しない。そして、後日エヴァの元に、ルベルティ家當主から正式な謝罪が寄せられる事になる。俺に謝罪する事はなかったが、”エヴァンジェリーナ殿の従者にも過大なご迷をかけた。謝罪する”の文言がっていた。

実地訓練は危険を伴う。最初、冒険者ギルドや商人ギルドから人員を雇うつもりだったが、教會からお願いされる形で、子供をポータとして雇ってくれないかと打診がった。

子供と言っても、年學校の高學年程度で、俺達とも年齢的には1~2歳しか変わらない。これもあって、俺達とラウラ達は、森の深層部にはらない事を決めた。ポータは、特待生クラスの3パーティのポータを一箇所に集めて、待機させる事にした。荷番になってしまうが、機力を考えるとこれが一番よい。ラウラ達が近くで採取をメインで行う事で、獣程度なら対処可能だろう。

そして、ポータには荷を持たせる事で賃金を払う事になっている。賃金は、俺が出す事にした。

ポータ達と合流して、集合場所に向かう。

で集まって、何かをする事もなく、注意事項を聞いてから、森への探索に向かう。

俺達が最初にっていくのは、寮に住んでいる事もあって、集合場所に近い事が関係していた。

ポータ6名を連れて森の中にった。表層部は、獣が居るくらいなので、それほど張はしていない。

俺も先日手にれた刀と脇差しを、裝備している。暫く進むと、小川が流れていた。森の中の大まかな地図は事前に配られている。

小川を渡って、し上流に上がった所で、野営地を設置する事にした。大きな巖もあり。を隠すには丁度良いと判斷した。ザシャが周囲を探索したが、大型の獣はいないと言っていた。また、深層部に向かう場合には、街道から外れるので、深層部に向かうパーティと遭遇する事も無いだろう。Bパーティは、このまま川を遡上する事にしている。

ユリウス達Aパーティは街道に戻って、深層部に向かう事にしているが、日が暮れる前には戻ってくる事になっている。ラウラ達は、野営地を中心に採取を行う事にしている。

それぞれの行を確認して、探索に移行した。

「アル。このまま、小川を遡上でいいのだよな?」

「あぁ俺が警戒をするから、ギルは後ろを頼むな」

「了解」

暫く、小川に沿って歩いて、目にった素材の採取を行った。

「ギル。エヴァ。イレーネ。前方に何か居る。中型の獣だと思う」

中型の獣なら、こちらから手出しをしなければ襲ってこないだろう。

よほどの事がなければ、怪我する事も無いだろう。

しかし、実戦を想定すると何が発生するかわからないので、慎重にあたる事にする。

「距離、10。イレーネ。魔法準備」

「はい」

「ギル。俺が仕留め損なったら頼むな」

「了解!」

視認出來る場所まで移できた。

群れから離れた鹿の様だ。名前は違ったと思うが、俺の中では”鹿”としておく。

「カウントダウン。5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・GO!」

風の加護を使って加速をして、鹿まで一気に距離をめる。

イレーネが土の加護を使って、石の礫を鹿に當てる。逃げようとした方向に俺が居て、首を落とす。

「あっけないな」

「あぁでも、なんとかなってよかったな」

授業では、解を習っては居るが自分たちだけで行うのは勿論初めてだ。

時間がかかってしまったが、抜きをして、臓とと皮にする事が出來た。臓も持ち帰れば売る事が出來るが、荷になるので、この場に破棄する事になった。単純に捨てておくと、魔や大型の獣を引き寄せてしまいかねない、しっかり燃やしてしまう事にする。

次は、エヴァが弓で牽制して、ギルがトドメを指すようにした。

午前中だけで、3の獣を仕留める事が出來た。採取したを持って、一度拠點になる野営地に戻った。

野営地に戻ると、ラウラ達も戻ってきていた。

俺達の獲と合わせて、皆で晝飯を作る事にした。

鹿を香草で包んで蒸し焼きにしたを作って食べた。

その後、ラウラ達と換をして、今度は下流に移する事にした。

一度、森の中の道を通り越してから、下流に進む。

人がっている為か、獣がない。暫く歩いて、野鳥を數匹倒した所で野営地に戻る事にした。

野営地に戻ると、ユリウス達も戻ってきていた。

深層部も、人の気配が濃い為か、魔は愚か、獣の數もない狀態だという。

今の所、俺達が3仕留めたのがトップだという事になっているようだ。Aクラス全は解らないが、ルットマン子爵のおかげで大人數での移になっているので、獣も魔も出てこないのではないかと推測出來た。彼は勝負を意識するあまり、自分の首を絞めている格好になっている。

俺達とユリウス達は、深層部にはらないで、上流に向けて進む事にした。

翌日予定通り俺達は上流に向けて、ユリウスのパーティと進んでいる。

「アル」

「どうした。ユリウス」

「おまえ、ルットマンの事をどう思う?」

「どう思うって言われてもな」

「そうか、言い方を変えよう。おまえなら、奴に勝てるか?」

「どうだろう。負けないとは思うけど、やってみない事にはわからないぞ」

「そうか・・・」

「なんだよ。何か有ったのか?」

ユリウスはしだけ考えてから

「ハンス。おまえが聞いた話をアルにしてやれ」

ハンスが言うには、詳細まではわからない”らしい”が、ルットマンが自分の寄親である辺境伯をかしたという事だ。

俺がライムバッハ家の者だと解ってから、絡んでこなくなっているが、裏では寄親をかして、失腳を狙っているのだと言っていた。そして、ユリアンネを自分の妾にすると公言し始めた。

それ以外にも、自慢話が大量に出てくるらしい。そして、イレーネとの婚姻も視野にれていて、帝國の聖と言われるエヴァも自分の所に來るとまで言っているらしい。

「・・・・。なんて言って良いのか?イレーネ知っている?」

「はい。先日、実家にそのような話が來たのですが、父や祖父が激怒して、お斷りをれています」

「そうか、エヴァは?」

「知らないですよ」

「奴は、妄想癖があるのか?」

「それと、アルノルト様。」

「だから、アルでいいよ」

「そういうわけには・・・」

「まぁいい。それで?」

「はい。リーヌス・フォン・ルットマンが”自分はもうすぐ新しい魔法を手にれる。そうしたら、アルノルト・マナベを襲撃して、どちらに正義があるのかを教えてやる”と、話していたと聞きました。複數の人間から聞いたので、間違いはないかと思います。」

「そうか・・・正面から正々堂々と來てくれるのなら問題は無いのだけどな。それよりも、気になるのは、”新しい魔法を手にれる”と、いう所だな。新しい加護を得るならまだわかるけど、新・し・い・魔・法・を得るだとおかしなじがするのだよな」

「そうだな。俺もそれは引っかかる。ハンス。何かしらないのか?」

「いえ、これ以上は何も・・・」

「そうか、でも、ハンス。ありがとう。月夜の夜道には気をつけるよ」

「あぁ」

ユリウス達の話を総合すると、”リーヌス・フォン・ルットマン”は何かを企んでいる。

だが、奴にそこまでの実行力や実力があるとは思えない。問題は、子爵家や辺境伯が出て來る事だけど、子供の喧嘩に出てくるとは思えない。

何か嫌なじはするが的に何かされたわけではない。

何か忘れているじはするが、今はそれ以上に実地訓練に集中しよう。

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