《異世界でもプログラム》第二十九話 逆恨み

★☆★☆ Side リーヌス・フォン・ルットマン

「リーヌス。おまえは、どこまで、儂に恥をかかせれば気が済むのだ!」

「父上。違うのです。俺は何も、あの”マナベ”が全部悪いのです」

「おまえは、”マナベ”と言うが、ライムバッハ辺境伯の跡継ぎで間違いないのだぞ」

「違います。父上。実際に、奴は弟に後継ぎを奪われたではありませんか!」

「愚か者。おまえは・・・。あれは、アルノルトが自分から言い出した事で、”自分は貴族としての振る舞いが出來ません。父が弟に辺境伯としてふさわしい教育を行ってください”と、言って譲ったのだし、それも、弟が人してからの事だとなっているのだぞ」

「・・・それでも、俺は間違っていません。俺のほうが優秀なのです!」

「おまえは、まだ言うか?確かに、辺境伯は儂達にとっても邪魔な存在だが・・・。いや、儂が見ても、辺境伯の息子の方が、おまえよりも數倍優秀だ」

「そんな事はありません」

「それなら、儂に証明してみせろ。中等部を退學になって、冒険者登録しても、おまえのランクは上がったのか?」

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「それは父上。俺は・・・」

「言い訳だけなら、誰でも出來る。約束通り、3ヶ月でランクが10にならなければ、おまえは廃嫡する。いいな!」

中等部の時に、慕ってきた利用しようとしていた連中も退學が決まると、波が引くように誰も居なくなった。

唯一、アイツ等だけは俺の優秀さを認めてくれている。帝國の有力な貴族とも知り合いになれた。

俺の領地なのに、街を歩けば、あの”マナベ”の話を聞く事になる。

奴は、商會を立ち上げて、そこで”リバーシ”なるものを開発したらしい。街の集會場には必ずと言っていいくらいにおいてある。遊びとして定番になっている。

父も、馬車での移が多く時間を有意義に過ごせると喜んで買っていた。そして、最近では貴族の嗜みだといって數個購している。

あいつさえ居なければ、殿下の隣に居るのも、俺だったに違いない。あいつが不正をして、試験結果を捻じ曲げたに違いない。それを隠すために、”マナベ”を名乗っていたのだ。じゃなかったら、殿下が主席にならないはずがない。俺が、Aクラスだったのもおかしい。

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何もかもがおかしい。全部、あいつに都合がいいようになっている。

アイツ等も同じ事を言っていた、奴は何か不正を働いているのは間違いない。

あいつさえ居なければ、俺は、俺は、俺は・・・。

リーヌスの周りには、壊されたが散らばっている。

家の者も誰も近づかない。リーヌスの母親は、息子に甘い所がある。辺境伯に連なる者で分的にも”子爵家”に降嫁してきたと思っている部分が強い。その上、伯爵家では”こうなっている”が、口癖で、それが當たり前のように振る舞う、そして、それが許された當然の権利だと思っているのか、贅沢な暮らしを止めようとしない。リーヌスの教育も母親が行っていた。

男爵家から來た側室に男児が産まれたのだ。子爵は、その次男を溺した。甘やかすだけではなくしっかりとして教師を付けて貴族である事を教えこんでいた。

そんな中で、リーヌスは年學校に行く事になった。皇太孫が學するとの事で、優秀だと噂されているリーヌスが特待生クラスで一緒になれば、子爵家の発現力も増す事になる。しかし、リーヌスは年學校試験で”番號を間違える”行為が発覚して、父親を失させた。その時には、指摘した者のことなど歯牙にもかけていなかったが、中等部に上がる時に、リーヌスが散々言っていた”マナベ”なる者が、自分の政敵にもなっている”ライムバッハ家”の者だという事が発覚してしまう。寄親にそれを指摘されてしまった。

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決定的だったのが、中等部1年の績考査の時に発生した、単獨行だ。助け出したのが、”ライムバッハ家”の者だったのが最悪であった。ルットマンとしては、貴族の習わしとして、”禮”を言う必要があった。”ライムバッハ家”に正式に禮を告げたのだ。寄親である辺境伯からは叱責をけた上に、寄子の、男爵家の子息をリーヌスが連れて行った事も問題にされた。怪我をさせたからだ。立場が同じや、下の者から、侮蔑されて、子爵はそのままの気持ちで、リーヌスに不満をぶつけていた。

そして、リーヌスが言い出した期限が來て、”冒険者としてランク10になる”事が葉わなかった。

子爵は、正妻である、辺境伯に連なる妻の意見も聞かずに、リーヌスから"後継ぎ"を取り上げた。親子の縁はきらないで置いた、せめてものけをかけた形だ。

そのことを後から知った正妻は激怒したが、子爵は母親の教育が悪かったと罵った。リーヌスは、ルットマン家で飼い殺しされる事が決定した。

★☆★

「あの子はこんな目に合っているのは、ライムバッハ家の責任なのね」

「えぇそうですよ。子爵婦人」

「ライムバッハ家やアルノルトとかいう鬼が居なくなれば、あの人も、リーヌスの事を正當に認めてくれるのですね」

「えぇ間違いないですよ。子爵婦人」

「わらわはどうしたらいい。あの子の為に、あの子の正當な権利である。子爵家を取り戻すにはどうしたらいい」

「おやおや。優秀な方ですよ。私達の教えた魔法も”大地が水を吸収するように覚えているのですよ”子爵家なんて小さい事では無いでしょうか?」

「そうですね。えぇそうに違いなわ。叔父上の伯爵家。いえ、侯爵にもなれる子ですからね」

「そうです。そうです」

「それには、そう、ライムバッハが邪魔なのですね」

「そうです。彼らは、自分たちの不正をごまかすために、リーヌス様を陥れたのです」

「えぇそうです。悪いのは、リーヌスではなく、ライムバッハなのです。ではどうしたらええ?」

「おまかせください。リーヌス様に私達がお手伝い致します。リーヌス様が立ち上がるのでしたら、邪悪なライムバッハを恨むまっとうな貴族の10や20すぐに集まりましょう」

「そうなのですね。頼もしい事を言ってくれる」

「えぇ私達だけではダメなのです。リーヌス様のような優秀な方が立たれてこその事なのです。今、王國はライムバッハによって蝕まれています。それを、排除出來るのは、リーヌス様だけなのです。リーヌス様は、王國の中興の祖として侯爵になり、王家の一員となるのです。そのリーヌス様の橫には、帝國の聖と言われた人がふさわしいと思います。そして、貴様がお二人を後ろから支えるのです。子爵様は、リーヌス様の才能に嫉妬して目を曇らせてしまっているのです」

「えぇそうです。間違いないです。あの子はあの子は・・・」

子爵婦人の前から、二人の人は音を立てる事なく姿を消した。

★☆★

「お館様」

「どうした?」

「はい。子爵婦人とリーヌス様の所に出りしている帝國の商人を調べました」

「そうか、どうであった?」

「・・・」

「どうした。話してみよ」

「はっ帝國には、ブノアなる商人は存在しておりません。また、二人の後を付けさせて部下が一人も帰ってきません」

「なに?本當か?」

「あっはい。間違いありません。そうか・・・・。二人を探るのは一旦中止せよ。その代わり、あの者達を監視しろ」

「かしこまりました。婦人とリーヌス様の監視を行います。監視だけでよろしいのですか?」

「今のところは監視だけで十分だ。きがあったら儂の所に知らせに來い」

「はっ」

面倒な事になった。

二人を幽閉した方がいいか?でも、リーヌスはともかく、あいつは無理だろう。辺境伯への説明も必要になってしまう。

★☆★

「なぁブノア。なんで"あの方"は、そこまでライムバッハを警戒するのだ?」

「さぁ"あの方"のお考えだからだな。エタン。それよりも、どうなのですか?」

「あぁあのぼっちゃんか?」

「えぇそれに、"あいつ"にも連絡をしているのでしょうね」

「あぁ"あいつ"には連絡したぞ。渋ったが、"あの方"からの指示だと伝えたら、従うと連絡が來たぞ」

「それは重畳」

「"あいつ"が出る必要があるほどなのか?」

「"あの方"がそう判斷されたのです。私達はそれに従うまでです。現地協力者の狀態はどうです?」

「いつでも大丈夫・・・とは、言わないが、役割は果たしてくれそうだぞ。金も武も渡してある」

「そうですか、解りました。"あいつ"からの報告待ちという事でしょうか?」

「來週、ベルリッツに逗留すると連絡があったぞ」

「解りました。決行のタイミングは大丈夫なのでしょうね」

「さぁな、俺の見立てでは、ぼっちゃんじゃあいつに勝てないけどいいのか?」

「問題ないそうですよ」

「そうか、それなら問題はないな。俺達は、今回は出ないのだろう?」

「えぇ"あの方"から作戦を開始したら帰ってこいと指示が出ています」

「そうか、作戦の可否は気にしなくていいという事だな」

「そうなりますね」

「戦力は、どの程度貸し出せばいい?」

む限り・・・と、いった所でしょうかね」

「あぁ偽裝はするのだよな?」

「もちろん。頼みますよ」

「へいへい。野盜や食えない冒険者を100名ほど集めておきますよ。いじっていいよな?」

「もちろんです。私達の事がわからないようにしておきなさい。それと、武は買い揃えてあげてくださいね」

「そこまでサービスするのか?」

「當然です。その為の資金ですからね。貴方の趣味に使う為では無いのですよ」

「はい。はい。そうですね。それじゃ俺は行きますね」

「えぇ頼みます。何か有りましたら、いつもの方法で連絡をお願いします」

「わかりました。俺は、またあの”おばちゃん”と”ぼっちゃん”の、所に行くよ」

「そうですね。子爵が何かづいているようなので、注意しなさいね。目障りなら殺っても良いと言われていますが、なるべく目立たない様にしなさいね。作戦はどうなりますか?」

「ベルリッツから出てきた所を襲って、その後で、”彼”を殺しに向かう様に”作戦を伝えました”」

「そうですか、それじゃその報が自然な形で、"彼"に流れるようにしないとなりませんね」

「それは、おまえさんに任せる。おばはんをもうしいじったら帰る事にする」

話していた二人の足元には、男8名の死が転がっていた。

分を示すはなかった。

翌朝。死が見つかる頃には、二人の姿は、どこにもなかった。

その日から、街に冒険者やし風が怪しいが集まりだした。

そして、いつの間にか誰一人として居なくなっていた。

リーヌスという名前の元子爵家後継ぎも姿を消したが、子爵家以外では、話題にもならないで時間が過ぎていった。

★☆★

「間違いないのか?」

「勿論です。子爵様」

「辭めさせろ!」

「・・・無理です。リーヌス様は、150名を引き連れているのですよ」

「あの馬鹿は、何をすると言うのだ。殺してもよい。・・・・殺してでも辭めさせろ!他の貴族や冒険者には気が付かせるなよ」

「はっ」

★☆★

「リーヌス」

「はい。お母様」

「おまえこそが、子爵家を継ぐのにふさわしいのに、それが解らない愚か者どもが多すぎます」

「もちろんです。特に、あいつ、マナベとかいう奴らとそれを許していた、ライムバッハの奴ら。あいつらさえ居なければ、僕は特待生クラスにって、子爵家にふさわしい待遇をけていたはずです」

「そうです。わらわの可い。リーヌス。おまえを蔑ろにする者が間違っているのです。ライムバッハとそれを”よし”と、する者さえ居なくなれば、リーヌス。お主が正しい事が証明される」

「解っております。お母様」

「そうです。リーヌスこそが正しいのです。邪魔する者が居てはならないのです」

「お母様行ってまいります」

「えぇ貴方が立てた作戦なら間違いは無いでしょう」

「えぇ報もっております。ターゲットは順調に進んでいるようです。街から出た所を襲撃してきます」

「そうですか、ならばわらわもきましょう。あんな下賤なの好き勝手にさせては、子爵家、叔父上や陛下に申し訳が立ちません」

★☆★

「伯爵様。どう致しましょう」

「あぁそうだな。その報が本當なら・・・いや、本當じゃなくても、構わないな」

「・・・」

「ルットマン子爵婦人に、絶縁狀を今日の日付で出しておけ!それから、子爵家にも厳重注意の上、派閥からの退を勧告しておけ」

「よろしいのですか?」

「問題ない。ルットマン家が居なくなっても、我らの優位は変わらぬよ。そうであろう?」

「・・・・」

「あぁそれから、ルットマンから邪魔する者が出るだろう。そいつを邪魔しろ。殺しでもかまわん!」

3人目がにやりと笑った

「伯爵様のお心のままに・・・」

「あぁお前たちもしっかり儂の役に立つのだぞ」

「わかっていますよ」

「伯爵様。ライムバッハには知らせなくていいのですか?」

「どうやって、そのことを儂等が知った?」

「あっそうでした。申し訳ありません」

「いや、いい。それよりも、地下室に一昨年のいいワインがある、持ってこさせろ。勝利の前祝いに乾杯といこう」

「かしこまりました」

「ふっこれで邪魔になっていた、ライムバッハが居なくなってくれれば・・・」

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