《異世界でもプログラム》第三十二話 撃退

★☆★☆ Side エルマール

「アトリア!」

「はい。」

「いそげ!」

「・・・ラウラは?」

「あとから來る。」

「わかりました。ルグリタ。ロミルダ。最低限だけまとめて行きます」

「はい。奧様」「かしこまりました」

「あなた、ユリアンネとカールは?」

「カウラと護衛數名で先に逃した」

「・・・。それなら、もう何もありません。逃げましょう」

「あぁ」

確かに俺はいろんな貴族には恨まれているとは思うが、襲撃を行うほどの者など居ないはずだ。

盜賊なのか?ちらっと見たじだと、武が揃っていた。それもかなりの品質のようだ。果たして、盜賊がそこまで出來るのか?

今は、生き延びる事だけを考えよう。街までは、半日程度の距離だが、誰も來ないわけじゃないだろう。

助けが來るまで生き延びればいい。野盜なら、荷をあさってくれるかもしれない。その時間で逃げる事が出來る。

「辺境伯!」

「おぉお前たち。無事だったか?」

「はい。ラウラ殿が魔法で牽制してくれたので、その間に突破してきました」

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3名の護衛を加えて森の中にった。

先行している、カウラ達には近づけなかったが、賊からは距離が取れた。

アトリアもルグリタもロミルダも限界が近い。この當りで一度狀況を確認しよう。

「よし、その巖場でを隠そう」

「はい。あなた」「旦那様。私は、し周りを見てきます」

「あぁルグリタ無理するなよ」

「あなた。ユリアンネは大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だ。カウラが一緒だ。それに、ユリアンネも魔法が使える。」

「そうですわね」

「伯爵様。お飲みです」

「あぁありがとう」

護衛から渡されたを飲む。

しだけ落ち著いてきた。

一息つけた。

さてこれからどうするか、街まで戻るのが良いだろう。

立ち上がろうとしたが、立ち上がれない。

「あぁやっと効きましたか?宮廷魔法師並のお力を持つ伯爵様に自由に魔法を使われたら、流石に3人でもつらいですからね」

な・・・

「どういう・・・」

「おやおや。まだ意識があるようですね。奧方やおつきのの様にしていれば苦しまなかったのでしょうけど・・・」

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なっ

一人の男が、アトリアのに剣を突き刺している。

ルグリタとロミルダの首が・・・。

「おの・・・れ・・・。きさ・・・ま。」

”かぜの・・・・せいれい・・・よ”

”ぐっはっ”

「伯爵様もこうなってしまっては哀れですね。大丈夫ですよ。3人の子供もすぐに送って差し上げます。」

「おまえ・・・た・・・ち」

「そうですね。もう死にいく者へのせめてもの手向けです。ルットマン子爵ですよ。あなたを殺せと命じた者は・・・・ハハハ。ハハハ。」

「父上!母上!」

「・・・・」

★☆★☆ Side アルノルト

「この先は通行止めだ!」

「どういう事だ?」

「いいから引き返せ!」

「うるさい。誰がそんな事を言っている!」

「ルットマン子爵家だ!」

敵だ。

刀を抜いて、その場に居た連中の腕を切り落とす。

「なっ!」

「うるさい。お前たちは、俺の敵だ!」

「命あるだけマシだと思え」

6名を、その場で魔法で足止めして、先を急ぐ。

父上。母上。ラウラ。カウラ。ユリアンネ。無事で居てくれ。

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1時間ほど走った場所に、ライムバッハ家の馬車があった。

誰かが戦っている。

突っ込んでいく。片っ端から切り伏せていく

「アルノルト・フォン・ライムバッハだ!ルットマンに與するクズどもよく聞け。俺はここに居る。俺の命がしければ、かかってこい。下賤な者達。戦ってやる。お代はお前たちの命だ!」

『賞金首だ。あいつを殺せば、一生遊んで暮らせるぞ!』

刀に風を纒わせる。

脇差しも抜いて二刀流になる。脇差しには炎を纒わして、敵に突っ込んでいく。

弱い。弱い。これなら、ラウラもカウラも無事だろう。

それでも、護衛の數が減っているのがわかる。

多勢に無勢だ。劣勢は変わりない。

まだ敵は100名以上殘っている。馬車をあさっている愚か者も居る。

面倒だ。

ライムバッハ家の鎧を著けている者が居ない場所に向かって

”水龍。我の敵を押し流せ”

”土龍。我の敵を隔離せよ”

”風龍。我の敵を刻みつくせ”

”炎龍。我の敵を焼き盡くせ”

4つの龍が魔力を喰らって、敵の殲滅を行う。

水龍が水を利用して、敵勢を一箇所に集める。土龍が周囲を土壁で覆う。風龍が中の敵の鎧を切り刻む。最後に、炎龍が中で炎をたぎらせる。

阿鼻喚の地獄絵図が繰り広げられる。

殘った敵の數は20にも満たない。再度、刀を構えて突っ込んでいく。

「大丈夫か?」

護衛の一人に駆け寄る。

「・・・あるのると様」

「なにもいうな。父は、ラウラ達は?」

「もりに・・・(グッハ)」

揺すったが反応がない。

目を閉じさせて、立ち上がった。

ルットマン。おまえはやりすぎた。死ぬほうがましだと思わせてやる。

”うしろ”

何かが結界にヒットした。

前方に飛んで、後ろを振り向く。

「クラーラさん?」

「あぁやはり、アル君を仕留めるのは無理なようですね」

「なぜ」

「たんなる、お仕事ですよ」

「あなたは・・父上に」

「えぇそうですよ。でも、それより上の方からの依頼でしたのでね。渋々従ったってわけですよ。それよりも、急いだ方がいいですよ。リーヌスがユリアンネお嬢様を追っていますからね」

「な・・クラーラ。貴様には後でじっくりと話を聞きます」

「君に出來ますか?」

「な?」

「これを渡しておきますね。死んでしまったら、握る事もできないでしょう。最後まで、君に謝っていましたよ」

け取ったのは、髪飾りだ。俺が、ラウラに買ってやっただ、忘れるはずが無い。

「クラーラ!!!ラウラをどうした!」

「殺しましたよ。邪魔でしたので・・・」

「なっクラーラ。そこをくな。おまえを殺す」

「無理ですよ。君には、できません」

”炎龍。クラーラを燃やせ!”

炎龍がクラーラに襲いかかる瞬間にかわされた。それだけなら、また襲いかかるが、クラーラが剣を振るうと炎龍が消されてしまった。

「怖い。怖い。あの子供がここまで出來るようになっていますか、”あの方”が気にされるはずだ。これは私でも勝つのは難しいですね。お仕事は、終わりましたので、私は帰らせてもらいます。あぁこの剣は、魔法の効力を”食らう”魔道なのですよ」

なにも言わずに、刀を抜いて、クラーラに切り込む。

二刀流はクラーラには見せていない。初見では対処は難しいだろう。

そう思っていたが、俺が繰り出す攻撃を先読みしているかのように、全てかわしていく。

なぜ屆かない。俺は、俺は・・・。

”ラウラ。俺に力を貸せ!”ラウラに渡していた髪飾りがった。

屆いた

クラーラの腕に刀がヒットした覚が伝わった。

「なっ驚いた」

クラーラの剣を持っていた左腕を切りつけた。刀が、を切斷する覚が腕に、に伝わる。

「クラーラ!」

「うん。アル君。ご褒です。その魔道は君にプレゼントしましょう。それでは、私はこれで!」

一瞬目の前がった。

辺りを探したが、もう気配はなかった。

『あぁアル君。ラウラちゃんは馬車の上だよ。君の魔法からは守ってあげたから安心して、それじゃもう、會う事は無いだろうね。バイバイ!』

ラウラ・・・。

そうだ、ユリアンネ。父上。カウラ。

森の中にっていく。

人が通った形跡がある。それを辿っていく。

何をしている。

なぜ、母上のに剣を突き刺しているのだ!

「父上!母上!」

3人はライムバッハ家の鎧を來ている・・・が、敵だ。

母に剣を指していた奴の脇差しで切る。が吹き出すが構わない。倒れていくのを見ながら、ロミルダとルグリタの首を持っていた奴の腕を切り飛ばす。

風の魔法で刀に著いたを吹き飛ばす。

父を踏みつけている奴の正面に回り込んで、足を切り飛ばして、脇差しで目玉を突き刺す。

「父上。治癒魔法を!」

「あるのると・・・むだだ。ひつようない。それよりも、ゆりあんねを・・。あるのると。やつらは・・・」

「ルットマン子爵家の者です。私も冒険者から報を貰って駆けつけました」

「そうか・・・やはり・・・うらは、ヘーゲルヒへんきょうはくか?」

「わかりません。冒険者と商人を雇ってしらべさせています」

「父上。それよりも治療を・・」

「ある。もうたすからん」

「父上。そんなことありません」

「いい。じぶんでわか・・・る。カールとユリアンネをたのむ。ライムバッハ家なぞきにしなくていい。おまえたちのすきに・・・いき・・・ろ。あるのると。じまんのむすこ」

「父上。父上!!!!!」

うずくまっている護衛の姿をした”なにか”に話しかける。

「おまえ。知っている事を全部話せ」

「な。たすけて・・・な・・・。おれは、命令されただけだ・・・・」

「そうか、助けてほしいか?」

「あぁぁぁなんでもする」

「そうか、」

「あぁたすけてく・・・・れ」

「おまえに命令したのは誰だ」

「俺は、ルットマンのこぞうにいわれただけだ」

「なんていわれた」

「らいむばっはへんきょうはくを・・・殺せば。一生あそべるだけのワトをやる・・・と」

「そうか、金で雇われただけなのだな」

「あぁそうだ。だから、助けてくれよ。痛い。あぁぁ」

「そうか、わかった、苦しみから開放してやる。死んで父上に謝罪して、治してもらえ!」

目に刺さっていた、脇差しを踏みつけた。斷末魔が虛しくこだまする。

リーヌス。許さない。

"風の霊よ。我アルノルトが命じる。周囲100mの音を集め聞かせろ"

「ユリアンネ様。逃げてくださいにゃ。」

「カウラ。わたくしも戦います」

「ダメにゃ。アル兄ィに、ユリアンネ様を守れと言われているにゃ」

「この人數を一人で抑えられるのか?獣人の奴隷風が。いいきになるなよ」

「おまえ。どっかで見た」

「おまっこの優秀なリーヌス様を忘れたというのか?ルットマン子爵家の後継ぎである俺を・・・。お前ら、いいから殺してしまえ。どうせ、この獣人もそこのも殺すのだ。好きにしていいぞ!」

カウラ!ユリアンネ!

どっちだ。音の方角は、西だ!

あそこだ!

”風龍。あの者達を切り刻め!”

よし、カウラと奴らのあいだ・・・。なに?カウラ!

「なっ。アルノルト。なぜ貴様が」

うるさい。それどころではない。

「カウラ!カウラ!返事をしろ!」

「アル兄ィ」

「そうだ。アルノルトだ。カウラ!今から治癒魔法をかけるからな」

霊よ。我アルノルトが命じる。カウラを癒せ!”

「ほら、これで大丈夫。カウラ。カウラ。カウラ」

「アル兄ィ。疲れたにゃ」

「あぁそうだな」

外野がうるさい。

死ね。"炎龍。奴らを焼き盡くせ"

「カウラ。おまえ、頑張ったな」

「はいにゃラウラ姉は?」

「ラウラも頑張ったぞ。二人ともありがとう」

「はいにゃ。アル兄ィにいっぱい褒めてもらうにゃ」

「あぁ沢山沢山褒めるぞ。カウラ!」

”土龍。敵の生き殘りを隔離せよ。”

「カウラ。カウラ。カウラ」

「キャハハハ。死んだか。死んだか。ザマァミロ。天罰だ。天才で優秀な俺様を無視するからだ」

「うるさい。黙れ!おまえは後でゆっくりと始末してやる」

土壁の中にいる奴ら15名を、土魔法と木魔法で高速する。

最後に、リーヌスの手足に土魔法で枷を作った。大の字になるように土壁に固定する。

これで暫くは死なないだろう。

最後に火魔法で口を焼く。まで焼ければ詠唱もできないだろう。

ユリアンネ。

無事でいろ!

「あれぇあいつ死んじゃったの?」

「な・・・おまえは・・・。」

「あはっ!一番の獲が殘っていたのだね。これは、これは、アルノルト・!」

「おまえ。ボニート・ルベルティ?」

「覚えていてくれたのだね。嬉しいよ。おまえに負けて、大変だっただけど、”あの方”に力を分けてもらったから・・・もういいや。そうそう、急がないと、君のおしい妹君が死んでしまうよ。」

「なっ!」

「まぁ君は、妹君の所には行けないけどね。ここで、俺に殺されちゃうからね。ギャハハハ!」

「下品な笑い聲だな。耳障りだ」

”炎龍。やつを焼き盡くせ”

「無駄だよ。”あの方”から貰ったこの力で、僕には君程度の魔法は効かなくなったのだよ。」

「”あの方”か・・・クラーラもそんな事を言っていたな。」

「あれ?クラーラに會ったの?よく生きているね。あいつ。”あの方”の所のNo.2なんだよ。俺もそのうちナンバーズになるけどね。」

「そうか、さしずめ。No.1は、ブノア辺りか?」

「違う。違う。ブノアは、No.5で、No.1はエタンだよ。あれ、おしゃべりが過ぎたね。僕の役割は、そこのリーヌスの護衛だったけど、君を倒さないとダメみたいだね」

「あぁそうだな。此奴には、じっくりと己の愚かさをじてしいからな」

「そう。そんな事はどうでもいいのだけど、君も妹君の所に急いだ方がいいと思うよ。まだ大丈夫だと思うけど、時間はそんなに無いと思うからね。」

「通してくれるのか?」

「ん?ダメだよ。俺は、君を殺したいからね」

「そうか・・・」

”思考加速”

”風龍よ。我を補助せよ”

風龍での加速を行う。一瞬にして間合いを詰める。

脇差しをボニートに向かって投げる。

流石に、それほど甘くない。

制を崩した、ボニートの脇をすり抜けて、後ろに出てから橫に飛んだ。更に橫に飛んで奴の死角を狙う。

死角から刀で一閃。

ボニートの腕を切り飛ばす。

切り飛ばした腕が宙を舞う。

やつの正面に出る。

暴だな」

「なっ」

なぜ、が出ていない。

「あぁ腕?ほらこの通り」

ボニートは腕を拾い上げて、斷面を合わせた。

「なっ」

「うんうん。いい表だね」

「アンデッド?」

「う~ん。半分正解!これが、”あの方”から頂いた力ですよ。おまえの偽の魔法なんて怖くない。の加護がないおまえには俺は倒せない」

そうか、いいことを聞いた。

やっぱり、こいつ。馬鹿だろう?

"霊よ。我アルノルトが命じる。ボニートの魂を癒せ!"

「ぎゃぁぁぁ。なぜ。なぜ。おまえ・・・おまえが、ひかりの・・・まほう・を、優秀な俺に使えない魔法を使えるのだ!」

「おまえ程度に使うのはもったいないが時間がないのでな。それじゃ、あの世でから鍛えなおしてもらえ。それでも、俺には勝てないだろうけどな!」

魔力を更に込める。

アンデットのが徐々に崩れていく。

最後には、何か珠のようなが一つ転がった。ラウラとカウラの髪飾りにつけていたと同じだ。

なぜと思ったが、拾っておく。今は、ユリアンネの方が大事だ。

「ユリアンネ!ユリアンネ!」

人が通った後を追っていく。

「ちがう。ちがう。なにかの、そうだ、そうに・・・ちがいない。」

それに近づく。

「おにいさま?」

「ユリアンネ。ユリアンネ」

「あるのるとお兄様。わたくしのおにいさま」

「そうだ。そうだ。ユリアンネ。今、なおしてやる」

「・・・おにいさま。だきしめてください」

「あぁいくらでもだきしめてやる」

「あ・・・り。がとうございます。おにいさま」

「なんだ」

肩と足からの出が止まらない。

治癒魔法では力は戻せるが、傷までは・・・そうだ。ポーション!

「ユリアンネは。おにいさまがだ・・・い・・すきです」

「おれもだ。ユリアンネ。喋るな。いまから治す」

「おにいさま。ラウラとカウラは?」

「大丈夫だ。ユリアンネ。これを!」

「ありがとうございます。でも、おにいさまくらくてみえません。どこにおいでなのですか?」

「めのまえにいる」

ポーションを口に含んで、ユリアンネに口移しをする。

「あっおにいさ・・・ま」

「ユリアンネ。これを飲めば・・・」

「おにいさま。もういちど・・・おねがいします」

「あぁ」

ポーションをユリアンネに口移しでのませる。

「うれしい。おにいさまとキスしちゃい・・・ました。ユリアンネのはじめてですよ」

「そうか、おれも初めてだ」

「おにいさま。どこにいるのですか?」

「ここに居る。ユリアンネ。ユリアンネ」

「おにいさま。寒いです。とってもとっても寒いです」

「わかった。だきしめていてやる」

「うれしい。かわいいドレスもみてください・・・ね。ラウラとカウラとえらんだのですよ」

「もちろんだ。ユリアンネ。おまえが一番可い。世界で一番、おまえが可いぞ」

「おにいさま。ゆりあ・・・んねは、しあわせ・・・です。だいすきな・・・おにいさまに・・・」

「おい。ユリアンネ。起きろよ。キスでもなんでもしてやる。だから、おきて、”おにいさま”と微笑んでくれ!」

「・・・・・」

「うわぁぁぁぁぁぁ。ユリアンネ!!!!!なぜだ。なぜだ。ユリアンネが何をした。俺を殺したければ、俺を殺せ!!!!」

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