《異世界でもプログラム》第三十九話 新たな力

「ユリウス。この後どうする?何も無ければ、エヴァに、ユリアンネとラウラとカウラの眠る場所に案してもらおうと思っているのだが?」

「アル。すまん。し待ってしい」

「ん。いいけど、どうした?」

「あぁ」

ドアがノックされた。

エヴァの母親がってきて、來客だと告げた。どうやら、ユリウスが待っていた人なのだろう。

「お父様!!」

フォイルゲン辺境伯がってきた。

クリスは知らされていなかったのだろう。びっくりして立ち上がっている。

その後ろから、この國の王である陛下と皇太子も一緒にってきた。

皆一斉に起立して、臣下の禮を取る。

「よい。今日は、友人の死を悼む為に來たのだ。ライムバッハ辺境伯の友としてな」

「陛下」

「アルノルト。すまなんだ。余がルットマンのきをもっと早く摑んでおれば、違った結果になったやもしれん」

「陛下。それは違います。父も母もユリアンネも陛下を恨んではおりません。それは間違いありません。恨むべきは、事件を実行した者とそれを後ろで手引した者です」

「アルノルト。そちの気持ちはユリウスより聞いた。カール殿をライムバッハの當主とする。そして、そちは、領で何もしないで過ごすと言うのだな」

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「はっ私は、疲れてしまいました。気持ちの問題です。カールにお願いして、どこか・・・そうですね、ウーレンフートあたりに屋敷を設けて、日々を過ごしていたいと思います。それに飽きたら、國だけではなく、帝國などにも行ってみたいと考えております」

「・・・・・・・そうか、解った。何も言うまい。しかし、アルノルト。一つ約束してくれぬか?」

「何でしょうか?陛下」

「お主の”行いたい事”が、無事達できたら、余・・・いや、ユリウスの所に戻ってくると約束してくれぬか?」

「・・・・解りました。陛下。しかし、ユリウス殿下では、役者不足です。クリスティーネがユリウスの隣に立って、左右をハンスとギードが支えているのでしたら、戻ってまいります。しかし、陛下。陛下には、私の旅が終わりましたら、ご報告に伺います。私たちよりも先に逝ってしまった。父や母の話を致しましょう」

「おぉそうだ、それがいい。結局、余は奴に”リバーシ”で勝てなかった。強くなって再戦しなければならないからな。アルノルト。そちと対戦して強くなる」

「わかりました。陛下。他のゲームも含めて、父に完勝致しましょう」

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「陛下。他にも・・・」

「フォイルゲンは真面目だな。娘の前だからとカッコつけなくてもいい」

「陛下!」

「解った。解った」

ぶっちゃけ、皇太子がいない者として扱われている。影が薄いのか、陛下が濃すぎるのか?

多分前者なのだろう。

「なぁアル。陛下ってこんな人だったのか?」

「あぁそうみたいだぞ」

ギルが俺に聞いてくるが、俺ではなく、親であるユリウスに聞けばいい。

「アルノルト。何かいいたいのか?」

「いえ、陛下。なんでもありません」

「アルノルト・フォン・ライムバッハ。カール・フォン・ライムバッハ辺境伯の件は、ユリウス・ホルトハウス・フォン・アーベントロートが伝えたとおりじゃ」

「はい」

もう一度確認するように皆を見るが、異議を申し出る者は居ない。すでに、話し合いが終わっているのだろう。

俺としても、一番信頼できる布陣で、これ以上はめない。バランスが取れている上に、ユリウスやクリスに取っては統治の練習にもなる。

ライムバッハ家には家臣も殘っている。こういう時に、父が善政をひいていてくれたのが生きてくる。カールが辺境伯を継ぐ事に関しても問題ないだろう。

このメンバーで無理だったら、誰がやっても無理なのだろう。

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皆もやりたい事があるのだろう。

それを犠牲にして、俺のわがままに付き合ってくれる。こんなに嬉しい事はない。

「ありがとうございます」

深々と頭を下げた。

これ以上に、今俺に出來る事はない。もしかしたら、どこかでユリウス達に、俺の一番の前世の事を、打ち明ける事になるかもしれない。

加護については、にしておく必要も無くなった。父が亡くなってしまったからだ。俺の加護を公表する事で、カールの統治がやりやすくなるのなら、そのほうがいい。

何秒か頭を下げてから、皆に向き直った。

「陛下。皇太子殿下。フォイルゲン辺境伯。それに、ユリウス。皆に聞いてしい事がある」

皆が顔を見合わせて、ユリウスが代表してくれるようだ

「なんだ?」

「ユリウス。俺の加護やスキルは知っているよな?」

「あぁかなりの加護を持っていると思っている。聞いたのは、地・火・木・風・剣だな。後、お前、と刀の加護も持っているだろう?」

「スキルは?」

「魔法制だけじゃないのか?」

「陛下。父から何か聞いていませんか?」

「余もユリウスと同じだな。後、冒険者のイーヴォが、もしかしたら、”氷の加護”を、持っているかもと言っていた。ホルストは何か聞いているか?」

「自慢話だけでしたが、陛下と同じ認識ですね」

「解りました。クヌート先生。學校の闘技場を、お借りしていいですか?できれば、関係者以外はられないようにしたいのですができますか?」

「いいですよ」

「ありがとうございます。申し訳ないのですが、私に付き合ってください」

歩いて5分位の場所にある闘技場に向かった。

道中に、イーヴァさんが合流してきた。ギルドというよりも、イーヴォさん個人の興味だと言われたが、これからお世話になるので、イーヴォさん個人で止めておいてくれるのならいう事で、了承した。

その時に、イーヴォさんも、拠點を、ライムバッハ領にうつしてくれる事になった。その上で、ライムバッハ家と契約をして、ユリウスたちでは手が回らない所をサポートしてくれる事になった。

闘技場に著いた。

今日は、休日でもあるので、使っている者もいなかったので、そのまま貸し切りにする事ができた。

この闘技場は、アーティファクトの結界で守られているので、強い魔法を使っても問題はない・・・という話だ。

「まずは、俺の魔法を見てしい」

皆が頷く。

”火龍。顕現せよ!”

”風龍。顕現せよ!”

”地龍。顕現せよ!”

”木竜。顕現せよ!”

”水龍。顕現せよ!”

”炎龍。顕現せよ!”

”氷龍。顕現せよ!”

”雷龍。顕現せよ!”

立て続けて、8の龍を顕現した。

それぞれが加護と同じ特を持ち、命令を実行する。演舞さながらの命令を付け加えていく。

”闇の霊よ。我アルノルトが命じる。龍を闇で覆いつくせ”

龍が演舞している一がモヤで包まれて見えなくなる。

霊よ。我アルノルトが命じる。闇を払いて、を取り戻せ”

今度は一転して、闇が払われて、元の狀態になる。

刀を抜刀して、

”氷結刀!”

用意していた木材を斬りつける。切り口が氷で覆われる。

”散”

”魔滅刀!”

龍たちに俺を、襲うように命令を出す。演舞だから、加護の威力は抑えられている。

それでも、力をじる事は間違いない。龍を刀で切り刻んでいく。これが異常な事だと解らない者はこの場にはいないだろう。

風龍と雷龍を、再度権限させ、に纒わせて、”思考加速”を行って、加速した狀態での移を行う。雷龍を纒わせる事で、的な加速が出來る事がわかっている。

ユリアンネたちと一緒にいる間も魔法制を続けた結果だ。

クラーラに、負けてから考えていた事を一歩ずつ実現している。

力の一端を開放して、ユリウス達の元に戻る。

「アル」

「なんだ?ユリウス?」

「今のはなんだ?」

「なんだと言われても、”魔法”としか答えられない」

「詠唱はどうした?」

「イーヴォさんから”魔族がやっていた”と、聞いてできないかと研究した」

皆の視線がイーヴォさんに集まる

「は?俺は、以前に魔族と共闘した時に、魔族が一言二言で魔法を発していたと話しただけだぞ」

何故かイーヴォさんは、涙目になりながら俺に同意を求めてきた

「えぇそうです。魔族にできて、人族にできない理由は無いですからね」

「アル。それはいい。それで、お前の刀は魔法効果を打ち消す魔道なのか?」

「違う。魔法効果を打ち消す魔法を付與しただけ」

「それは、本當なのか?アルノルト君」

「えっあっはい。やってみましょうか?」

「あぁ頼む。クリス。お前、水の魔法が使えたよな?」

クリスが頷く。

クヌート先生が前のめりだ。

「アルノルト君を弱めの魔法で攻撃してみてください」

「・・・アルノルト様。いいですか?」

「うん。いいよ。でも、弱いと、刀を使わなくても、大丈夫ですよ」

「な・・。まずは、それをやって見せてください」

クリスが水の礫の詠唱を開始する。

俺が途中で、水の加護を奪ってキャンセルする。

これで、魔法が発しない。

「え?なんで?詠唱も完したのに・・・」

「クリスは見るのは初めてか?あぁそうか、見たことがあるのは、エヴァだけだったな」

エヴァがうなずいている。話を続ける。

「これは、水の加護が、俺のほうが強いから、俺の命令を実行する事になる。加護が弱くても、多くの魔力を込めれば、それで加護を奪う事が出來る場合もあるようです」

「え?クヌート先生。そんな事が発生するのですか?」

「えぇそうですね。現象としては確認されています。複數の魔法師が同じ加護を同時に使おうとした時に、魔法が失敗する事があるのです。それを、アルノルト君は積極的に使ったのでしょう」

「アルノルト君。その詠唱は、他の人でも使えるのですか?」

「う~ん。どうでしょう。ラウラとカウラが、試した事はありますが、自分が持っている加護しかできないようです。」

「クリス。もう一度、水の礫を撃ってしい」

「いいわよ」

クリスの詠唱が始まって、今度は詠唱が終了して、礫が向かってくる。

俺は、同時に詠唱を開始して、脇差しに水魔法を散らす魔法を付與して、向かってくる礫を切った。

これで、魔法が散って、礫は無力化される。

「なっおま・・・。アル。他には隠していないか?」

「隠すって人聞き悪いな。聞かれなかったから話さなかっただけだぞ」

「そういうのを隠しているというのだけどな。それで、他には何かあるのか?」

「う~ん。何が一般的でないかわからないからな。さっきのだって、魔族が出來るからやってみた事だし、一部のエルフも出來るよな?」

ザシャに問いかけた

「えぇそうね。數千年生きた老齢ハイエルフの魔法師が出來ると聞いた事はあるわね」

「え?そうなの?」

「ねぇアル。答えたくなかったらいいけど、君。魔法制、3.00越えているわよね?」

「・・・・うん。4.71・・・4.73かな?」

「4?本當?」

「うん。皆にはこれから世話になるのに噓つかないよ」

「そう、ごめんなさい。ねぇ一つ試してしい事があるけどいいかな?」

「ん?いいよ」

「ちょっとこっちに來て・・・」

ザシャが近づいて、詠唱の言葉を教えてくれる。

すごくいい匂いがしたのは言わないほうがいいだろう。なぜか、エヴァとイレーネの顔がし怒っている。

「いい。詠唱してみて・・・。ダメ元だから、失敗しても気にしないでね」

ザシャから空の袋をけ取った。

それから、ザシャが教えてくれた詠唱を開始する

霊よ。我アルノルトが命じる。ザシャ・オストヴァルトの魔力を使いし、ザシャ・オストヴァルトが持つ袋とザシャ・オストヴァルトのステータスプレートを繋げよ”

俺から魔力が抜けていくじがしたが、すぐに、返されたじがした。

ザシャが持つ袋がった。その瞬間、ザシャが片膝を地面に落とした。

「・・・」「・・・・」

皆がザシャの方を見る。

「アル。功した。ギル。魔力ポーション持ってない?」

「有るよ」

「一本ツケでもらえない?」

「ギル。俺が払うから、ザシャに渡してほしい」

「OK。お買上げありがとうございます」

そう言って、ギルが渡したポーションを飲み干したザシャが、空になったポーションのを、袋にしまった。

そして、袋をギルに渡した。

「え?」

「どうした、ギル」

「ポーションのが無くなっている?ザシャどういう事だ」

「エルフの神!じゃダメ?」

「ダメだ!」

「ふふふ。アルのおかげなのだけどね、魔法制4を超えると、他人のステータスプレートを作出來るようになる。エルフや魔族では知っている者は多いけど、人族ではまず4になんてならないから、知られていないのでしょうね」

「それで、消えた理由は?」

「簡単だよ。ステータスプレートの中にっている。袋貸して?」

ギルから渡された袋からザシャがを取り出す。

そういう事か、アイテムボックスの役割をステータスプレートが持っているのだな。

それで、配置の時に出てきた表示が”アイテム”だったのだな。

便利になるな。自分の分も今晩にもやってみよう。

多分、今から全員分をやらないとならないだろうからな。

原理はわからないらしいが、ステータスプレートの中にったは重さもじないらしい。大きさや重さの制限はあるし、數の制限もあると言っている。

多分、魔法制の數値がアイテム數なのだろう。1アイテム保存に必要な魔力は不明だが、配置の數から見ると99のような気がする。これは検証してみれば良いだろう。

「ザシャ。これは、エルフで無くても出來るのか?」

「う~ん。出來ると思う」

「アル。頼む。俺にも同じように・・・しまった、袋がねえ!!」

イーヴォさんが頭を抱えて座り込んでしまった。

陛下と皇太子殿下とフォイルゲン辺境伯とクヌート先生が話し合っている。

「アルノルト」

「はい。陛下」

「皆も聞いてしい」

「今見た事は、ここだけの話しにする事。各自に、王家から揃いの袋を渡す。あぁザシャくん。先程のは複數できるのか?」

ザシャがうなずいている。切り替えも出來るようだ。確かに、あの詠唱なら、袋を変更すればいいだけだろう。魔力をごそっと抜かれるのには違いないだろうから、辛いといえば辛いだろう。

すぐに袋が用意された。裏側に王家の紋章がっている。

この袋は、王家が管理している事にしたいのだろう。

皆に、イーヴォさんを含めて、袋が行き渡ったのを確認して、

「それで、先程の加護を付けてもらいなさい」

「いいのですか?」「やったぁ!!」

「あれを見て、しくないと言える奴がいたら呼んできてしい・・・・。我もしい。あれがあれば・・・。あんな事や・・・」

「陛下!」

「あぁすまん。それで、その袋と加護が、アルノルトからお前達への報酬としたいが、異論があるやつは居るか?」

「ふむ。まぁ居ないだろう。アルノルトもそれでいいな」

「私はかまいませんが、その程度で良いのでしょうか?」

「・・・ユリウス。クリス。後で、しっかり教えてあげなさい」

「はい」「かしこまりました」

袋は、中が何重にもなっていて、大きく広げる事も出來るようだ。皆に、それぞれ詠唱を行っていく。

陛下から、この魔法は、必要最低限しか使わないようにと念押しされた。また、皆にも口外するなという命令されていた。

そして、袋の事を聞かれたら、王家に伝わるアーティファクトを貸し出されていると説明しろと言われた。

”魔法の袋”や”ステータス袋”と呼ぶらしい。これで荷の運搬が大分楽になる上に、武や防の持ち運びも楽になると喜んでいる。

ライムバッハ家の統治にも役立つ事だから、俺としては嬉しい。

いろいろイレギュラーな事はあったが、もうしだけ魔法のお披目を行って解散となった。

そして、ユリウス達は、近日中にもライムバッハ領に移を開始するらしい。俺は、もうしだけ王都に殘ってから、ユリウスたちの後を追うことになった。エヴァも、教會での用事を済ませてから、ライムバッハ領での葬列に參加する事になる。

陛下からの書狀や、今回の事をまとめた資料を、王城に居る文達がまとめているので、それが完してから、ライムバッハ領に向かう事になった。

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