《異世界でもプログラム》第六十三話 換?

と子供がってくる。

は初めて見る顔だが、貓族だという事がわかる。子供はよく見た顔だ。

「えへっにいちゃん。ごめん」

「アル!」

アルバンが何故か悪ふざけが功したかのような顔で部屋にってきて、クリスの橫に控えるように立った。

「アルノルト様」

アルの橫に立っている貓族のが”アルノルト”と俺のことを呼んだ。

「マナベだ」

よく見ると、ユリウスもクリスも苦笑しているのがわかる。

「失禮しました。マナベ様」

「”様”はいらない。俺は、冒険者シンイチ・アル・マナベだ」

「かしこまりました。マナベ殿。アルバンは何も悪くありません。すべての責は私にあります」

「責任云々は、後でユリウスとクリス・・・に問う。事を説明するつもりが有ったから、俺の前に出てきたのだよな?」

「はい。クリスティーネ様からは隠し事をしないで、マナベ殿の質問に答えるように言われております」

クリス側の人間なのか?

そう言えば、立っている場所もユリウスの後ろや橫ではなく、クリスの橫なのはそういった理由からなのだろう。

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「その前に、クリスとユリウスに聞きたいが問題ないか?」

「あぁ」「えぇ問題ありません。私から答えたほうがいいでしょう」

ユリウス側の人間ではないのだろう。

クリスが積極的に答えてくれるとは珍しい。

「わかった。それで、いつからだ?」

ユリウスの表にはきは無いが、クリスの表きがあった。

「・・・」

「クリス!」

怒気を含んだ聲になってしまった。

クリスもビクッとしているが、一番驚いているのは、アルのようだ。怒られるとは思っていたが、自分やではなくクリスに叱責が及ぶとは思っていなかったようだ。どうやら二人は本當に裏の事までは知らされていないと判斷して良さそうだ。

「そうですね。厳には、わかりません。かなり前からです」

「どういう事だ?」

「この者たちは、今は私の配下ですが、前ライムバッハ辺境伯のご葬儀の時に、父ホルストから命令権を譲られました」

「どういう事だ?」

「アル!違う。確かに、時系列ではそうなるが、俺たちがウーレンフートの現狀を知ったのは、お前がホームを把握してからだ!俺もクリスも知らなかったのだ」

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「ユリウス。お前には聞いていない。それに、俺は”マナベ”だ。ライムバッハ家とは関係ない冒険者だ」

自分で、ユリウスと呼んでおきながら、自分は冒険者だという矛盾には気がついているが、気持ちが抑えられない。

クリスの言うことが本當だとしても、フォイルゲン辺境伯はライムバッハ辺境伯の領地であるウーレンフートに間者をれていた事になる。父が知っていたかどうかではなく、”葬儀の時に”引き継がれたのなら、クリスは事を知っていながら俺に言わなかった事になる。

クリスやユリウスにも理由があるのだろう。俺がウーレンフートに行くと思っていなかった・・・。知らなかった可能のほうが高い。

「アル・・・」「アルノ・・・。いえ、マナベ殿。これは、私の獨斷です。今回の問題が発覚してから、ユリウス様にご報告いたしました。ホルスト辺境伯にも確認を取りまして、ご説明に上がった次第です」

辺境伯も承諾していると思っていいようだな。

「辺境伯も絡んでいるのか?」

「いえ、現在のライムバッハ辺境伯の後見人だけで判斷しております」

「時系列的におかしくないか?」

「そうですね。正確には、私たちが知ってからは、辺境伯には報が流れていません」

「それを証明する事は?」

「できません。私を信じて頂くしかありません」

「わかった。それは、今は信じよう。俺がホームを把握してから報を摑んだと言っていたな?」

「はい。間違いありません。そこの、サルラから報告をけました」

貓族のが一歩前に出て、會釈する。

が、サルラと呼ばれたで間違い無いだろう。鑑定するほどの事ではない。

「マナベ様」

「”様”はいらないと、さっきも言ったよな?」

「失禮しました。マナベ殿。クリス様にご報告したのは、マナベ殿がウーレンフートに來て、アルバンが居た宿を定宿に定めてからです」

クリスが手で俺がサルラに質問する事を許すような仕草をした。

「クリスに報告していると思っていいのだな?」

「はい。間違いありません。間に娘や配下が含まれていますが、私のボ・・・雇い主はクリスティーネ様です」

今、”ボス”といいかけたが止めたようだな。クリスあたりから止されているのだろう。

ボスはクリスに似合いそうだけどな。

「そうか、サルラ。ウーレンフートの実をどこまで知っていた?」

俺の言葉は予想していたのだろう。

サルラはをキュと結んだだけで、頭を下げた。

「もうしわけありません」

「謝罪の必要はない。それで?」

「はい。ランドルのきが怪しい事はかなり前に摑んでいました」

「そうか、証拠が・・・。それもそうか、テオフィラとアレミルが絡んでいたら、証拠なんて摑めないよな」

「はい。外部にダンジョン由來の素材を流している事はわかっていたのですが、方法がわかりませんでした」

「今は解っているのか?」

「マナベ殿がホームを把握されたので、アルが調査して判明しました」

アルを睨むが、”ごめん”とだけ呟いた。

「マナベ殿。申し訳ない。アルバンもしっかり謝罪しなさい」

「いいですよ。草・・・。スパイが居るだろう事は解っていて、泳がせていた狀況でしたから、まさかクリスの関係者だとは思わなかったけどな・・・。そうだ、サルラは他の貴族から放たれた者たちも把握しているのだろう?」

サルラがクリスを見る。

「アルノルト・・・。いえ、マナベ殿。それを知ってどうされるのですか?」

「呼びかける」

「”呼びかける”のですか?」

「あぁコソコソされるのはに合わない。目の前に出てきて、堂々と報を持って帰るのなら歓迎する。俺の隠し事は2つだけだ!」

「ハハハ。わかりました。サルラ」

クリスはいいように解釈してくれようだ。

俺の隠し事は、前世の記憶がある事と、名前なのだが・・・。多分、エヴァのことを隠していると思ってくれたのだろう。

「わかりました」

サルラが話してくれたのだが、王弟派の人間が多く潛り込ませているようだ。

王弟派・・・。クリスが言うには、下級貴族らしいのだが、それでも貴族には間違いない。対応を間違えると、問題にする奴らが出てくる可能があるという事だ。

「だからこその呼びかけだ」

「まぁいいでしょう」

「人は隠されれば隠されるほどに知りたくなるからな。どっかの皇太孫が同級生のステータスを気にしていたようにな!」

「な!アル!」「ユリウス!」

たまらずギルがユリウスにツッコミをれる。何かいいたいようだが、ここはこらえてくれるようだ。

「そうでしたね。マナベ殿。他に聞きたい事は?」

クリスはわかっているのだな。

まだ話が続く事が・・・。

「そうだ。サルラ。その隠れている奴らを一斉に呼び出す事はできるか?」

「??」

「そうだな。10日後に、ギルドの闘技場に來い。來なければ、順次排除するとかできないか?」

サルラはし考えたから、小さな聲で”可能です”とだけ答えてくれた

「頼めるか?」

「ご命令ならば」

命令はできないな。

実際には、俺の配下ではなく、クリスを”ボス”と考えているのだからな。

「クリス」

小さく、クリスの名前を呼んで、クリスを睨む。

「そうだ!マナベ殿」

やはり、クリスだな。しっかりと反応するし、意味もわかっているのだろう。

それに、サルラが言った”ご命令”というのは俺に向かっていっているのがしだけ気になる。

「なんだ?」

クリスは、サルラを見てから、ユリウスを見る。

ユリウスがうなずいているところを見るとはじめから、何らかの取り決めをしていて話を持っていきたかったのだろう。

「サルラたちに対する命令を伝える前にお願いがあります」

クリスはここで區切って俺を見る。

「なんだ?」

クリスを大きく息を吸い込んで、もう一度サルラとアルバンを見てから俺を見つめ直してきた。

「サルラとアルバンを含めた組織を管理して頂けないでしょうか?」

「・・・」

そうか・・・。クリスの言っている事はよく分かる。

簡単に言えば手が回らないのだ。実際に、建前上はユリウスがライムバッハ領の後見人になっているが、実質的にはクリスが処理している部分が多いのだろう。殘っている家臣団も居るから安心かと思ったのだが、父が殘した領に放っている者たちからの報の処理だけで手一杯になってしまっている狀況なのだろう。

クリスの実家の協力は得ていると言っても、他所の家の事だ。報の査まではしていない事が考えられる。

それだけではなく、領報だけではなく貴族間の報まで処理しなければならない。

報が多すぎるのだろう。

俺というフィルターを通した報をクリスは得て領や実家からの報と突合する事で報の度をあげる。それだけではなく、俺との報のやり取りも円になるという事か・・・。考えたな。それだけじゃないように思えるが、悪い話ではない。俺も”あの方”に関する報を一人で調べるには限界がある。

「マナベ殿?」

「クリス。ホームに組み込む方法でいいのだな?」

「えぇ」

「俺は、ウーレンフートに常駐しないぞ?共和國や帝國に行くかもしれないぞ?」

「わかっています。そのときには、サルラたちを別行させれば、マナベ殿をサポートできると思いますがどうでしょうか?」

確かに、別に俺と一緒に行しなくても報の伝達に支障が出る事は無いだろう。それに一緒に行をしていない事のメリットの方が多いだろう。

そうなると公的分が他にも必要になるのだろう。ちらっとギルを見るが、揺が見られない事から、ここまでの事はギルを含めて話をして決められているのだろう。

「ギル」

「なんだ?」

ギルが持っていたカップをテーブルに置いて聞き返してきた。

やはりクリスのれ知恵だろうか、狀況がわかっているようだ。

「頼みがある」

「あぁ何でも言ってくれ」

「ウーレンフートに、シュロート商會はないよな?」

「無い。作ることはできるぞ?本部からの委任狀ももらってきている」

「それはよかった。ギル。サルラの組織を使ってホーム外に1店舗。ホームに1店舗作る事はできるか?金は、俺が出す。ホームの従業員は、孤児を使ってくれ」

「わかった。ホームの外の商會は、シュロート商會でたちあげるのならすぐだ。王都から人を派遣できる。ホームの中はどうする?」

「そうだな。基本は、ホームの中に居る者たちの小間使程度に考えている。孤児院に金がって回る事が重要だ」

「わかった。10日ほどくれ」

「了解。クリス。これでいいな?」

「えぇ問題ありません。よろしくお願いします」

クリスが俺に頭を下げた事から、慌ててサルラとアルも頭を下げた。

「それで、サルラ。分も確定したことだし、偵達を集められるか?」

皆の視線がサルラをとらえる。

「問題ありません。ギルドの訓練場でよろしいのでしょうか?」

「大丈夫だ。どのくらい待てばいい?」

「商會の準備次第ですが、2-3日あれば報は流せます。集まりは、5日後でどうでしょうか?」

「わかった。ここから出たら、俺との接は控えるようにしろ」

「かしこまりました」

連絡方法は、ホームの外にあるシュロート商會に買いに行ったときに行う事にした。

自然な流れで連絡ができるはずだ。急時には、アルがホームの中にあるシュロート商會に來る事に決まった。

「さて、クリス。大まかにはこれで問題ないか?」

「えぇそうですね」

「それじゃ・・・。ライムバッハ家の後見人の皇太孫である。ユリウスに頼みたい事がある」

俺のセリフを聞いて一番ビックリしたのがユリウスだった。

完全に空気になっていたのだが、ユリウスが最終的に決めないとダメな事は間違いない。俺でも無く、クリスでもなく、ギルやサルラやアルではない。

「なんだ?」

ギリギリ踏みとどまったようだ。しだけ、クリスが呆れ顔をしたのは見なかった事にしよう。

「報告していなかったが、ランドルたちの所業で、ウーレンフートの外に村ができてしまっている」

「クリス経由で話は聞いた」

「そうか、その村を正式にウーレンフートの開拓村として認めてしい」

ユリウスの反応が鈍い。

さては、言っている意味がわかっていないな。

「アル。いや、マナベ。なぜ、それを私に?」

「ユリウス様!」「・・・」

さすがはクリスだな。

すぐにわかってくれたようだ。ユリウスに耳打ちをしている。ギルも気がついたようだが、自分の出番ではないと思っているのだろう。黙ってテーブルの上から菓子を摘んで口に放り込んでいる。

徐々にユリウスの顔が変わっていく、思い出したのだろう。

”コホン”ともっともらしい咳払いをして、ユリウスは俺を見た。

「すまない。マナベ殿。その開拓村を視察させてもらう事はできるか?その上で判斷したい」

「わかりました。後ほど、案させます」

「マナベ殿が案してくれるのでは無いのですか?」

クリスは俺が言ったセリフ案させますを聞いて、不審に思ったのか聞き返してきた。

「私は、”冒険者”です。案は、ホームを仕切っているセバスが致します」

「そうでした。申し訳ありません。それでは、視察はユリウス様とギルベルト様でお願い致します。私は、サルラたちの引き継ぎをマナベ殿と行います」

逃してはくれないようだ。

うまく抜け出せたら、そのままダンジョンに潛ろうかと思っていたのだが、クリスは甘くないようだ。

「はぁわかりました。クリスは、ここで待っていてくれ、ユリウスとギルをホームに連れていく」

「それは、アルバンが行えば良いと思いますが?アルバンできますよね?セバス殿は知っていますよね?」

「え?」

アルが俺を見るが、うなずくしかなかった。

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