《異世界でもプログラム》第七十五話 懐かしの匂い
目にってきたのが”馴染みのある”だ。蛍燈だ。LEDではなく、白燈だ。電気も無いのに、白燈が燈るわけがない。地球に繋がっているのか?
部屋に足を踏みれる。
俺が使っていた地下室に似ているが、決定的に違うのは、壁一面に大小様々なディスプレイが配置されている。正直に言おう、憧れる。
中央には、ディスプレイを3枚並べた狀態で配置されている。
事務機ではなく、この世界の標準的な機だ。キーボードもマウスも存在している。
近づいてみると、OSはよくわからない。コマンドラインのよう見えるもあれば、8ビット當時の畫面もある。Windows系も見られる。雑多なOSがり混じっているじがする。畫面は、多分ダンジョンなのだろう。通路が表示されている。
もうし見やすく整理をすればいいのに・・・。
ダンジョンの監視をしているのか?
それにしても、いろいろな種類の端末が置かれている。
それにしても、キーボードの位置が低いな。
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子供が使うにしても低すぎる。
キーボードはあまり使われていないようだ。ほぼマウスだけで作を行っているようだ。
ん?
もしかして、ダンジョンを制しているのはこの部屋なのか?
”そろそろ死んだかな?単獨で、50階層に來るなんて・・・。博士が聞いたら、喜んで実験するだろう”
「実験は嫌だな」
”無理無理。そもそも・・・。え?だれ?”
奧にある扉から、黒熊が出てきた。ブツブツ何か言っているが、日本語のように聞こえる。
素で答えてしまった。
「失禮した。私は、シンイチ・アル・マナベ。気楽に、”ナベ”とでも呼んでくれ」
”はぁ?だから、どうやって、ってきた!”
「ん?50階層のボスを倒して、通路を見つけて、扉の”なぞなぞ”に答えたら、ここまで來られたぞ?」
”え?お主様は、勇者なのか?”
「違う。違う。普通の冒険者だ」
”なら、なんで、イヴァンタール博士の言葉がわかる?!”
「え?言葉?あぁ日本語?」
”そうだ!お主は、勇者でなければ、転生者か?”
「うーん。日本人だった記憶はあるけど、曖昧で本當に日本人だったのかもわからなくなってきている」
”それはそうだ。世界に心が馴染んできているのだろう。でも、記憶はあるのだろう?”
「ある」
”博士も同じだ。ちなみに、俺様も日本人だった記憶がある”
「え?」
”正確にいうと、この世界の記憶がまったくない”
「どういうことだ?」
”わからない”
「日本人だった時の名前や住んでいた場所や時代は?」
”覚えていない。気がついたら、博士と一緒にいた。博士は、俺のことを、『アイ』と呼んでいた”
「もしかして、”AI”こう書いて、”アイ”と呼んでいたのか?」
”そうだ!よくわかったな!博士と同じだな”
AI・・・。
もしかしたら、博士という”元日本人”は技者で、寂しさから日本語をしゃべる黒熊を作ったのかもしれない。
「それで、AIアイは、どうしてここにいる?博士は?」
”博士は、なにかを探しに行くと言って出ていってから、まだ帰ってきていない。俺様は、ここで博士に言われたとおり、ダンジョンを見守っている”
”なに”を探しに行ったのかわからないけど、數ヶ月という単位では無いだろう。
それに、ダンジョンを見守っているという言葉が気になる。モニタに表示されているのは、このダンジョンでは見かけなかった風景も表示されている。
いろいろ聞きたいことがある。
「なぁ、AIアイ。俺は、ダンジョンを攻略したのか?」
”ここに來ているから、そうなる”
「なにか、ご褒はないのか?博士は、なにか言っていなかったか?」
”あっそういえば、もし、この管制室に來た者が居たら、渡せと言われていたがあった。ちょっと待っていてくれ、その辺に座って居てくれ、すぐに取ってくる。俺様は出來る日本人だからな!”
「わかった」
その辺と言われて、辺りを見回すが、よくある整理整頓が苦手なネットワーク管理者が居るサーバルームのようになっている。
いていない端末や、壊れてしまっているキーボードやマウスが転がっている。
そう言えば、ケーブルが見當たらない。
キーボードやマウスにもケーブルがついていない。そもそも、パソコンやモニタは、どうやっていている?いていることは、間違いはない。懐かしい音がする。ファンが回っている。ケースのアクセスランプもっている。そして、乾燥した部屋でファンが回り続けることで、発生するグリスの乾いた匂いもする。すごく懐かしい。この匂いの中で、パイプ椅子を3つ繋げて寢ていた。いつの頃から、パイプ椅子二つで寢られるようになった。
探せば、パイプ椅子くらいならありそうだな。
有ったよ・・・。安っぽいパイプ椅子。サーバルームに客を招いた時にしか使わない椅子だ。十分座れる。
いている端末の裏を見るが、やはりケーブルが見當たらない。どうやってディスプレイに報を表示している。
そもそも、電源は?電源タップさえも見當たらないぞ?
いていない端末も數多く有る。いている端末の違いがわからない。中の構か?ばらしてみれば、違いがわかるだろうか?
古い端末まである。あれは、RA21?しい。PC9821Ne2?え?あれは、X68000?X1Turboまである。寶の山だ。OASYS Pocket?名機の見本市だな。
秋葉原で探そうにもなかなかこれだけの品揃えの店は無いぞ?ジャンク品でも、同型が數臺あるから、ニコイチやサンコイチが出來るかもしれない。
”おまたせして、わるかった。これを、博士から渡せと言われている”
アイが持ってきたのは、手紙のようだ。
け取って見たが、悪いじはしないから、本當に手紙だけなのだろう。
アイは、俺に手紙を渡すと、端末の前に座って用にマウスを作する。解っているのか・・・。何かを作しているが、なにか調整をしたり、作をしたり、ダンジョンを変えているわけではないようだ。何か、マニュアルが設定されていて、それに従っているようなきだ。同じようなことを繰り返しているように見える。
封筒にっている手紙を見てみるが、表面には何も書かれていない。
封は封蝋を使ってある。”のり”ではないようだ。かなり古い印象をける。1年とか2年では無いだろう。
封を開けると、6-7枚の手紙がっていた。
一枚目は自己紹介だ。イヴァンタール博士は、帝國で生まれて育ったようだ。帝國の水が合わなくて、人してすぐに王國に亡命してきた。俺は、知らなかったが魔法學や魔道界では著名な人のようだ。長々と自慢話が書かれている。一枚目は、皆に渡して問題はないだろう。
二枚目も自己紹介だ。ただし、日本人だった頃の話だ。どうやら、大手ベンダーのエンジニアだったようだ。年代は、かなり上になるのかもしれない。Windowsが、3が出始めた頃で、NTを使っていたと書かれている。俺が、社會人になりかけの頃に、エンジニアとして働いていたことになる。俺も知っている大型汎用機の前をいじっていたようだ。それで、當時の最先端である人工知能を使ったファジー技の研究をしていたようだ。責任者だったと書かれているから、確実に20か30くらいは上だったのだろう。二枚目は、俺が持って封印しよう。世間に出ていい話ではない。もしかしたら、二枚目以降は封印した方がいいのかもしれない。それなら、この場所に殘しておく方が安全なのかもしれない。
三枚目は、空白が続いて、最後の方に、
”これより先は、貴殿がエンジニアであり、ダンジョンを単獨で攻略した場合のみ読み進めてしい。そして、できればAIアイを解き放ってしい”
なんとなく、予想はしていたが、AIアイは一定の力をけ付けるだけの人工知能なのだろう。
機械學習を用いた予測が出來ないのだろう。それでも、ダンジョンに潛っている冒険者のを學習して、今の狀態になったのだろう。
気になったのが、”解き放つ”という言葉だ。なにかに、縛り付けているのだろうか?
四枚目と五枚目と六枚目と七枚目にその答えが書かれているのだろう。
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