《異世界でもプログラム》第七十七話 地上へ

「アイ。最下層に流れ著いた魔道はどこにある?」

”こっちです”

AIアイに連れられてった部屋は、機材が雑多に置かれている場所だ。ハーフラックらしきが見える。

「アイ。この部屋に出現するのか?」

”違います。この奧の部屋で、魔道が出たら、この部屋に置いていきます”

「移は、アイが?」

”いえ・・・。ほら、出てきました”

そうだよな。

ここはダンジョンで、魔に指示を出すことも可能なのだろう。

「ゴブリン。いや、ホブゴブリンか?」

”違います。ヒューマノイド・ゴブリンです。博士がお作りになられた種で、人を襲いません”

「(倉橋さん)なんでも、ありだな。アイが指示を出しているのか?」

”はい。指揮系統を、委託されています”

「ダンジョンの”魔”とは違うのだな?」

”違います。ヒューマノイド種は、人を襲いません”

「他にも居るような言い方だけど?」

”はい。排泄や汚処理を行う、ヒューマノイド・スライム。農作業を行う、ヒューマノイド・オーク。主に護衛を行う、ヒューマノイド・オーガが、居ます。ヒューマノイド・ゴブリンは、そのた雑用が仕事です。博士は、出來損ないと言っていました”

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AIの搭載に失敗したのだろう。

「ヒューマノイド種の作方法は、博士は殘していないのか?」

”あります。文章はロックがかかっています。マスターなら解除できると思います”

「後で見せてくれ」

”はい”

倉橋さんは、どこを目指していたのだろう。ヒューマノイドという名前から、AIを作ろうとしていたのかもしれない。魔法でどうにかなるようなものではないと思う。

まずは、機材の確認だな。寶の山だな。どうやって産まれているのかわからないが、HDDの弾だけでも100や200はありそうだ。容量もいろいろだ。

AS400なんてまである。ゲーム機が一切ない。倉橋さんも、俺並にゲームはしていた。元々花札を作っていた會社のゲームのカセットを貸した記憶もある。最初は、真空管電圧計を作っていた會社のゲーム機は全てを持っていたはずだ。ジュークボックスの納とメンテナンス會社から始まって、分社や統合を繰り返した會社のゲーム機もたしか持っていた。”夢を広く伝える”がコンセプトのゲーム機は発売時に買っていた。BASICのインタプリタの開発を行った會社のゲーム機はゲームの開発までやっていたはずだ。

なのに、ゲーム機が一臺も無いのは不自然だ。

家電もいろいろ流れ著いているのに、不思議だ。倉橋さんの手紙から読み取れる容では、流れ著いたなら”使えるようになっている”のに、AS400やハーフラックのサーバたちを使っていない理由はなんだ?

ネットワーク機が無いのか?

そうか・・・。倉橋さんは、ネットワークは極端に弱かった。だから、ネットワークで繋がっているにしても、スタンドアロン形式での運用を行っていたのだろう。

深く考えても”わからない”ものは、”わからない”目の前に、事象があるのだから、出來ているのだろう。

そう言えば、倉橋さん汎用機とワークステーションがメインだったな。パソコンの開発言語は苦手だと笑っていたな。

機材を整理しながら徐々に思い出してきている。ゲームやプログラムの話をしながら、飲みたかったな。

”マスター!”

「ん?」

”お食事はどうしますか?すでに、5時間以上、この部屋で過ごされております”

「そんなに?」

”はい。マスターも博士と同じタイプのようです”

うーん。否定できない。AIアイが話しかけてくれなかったら、何時間でも・・・。いや、數日でもここで過ごせる自信がある。

「そうだな。食事を頼む。量は、そんなに必要ない。”軽め”の食事を頼む。食べたら、しだけ橫になる」」

”はい”

管制室と勝手に名前を付けた部屋から出て、廊下に並ぶ部屋を見る。同じ作りではないと言っていたので、部屋を確認していく。観察していると、管制室を背にして、左側と右側で扉の數が違う。右側の方が、扉の間隔が狹い。部屋數が多いのだろう。

左側の扉を開けて中を確認する。確かに広いが、所謂”タコ部屋”だ。

うーん。使い方を考えればいいかな。住むわけじゃないから、暫く滯在ができればいいな。

後ろから、ヒューマノイド・ゴブリンが付いてきている。部屋を決めたら、掃除をしてくれるようだ。

右側の部屋を見ると、管制室に近い場所は、仮眠室のようだ。ベッドと機が置かれている。トイレやシャワーは別にあるようだ。俺一人だけだから、問題にはならない。ヒューマノイド・ゴブリンに、部屋を指示すると、掃除道を持った、ヒューマノイド・ゴブリンがやってきて、部屋の掃除を始めていた。

俺に付いてきたヒューマノイド・ゴブリンが手招きしている。

その部屋にると、食事の用意がされていた。そこに並んだ料理を見た時に確信した。博士は、俺が知っている倉橋さんだ。

テーブルには、”軽め”の食事として用意されているのは、”焼きそば”が大盛りで置かれていた。そう言えば、徹夜明けで、よく食べに行ったな。

ヒューマノイドたちの思考ルーチンを調整すれば、もっといろいろなことが出來るようになるのかもしれない。

格付けは出來ないが、機械學習は出來るだろう。ここには、機材が沢山ある。電力を気にしなくても良い。

焼きそばの半分を食べた辺りでお腹が溜まってきた。魔法で保護できるので、起きたら食べると伝えて、橫になれる場所に行く。

一度、地上に戻って、戻ってきたほうがいいだろうな。

遅いと、ギルは大丈夫だろうけど、ユリウスがしびれを切らすと、捜索隊とか手配しかねない。

もう一度、倉橋さんのメモを読んでから、橫になった。

疲れていたのだろう、目を閉じたら・・・。

---

目が覚める。

知らない天井・・・ではない。

「アイは?」

近くにいた、ヒューマノイド・ゴブリンに問いかけると、部屋から出ていった。

10分くらいしてから、アイが部屋にやってきた。來られないかもと思ったが、管制室から出ても問題はないようだ。

”お呼びですか?”

「俺は、外に戻ろうと思う」

AIアイがどことなく寂しそうな雰囲気を出す。博士が出ていって、帰ってこないのを思い出したのだろう。俺が、置いていかれた人間なので、勝手に考えてしまったのだろう。

”はい”

「1週間程度で戻ってくる。その時に、二人の従者を連れてくる。この並びに部屋が有っただろう?使えるようにしておいてくれ、それから、正面の”タコ部屋”を、倉庫にする。ベッドを運び出して、水回りを取り除いてから、流れ著いたで使っていないを運びれろ、足りなくなったら隣の部屋を使ってもいい」

”わかりました”

俺が戻ってくると伝えると、嬉しそうにしている。

せっかくだから、地上でも使えるのか、確認してみたくなった。昨日の殘りの焼きそばを食べてから、シャワーを浴びる。

流れ著いたを見ていて、気になった”魔道パソコン”を持ってみる。

一つは、ポケコンだ。FX-870Pだ。學校向けでは、VX-4とか呼ばれていたが、流れてきているやつは、RAMが32Kも・あるやつだ。違う。拡張されている64Kという膨大なメモリを持っている。使える奴だ。

もうひとつは、PDAで日本初のスマホである。W-ZERO3だ。早すぎた名機だ。母艦も必要になるだろうが、通信が目的なので、今回は単で持っていって使ってみる。バッテリーの持ちが気になるので、実験には丁度いいだろう。

そして、モバイルパソコンを一臺持っていく。9インチの持ち運びをメインに考えているだ。ダンジョンで、ダンジョンにアクセス出來る狀態になっているのを確認してから、外で使ったらどうなるのかを確認する。

AIアイに戻ってくる場所の確認をしてから、地上に戻る。

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