《異世界でもプログラム》第三話 ヒューマノイドベア?
「兄ちゃん!」
「アルか?どうした?」
「今日は、どうするの?カルラ姉から”聞いてこい”と言われた!」
言葉遣いを、カルラから注意されていたが、アルバンの言葉遣いは矯正できていない。俺も、別に気にしないのだが、カルラが最低限の言葉遣いはにつけるべきだと言い続けている。
「あ!そうだ、エイダを連れてくるから、カルラと食堂で待っていてくれ」
「え?新しい、ヒューマノイド?」
「あぁ違・・・。わないけど、違う」
「うん。わからないけど、わかった!」
一度、エイダを連れに戻った。
以前は、部屋から出られなかったが、魔核が安定したので、出られるようになっている。イヴァンタール博士は、生みの親で、俺は”マスター”という位置づけになっている。エイダは、”魔”なのかと聞かれると、違うように思える。ヒューマノイドタイプではない。エイダの中に、通信機や予備の魔核をれるために、部をって確認したら、”ぬいぐるみ”で間違いはない。そこから、カスタマイズが行われている。カスタマイズで済まされるレベルでは無いのは解っているが、魔の素材を使って、防水はもちろん防塵にも、防刃にもなっている。魔核に魔法を付與する方法で、かんたんな結界が常時発している狀態にもなっている。機の引き出しから出てきた未來の耳がない貓型ロボットと同じで、地面から數マイクロミリだけ浮いている狀態になっている。
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ちなみに、魔法を逆コンパイルして解析してから、自分に使ってみたが、実用に耐えられるレベルにはならないと判斷した。重量が影響しているうえに、恐ろしく燃費が悪い。積に依存してしまうように思える。うまく調整すれば、空が飛べるかもしれないと考えたが、違う魔法式を考えたほうがよさそうだ。
「エイダ!」
「マスター。用ですか?」
返事だけでもわかるくらいに、隨分と表現がかになった。
「問題は何かあるか?」
「快適です。改良の許可を頂けましたので、バージョンアップを行っています。それから、この部屋は、”管制室”と名付けました」
確かに、部屋の名前が定まらないと、方向が難しいからな。
機械學習の果も出ているようだ。エイダAdaと名付けたのは正解だったかもしれない。”管制室”なんて言葉は、流れ著いた素材の中にしか存在しないだろう。エイダが名付けで利用した知識は、日本の知識だと思われる。
「わかった。”管制室”だな」
「はい。マスター」
発音も問題はなさそうだ。イヴァンタール博士は、エイダには聲帯も組み込んでいたが、発聲のプログラムが出來ていなかった。発聲を作るのは難しいと思っていたが、スピーカーからサンプリングを再生するようにしてみた。魔核が追加で必要にはなったが、エイダが話せるようになる方が重要だと判斷した。
「エイダ。カルラとアルバンという従者が居るのだけど」
「はい。存じております」
「二人と今後の話をしたい。エイダにも參加してしい」
「わかりました。議事録を作すればよろしいですか?」
「そうだな。紙は無理でも、後で話し合った容がわかると嬉しい」
「かしこまりました」
エイダを連れて、食堂に移すると、カルラとアルバンが待っていた。
ヒューマノイドも食事の用意をして待っている。
「兄ちゃん!」
「アル。待たせたな」
「大丈夫!それよりも、その生きみたいな奴は何?ヒューマノイドベア?」
「俺のサポートをしてもらう。エイダだ。ヒューマノイドではない。でも、何者って言われると困る」
「アルバン様。カルラ様。私は、マスターのサポートオートマタのエイダです。よろしくお願いします」
「「さぽーとおーとまた??」」
二人の言葉が重なった。
俺も疑問に思ったのだが、たしかに”オートマタ”はいい表現だ。機・械・仕掛けではないが、自律人形と考えれば、たしかにオートマタだ。
「はい。私の役目は、マスターのサポートです」
カルラもアルバンは、”サポート”を気にしたわけではない。”オートマタ”の意味がわからなかったのだが、エイダには、サポートがわからないと聞こえたのだろう。サポートの説明をしている。
エイダの目的は、知識面のサポートになってくる。ダンジョンや魔に対する知識は、エイダがいればまかなえる部分が多い。市井の噂はなしから、集合知を得ることも出來る。今は、ウーレンフートの俺たちのホームに関した”集合知”だが、これから範囲を広げていけるだろうと予測される。
芽生えた個を喜ぶかのごとく、エイダは説明を行っているが、”クマのぬいぐるみ”が振り手振りをしているのが微笑ましてくかわいい。聲を中的に調整してしまったのが、悪かったのかもしれない。アニメなら、”CV:蒼井翔太”とか出てきそうだ。個人的には、”CV:釘宮理恵”でも似合いそうと思った。
「マナベ様。エイダ様はわかりましたが、これからどうされるのですか?」
「カルラ様。私には、”様”を付けていただく必要はありません。エイダとお呼びください。マスター。私からの提案があります」
「なんだ?」
「マスター。共和國にも、ウーレンフートと同じダンジョンがあります。そこを攻略されてはどうですか?」
「兄ちゃん!ダンジョンに行くのか?俺も一緒に行く!」
「アルバン!もうしわけございません。マナベ様。私とアルバンは、近くの街で報収集を行います」
「うーん。カルラ。まずは、共和國にダンジョンがあるのか?」
「存在します。ただ、ここのような施設の話は聞いたことがありません。共和國のダンジョンは、攻略済みのダンジョンだけだと思います」
「そうか、一種の資源としてダンジョンを閉鎖しないようにしているのだな」
「はい。帝國のイヴァンタール博士の研究結果から、ダンジョン・コアを破壊してしまうと、ダンジョンがあった場所に、魔素溜まりが出來て、兇悪な魔が産まれます。そのために、ダンジョンは、閉じないようにするのが一般的です」
「エイダ。攻略済みのダンジョンなのか?」
「マスター。カルラ様。ダンジョンは、博士が見つけて、封印を施したダンジョンです」
「「え?」」
俺とカルラが驚く。未発見に近いダンジョンだということだ。
それは、すなわち、魔の巣窟になっている可能が高い。博士倉橋さんが封印したとして、最低でも300年は放置されていたことになる。
「兄ちゃん。カルラ姉。どうしたの?未発見のダンジョンなら、お寶が見つかる可能だってあるよな?」
「アルバン・・・。貴方は・・・。マナベ様は、お気づきになられたようですが、博士というのは、イヴァンタール博士を指しているとしたら、350年以上前に活躍された帝國の人です。殘念ながら、詳細はわかりませんが、それでも、300年以上前であるのは確実なのです」
「ふーん」
アルバンは、カルラが心配している容がよくわからないようだ。
「”ふーん”て、アルバン。いいですか、ダンジョンは300年の間、封鎖されていたのですよ?」
「うん。だから、お寶が沢山あるよね?そうだよな。兄ちゃん!」
「そうですね。未発見の魔道がある可能がありますが、それ以上に、300年の間、封鎖されていたダンジョンには、魔が溢れている可能が高いです」
「あっ・・・。そうか、だれもダンジョンにっていないから、魔が倒されていないのか・・・」
「マナベ様?」
「魔の氾濫スタンピードの可能はあるけど、俺は行こうと思う」
「・・・」
カルラは、辭めてしいと考えているのだろう。クリスだけではなく、ユリウスが心配すると考えているのだろう。俺は、未踏破のダンジョンというだけではなく300年以上魔が駆除されていないダンジョンは、危険なのは解っている。しかし、それ以上に得ることもあるだろう。”あいつ”に追いつくには、この位の無茶を軽くこなせないと駄目だ。クリスやユリウスが止めても俺は、もうダンジョンに行くつもりになっている。
「マナベ様。お止めしません。しかし、私とアルバンを連れて行ってください」
「死ぬかもしれないぞ?」
「わかっています」
カルラを見つめる。
カルラは、死ぬ覚悟があるのかと思ったがどうやら違うようだ。カルラとアルバンが一緒なら、俺が無茶な攻略はしないだろうと考えたようだ。
「條件がある」
「條件ですか?」
「そうだ、今から2週間で・・・」
俺は、思いついた條件をカルラとアルバンに提示した。
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