《魔王様は學校にいきたい!》滅亡魔法

「うむ、ここまでじゃな!」

突如として現れたウルリカ様。

ブラムの魔爪を軽々と片手で止めている。

「ロティ! リヴィ! サーシャ! 三人ともよく頑張ったのじゃ!!」

振り返ったウルリカ様は、三人に向かってニッコリと微笑む。

「後は妾に任せておくのじゃ……」

そして、鋭い視線をブラムへと向ける。

その瞳には、靜かで深い殺気がこもっている。

「……なんダ貴様は?」

「この者達の友達じゃ、お主の真祖でもあるぞ」

「真祖? 貴様のよウナ小娘ガ? わけノ分からナイこトを言うな!」

霧へと変化したブラムは、ウルリカ様の手から逃れて闇に溶け込んでしまう。

対するウルリカ様は、無造作に闇の中へと手を突っ込む。

「なっ、ナにっ!?」

闇の中から、霧となったブラムをズルズルと引きずり出す。

驚くことに、ウルリカ様は霧のをそのまま摑んでいるのだ。

「なンダコれは! なゼ霧に変化しタ私のを摑めるノダ!?」

「そんなことも分からぬのか?」

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ウルリカ様の手から、魔力の圧力が放たれる

すると、霧へと変化していたブラムのは、徐々に実態へと戻されていく。

が勝手に戻さレル!? 一どウなっテイる!」

「霧へと変化した吸鬼は、魔力の圧をかければ無理やり実態に戻すことが出來るのじゃ」

「そンナこと出來るハズがなイ!!」

「お主は今まで、自分より高位の吸鬼に出會ったことがないのじゃな……ほれっ」

実態に戻ったブラムを、ウルリカ様は無造作に放り投げる。

石畳の上を転がるブラム。そのを再び霧へと変化させていく

「グゥ……くそっ、なラば!」

霧となって闇に溶け、現れたのはウルリカ様の背後だ。

無防備なウルリカ様の首筋に、ブラムの魔爪が襲いかかる。

「ぐあアァっ!?」

魔爪を突き立てたのはブラム。しかしび聲をあげたのもブラムだ。

ウルリカ様を切り裂いたはずの魔爪は、指先から手首にかけてボロボロと崩れている。

もちろんウルリカ様は無傷である。

「不用意に妾にれるからそうなるのじゃ」

霧化の能力も、魔爪による攻撃も、ウルリカ様には全く通用しない。

ことごとく返り討ちにあったブラムは、次第にきを鈍らせていく。

「くっ……なんダ……うマクけなイ……真祖回帰ノ力が薄れてイく……!?」

「真祖回帰とはなんじゃ? ただ魔力を暴走させておるだけでないのか?」

「魔力を暴走……ソんなバかな……?」

「許容量を超えて、無理やり魔力を引き出しておるだけに見える。そんなことをしてはが悲鳴をあげてしまう、けなくなって當然じゃ」

「くソォ……真祖回帰を愚弄すルな……ッ」

「うーむ……妾に回帰されても困るのじゃが……まあよい……」

ゆっくりと片手をあげるウルリカ様。

「ところでお主……妾の友達を『ザコ』と言っておったのう……」

夜の闇よりも暗い、ウルリカ様の聲。

「力も覚悟もないと、バカにしておったのう……」

ブラムの背筋に、かつてない悪寒が走る。

「ひィッ」

とっさに背を向けて、闇に逃げ込もうとするブラム。

しかし、ウルリカ様は逃さない。

「どこに行くのじゃ?」

ビシッと直させたブラムは、ゴロリとその場に倒れ込む。

「うウゥ……けなイ! ケナいィ!!」

「騒ぐでない、ただの拘束魔法じゃ」

もがくブラムの元へ、ウルリカ様はゆっくりと近づいていく。

「やめロ! 來ルな!!」

「そうはいかんのじゃ……」

ウルリカ様の全から、強大な魔力が放たれる。

「妾の友達を傷つけた、そのお返しをせねばな──」

そして放たれる、恐怖の魔法。

「──滅亡魔法、デモホロウ──!」

直後、闇夜に現れる漆黒の球

耳をつんざくび聲が、町中に響き渡る。

放たれた滅亡魔法は、膨れあがりながらブラムへと迫っていく。

「なンだこレは!? 來るなアァ!!」

「お終いじゃな……」

「イやだあアァァっ……」

ブラムの悲鳴は、滅亡魔法のび聲に飲み込まれる。

そしてブラム自も、あっけなく滅亡魔法の闇に飲み込まれていく。

ブラムを飲み込んだ滅亡魔法は、學園の外壁を破壊し夜の闇へと吸い込まれる。

後に殘ったのは、干からびたブラムの死だけだ。

現実味のない景に、シャルロットとオリヴィア、ナターシャの三人はポカンと固まっている。

そんな三人に向かって、クルリと振り返るウルリカ様。

「うむ! これにて一件落著、じゃな!!」

ニッコリと笑うウルリカ様。

長かった夜が、明けようとしていた。

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