《魔王様は學校にいきたい!》の天使

地平線から顔を覗かせる太

の散によって、空気中の塵はキラキラと輝きだす。

朝焼けに照らされた町は、たった一晩で変わり果てた姿となっていた。

戦いの余波で、ボロボロに崩れた石畳。

ロームルス學園の外壁は、滅亡魔法によって大きくえぐられている。

そして、傷だらけでボロボロのシャルロット、オリヴィア、ナターシャ。

三人ともぐったりと地面にへたり込んでいる。

靜まり返る早朝の町。次々と家の扉が開いていく。

日の出とともに夜間の外出止令も解かれ、ロームルスの市民が外へと出てきたのだ。

「ずいぶん騒がしかったな、なんの音だ?」

「見て! 道路がメチャクチャになってるわ!!」

「おいっ、誰か倒れているぞ!」

変わり果てた町の様子を見て、市民の間にザワザワと騒ぎが起こる。

その様子を見たシャルロットは、慌てて立ちあがる。

「皆さん! 落ちついてくださいですわ!!」

「あれは……シャルロット王様か?」

「第三王様だ……あの恰好、一どうしたんだ?」

「狂心王か? こんな所でなにをしている?」

「落ちついて! 大丈夫ですから!!」

騒ぎを収めようと、必死になるシャルロット。

「安心してください! 危険はありません──」

傷だらけにもかかわらず、振り手振りで市民へと語りかける。

しかし、市民の揺は収まらない。

「おい、誰か倒れているぞ……あれは……まさかっ、吸鬼か!?」

「きゃあぁっ、吸鬼よ!」

「大変だ! 早く逃げるんだ!!」

鬼の存在で、ますます騒ぎは広がっていく。

そんな中、ゆっくりと起きあがるオリヴィア。

市民の騒ぎなど、全く耳にっていない様子だ。

「はぁ……怪我を治さなくては……すぐに治療します……」

オリヴィアの杖から、治癒魔法が放たれる。

同時に、眩い朝日が町に差し込む。

そして、ロームルスの市民は奇跡の景を目の當たりにする。

市民に向かって必死に語りかける、傷だらけの王

に照らされて、キラキラとしい輝きを放っている。

治癒魔法のも重なって、まるで金っかを背負っているようだ。

不思議な杖を持ったと、白銀の剣を持ったを従える、り輝くしい王様。

「見てみろ……なんて……なんてしいんだ……」

「はぁっ……綺麗……」

あまりの神々しさに、騒ぎは徐々に収まっていく。

それと同時に、恐怖の象徴である吸鬼は、日のを浴びて、灰となって消えていく。

「吸鬼が……消えた……」

「これは……まさか、シャルロット様のお力か……?」

「……天使様だ……」

誰かの口から、ポソリとれた言葉。

それを聞いた市民は、次々と歓喜の聲をあげる。

「あぁ……天使様だ……!」

「吸鬼が倒された! 天使様に倒されたんだ!!」

「シャルロット様は太の天使様だったんだ!!」

「いえ……ワタクシは天使では……」

否定をしようとするシャルロット。しかし、歓喜の波は止められない。

聲はより大きな聲を呼び、歓聲は大きな波となって町へと広がっていく。

「天使様ぁ!!」

「太の天使様だわ! 私達を吸鬼から救ってくれたのだわ!!」

「シャルロット様! 太の天使様! ばんざーい!!」

「「「「「天使様! 天使様! 天使様!!」」」」」

早朝から大盛りあがりを見せる、ロームルスの町。

この日以降、狂心王と呼ばれていたは、太の天使様と呼ばれるようになったのだった。

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