《魔王様は學校にいきたい!》次なる波

分厚い雲のかかった空の下。

ウルリカ様、オリヴィア、シャルロット、ナターシャの四人は、寮から學園までの道のりを歩いていた。

「學校じゃ~! 學校なのじゃ~!」

「ウルリカ様! 上著を忘れていますよ!」

朝早くから、大はしゃぎで登校するウルリカ様。

走り回るウルリカ様を追いかけて、オリヴィアは汗びっしょりだ。

「ウルリカ様、つかまえました! はぁ……はぁ……」

「うむ? オリヴィアよ、なにやら疲れておるな?」

「ウルリカ様のせいですよぉ~」

平和な朝の登校風景。

そんな中ナターシャは、とある異変に気づく。

「おかしいですね……今は通學の時間なのに、他のクラスの生徒は寮に戻っていきますよ?」

「本當だわ……どういうことかしら?」

不思議に思いながらも、教室塔へ到著する四人。

そこでシャルロットは、見知った顔を発見する。

「あら、ルードルフ大臣?」

「お待ちしておりましたよ、シャルロット様」

教室塔の前で待っていたのは、ロムルス王國の大臣ルードルフである。

大きな馬車を引き連れて、々しい雰囲気だ。

「わざわざ學園まで……一どうしましたの?」

「実はみなさんに、殘念なお知らせを持ってきたのです……」

そう言ってルードルフは、申し訳なさそうに表を曇らせる。

「えー……本日の授業は全て中止です」

「なっ、なんじゃとぉっ!?」

ルードルフからのお知らせを聞いて、ウルリカ様は膝から崩れ落ちてしまう。

「ウルリカ様! しっかりしてください!」

「中止……なぜじゃ……中止……なぜじゃ……中止……なぜじゃ……」

グルグルと目を回しながら、ブツブツと呟くウルリカ様。

先ほどまでの元気は様子からは一転、オリヴィアに支えられてフラフラだ。

そんなウルリカ様を心配そうにしながら、シャルロットはルードルフに質問をする。

「まさか……また下級クラスという理由で、授業を中止にされましたの?」

「いいえ、今回はロームルス學園の全クラスで、一斉中止となっております」

「「全クラスで一斉中止!?」」

驚くシャルロットオリヴィア。そして呆然自失のウルリカ様。

一人冷靜なナターシャは、あることに気づく。

「そっか! それで他のクラスの生徒は、寮に戻っていたのですね」

「そういうことですの……でもどうして、授業は中止になりましたの?」

「理由については後ほど説明しますよ」

パチンと指を鳴らすルードルフ。

すると、馬車の扉がゆっくり開いていく。

「とりあえずシャルロット様とウルリカは、ロームルス城までお越しください」

「ロームルス城ですの?」

「ええ、ゼノン王がお二人をお待ちです」

こうして、またもや授業をけられなくなってしまったウルリカ様。

次なる波が、幕を開ける。

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