《魔王様は學校にいきたい!》エリザベス王の作戦

ロームルス城、會議室。

々しい雰囲気の中、四人の聖騎士が円卓に座っている。

エリザベス、スカーレット、カイウス、そしてゴーヴァンだ。

「では明日の戦いに向けて、作戦を発表する!」

円卓の上に地図を広げるエリザベス。

騎士の形をした駒を、地図の上へと配置していく。

「まず第一陣は、私とスカーレット、カイウスの三人だ」

の駒を、パラテノ森林の上へと進める。

「私達三人で森へり、大型の魔を一掃する!」

続いて殘った駒を、ロームルス學園の上へと配置する。

「第二陣はゴーヴァンだ、騎士団を統率しロームルス學園に陣を敷け。森を抜けてきた魔はここでおさえろ!」

ロームルス學園の上に、ウジャウジャと集まる大量の駒。

パラテノ森林の上に、ポツンと孤立する三つの駒。

地図上には、明らかに歪な陣形が完する。

「作戦は以上だ! では騎士団の編を──」

「なっ!? お待ちください!」

席を立とうとするエリザベスを、ゴーヴァンは慌てて止める。

「どうしたゴーヴァン、なにか質問か?」

「失禮を承知で申しあげます、この陣形はあまりにも歪かと思われます」

ゴーヴァンの意見を、「フンッ」と鼻で笑うスカーレット。

「ねぇ、どこが歪なのよ?」

「明らかに歪だろう! 今回の相手は普通の魔ではない、兇暴化した危険な魔だ。たった三人で森にるなど、あまりにも危険──」

「ちょっとゴーヴァン、あなた本気で言ってるの? 森にるのはエリザベス様と私達なのよ? 討伐難易度Aの魔でもいない限り、危険なんてありえないわよ!」

「スカーレットの言う通りだ、森にるのは三人の聖騎士なのだぞ? 兇暴化していようとも、魔など恐れるに足りない!」

まったく意見を聞きれてもらえないゴーヴァン。

しかし、諦めずに食い下がる。

「陛下からご命令で、ロームルス學園と合同作戦を組まなければなりません。學園戦力はどこに配置するのですか?」

それを聞いたカイウスは、「はぁ」と深いため息をつく。

「學園の素人達など、戦場ではただの足手まといです。故に足手まといは戦場に置かない、これこそ勝利へ向けた陣形なのですよ」

「それでは陛下からのご命令を無視していることになるだろう!」

「ですから、學園の方々には後方で待機してもらいます。後備えとして役割を與えておけば、文句も言わないでしょう」

「そんな暴な理屈で──」

なおも食い下がろうとするゴーヴァン。

しかしエリザベスによって、強引に止められてしまう。

「くどいぞゴーヴァン! 作戦は決定事項だ!!」

「くぅっ……」

「とにかくお前は、騎士団を率いてロームルス學園に陣を敷け! これは命令だ、いいな!」

「……かしこまりました……」

「では騎士団の編を頼む、明日の朝までには間にあわせろ! 以上だ!」

命令を下したエリザベスは、スカーレットとカイウスを引き連れて、會議室をあとにする。

殘されたゴーヴァンは、駒の配置された地図をじっと見つめている。

「こんな作戦で勝てるのか? それに陛下のご命令は……くそっ!」

び聲をあげ、円卓を叩きつけるゴーヴァン。

衝撃で駒はバラバラと散っていく。

怪しい雲行きの中、準備を進めるそれぞれの陣営。

との戦いは、もう間もなくだ。

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