《魔王様は學校にいきたい!》討伐難易度A
ロームルス學園の戦いが幕を閉じた頃。
パラテノ森林の中腹では、激しい戦いが続いていた。
三角形に陣形をとる、三人の聖騎士
その中心では、赤い鎧の魔が靜かに佇んでいる。
「強いっ……この強さ、恐らくは討伐難易度Aかと思われます」
「どうしてこんな所に、討伐難易度Aの魔がいるのよ!?」
剣を構えるカイウスとスカーレット。
額にはビッショリと汗をかき、余裕のない様子だ。
「ワレ……オニマル……ワレ……オニマル……」
赤い鎧の魔“オニマル”は、憑りついたザンガの口を使って、ボソボソと呟いている。
低く暗い聲は、とても人間のものとは思えない。
「こいつを王都にれるわけにはいかん! ここで食い止めるぞ!」
「「はっ!」」
エリザベスの號令で、スカーレットとカイウスは同時に斬りかかる。
対するオニマルは、巨大な刀をゆっくりと持ちあげる。
「やあぁぁっ!」
目にも止まらぬスカーレットの連続攻撃。
しかしオニマルは、見事な太刀さばきで全ての攻撃を防いでしまう。
「くぅ……魔のくせに、生意気!」
「スカーレット! そのままきを止めていてください!」
追撃を加えるカイウスは、超高速の突きを繰り出す。
だがオニマルは、グルリとを反転させてカイウスの突きをやり過ごす。
「今のをかわされるとは……恐るべき戦闘能力ですね……!」
「スカーレット! カイウス! 下がっていろ!!」
大剣を橫なぎに振るうエリザベス。
刀を構え、真正面からけるオニマル。
刃と刃がぶつかりあい、激しく火花を散らせる。
「まだまだぁっ!!」
「……!」
エリザベスとオニマルは、壯絶な刃の応酬を見せる。
激しすぎる攻防に、スカーレットとカイウスは加勢することも出來ない。
「エリザベス様と互角とは……とてつもない強さですね」
「確かにそうね、でもエリザベス様は絶対に負けないわ!」
二人の見守る中、エリザベスは勝負に出る。
「てやあぁぁっ!!」
全全霊の踏み込みで、上段から大きな一撃を繰り出す。
迫る大剣に対して、オニマルは緩やかに刀をそわせる。
「なっ!?」
ザンッと音を立て、空を切る大剣。
直撃するはずだったオニマルには、傷一つついていない。
驚くべきことにオニマルは、絶妙な刀使いで大剣の軌道をそらしたのだ。
驚きのあまり、ほんの一瞬だけきを止めるエリザベス。
オニマルはその隙を見逃さない。
「……コロス!!」
きを止めたエリザベスへ、オニマルの刀が迫る。
そして──。
「エリザベス様! 危ないっ!!」
弾ける鎧、舞い散る鮮。
赤い鎧の聖騎士は、グッタリとその場に倒れていく。
「スカーレット!!」
「うぅ……エリザベス……様……」
「なんてことだ……私を庇ってくれたのか……」
「……ご無事……で……よかった……」
まみれのスカーレットを、エリザベスはそっと抱きかかえる。
真っ赤に染まる二人へと、オニマルはさらなる攻撃を仕掛けてくる。
「……コ……ロス……!」
「させません!」
間一髪で割り込んできたカイウスは、オニマルの攻撃をけ止める。
しかし、細のレイピアではオニマルの刀をけ止めることは出來ない。
「……コロス!」
「ぐぅっ……ぐあぁぁっ!!」
レイピアごと切り飛ばされて、カイウスはゴロゴロと地面を転がる。
「カイウス!!」
そのままグッタリと倒れるカイウス。
青い顔で意識を失うスカーレット。
「スカーレット……カイウス……くそっ!!」
怒りに燃えるエリザベスは、オニマルへと斬りかかっていく。
「貴様! 許さんぞ!!」
「……オニ……ニ……!!」
「うおおぉぉっ!」
嵐のように斬撃を繰り出すエリザベス。
しかし、冷靜さを失った太刀筋は簡単に弾かれてしまう。
バキンッと音を立てて、宙を舞う大剣。
「バカなっ──!?」
勢を崩したエリザベスへと、オニマルの刀が襲いかかる。
とっさに両腕で防をするエリザベス。
その時──。
「そこまでじゃ!」
差した腕の隙間から、エリザベスはそっと前を覗く。
その瞳に、オニマルの刀を片手でけ止める、小さな背中が映る。
「うむ、遅くなったのじゃ!」
そこには、頼れる魔王様の姿があった。
【書籍発売中】【完結】生贄第二皇女の困惑〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜
【書籍版】2巻11月16日発売中! 7月15日アース・スターノベル様より発売中! ※WEB版と書籍版では內容に相違があります(加筆修正しております)。大筋は同じですので、WEB版と書籍版のどちらも楽しんでいただけると幸いです。 クレア・フェイトナム第二皇女は、愛想が無く、知恵者ではあるが要領の悪い姫だ。 先般の戦で負けたばかりの敗戦國の姫であり、今まさに敵國であるバラトニア王國に輿入れしている所だ。 これは政略結婚であり、人質であり、生贄でもある。嫁いですぐに殺されても仕方がない、と生きるのを諦めながら隣國に嫁ぐ。姉も妹も器量も愛想も要領もいい、自分が嫁がされるのは分かっていたことだ。 しかし、待っていたのは予想外の反応で……? 「よくきてくれたね! これからはここが君の國で君の家だ。欲しいものがあったら何でも言ってくれ」 アグリア王太子はもちろん、使用人から官僚から國王陛下に至るまで、大歓迎をされて戸惑うクレア。 クレアはバラトニア王國ではこう呼ばれていた。——生ける知識の人、と。 ※【書籍化】決定しました!ありがとうございます!(2/19) ※日間総合1位ありがとうございます!(12/30) ※アルファポリス様HOT1位ありがとうございます!(12/22 21:00) ※感想の取り扱いについては活動報告を參照してください。 ※カクヨム様でも連載しています。 ※アルファポリス様でも別名義で掲載していました。
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