《魔王様は學校にいきたい!》鬼の太刀
「ではジュウベエ、あとは任せたのじゃ!」
そう言うとウルリカ様は、森の暗がりへと消えていく。
主ウルリカ様の命をけ、殘されたジュウベエはゆっくりと腰の刀を抜き放つ。人の背丈ほどもある長大な刀だ。
「承知しました、ウルリカ様!」
靜まり返る森の中、ジュウベエとオニマルは刀を構え対峙する。
互いの殺気がぶつかりあい、息をするのも苦しくじるほどの張。
そんな中、先にいたのはオニマルだ。
「コロスッ……!」
刀を振るいながら、一足飛びでジュウベエとの距離を詰める。ウルリカ様の滅亡魔法で満創痍にもかかわらず、そのきは鋭さに満ちている。
一瞬でジュウベエの目の前まで移すると、勢いの乗った斜め上段の斬撃をくり出す。
「くるか……では、ジュウベエ・ヤツセ、參る!」
オニマルの渾の一振りに対して、ジュウベエの一振りは片手での雑に斬り返しだ。
全力で放たれた一振りと、片手で放たれた雑な一振り。しかし弾かれたのは、オニマルの放った全力の一振りである。
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勢を崩されるオニマル。一方のジュウベエは、大刀を構えたままビクともしていない。
「キル……! キル……!」
すぐに勢を立て直したオニマルは、立て続けにジュウベエへと斬りかかっていく。
火花が散る程の連続攻撃。しかしジュウベエは、全ての攻撃を片手のみで簡単にあしらってしまう。
「キルッ!!」
より一層深い踏み込みからの、中斷橫なぎの一撃。凄まじい衝撃波で、周囲の大木は真っ二つに斬り裂かれる。しかしその一撃すらも、ジュウベエは正面からあっさりとけきってしまう。
ギチギチと音を立て、刃と刃を押しつけあう両者。ジュウベエは「ふんっ」と息を吐き、強引につばぜり合いを押し返す。
「剣豪と聞いて期待していたのだが、その程度の実力か?」
「オニ……ニ……ナル……」
「鬼か……鬼を名乗るには、お前はあまりにも貧弱だ」
「コロスッ!!」
さらに殺気を増したオニマルは、目にも止まらぬ速度でジュウベエへと斬りかかる。対するジュウベエは、どういうわけか大刀を鞘に納めてしまう。
だらりと両腕を下げ、靜かに佇むジュウベエ。オニマルの刃が目前まで迫ったその時、大刀の柄に手をかける。
腰を落とし、大刀を引き抜き、弧を描くように刃を振るう。
しく、そしてあまりにも速すぎる居合いの一撃に、オニマルは反応すら出來ない。
「カァッ……!?」
キンッと音を立て、鞘へと納まるジュウベエの大刀。
そして宙を舞うオニマルの右腕。
ジュウベエの放った居合斬りは、見事オニマルの右腕を斬り飛ばしたのだ。
大きく勢を崩されながら、それでもオニマルは殘った左腕で強引に刀を振りかぶる。
「ウオォ……ワレ……オニマル……!」
振りあげられた刀には、赤い魔力がまとわりついている。オニマルの魂そのものを現化したかのような、禍々しい魔力だ。
強烈な殺気を放つ赤い刀を、満面の笑みで見つめるジュウベエ。
「まだ闘志を失わないか、天晴れだ!」
先ほどよりも深く腰を落とし、目を閉じて意識を集中する。シンッと音の消え去る中、ジュウベエの聲が靜かに響き渡る。
「では、そろそろ楽にしてやるか……」
次の瞬間、濃な殺気が周囲に満ち溢れる。
強大すぎるジュウベエの殺気を浴びて、木々は悲鳴をあげ、暗雲は渦巻き、大地には亀裂が走る。
「天晴れなお前に……本の鬼の力を見せてやろう……」
カッと目を見開き、柄に手をかけ、片足を引き、刃を抜く。
瞬きほどの間に行われる、神業的な居合いのき。
そして──。
「──鬼の太刀、羅剎らせつ──!!」
世界に走る、縦の一線。
雲は割れ、大地は裂け、森の端にまで斬撃が走り抜ける。
刀一振りの威力とは到底思えない、天変地異のような現象だ。
「──カッ!?」
ジュウベエの放った居合いの一撃で、真っ二つに斬り裂かれるオニマル。
切り口から吹き出してくる、のように赤黒い魔力。その濃な魔力のしぶきを、ジュウベエは無造作に摑みとってしまう。
「では最期に、お前のみをかなえてやろう」
大きく開かれたジュウベエの口から、ズラリと牙が顔を覗かせる。一本一本がまるで刃のような、鋭く恐ろしい牙だ。
「鬼になりたいのだろう? ならば俺の中で、鬼の魂として永遠に生き続けろ」
そう言うとジュウベエは、摑んでいたオニマルの魔力にガブリと食らいつく。
オニマルの魂そのものを食べているような、おぞましい鬼の所業である。そして、オニマルのみを葉えるための、ジュウベエなりの優しさに満ちた所業である。
「オ……オォ……オニ……ニ……」
最期に小さな聲をあげ、オニマルの魔力はジュウベエの口へと吸い込まれていく。
殘った鎧は音を立てて崩れ、ザンガのは灰となって散っていく。
「オニマルよ、よい戦いであった」
両の手をあわせるジュウベエ。
こうして、赤い鎧の魔は、本の鬼の魂と同化し消え去った。
そしてパラテノ森林の戦いも、靜かに終わりをむかえる。
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