《魔王様は學校にいきたい!》久しぶりの!
澄み切った青空の下。
ロームルス學園の敷地に、元気いっぱいな聲が響いていた。
「學校じゃ~! 久しぶりの學校なのじゃ~!!」
通學用の鞄を振り回しながら、パタパタと走り回るウルリカ様。その後ろをオリヴィアは、必死になって追いかけ回している。そんな二人を、にこにこと眺める下級クラスの仲間達。
もはや恒例となりつつある、下級クラスの登校風景である。
下級クラスにとっては、いつも通りに登校しているだけ。しかしこの日は、一般クラスや上級クラスの生徒から、異様な程の注目が集まっていた。
「見ろよ、下級クラスだぜ……」
「この前の戦いで、凄い活躍をしたらしい」
「シャルロット様だわ……勝利の神様だって噂なのよ……」
先日の戦いで大活躍を見せた下級クラスは、今や注目の的になっているのだ。
加えてこの日は、さらに目立つ事態が発生していた。
「ちょっと待て……なぜあの方も一緒にいるんだ!?」
下級クラスに混じって歩く、背の高い一人の。
Advertisement
どういうわけか下級クラスと一緒に、第二王のエリザベスも學園に向かっているのだ。
「エリザベス様だ……どうしてエリザベスが學園に?」
「きゃぁっ、今日もエリザベス様はステキだわ!」
「同じですけれど……はぁ……憧れてしまいますわ……」
スラリと高い長。キリっとしたしい顔立ち。でありながら聖騎士という立場。いわゆる“カッコいい”なエリザベスを見て、子生徒達はキャアキャアと騒いでいる。
「お姉様、相変わらずから大人気ですわね……」
「ああ……騎士になった頃から、どういうわけかに言い寄られるんだ……なぜだ……」
「はぁ」とため息をつくエリザベス。愁いを帯びた表に、再び黃い歓聲が湧きあがる。あっという間にエリザベスの周りは、興した子生徒でいっぱいだ。
そんな中一人の男子生徒が、子生徒をかき分けてやってくる。
「おい! なんだこの騒ぎは!!」
「おや! ハイリリリンなのじゃ!」
「ハインリヒだ! なんだその奇妙な名前は!」
現れたのは、生徒會長のハインリヒだ。名前を間違われて、ギロリとウルリカ様を睨みつけている。
しかしウルリカ様は、「ふむ?」と首をかしげて、睨まれていることなどまったく気にしていない。相変わらずの自由さだ。
イライラした様子のハインリヒは、鋭い視線をエリザベスの方へと向ける。
「エリザベス様、ここは學園の敷地ですよ。王族といえども、部外者は勝手にらないでください」
「部外者ではない、私は今日から下級クラスの先生だ」
「先生ですか、ならば仕方ない──」
コクリとうなずくハインリヒ。そして──。
「「「「「はあぁっ、先生!?」」」」」
ハインリヒも周りの子生徒達も、揃って驚きの聲をあげる。
一方のエリザベス本人は、しれっとしたものだ。
「なにを驚く? 下級クラスは先生を好きに選んでいいのだろう?」
「それはっ……その通りです。しかしなぜ、エリザベス様が下級クラスの先生を?」
「実はな、ウルリカは私の剣の先生なのだ」
エリザベスは膝をついて、小さなウルリカ様と視線をあわせる。
「昨日私は、ウルリカとジュウベエ殿に鬼の稽古をつけてもらったのだ。そして確信した、ウルリカとジュウベエ殿こそ、この世における剣の頂點だ。私の探し求めていた生涯の目標だ!!」
うっとりとウルリカを見つめるエリザベス。熱い視線からは信仰心すらじる程だ。
「ウルリカは私の先生だ。その先生のそばで先生をしながら先生のきを観察し、先生として常に先生の近くにいることで先生の強さのを暴きたいのだ。その為に私は先生のいる教室で先生をすることにしたのだ」
「……は? 先生の先生が……えぇ!?」
“先生”を言われすぎて、ハインリヒは完全な混狀態である。
「とにかく私は、今日から下級クラスの先生だ!」
「いや、そんな勝手は──」
「「「「「キャー、うらやましい!!」」」」」
「私もエリザベス様の授業をけたいですわ!」
「エリザベス様と同じ教室に……考えただけで興してしまいますぅ!」
「どうして私は下級クラスにらなかったの! きいぃっ!!」
ハインリヒの抗議の聲は、子生徒達の黃い聲にかき消されてしまう。グイグイと子達に押しのけられながら、それでもハインリヒは諦めない。
「ダメです! そんな勝手は許されません!!」
「そうか? ならば止めればいい……止められるものならな……」
スッと目を細めるエリザベス。
次の瞬間、刺すような威圧がハインリヒに圧しかかる。ジュウベエを彷彿とさせる、鬼のような威圧である。
「ぐっ……」
「どうした? 止めないのか?」
「くうぅ……」
「止めないのだな? ではみんな、教室に行こう!」
「ワーイなのじゃ~! 久しぶりの授業なのじゃ~!!」
ピョーンと飛びあがったウルリカ様は、エリザベスにギュッと抱きつく。
「ありがとうなのじゃ! エリザベス先生!!」
「ふわぉっ!? ここっ、こちらこそ!」
ウルリカ様のギュッとされて、エリザベスはたじたじだ。
先ほどまでの鬼の威圧は、一どこへいったのやら。
こうして、下級クラスに新たな先生が加わったのだった。
【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本物の悪女となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】
公爵令嬢のアサリアは、皇太子のルイスに婚約破棄された。 ルイス皇太子が聖女のオリーネに浮気をして、公爵令嬢なのに捨てられた女として不名譽な名がついた。 それだけではなく、ルイス皇太子と聖女オリーネに嵌められて、皇室を殺そうとしたとでっちあげられて処刑となった。 「嫌だ、死にたくない…もっと遊びたい、あの二人に復讐を――」 処刑される瞬間、強くそう思っていたら…アサリアは二年前に回帰した。 なぜ回帰したのかはわからない、だけど彼女はやり直すチャンスを得た。 脇役のような立ち振る舞いをしていたが、今度こそ自分の人生を歩む。 「たとえ本物の悪女となろうと、私は今度こそ人生を楽しむわ」 ◆書籍化、コミカライズが決定いたしました! 皆様の応援のお陰です、ありがとうございます! ※短編からの連載版となっています。短編の続きは5話からです。 短編、日間総合1位(5/1) 連載版、日間総合1位(5/2、5/3) 週間総合1位(5/5〜5/8) 月間総合2位
8 66【書籍化】斷頭臺に消えた伝説の悪女、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏を望む【コミカライズ】
☆8/2書籍が発売されました。8/4コミカライズ連載開始。詳細は活動報告にて☆ 王妃レティシアは斷頭臺にて処刑された。 戀人に夢中の夫を振り向かせるために様々な悪事を働いて、結果として國民に最低の悪女だと謗られる存在になったから。 夫には疎まれて、國民には恨まれて、みんな私のことなんて大嫌いなのね。 ああ、なんて愚かなことをしたのかしら。お父様お母様、ごめんなさい。 しかし死んだと思ったはずが何故か時を遡り、二度目の人生が始まった。 「今度の人生では戀なんてしない。ガリ勉地味眼鏡になって平穏に生きていく!」 一度目の時は遊び呆けていた學園生活も今生では勉強に費やすことに。一學年上に元夫のアグスティン王太子がいるけどもう全く気にしない。 そんなある日のこと、レティシアはとある男子生徒との出會いを果たす。 彼の名はカミロ・セルバンテス。のちに竜騎士となる予定の學園のスーパースターだ。 前世では仲が良かったけれど、今度の人生では底辺女と人気者。當然関わりなんてあるはずがない。 それなのに色々あって彼に魔法を教わることになったのだが、練習の最中に眼鏡がずれて素顔を見られてしまう。 そして何故か始まる怒濤の溺愛!囲い込み! え?私の素顔を見て一度目の人生の記憶を取り戻した? 「ずっと好きだった」って……本気なの⁉︎
8 136妹と兄、ぷらすあるふぁ
目の前には白と黒のしましま。空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。 あたしは今お兄ちゃんと信號待ちです。 「ねぇ、あーにぃ」 ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向け 「ん? どうした妹よ」 と、あたしに話しかけます。 「どうして車がきてないのに、赤信號だと止まらないといけないの?」 先ほどから車が通らないしましまを見ながらあたしは頭を捻ります。 「世間體の為だな」 お兄ちゃんは迷わずそう答えました。 「じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?」 あたしはもう一度お兄ちゃんに問いかけます。お兄ちゃんは右手を顎の下にもって行って考えます。 「何故赤信號で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい」 ……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。そうしている間に信號が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。 「青信號で止まったりはしないの?」 「しないな」 お兄ちゃんは直ぐに答えてくれました。 「どうして?」 「偉い人が青信號の時は渡っていいって言ってたからな」 「そっかー」 いつの間にか信號は赤に戻っていました。 こんな感じのショートストーリー集。 冬童話2013に出していたものをそのまま流用してます。 2016年3月14日 完結 自身Facebookにも投稿します。が、恐らく向こうは二年遅れとかになります。 ストリエさんでも投稿してみます。
8 197魔術がない世界で魔術を使って世界最強
現代に生きる魔術師日伊月彌一は昔、魔術師にとって大事な目の右目を失い戦闘魔術師の道をあきらめ、亡き父が殘した魔術に科學兵器を組み込んだ”魔動器”の開発・研究を行っていた。 ある日、突如教室に魔方陣が浮かび上がり、気がつけばそこは異世界だった!? 困惑の中、話し合いの末、魔王軍との戦爭に參加することになり、ステータスプレートと呼ばれるもので潛在能力と職業をしる。 彌一の職業は”魔術師” それは魔術に対して大幅な補正が掛かるとゆうものだのった。 「この職業を伸ばせば俺は昔の俺に戻れる。いや昔を超える魔術師になれる!!」 と喜んだが、 「魔術とは?」 「・・・え?」 なんとこの世界には魔術をいう概念が存在しない世界だった!! そんな中初めての訓練の最中、魔王軍の奇襲を受けてしまい彌一は世界の6大古代迷宮のひとつに飛ばされてしまった。 大迷宮を攻略するため迷宮の最深部を目指す中、迷宮の中で一人の少女と出會う。 ーーーー「あなたも私を殺しにきたの・・・」 これは、魔術がない世界で現代の魔術師が世界中の大迷宮を旅しながら、嫁とイチャイチャしたり、可愛い娘や美人エルフの従者と出會い、世界最強の魔術師を目指す物語である。 週一回のペースですが、最近は遅れ気味です。出來次第更新していくつもりです。暇なときにぜひ!評価、感想どしどしお待ちしています! ツイッターもやっているのでよければフォローよろしくお願いします!
8 183職業通りの世界
この世界では、職業が全て。 勇者「俺が魔王を倒す!」 魔法使い「魔法で援護する!」 剣士「剣で切り刻んでやる!」 そんな中、主人公である館山陸人(たてやまりくと)の職業は…… 執事「何なりとお申し付けください」 予想とは裏腹に、萬能な執事という職業で、陸人は強くなっていき、最終的には勇者をも超える存在に!? 投稿ペースは不定期です! 2作目になります。前作と繋がっているところはほとんどありませんので、気にせず読んでもらって結構です。 ですが、後半の展開は前作を読まれるとより楽しめます! 誤字脫字の報告や感想はいつでもお待ちしております! Twitterもやりますので、感想を書くのが恥ずかしいとかある場合はそちらに是非!質問もある程度はお答えします! ヒロ @hi_rosyumi
8 93天使と悪魔と死神と。
杏樹(あんじゅ)は小さな頃から孤児院で育った。孤児院の日々はつまらない。どうにか抜け出したいと思っていたある日、孤児院のブザーがなって……
8 125