《魔王様は學校にいきたい!》本の大悪魔
ここは魔王城。
魔界の中心に建つ、巨大な城である。
以前はウルリカ様を中心に、たくさんの魔族で賑わっていた謁見の間。しかし今は、広くて寂しいガランとした空間が広がっているだけだ。
そんな謁見の間に、ポツンと人影が立っていた。ウルリカ様の補佐役である、魔界の宰相ゼーファードである。
「はぁ……ウルリカ様……」
誰もいない謁見の間で、ゼーファードは小さな聲をらす。ウルリカ様のいない寂しさのせいか、虛ろな視線をフラフラとさ迷わせている。
その時、薄暗かった謁見の間にぼんやりとが現れる。の正は突如として現れた大量の魔法陣だ。重なりあう魔法陣はの柱を作りだし、そして──。
──ズズンッ!!──。
魔王城を揺るがす激しい衝撃と、視界を覆い盡くす白い靄。時空間魔法特有の現象を見て、ゼーファードは思わず聲をあげる。
「まさか……ウルリカ様!?」
真っ白な靄の中を、人影が立ちあがろうとしている。その影を発見したゼーファードは、喜々として駆け寄っていき、そして──。
「ウルリカ様! お會いしたかったです──!!」
「うぅ……ここは……?」
「──って、誰だ貴様はぁっ!!」
靄の中から立ちあがった男──アルベンス伯爵に向かって、渾の飛び蹴りを食らわせるのだった。
蹴り飛ばされたアルベンス伯爵は、ビタンビタンと跳ね回ってかなくなる。魔界の宰相の飛び蹴りの威力は、それはそれは恐ろしい。
「なんだ貴様は! なぜウルリカ様の時空間魔法から、貴様のようなわけの分からない奴が現れる!!」
「ぐ……ぐうぅ……」
完全にブチ切れているゼーファード。そんなゼーファードの手元に、ヒラヒラと一枚の紙が舞い降りてくる。
「ん? これは……ウルリカ様の字に間違いありません!」
紙に書いてある文字を見て、一瞬でウルリカ様の書いた字だと気づいたゼーファード。丁寧に紙を広げると、恭しい態度で読みあげる。
「なになに……“そこの自稱大悪魔は、妾の大切な友達を傷つけたのじゃ。よって罰としてゼファへ預けることにしたのじゃ。自稱大悪魔な小悪魔に、本の大悪魔の恐ろしさを叩き込んでやるのじゃ”……ほう?」
読み終えたゼーファードは、靜かな殺気のこもった視線をアルベンス伯爵へと向ける。視線の先ではアルベンス伯爵が、ようやく起きあがってくるところだ。
「ここは一どこだ? 一なにが起きたんだ!? そこのお前、答え……ろ……」
喚き散らしていたアルベンス伯爵だったが、ゼーファードの姿を見るや否や言葉を途切れさせてしまう。
「ウルリカ様のご友人を傷つけるとは……命知らずにもほどがありますねぇ……」
「ひいっ!?」
ゼーファードの放つ魔力は、闇よりも深く暗いものだ。
アルベンス伯爵は一瞬にして、ゼーファードとの格の違いを思い知ったのである。恐怖に震えるアルベンス伯爵へと、ゼーファードは靜かに語りかける。
「では……ウルリカ様のご命令どおり、たっぷりと恐怖を叩き込んであげましょう……」
そう言って本の大悪魔は、ニッコリと恐怖の笑顔を浮かべるのだった。
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