《魔王様は學校にいきたい!》

今日は休日、ポカポカ気のステキなお天気。

シャルロットからのおいで、ウルリカ様はロームルス城の中庭テラスを訪れていた。もちろんオリヴィアとナターシャも一緒である。

暖かな日差しに照らされながら、四人は豪華なティーテーブルに座っている。テーブルは華やかで香り高い紅茶と、とりどりのおかしでいっぱいだ。

大好のおかしを前にして、ウルリカ様は足をパタパタと揺らして大喜びである。シャルロットはクスリと微笑んで、紅茶とおかしを三人に勧める。

「お母様からいただいた上等な紅茶とおかしですの! さあ召しあがれ!」

「待ってましたなのじゃ! いただきますなのじゃ!」

元気いっぱいなウルリカ様は、パクパクとおかしを口に放り込んでいく。そして勢いよく、熱々の紅茶に口をつけ──。

「あちちっ」

真っ赤になった舌を出して、目に涙を浮かべるウルリカ様。慌ただしく可らしい様子に、三人は聲を揃えて笑ってしまう。

「ナターシャとオリヴィアもどうぞ」

「ありがとうございます、いただきます!」

ナターシャは火傷をしないように、ゆっくりと紅茶に口をつける。熱々の紅茶を一口飲んで、次の瞬間パァッと表を明るくさせる。

味しい! 凄く味しいです!」

「他國から輸した貴重な紅茶から、さらに香りのいいものを厳選していますのよ」

一方おかしを食べたオリヴィアは、目を丸くして驚いていた。

「凄い……凄いです! 味しすぎます!」

「王都で有名なおかし職人さんの作品ですのよ。お母様のご友人らしくて、特別にいただいたものですの」

「有名なおかし職人さんですか……」

オリヴィアは真剣な表で、じっとおかしを観察する。どうやら自分のおかし作りの參考にしようとしているようだ。

「紅茶もおかしも驚くほど味しくて、どうしても三人に食べてもらいたかったのですわ。それでお休みの日にわざわざ、王城まで來てもらいましたの。どうやら気にってもらえたみたいでよかったですわ」

「うむ……うま……うむ……うま……」

夢中でおかしを口に放り込むウルリカ様。うっとりとした表で紅茶を楽しむナターシャ。じっとおかしを観察し続けているオリヴィア。三者三様に楽しむ友人達を見て、シャルロットもニコニコと笑顔で楽しそうだ。

そんな和やかな雰囲気の中──。

──ドオォォンッ!!──

突如として鳴り響く発音、城を揺るがす巨大な振。和やかな雰囲気は一変し、ロームルス城は張に包まれる。

「「「きゃあぁっ!?」」」

「うむ……うま……うむ……うま……」

あまりにも大きな衝撃に、シャルロット達は椅子から転げ落ちてしまう。

そんな中ウルリカ様だけは、一心不におかしを頬張り続けている。発音などものともしない、流石の魔王様である。

「シャルロット様! おケガはございませんか?」

「ありがとうオリヴィア、ワタクシは大丈夫よ……」

「うぅ……まるでなにかが発したみたいな、もの凄い音でした……」

周囲に視線をやると、騎士や侍が大慌てで走り回っている。先程の発音で城は大騒ぎなのだ。起きあがったシャルロットは、近くを走っていた侍を強引に呼び止める。

「ちょっと! そこのあなた!」

「あっ、シャルロット王様!」

「先ほどの衝撃は一なんですの?」

「えっと……実は城門付近で、大きな発が起こったのです」

「城門で発? どうして発なんて起きましたの?」

「それは……とある方が発を起こされたようでして……」

「とある方? それは一誰ですの?」

聞かれた侍はどういうわけか、とても言い辛そうな表を浮かべている。しだけ間を開けて、侍は小さな聲でシャルロットの質問に答えた。

「あの……第一王様です……」

「第一王……って、クリスティーナお姉様ですの!?」

こうして平和なロームルス城に、新たな波が訪れるのだった。

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