《魔王様は學校にいきたい!》ヴィクトリア王の相談

に映えるロームルス城。

ゼノン王は一人で、書斎にこもり考え事をしていた。

「ふむ……」

考え事をしながら、ゼノン王は広い書斎をグルグルと歩き回っている。すると不意に、背後から聲をかけられる。

「あなた?」

振り返るとそこには、ゼノン王の妻であるヴィクトリア王が立っていた。

「ヴィクトリアか、どうした?」

「あなたに相談をしたくてね、でもその前に……」

そう言うとヴィクトリア王は、豪華なフカフカのソファに腰かける。ゼノン王も向かい側のソファに腰かけて、ちょうど夫婦で向かいあう形だ。

「ずいぶん真剣に考え事をしていたのね?」

「あぁ……し頭を悩ませていてな……」

「ふふっ……さてはクリスティーナのことでしょう?」

ヴィクトリア王の言葉に、ゼノン王はハッと驚いた表を浮かべる。まさしくゼノン王が頭を悩ませていたことを、ヴィクトリア王は見事に言い當てたのだ。

「あなたの考えていることは、なんでもお見通しよ? だって私はあなたの妻ですもの」

「まったく……お前に隠しごとは出來ないな」

「はぁ」と大きくため息を吐いて、ゼノン王は観念したように両手を広げる。

「クリスティーナは魔法の研究に沒頭するあまり、長く地方に引きこもっていただろう? 王族としては不健康な狀態だと思ってな、それで王都まで呼び寄せたのだ。しかし……」

「呼び寄せた途端に、晝間の発事件を起こしてしまったというわけね」

「國政にまったく関心を示さず、國民とれあおうともしない。周囲と協調することもなく、自分勝手に発など起こしてしまう。しは王族としての自覚を持ってほしいものだ……」

ゼノン王の表は、眉間にしわを寄せた険しいものだ。

「子供の頃の“あの出來事”のせいね……そのせいで人を信用出來なくなって、一人っきりで魔法の研究にのめり込んでしまったのよ」

「そのことは俺も承知している、しかしクリスティーナはもう大人だ。しは王族として立派な振る舞いを──」

そこでゼノン王は「違うな……」と呟くと、話を途中で切ってしまう。そして、先ほどまでとは別人のような優しい表を浮かべると、靜かに話を再開する。

「いつも一人のクリスティーナに、人と関わることの大切さを教えてやりたい。國民達とれあってもらい、人の溫かみを知ってほしい。一人の親として、俺はそう思っている」

それを聞いたヴィクトリア王は、ゼノン王に向かってピンッと人差し指を立てて見せる。

「あの子を大切に思ってくれて嬉しいわ。そんなあなたに私から、一つ相談があるのよ」

「そういえば相談に來たと言っていたな? もしやクリスティーナのことか?」

「その通りよ、実はあの子を────」

ヴィクトリア王から語られる相談容を、ゼノン王は黙って聞き続ける。

「──というのはどうかしら?」

「なるほど……それはいいな! 流石は俺の妻だ!」

大きくうなずいたゼノン王は、勢いよくソファから立ちあがる。

「お前の案を採用しよう! 明日からすぐにくぞ!」

「あなたならそう言ってくれると思っていたわ、クリスティーナを頼んだわね」

ヴィクトリア王の相談をけて、早速ゼノン王は一本の連絡をれる。

そして翌日──。

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