《魔王様は學校にいきたい!》特別授業
ロームルス城で起きた大発の翌日。ここはウルリカ様の通う、ロームルス學園の校庭。
薄く雨雲のかかった空の下、校庭には多くの生徒が集められていた。
集められているのは、白い制服を著た上級クラスの生徒達と、黒い制服を著た一般クラスの生徒達。そして紺の制服を著た下級クラスの生徒達。
ウルリカ様と同じ年に學した、一學年の生徒全員である。
「いきなり校庭に集合だなんて……一どういうことなんだ?」
「どうして下級クラスまで一緒なのかしら……わけが分からないわ……」
どうやら生徒達は全員、集められた理由を知らされてはいないようだ。いたる所でザワザワと、いぶかしむ聲をあげている。
そんな不穏な雰囲気の中、生徒達の前に二人の人が現れる。一人はロームルス學園の最高責任者であるノイマン學長。そしてもう一人は──。
「あれは……まさか!」
「クリスティーナ様だ!」
ロムルス王國の第一王、クリスティーナである。ノイマン學長とクリスティーナは、二人並んで生徒達の前に立つ。
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「コホンッ……お待たせしましたな、本日は──」
「ノイマン! ノイマン! 今日はどんな楽しいことをするのじゃ?」
「あー……これから説明しますのでな、もう々お待ちいただきたいのですな……」
「分かったのじゃ! 待つのじゃ!」
元気いっぱいに返事をして、素直に大人しくなるウルリカ様。ノイマン學長はホッとをなでおろして、生徒達への説明を再開する。
「本日はこちらのクリスティーナ様から、魔法の特別授業をしてもらうのですな」
「「「「「うおぉー! やったぜー!!」」」」」
クリスティーナの特別授業と聞いて、男子生徒は異様なほどの盛りあがりを見せる。
母親に似て気たっぷりのクリスティーナは、男からの圧倒的な支持を集めているのだ。ロームルス學園の男子生徒にとっても、クリスティーナは憧れの存在というわけである。
「知っての通りクリスティーナ様は、ロムルス王國屈指の魔法の使い手ですな。貴重な授業をしてくださること間違いなしですな。そこで今回は一學年の全員を集めた、合同の特別授業を開催することにしたのですな」
ノイマン學長からの説明中も、男子生徒は「クリスティーナ様! クリスティーナ様!」と聲をあげ続けている。そんな男子生徒を見る子生徒の目つきは、じっとりと白けたものだ。
なんともいえない微妙な雰囲気の中、シャルロットは一人クスクスと笑っていた。
「もしかしてシャルロット様は、特別授業のことを知っていたのですか?」
「そうよナターシャ……実はお母様から、こっそり教えてもらいましたの」
「ヴィクトリア様から?」
「今回の特別授業は、お母様からお父様に提案したものらしいのですわ。引きこもりがちなクリスティーナお姉様に、未來のロムルス王國を擔う若者達と接する機會をつくりたかったそうですの」
「なるほど! それでロームルス學園での特別授業なのですね!」
シャルロットの話を聞いて、ヘンリーはふと疑問を口にする。
「しかし王家と學園の関係は、あまりよくなかったはずです。學園側はどうして、特別授業を了承してくれたのでしょうか?」
「お父様からノイマン學長へ渉をする際に、『ウルリカもきっと喜ぶ』と伝えたらしいのですわ。そうしたらノイマン學長も、二つ返事で快諾してくれたそうですのよ」
「そういうことですか……ノイマン學長はウルリカさんを崇拝していますから、今回の提案を斷る理由はないというわけですね」
「特別授業なのじゃー! 嬉しいのじゃー!!」
シャルロットとヘンリーが話している間も、ウルリカ様はパタパタと校庭を走り回っている。ゼノン王とノイマン學長の狙い通り、ウルリカ様は特別授業に大喜びだ。
「待ってくださいウルリカ様! 靜かにしていないと授業をはじめられませんよ!」
「そうじゃったな! 靜かにじゃな……」
オリヴィアにおさえられて、ようやく大人しくなるウルリカ様。クリスティーナの特別授業に興していた男子生徒も、徐々に冷靜さを取り戻していく。
場の落ちつきを確認したノイマン學長は、いよいよ特別授業の開始を口にする。
「それではクリスティーナ様、特別授業をよろしくお願いしますな!」
「ええ……」
まったくやる気のない様子で、杖を取り出すクリスティーナ。
「クリスティーナ・ローレン・ティア・ロムルスよ……今日はよろしく……」
こうしてクリスティーナによる、魔法の特別授業が幕を開ける。
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