《魔王様は學校にいきたい!》深夜の研究室

深夜。

鬼もスヤスヤと寢息を立てている時刻。

ロームルス城、クリスティーナの私室に薄っすらと明かりが燈っていた。

大量の実験材と足の踏み場もないほどの本で埋めつくされた室は、もはや研究室と呼んでも過言ではない景だ。

「うぅぅ……ヒリヒリする……」

研究室の真ん中で、クリスティーナは大きな実験用の臺に肘をついて立っている。よく見ると薄明りに照らされて、真っ白なおが丸出しになっているではないか。

実は晝間の特別授業で火傷をしてしまったおが、まだ完治していないのだ。

「おがヒリヒリして……座れない……寢られない……うぅぅ……」

火傷した箇所を刺激しないよう、恥ずかしげもなくおを丸出しにしているクリスティーナ。涙ぐんだ聲をあげて、なんとも可哀そうな姿だ。

「それにしても……晝間の魔法……あれは……」

を刺激しないように注意しながら、クリスティーナは晝間の特別授業のことを思い出す。

「銀星式……生を魔法にして、強力な魔法を使わせる式……。魔界の研究で編み出された式……信じられない……けど……」

思い出しているのは、ウルリカ様の銀星式によって一斉に魔法を使う生徒達の姿だ。

「本當に生を魔法にする式だったら……それを私も使えるようになれば……ロムルス王國の……人類の得られる恩恵は計り知れない……」

実験臺に肘をついたまま、一點を見つめてじっと考え事をするクリスティーナ。研究室にはクリスティーナの獨り言だけが、靜かにポツポツと響いている。

「ついイラっとして……否定したけど……読みたい……あの本を……なんとしてでも……!」

グッと拳を握り、ゆっくりと顔をあげるクリスティーナ。

「あの子達は下級クラスだったはず……だったら……下級クラスに行けば……あの本も読める……?」

クリスティーナ瞳には、魔法研究に対する強い熱意がこもっている。

「決めた……明日は下級クラスに行ってみて……っ」

そう言ってかしたクリスティーナは、突然「うぅぅ……」とき聲をあげる。慌ててを元の勢に戻すと、そっとおに手をあてる。

「ヒリヒリする……早く……おの火傷を治さなくちゃ……」

薄暗い研究室に、クリスティーナの涙ぐんだ聲が響く。どうやらかした拍子に、火傷した箇所を刺激してしまったようだ。

こうして、クリスティーナの眠れない夜は更けていく。

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