《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》第二十八話 ポルタ村へ
/*** ミトナル=アカマース・マノーラ Side ***/
リンの橫で寢た。
違う。寢たつもりになっていた。リンの寢息が聞こえてくるまで、息を殺して寢たフリをしていた。
マヤは寢たのだろうか?
僕は、寢られない。大好きな人が、世界で・・・。違う。すべてを敵に回しても、僕自を殺してでも構わない。大切な人が橫で寢ている。を見られて、恥ずかしくない・・・わけではない。でも、リンがってくれた。僕は、それだけで心が・・・が・・・頭が・・・、僕の全部がおかしくなりそうだ。マヤがいなければ泣き出していたかもしれない。
今も、リンの腕を抱きしめている。こんな事が出來るとは思わなかった。僕の小さな(これからおおきくなる予定)をリンに押し付けている。拭いてもらう時に、リンが反応していた。そのまま押し倒してくれても良かったのに、リンは自制してしまったようだ。
リンの手がいて、僕をってくれる。こんなに幸せなことはない。
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僕のすべては、リンの為にある。
僕は、リンに抱きついたまま目を閉じた。寢ないと、明日の・・・。今日の活に問題が出る。リンに頼まれた大切な仕事だ。
リンが目覚める前に、出かけようと思っている。マヤもまだ寢ている。
ベッドから起き出した。僕が寢ていた場所だけが空っぽになってしまった。さっきまで、僕が抱きしめていたリンの腕に布団をかぶせる。
マヤを見るがまだ寢ている。
ダメだと思っても衝が止められない。
リンの手を持って、僕のこれから大きくなる予定のに當てる。両手で、リンの手を覆うようにする。心臓を、リンにあげる。リンの指がしいて、僕の敏な部分をってくれる。すごく嬉しい。リンの腕を布団の中に戻して、リンの顔を覗き込む。
僕が知っている神崎凜の顔ではない。でも、リンで間違いない。
ダメだと思っても・・・。リンのにふれるだけのキスをしてから、いだ服を著た。下著もしっかりとに付ける。リン以外に誰にもらせないし見せる事もない。
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「リン。マヤ。行ってきます」
返事がない事は解っている。
2人が寢ている間に出かけようと思ったからだ。
『ミル。無理するなよ』
え?
振り返ってしまった。リンからの念話だ。
『ミル?』
『リン。起きていたの?』
『寢られると思うか?』
『マヤは寢ているよね?』
『マヤは、すぐに寢始めたよ。もう1人が、もぞもぞしていたし、いい匂いだし、腕にらかいモノを押し付けるし、暗くなっても、”じーと”見つめられていたからな』
『起きていたのなら、教えてくれればよかったのに』
『ミル。解ったらどうした?』
『うーん。キス?』
『だから、教えなかった』
『うーー。リンの意地悪』
『ミル。本當に、注意しろよ。誰がブルータスなのかわからない狀態だからな』
『解っている』
『それならいい。行ってらっしゃい』
『うん。行ってきます』
リンは、誰かが裏切ると思っているのか?
僕は、裏切るとしたら現地の人間だと思っている。子で裏切るとしたら・・・カルーネやフレットかアルマールだろう。でも、それもリンが凜である事を明かした場合だけだ。今の狀況だと、裏切る理由が見當たらない。
まずは、サリーカに會って、セトラス商會から商隊に紹介された人選を聞いてみよう。
その後で、ウノテという人が誰から商隊を任されたのかを調べる。
「ミル!」
「イリメリ?どうしたの?」
「貴を探していたのよ。リンは?」
「宿屋に居ると思う」
「そう・・・。貴は、リンに付いて行くの?」
「行かない。自分を鍛える。そうだ、イリメリ。サリーカは居る?」
「サリーカ?なんか商隊がくとかで今朝早くに王都を出たよ?」
「出た?」
「うん。ひとまず、近くの街まで移してから、お父さんを説得して戻ってくるって言っていたわよ?どうしたの?ミル?」
「え?あっごめん。イリメリはどうするの?」
「私は、殘るわよ。ギルドの件もあるし、戻ってもしょうがないからね」
「そう・・・。わかった」
困った・・・。
サリーカの商隊が連れていた護衛なのか?
規模が違いすぎる。ぽっと出の商隊に雇えるとは思えない。後ろに誰かいる?
ウノテが、アゾレム領の人間だという事がどうしても気になってしまう。
どうしたらいい。
僕が1人で考えてもしょうがない。リンに正直に報告しよう。
そのためにも、まずは報を収集しよう。
サリーカ商隊があった所に行くと、昨日マヤに聲をかけてきた2人のが居た。幸いな事に、僕に気がついていないので、そのまま気配を消して近づく。
2人の會話から、誰かに頼まれたという雰囲気はない。
ウノテなる人もすぐに見つかった。アロイの街に來ていた商隊に頼まれたようだ。
僕は、考え違いをしていたかもしれない。
リンの所に戻る。
「リン!」
「どうした?」
「リンとマヤが襲われたのは、マガラ渓谷で合っている?」
「あぁ」
「マガラ渓谷は、アロイの街だよね?」
「そうだな?」
「ウノテは、アロイで商隊に頼まれたと言っていた」
「そうか、そうなると、ウノテさんはシロだな」
「僕もそうおもう」
「ありがとう。ミル」
「いい。もうし、彼たちを見張っている」
リンは、止めなかった。
やはり、なにか引っかかっているのだろう。
「ミル。彼たちが、マヤを見つけたのは偶然なのかな?」
「え?」
「あっ忘れてくれ、流石に考えすぎだろう」
それだけ言ってリンは黙ってしまった。
なにかを考えているようだ。
マヤを見つけたのは偶然か?
偶然じゃなかったら?
そっとリンが居て、マヤが寢ている部屋を出る。
リンの思考を邪魔しないように、考えを補足する為の報を収集するために、街に出る。
/*** リン=フリークス・マノーラ Side ***/
あれ?ミルは?
考え事をしていたら、いつの間にかミルが居なくなっていた。
やはり、考えすぎだろうか?
確かに、ウノテさんがアロイに來た商隊に頼まれたのだとしたらシロで間違いないだろう。
しかし、どこで依頼をけたかがわからない事が気になってしまう。
どのみち、ポルタ村には一度帰っておきたい。
それにナナに狀況を伝えておいたほうがいいだろう。
し神経質になっているのかもしれない。
「マヤ。し、買いに出ようかと思っているけど、どうする?」
「買い?」
「うん。村長たちへのお土産はいいとして、ナナにもなにか買っていこう」
「うん!」
布団から起きて、服を著だすマヤ。
マヤと2人で王都を見て回る事にした。
「ねぇリン」
「ん?」
「ミルもおうよ」
「そうだな。でも、ミルは今出ているよ?」
「お晝までに合流しよう?」
なんか、マヤが知っている様子だけど・・・。
気にしてもしょうがないだろう。今考えても答えは出てこない。
晝まで王都を2人で散策した。平穏な日常が妙に嬉しかった。途中で、フレット松田やカルーネ清水とすれ違ったが、軽く挨拶だけして、現狀の話をしだけ話をしてその場は別れた。
彼たちも、大膽に行する事ができているようだ。
真命の偽裝ができたことで、立花たちに見つかる心配が無くなったのが大きいようだ。
話の流れで、サリーカ中里が今王都に居ないことを知った。
土産をサリーカの所で買おうかと思っていたのに殘念だ。探しても見つからないはずだ。
裝飾品を売っている店を何箇所か回って、マヤが気にったものをいくつか購した。
マヤに似合いそうな髪飾りと、ミルに似合いそうな髪飾りも購した。2人には迷をかけているし、これから世話になるのは間違いない。
それにせっかくだから可くしておいたほうがいいだろう。
本當に、晝にミルと合流できた。
マヤとミルがネタバラシをしてくれた。念話で話をしていたのだという。
ミルが言うには、俺との念話よりも、マヤとの念話の方が繋がりやすいのだと言っていた。
検証は必要だろうが、そういうものだと理解しておけばいいだろう。
「リン。2人は、村の者とも接していない」
「そうか・・・。俺の考えすぎだったかな?」
「ん?リンもミルもどうしたの?2人って?ウーちゃんとサラナの事?」
確認の意味で、俺が考えていたことをマヤとミルに聞かせる。
パシリカをける前に発生した、マガラ渓谷での事は間違いなくニノサが殘した文章が影響しているだろう事。そして、文章を取り返していない犯人アゾレムは再度狙ってくる事が考えられる。
「ねぇリン?文章を取り返すのが目的なら、僕たちをマガラ渓谷に落とそうとするのは間違っているよね?」
「あぁ俺もそれが気になっている。文章を俺たちが持っていると思っているのか・・・。それとも、なにか違う目的が有ったのか?」
マヤの指摘はもっともだ。
文章を取り返す事が目的なら、俺たちを殺しても意味は無い。文章の中が解ってしまっている現狀を犯人アゾレムは知らない。文章がすでに、ローザスの手に渡った事も知られていないはずだ。
犯人アゾレムの目的が俺とマヤを殺す事ならまた何かを仕掛けてくる可能はある。
文章を奪う目的なら、ローザスが公表してしまえば襲われる可能は低くなる。
俺とマヤが生きていて不都合があると思われている場合でも、一度失敗している事から、二度目は違う方法を考えてくるだろう。それこそ、商隊ごと抹殺する事を考えるかもしれない。
それならそれで警戒していれば逃げるくらいは出來る可能が高い。
「リン。僕も一緒に行こうか?盾くらいにはなれると思う」
「ミル・・・。ダメだ。ミルを盾にするつもりはないし、ミルにはやってほしい事が多い」
「僕に?リンの子供を産むのならすぐにでも?」
「ミトナルさん?」
「リン?僕は本気だよ?」
「わかったから、まずは話を聞いてくれ」
「うん」
ミルの意図が読めない。
なぜそこまでと思ってしまう。
「ミルは、ローザスやハーコムレイの所に通って、できるだけ剣技や魔法を習得してしい」
「うん。そのつもり。僕のスキルと相がいい」
「それで、半年後の建國祭で行われる武闘會で優勝を目指してしい」
「僕が?」
「アドラの提示した條件は覚えているよな?」
「もちろん。有名になること!あっそういう事?」
「そう、ミルが優勝するか、それに近い績をおさめて、そのミルがギルドに所屬していると知れば、ギルドの宣伝にもなる」
「わかった。リンのみなら葉える!」
「うん。アドラの目的がわからないけど、なんとなくこの世界を発展させる事の様に思える」
「発展?」「発展?」
ミルとマヤが2人とも首を可くかしげる。
「あぁミル。この世界の事をどう思う?」
「どう?言っている意味がわからない。僕は、リンが居れば十分。他は気にならない」
「・・・。ミル。そうだな。理の法則は、同じだよな?」
「どうだろう?同じだと思うけど、細かい所までわからない」
「時代的には、中世だと思うけど、どう思う?」
「そうだね。中世ヨーロッパと言われれば納得してしまうけど・・・?ちょっとまってリン?」
「そう。馬車があるのに、荷車が無い。理の法則が同じなのに、今日王都を見て回ったけど、蒸留酒がなかった。羊皮紙が大量に出回っているのに、インクが稚拙だったりする。ちぐはぐなじがする。あと、多神教なのに、教會が一つしかない」
「どういうこと?」
「上手く言えないけど・・・発展が阻害されているように思える。または、魔法があるから、歪に進化しているのかもしれない」
「ねぇリンやミルが言っている事は難しくてわからないけど、もしかして、アドラステーア神がんでいる事って、リンたちがその進化を促進させる事じゃないの?」
「進化の促進?」
「うん。だって、リンやミルは、馬車の次に來るものを知っているのだよね?」
「・・・。知っているけど、作れないぞ?ミルも無理だろう?蒸気機関なんて仕組みしか知らないだろう?」
「うーん。簡単に説明は出來るけど、いざ作ってみようと思うと、試行錯誤は必要だね」
「難しく考えすぎだよ。例えば、今リンが言った蒸気機関?の仕組みを、ローザス殿下に説明したら、嬉々として研究すると思うよ」
「そうだな。うーん。そのためには、俺たちのことを説明しなければならないし、信用と信頼を得てからになるだろうな」
「リン!マヤ!私が・・・。違う。イリメリにやらせればいい。サリーカを巻き込んでもいい。ギルドでやればいい。僕は、難しい事はわからないけど、僕がイリメリとかに頑張って説明するよ。そうしたら、ギルドの意味も出てくるし、アドラの目的にも合致してくる!」
いい考えかもしれない。
立花たちが、自分たち以外は幸せになるようなことを行うとは思えない。『有名になる=権力を握る』ことだと考えるだろう。だったら、ギルドが代わりを行えばいい。
ギルドの後ろに誰かが居ると考えて潰そうとするかもしれない。
その時には、ミルが力をつけていれば太刀打ち出來るかもしれない。
小さな可能だけど、勝ち目が見えてきた。
立花たちも、ギルドが蒸気機関を作ったりすれば、俺やイリメリ瞳たちの存在を疑うかもしれない。真命しか調べる手段がないから、それが違っていれば、決定的な証拠にはならない。
そうだな。どこかでスケープゴートを用意すればいいかもしれない。
「ねぇリン。でも、一度はポルタ村に帰るのだよね?」
「そうだな。ニノサの事も気になるからな」
「うん。家の事も心配だよね」
「あぁ」
「それでどうする?」
「ん?あぁウーレンとサラナの申し出か?」
「うん」
「伝手もない事だし、お願いする事にするか?」
「わかった。それじゃ早速話してくるね」
「あぁミルも連れて行ってしい。護衛料が発生するなら、こだわる必要はないからな」
「わかった」「了解」
2人が、席を立って駆け出す。
それを見送りながら、なにか違和がある。説明できないモヤモヤがつきまとっている。
この違和が取れないまま。王都を出発する事になってしまった。
イリメリたちには見送りの必要がない事は告げている。それでも、ミルだけは”マヤの見送り”に來ている。
「リン。マヤ。気をつけて。僕は、王都で待っている」
「あぁ行ってくる」「ミル。ミルも気をつけてね。何があるかわからないからね」
「うん」
「リン!」
「行ってくるよ」
俺もそこまで馬鹿じゃない。
マヤを抱きしめてから、ポルタ村に向けて出発する商隊に合流する。
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