《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》第三十一話 村長
これから1話の文字數を5,000前後から3,000前後にします。
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街では、休むことはしない。最初から、皆に説明されていたので混する事なくマガラ渓谷を越えるための準備に取り掛かる。商隊は、ここで荷を、マガラ渓谷専用の荷臺に載せ替えるのだ。
マガラ渓谷では、皆が徒歩で越える事になる。マガラ渓谷専用の馬車はさすがに高くて使えないからだ。
専用場所の値段は昨今値上がり傾向にある。それだけではなく、アゾレムがマガラ渓谷の通行料を値上げする事を告知しているのだ。商隊は、唯々諾々として上がった通行料を稅金としておさめるか、マガラ渓谷を越える新しい方法を考えるか、別のなにか”いい方法”を考えるか、マガラ渓谷を超えた先との易を諦めるか、選択を迫られる事になっている。
今までは人頭稅として通行する人間にだけ稅金がかかっていたのだが、これからは重量で稅金がかかる事になる。
一人あたりの稅金は下がるので、パシリカの場合にはかなり安く通行する事ができるようになるのだが、商隊の様に荷を運んでいる場合には通行料が高くなってしまう。違うルートが無い為に商隊としては頭が痛い問題になってしまう。
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そして、商隊として頭が痛いのと同じくらいに、マガラ渓谷を超えた先にある村々にとっては、死活問題に直結しそうだ。
商隊が全く來なくなっる。と、いう事ではない。アゾレムの領都からの商隊は來るのだが・・・。ほぼ獨占された商隊の為に、値段渉が一切できなくなってしまうのだ。買いれも叩かれて安い値段で買われてしまう事が容易に想像できてしまう。
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リンとマヤの住む村の村長を、領主の代理を名乗る男が訪ねてきたのは、リンとマヤがパシリカに旅立った2日後だった。
村長は、そこで1つの命令をけた。
その命令を実行すれば、領都から來る商隊の數を増やすだけではなく、稅率を下げる事や、商品の値段を據え置きにする事が盛り込まれていた。
「リン!マヤ!お前たちが、マガラ渓谷に落ちたと聞いて・・・」
「ごめん」
マヤはすぐに謝ったのだが、リンはこのセリフを聞いておかしいとじた。
距離を考えると、村長がリンとマヤがマガラ渓谷に落ちたのを知っているのが不思議なのだ。
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”マヤ。村長に何を聞かれても、「知らない」や「覚えていない」で答えろ”
”え?なんで?”
”村長が、マガラ渓谷に俺たちが落ちた事をどうやって知ったのかが気になる”
”うーん。わかった。ごまかすのは難しいから、話さないようにする!”
”そうしてくれ”
「リン。どうした?儂の顔になにかついているのか?」
リンは、村長の顔を見つめて自分に意識を向けさせる。マヤが、村長の意識から離れた事でしだけ安堵を得る事に功した。そして、マヤが村長の側から離れて、自分の後ろに戻ってきたのを認識する事ができた。
「村長は、どうして?」
「だから、お前たちが心配になってだな」
村長の目線がマヤを探しているように思えてしまったが、リンは自分に意識を向けさせる様に導する事にした。
「そうですか、それは申し訳ない。でも、僕たちも巻き込まれただけで、自分から落ちたわけじゃないですからね」
「わかっておる。お前達が自分から落ちたなど考えても居ない。それで、どうやって助かったのだ?」
リンは、村長の返答が自分の考えていたとおりだった事で、悲しい気持ちになってしまった。予想が當たったと素直に喜べる心境にはならなかった。
この時點でリンは村長を敵に近いと考えるようになってしまった。
「それがわからないのですよ。気がついたら、アロイの街に戻っていました。荷も全部なくしてしまったけど、ニノサの知り合いに偶然會いまして、理由を説明したら、王都まで一緒に行ってくれる事になったのですよ」
本當の事は隠して説明をした。噓だと決めつけるのが難しい言い回しを使っている。
「そうだったのか?その護衛をしてくれた知り合いはどこに居る?」
「え?なんで、ですか?」
リンは、自分が村長を疑っていると骨にわかるように返事をした。
村長もそれに気がついたのだが、リンに言葉を返すだけで一杯なのだ
「そりゃぁ儂からもリンとマヤを助けてくれた恩人だからな、ニノサの知り合いなら儂も知っているかもしれない。合って禮を言うのは當然じゃろ」
「そう・・・。でも、もう次の街に行くとか言っていたし、名前も名乗らなかった。ニノサとサビニに昔世話になった者だとしか言われなかった」
「そうなのか?」
村長が何をんでいるのか?
目的が何なのか?
そして、本當に敵なのか?
リンは言葉や村長の態度から必死に読み取ろうとしている。
「うん。荷を無くした俺たちを何も言わずに護衛してくれたし、道中もいろいろ助けてくれたよ」
まずは、荷を強調してみる。
村長が領主の命令でいているのなら、荷がほしいのだろう。荷は、渓谷に落ちてしまったと思考を導して、荷がすでに無いと思わせる事ができればよい。実際にはすでに領主がしていた者はローザスの手元に渡っている。今更、領主がするようなはない。
「そうなのか?その知り合いから、リンかマヤがなにか荷や書類のようなを預からなかったか?」
リンは、村長が領主の指示でいていると確信した。
殘念だとは思ったが、拠點を移す事を考える切っ掛け程度にしか思っていなかった。
「何も預かっていませんよ。あっ食料とか武となる剣や防はもらいました。魔法の袋マジックポーチを持っていて、いろいろ譲ってもらいました。マヤは?」
リンは後ろを振り向いてマヤを見るが、首を橫にふるだけだ。
「そうか・・・」
「なんで、おじさんは、その人のことを気にするの?」
「え?あっそうじゃな。どんな人なのかわからないからな。お主たちに危害を加えるような事がなかったのなら良いのじゃ」
「問題なかったよ。それよりも、おじさんはどうするの?僕たちは一度村に戻ってから、王都に戻ろうと思うけどいいよね?」
「・・・。戻るのか?」
「うん。マヤとも話をしたけど、ニノサやサビニを探すにしても、村に居るよりも王都の方が探しやすいだろうし、マヤがパシリカをけていたの子と友達になって、宿屋の娘さんで事を説明したら安く泊めてくれる事になったから、しばらく王都で探してみて、見つからなければ、マヤと二人で各地を回ってみようと思っている」
村長に異論を挾まられる前に一気に話した。
言葉遣いがおかしかったり、矛盾點があったり、突っ込まれたら返答が難しいじだけど、一気に話して村に戻るつもりがないことを強調しておきたかった。
「リン・・・。わかった。若い者が村から出ていくのは寂しいが、ニノサ殿の息子ならしょうがないのだろうな」
最後は消えそうな聲だったが、なんとか村長は威厳を保ったままリンとマヤが村から出ていくのを承諾した。
「うん。ありがとう」
「・・・」
「そうだ。この後、おじさんはどうするの?僕もマヤも無事だったから村に戻るの?」
村長は、とある屋敷の方を見ている。
誰かから合図があるのだろうか?
リンは、村長がどこかを見ているのは気がついていたが、視線はそちらに向けるような事はしていない。まっすぐに村長だけを見ている。
”マヤ。村長が見ている方向を見てくれ、だれかが合図をしているようなら、顔を覚えておいてくれ”
”わかった!あっ商隊の中に居た人だ!名前は忘れちゃったけど、護衛だと紹介された人だと思う。貴族の館にっていったよ!”
”ありがとう。貴族の館?”
”うん。だと思う?”
”うーん。まぁいい。どっかの貴族に繋がった者なのだろう。ありがとう。その館からだれか出てきたら教えてくれ”
”うん!”
貴族が絡んできているのは間違いないと思ったけど、複雑な狀況になっているようだな。
もしかしたら、魔法の袋マジックポーチを強奪しようとした奴らとのつながりがあるかもしれない。
どう考えればいいのかもわからない。
確実にわかったのは、おじさんが”敵”だということで、村には長居しない方が良さそうだという事だな。
「儂は、リンとマヤが無事だったから、一緒に帰ろうと思う。商隊の人に頼んで見る事にする」
「わかった。商隊は、ウノテという人が仕切っているし、今なら最後尾に居ると思うよ」
「そうか。それじゃ話をしてみる。リンとマヤも危ないから、マガラ渓谷は一緒に行くから待っておれ」
「うん。わかった。先に進んでいても渓谷前で待ってるね」
「そうじゃな」
それだけいうと村長は隊列の後ろに向かって歩き出した。
ウノテとどんな話をするのか、リンは気になったが聞く事はできないだろうと、すっぱり諦める事にした。
「リン!」
「あぁマヤ。悪かったな」
「それで?」
「まだわからない」
「そう・・・。リンがわからないのなら、僕が聞いてもわからないね」
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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