《見た目は青年、心はアラサー、異世界に降り立つ! ~チートスキル「ストレージ」で異世界を満喫中~》五話
「スキル出? 名前からしてスキルを出するって事なんだろうけど」
今ストレージに収納したのは魔石と魔核の二つだけ。って事は、この二つのどちらか、或いは両方からスキルを出するって事なんだろう。だが、表現が曖昧すぎてイマイチよく分からない。
「とりあえずスキル出を選択して……対象は魔石の方か」
魔核の方にはコマンドは特に反応しなかった。つまり魔核で出來る事は現狀何もないって事か。
まあ今はそれよりも魔石の方だ。
「さて、それじゃあスキル出っと」
スキル出を選び、魔石からスキルを出してみると、スキルを出した魔石は「ゴブリン(特殊個)の魔石」からただの魔石に変化していた。
これはスキルが出されて無くなったからだろう。
次に出したスキルだが、今度はストレージに新たに別の畫面が増えていた。そこには「所持スキル一覧」と表示されており、強化と気配探知の二つが表示されていた。
「なるほど。出したスキルは通常とは別枠で保存される訳か。で、このスキルは一何に使えるのか……はい?」
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何の気なしに強化のスキルを選択してみた。が、そこに現れた選択肢は俺の予想を超えるだった。
強化を選んだら、「スキルを習得」と出てきたのだ。
これってつまりアレか? ここでスキル習得を選ぶと、強化を習得できるって事か?
試しに選択してみると、今度は「対象を選んで下さい」と出てきた。表示されてる対象者は二人。一人はもちろん俺だが、もう一人は「???」と表示されていた。
狀況的に考えてこの「???」は間違いなくこのの子だろう。ていうかこの娘、あんなに大きな音がした筈なのに、全然目を覚まさないな。大丈夫か?
まあ今はそれが逆にありがたいが。さて、これはまあ俺でいいだろう。當たり前だ。
対象者を自分にして「習得」を押す。
すると、畫面から強化の項目が消えた。
……え?
「これで終わり?」
本當にそんな簡単にスキルを習得出來るのかと思い、自分のステータスプレートを開いてみた。すると、そこには新たに「強化」のスキルが増えていた。
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何かの間違いかと思い、今度は気配探知のスキルを選択し、同様に自分で習得してみると、今度はステータスプレートに気配探知のスキルが増えていた。
「マジか。いや、ストレージって本當にヤバくないか?」
つまりだ。今みたいに魔石を手にれて、そこからスキルを出すれば、任意でスキルを習得できるって事だ。しかも、その対象は自分だけではないときた。
これは使いこなせば確実に俺の強みになる。間違いない。
だが、さっきの魔石はゴブリンを倒したら出現していた。という事は、スキル出をするためには、魔を倒して魔石を手にれる必要があるって事か。
……戦闘の訓練をしないと。それも、出來れば戦闘経験が富な人に教えて貰う方が効率もいいだろう。
その為には、まず人里を見つける必要がある訳で。
チラッと、未だに目を覚まさないの子を見る。この娘が目を覚ましてくれれば、その辺の事も踏まえて々話を聞ける筈なのだが、なかなか目を覚ましてくれない。
「はあ、仕方ない。とりあえず食料を探しながら待つとしますか」
俺はその場から立ち上がり、近場の散策を開始した。
二時間後。
「いやあ、探せば結構あるもんだな!」
辺りに食べが無いか散策をしていると、食べられるものが意外と多くてし驚いた。主に果やキノコ類ばかりだが。一応鑑定スキルを使って食べられるか確認してから採取したし、食あたりを起こす事はないだろう。飲み水は浄化した水がある。
それに強化を習得したおかげか、歩きにくい獣道なんかを歩いても全然疲れなかった。これは嬉しい誤算だ。
「さて、一旦戻るか」
実を言うと俺は今、あの娘がいる場所からし離れた場所にいる。というのも、最初はあの娘が見える範囲で散策をしていたんだが、あまりにも範囲が狹いのと、食べが全然見つからなかったのだ。
どうしたものかと考えていた時に、試しにと気配探知のスキルを発してみると、あの娘の気配がはっきりと分かるようになった。
今の所スキルを使った反らしきものはじられないし、特にリスクは無いのかもしれない。
「果はそのまま食べられるとして、問題はキノコか。いくら食べられるといっても、流石に生で食べようとは思わないしな」
となると、やはり火が必要か。一応火起こしの仕方は知ってるけど、実際にした事ないしなあ。
強化のスキルもあるし、木材から火起こし道を作れば、後はゴリ押しでいける気がするけど。
「……ええい、考えてても仕方ない! とにかく木材で木の棒と木の板、後は枯草を作って木の枝と木の葉で焚火にする! ダメだったらその時はその時だ!」
もし出來なかったとしても果があるし、とりあえず飢え死はしないだろう。
そう思い、ストレージ畫面を開く。するとそこには予想通り、木の棒と木の板、そして枯草の項目が増えていた。ここまでくるともう確定でいいだろう。
ストレージは、俺が作りたいと思ったが収納で作れる場合、それを表示してくれる仕組みなのだろう。
新しいコマンドが増える時とか、たまにストレージの方から予想してないが作れる事を教えてくれる事もあるが、そっちについてはまだよく分かっていない。だが、現狀それで困った事は起きてないから別にいいか。
「まったく、本當に便利なスキルだな。まだまだ謎は多いけど」
とにかく々と試してみないとな。
「さて、それじゃあ早速火起こしをしますか」
ストレージ畫面を開き、木の棒と木の板、そして枯草を合して取り出す。
まずは木の板の淵の方に窪みを作り、そこに木の棒をセット。その下に木の葉を敷けば、きりもみ式発火の準備が完了だ。本當はナイフで板に切れ目をれた方が良いのだが、ナイフなんて持ってない。だが、今の俺には強化のブーストがある。
試しにこのままやってみて、ダメならまた考えよう。
木の棒を両手の平で挾み、前後に回してを加える。この時、なるべく重をかけるなどして圧力をかけると、よりが加わって良い……らしい。
三十秒ぐらい経っただろうか。棒が下まで貫通したので、再度上に戻し、場所をしずらしてまたをかけていく。その作業を數回繰り返していくと、段々と口から木の葉の上に溜まった焦げ茶のから煙が上がり始める。
これが火種完の合図だ。後はこの火種が育つのをし待つ。その間に枯草を鳥の巣の様な形にまとめ、中心に窪みを作っておく。
火種が育ったら窪みにれ、両手で枯草をそっと包み、軽く圧をかけてやる。両手に熱をじ始めたら窪みをし開け、酸素を送り込んでやる、と。確かこれであってるよな?
すると突然、「ボッ」と火が大きくなったので、急いで木の枝に……しまった! 木の枝用意するの忘れた!
焦った俺は、咄嗟に火をストレージに放り込み、急いで木の枝を大量に取り出そうと……俺は今何をした?
ストレージを確認すると、今起こした火が収納されている。そして再び固まった。
火が収納されてるだけならばまだいい。咄嗟の出來事とはいえ、焦ってストレージに火を放り込んだのは俺だ。火がストレージにあっても不思議ではない。いや、火がそのまま収納されてる時點でおかしい気はするけど。
だが、そんな事が気にならなくなるほど、予想外の事が起こったのだ。
ストレージ畫面には、合の文字が浮かんでいて「火の魔石」と出ている。
もしも。もしもの話だけど、このまま火の魔石を合して、スキル出をしたらどうなるだろう? そんな疑問が頭に浮かんだ。
確信はない。もしかしたら俺の勘違いで、折角起こした火をいたずらに消費するだけかもしれない。
でも、俺はさっき魔石の鑑定で見たのだ。「魔力」という文字を。
試してみる価値はある。
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