《見た目は青年、心はアラサー、異世界に降り立つ! ~チートスキル「ストレージ」で異世界を満喫中~》九話

マリーに連れられ、俺達はペコライのり口の門を通る。

街にる際、門番の人が「ようこそ」と一言聲をかけてきたので「どうも」とだけ返しておいた。

いや、警備ザル過ぎじゃない? もし俺が犯罪者とかだったらどうするつもりなんだろうか?

そんな事を考えながら門を通り過ぎた。

「うわぁ……」

街にってすぐ目の前に広がる景に、一瞬思考が停止する。

そこには、中世ヨーロッパを思わせるレンガ造りの建が沢山建っていた。門をってすぐのこの場所は、大きめの広場になっており、その中心では噴水が水を吹き上げている。

よく見ると街を行きう人々の中には、ウサ耳を生やした人や、長く尖った耳を持った人、中には尾が生えた人なんかも混じっている。

漫畫なんかでよく見る、獣人やエルフと呼ばれる種族だと思われる。

夢にまで見た異世界。何度も妄想した異世界。俺は今日のこの景を、きっと一生忘れないだろう。

「あの、カイトさん? どうかしましたか?」

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街にってすぐに立ち止まり、いつまでもかない俺を不思議に思ったのか、マリーが聲をかけてきた。

いかんいかん、してつい呆けてしまっていた。

「ああ、ごめん。何でもないんだ。気にしないで」

「そうですか?」

次からは気を付けないとな。

「そんな事より、カイトさんは分証を持ってますか?」

「あー、いや。それが、そういうのも全く持ってなくて」

分証と聞き、俺はそういうを何も持っていない事を思い出した。あの神様、その辺もうちょっと気を利かせてくれてもいいのに。

「だったらこのまま冒険者ギルドに向かいましょう。大銅貨三枚でギルドカードが作れる上に、それがそのまま分証にもなりますし」

そう言ってマリーは突然俺の手を握り。

「さ、こっちです!」

「ちょっ!?」

そう言って、そのまま俺の手を引っ張って歩き出した。

ちょっとドキッとしたのは俺だけなのか?

「著きましたよ、カイトさん。ここがペコライの冒険者ギルドです」

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數分後。俺達は目的地である冒険者ギルドの前に立っていた。

思っていたよりもしっかりとした石造りの建に、清潔がある外裝。口の両サイドには綺麗な花まで飾ってあるときた。

冒険者ギルドというからには、もっとワイルドなじなのかと思ってたけど、どうやら俺の偏見だったらしい。

ワイルドどころか、これはどっちかというと市役所みたいなじに見える。だが間違いなく冒険者ギルドだ。

何でかって? マリーがそう言ったのはもちろんだが、口にある看板に「冒険者ギルド」って書いてあるからだ……異世界語で。

初めて見る言語の筈なのに、何故か読めてしまった。まるで最初から知ってるかの様に、自然と頭に浮かんできたのだ。

「冒険者ギルドって、思ってたより綺麗なんだな。口に花まで飾ってあるし」

「そうですか? 別に普通だと思いますけど? あ、でも、お花を飾るようになったのは最近ですね。この間冒険者ギルドの近くにお花屋さんが出來たみたいで、そこから買ってるらしいです」

へえ、そうなのか。これがこの世界の冒険者ギルドでは普通らしい。うん、やっぱり異世界漫畫を參考にするのは間違いだな。

「さて、それじゃありましょうか」

そう言うとマリーは、そのままギルドの中にっていった。俺もそれに続いてギルドの扉をくぐった。

ギルドはそこそこ広く、依頼をけに來たであろう冒険者達の喧騒で賑わっていた。

そして。

「ようこそ冒険者ギルドへ! 歓迎するぜぇ坊や!」

ギルドにった瞬間、モヒカンヘアーのヤバいおっさんに話しかけられた。

耳にはピアスを開けており……いや、よく見たらイヤリングだこれ。トゲ付き肩パッドをにつけた上半。しっかりと鍛え上げられた筋が目を引く、某世紀末漫畫に出て來そうな格好をしている。

ヤバい、かつあげでもされるか?

「坊やは冒険者になりに來たのかい? だったらこの先にある付で冒険者登録できるぜ。さっさと行って來る事だな!」

あれ? なんか普通に親切にされたんだけど。

「カイトさん! こっちですよ!」

モヒカンさんが教えてくれた付の方から、マリーが俺に聲をかけてきた。俺はそれに手を振って返し、一応モヒカンさんに軽く會釈してから付に向かう。

「モーヒさんと話してたんですか?」

「モーヒさん?」

多分今の人の事だろうけど……モーヒさん?

「はい、モーヒ・カンテルさん。ギルドでも有名な初心者狩りのモーヒさんですよ」

「ちょっと待ってちょっと待って。報量が多い」

今のセリフの中だけで気になる単語がいくつも出てきた。深刻な報過多だが、その中でも特に気になったのが。

「初心者狩りって何?」

「初心者狩りですか? 初心者狩りっていうのは……」

「お待たせしました。こちらが新規登録者用の書類になります」

「あ、書類がきたみたいなんで、先に冒険者登録を済ませちゃいましょうか」

いや、その先! その先は!? 初心者狩りが何なのさ!

「いや、あの……うん。分かった」

でも、せっかく頼んでてくれたのを無下にするわけにもいかない。しょうがない、さっさと済ませて話の続きを聞こう。

「それではこちらの書類に必要事項を記して下さい」

「あ、はい。分かりました」

と、ここで問題が起こる。俺、この世界の文字書けないんだけど。どうしよう?

とりあえず日本語で書いてみるか。

「書き終わりました」

さあどうなる? 一応文字を読むことは出來たのだ。もしかしたら自翻訳とかされるかもしれない。あくまで「かもしれない」だ。

ぶっちゃけ無理だろうけど。

まあでも、流石に見た事ない言語を使ったとしても、々が「遊ばないで、真面目に書いて下さい」って言われるぐらいだろう。または最悪の場合、造語を作る痛々しい中二病患者認定か。

後半の方が心にグサリと來るな

だが、この後職員さんから返ってきた言葉は、俺の予想の斜め上をいくものだった。

「侍の國の言語ですか。珍しいですね」

「え?」

なんと日本語が通じてしまったのだ。

て事はなんだ? もしかしてこの世界には日本語が存在してるのか?

「あの、それで大丈夫なんでしょうか?」

「はい、特に問題はありません。ギルド職員は全員五大國の言語はマスターしてますから」

五大國。つまり侍の國というのは、その五大國のの一國で、そこでは日本語が使われているという事か。

これってただの偶然か? いや、俺としては助かるんだけど。

「それではギルドカードを発行するので、登録料として大銅貨三枚お願いします」

「え? あ、はい」

俺が思考の海に浸かりかけていると、職員さんから登録料を請求された。

大銅貨三枚。そういえば、神様から銀貨十枚貰ってたよな? 銀貨一枚で足りるか?

「あの、これで大丈夫ですか?」

「銀貨一枚ですね。それではお釣りと一緒にギルドカードも持ってきますので、々お待ちください」

そう言ってカウンターの奧に消えていく職員さん。おお、問題なかったみたいだ。

やっぱり銅貨より銀貨の方が高いみたいだな。足りて良かった。

何気にこの世界に來て初めて神様に謝したかもしれない。

「カイトさん、お金持ってたんですね」

隣でずっと待っててくれたマリーが、突然失禮な事を言ってきた。

「見くびって貰っては困るな。そのぐらいは持ってるさ」

「でも、記憶喪失ですよね? 森の中では迷子でしたよね?」

「うぐっ」

痛い所を突かれた。確かに俺は記憶喪失(噓)で、迷子だったけど。このお金も自分で稼いだものじゃないけど……あれ? 言い返せない?

「お待たせしました。こちらギルドカードと、お釣りの大銅貨七枚になります」

「ありがとうございます!」

俺は職員さんからし大げさにお釣りと名刺サイズの免許証みたいなギルドカードをけ取った。

銀貨一枚で支払いしたら、大銅貨七枚のお釣り。つまり、大銅貨十枚で銀貨一枚分という事か。これは覚えておかないとな。

「それでは簡単にギルドの説明をさせて貰います」

「あ、はい、お願いします」

職員さんは手元に薄い畫用紙の様な紙を數枚用意し、そのの一枚を俺に手渡してきた。そこには「薬草採取依頼 依頼主:冒険者ギルド」と書かれていた。

依頼書?

「それは駆け出しの方に最初にけて貰う事をオススメする、駆け出し用の依頼です。これで依頼をけてから、完遂するまでの流れを験して貰う事で、冒険者というものを直に理解して貰う事が出來ます。依頼主は冒険者ギルドなので、安心してけて下さい」

あ、これはアレだ。俗にいうチュートリアル的な奴。そんなのもあるのか、冒険者ギルドは。

冒険者ギルドは意外と親切設計だった。

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