さっきまで著ていた死裝束しにしょうぞくが無かった。

そこに見えたのは全く見覚えの無い貧相な。私のどこいった？

自分の記憶の中にあるとは違うため、気が付くのに數秒の時間を要した。

「キャッ！」

気付いた瞬間に反的にしゃがみ込む。

！？　何で！？

「あっ！　さっきケルベロスの火炎放喰らった時に服は燃えちゃったのか。は頑丈だけど、服まで頑丈ってわけじゃなかったのね。まあ、ここには人いないし、いるのはそこに寢っ転がってる犬だけだし、いっか」

再び仁王立ちに戻る。

しかし、このままでいるわけにはいかないし……困ったな……

そうだ！　魔力で服を作れないかな？

試しに自分のに沿って、服を作るイメージで魔力を集結してみた。

魔力がに付著し、徐々に服の形をしていく。

「わぁ、綺麗～、キラキラの服だぁ！」

一応出來た。

スケスケののドレスが！

しかも隠そうとする場所に魔力を多めに集めたから、と間の三ヶ所だけより輝いて、逆に卑猥に見える！

何だこの面白裝は！

ていうか、まぶし過ぎて目を開けてられない！

「これダメだ……」

一度服を消す。

今ので確信した。

さっきの『つるかめ波』の時にの魔力が放出された。そして今、服を作った時にはのドレスが出來た。

これらを併せて考えると、私の魔法の基本屬？　得意屬かも？は、である可能が高い。

しかし、このには悪魔のような特徴が見える。ということは、闇も使える可能が高いのではないか？

今度は試しに闇で服を作るイメージをしてみた。

の表面に沿って、黒い服が構されていき、最終的にドレスが出來上がった。

「やったぁ！　功だ！」

肩回りは自由にかせるようにを出、足先とかかとは地面を踏みしめられるように足にした。

どうせガラス踏んでも、溶巖踏んでも痛くも熱くもないだろうしね。

気になるのはこの闇で作った服、魔力で作ったためか何だか常にゆらゆら揺れている。ここに服が実在しているわけではないし、これはもう仕方ないか。魔力で服を構出來たってだけでも上々だ。

黒一だから味気ないな。を付けたいところだけど、他の屬を使ってもさっきのと同じように燃えたり凍ったりしそうだしな……何とかイメージした屬からだけ出するコントロールが出來るようになれば良いんだけど……

それは後々試してみるとしよう。

余談だけど、服を作ってる過程で、一度顔まで闇で覆ってしまって、『名探偵ロナン』や『銀田一年の事件簿』の犯人の人みたいになってしまったのはご敬だ。

「まっ、しばらくはこの服裝で行こう！」

服が出來たら、の臭いを嗅いでみる。

「悪臭はしなくなったかな。さっきの炎で唾の滅菌消毒はされたっぽいわね」

ただ……その代わりに死裝束が燃えた所為せいか、ちょっと焦げ臭い。

「……何か気分的に嫌なじだから、を洗い流したいよね……私、水魔法も使えるのかな？」

試しに水魔法を使ってみよう。

水をイメージして魔力を集める。とりあえず自分に影響がないように、前方に向けてさざ波をイメージしてみた。

ザパーー

「おお！　ほぼイメージ通り！　じゃあ、水浴びしていこっと♪」

ついでに水だまりを作ろう。土魔法を使い、巖をイメージして大理石の風呂釜を作った。

これで流れる水が留まってくれるはず。

丸っきり外だと、誰もいないとは言え、心許こころもとないので、壁を建てて小屋くらいの大きさの風呂場のような空間も作った。

一度闇で作った服を消してになる。

水の玉を作って、上空に飛ばす。水の玉から小さい滝を流すイメージ。

するとの汚れを落とすにはちょうど良い水量の滝が出來た。

ザパー

「はぁ……気持ち良い……」

思えば魔界に落ちて、トロルに棒でタコ毆りにされて埃ほこりまみれ、ケルベロスに口の中で転がされて唾まみれ、炎を浴びせかけられて煤すすまみれ。汚れることばかりされてるわね。

自分で水作れる能力持ってて良かったわ。

何だか勝手に湯が沸いてくれるし。でも何か湯気が凄く多い気がする……まあ、今は流せればどうでも良いか。

「お風呂も作ったし、ついでに湯舟にも浸かろうかな」

ここまでに私が使った魔法は、、闇、火、水、土。

こんなに々出來るなんて、凄いぞ私！

こので魔界に來れたのは、罰じゃなくてむしろご褒なんじゃないかしら？

「神様も何か目的があって、こうされたのかな……この狀況……もうここで生活するより他は無さそうね……」

落ち著いて湯舟に浸かっていると、しばらくしたら風呂の底から泡が出てきた。

「ん？　何これジャグジー？」

そんな高度な機能付けた覚えは無いけど、泡が凄く出てくる。半端なく出てくる！　おまけに湯気が凄い！

まあ、気持ち良いし別に良いか。湯舟に浸かっている所為せいか思いに耽ふける。

今日はここに小屋でも作って寢るか……

は大丈夫なんだけど、いろいろあり過ぎて心が疲れたな……

そういえば、ＲＰＧとかって魔法使うのにＭＰが必要だけど、この世界にＭＰという概念はあるのかしら？　私のＭＰってどうなってるの？　寢れば全快するのかな？

もしそういう概念があるなら、戦闘中にＭＰ切れなんて起こさないように、ＭＰの量くらいは把握しておきたいな。

今日の最後の作業として、ベッドと布団とパジャマを作る。普通に魔法で寢を作り出せたけど、これって何屬に屬する魔法なのかしら？　これなら普通に布製の服を作り出せるかも。

「………………また燃やされて終わりか……」

そう考えると、闇を纏まとうのは正しい判斷なのかもしれない。

今後ここで生活することを考えると、やっぱり快適に生活できるようにしたい！

こんな何も無いところからは引っ越して、もっと快適に生活できるところを探そう！　ここは草木一本生えてないようなところだけど、魔界にだってきっともっと良いところがあるはずだ！

まあ、いいや今日のところは寢よ！

今回はケルベロスの口の中の雑菌を洗い流す話でした。汚は消毒だ～！！

余談ですが、パロディネタを名探偵ロナンにしようか、名探偵コメソにしようか迷いました。字面としては『コメソ』がいかにもパロディっぽくて良いんですが、発音してみたら全く意味がわからないのでロナンにしました（笑）

次回は7月26日の夜頃の投稿を予定しています。

第5話【エリア探索】