《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》19話 夜會への參加【イザベラ十二歳】

エドワード殿下からり輝くクワをプレゼントされてから一年程が経過した。

「今日はパーティかぁ……。それも、シルフォード伯爵家の……」

私は鏡の前でため息をつく。

今日の夜會には、たくさんの貴族が出席する。

義弟のフレッド・アディントン、子爵家の養子になったカイン・レッドバース、そして王族のエドワード・ラ・イース殿下も出席する。

大切な流の場だ。

私も侯爵家の令嬢として、しっかりと振る舞わなければならない。

「姉上、準備できましたか?」

「ええ、もうすぐ終わるわ」

「手伝いましょうか?」

「大丈夫よ」

フレッドが心配そうに尋ねてきた。

彼はまだ十一歳だが、とてもしっかりしている。

將來有株だ。

「では、僕は先に會場に向かいますね」

「分かった。気をつけて行ってらっしゃい」

「はい」

フレッドを見送ると、すぐに支度を終えた。

最後に、いつものように嗜みを整える。

髪を整え、化粧を施し、ドレスに袖を通す。

「よし、完璧」

私は姿見で自分の全を確認する。

うん、どこから見ても完璧な淑だ。

「今日のパーティ、無事に乗り切れるかしら……」

私が気にしているのは、『ドララ』におけるバッドエンドルートへのフラグを立てないようにすることだ。

たくさんの貴族がいるパーティで変なことをすれば、予想外のフラグが立ってしまわないとも限らない。

(フレッドはいい子に育った。カインとはたまに會っているけど、騎士見習いとして好青年になっている……)

予知夢において、フレッドは私に毒剣を突き刺し、カインは私の腕の腱を切り裂いた。

だが、今の彼らはとうていそのようなことをするように見えない。

(エドワード殿下は一癖あるけれど、私の畑仕事に対して理解を示してくれているのよね。昨年はるクワを贈ってくれたぐらいだし。変なことをするを大目に見るなんて、王侯貴族の中では珍しいわ)

この『ドララ』世界は、現代日本と比べて男尊卑が強い。

は基本的に結婚するまで家から出ないものだし、ましてや農作業なんてとんでもない話だ。

その価値観の中で、私に普通に接してくれるエドワード殿下はとても貴重な存在なのだと思う。

予知夢で彼に殺された記憶がなければ、彼を好きになっていた可能は大いにある。

(『ドララ』の主人公のアリシアさんは、確かウォーカー男爵家の事でまだ表舞臺には出てこないはず。今日のところは、警戒対象から外していい)

私はそんなことを考えながら、パーティ會場に到著した。

さあ、気が抜けないぞ。

『ドララ』の主要キャラは六人。

主人公のアリシア。

悪役令嬢のイザベラ。

攻略対象のフレッド、カイン、エドワード殿下。

そして最後の一人は……。

「おや? これはしいお嬢さんですね。妖が迷い込んだのでしょうか?」

「…………!」

振り返ると、そこには銀髪の年がいた。

彼は『ドララ』における攻略対象の一人、オスカー・シルフォードだ。

シルフォード伯爵家の跡取り息子であり、眼鏡をかけた知的なイケメンである。

私は『ドララ』の登場人とはできるだけ接を控えたいと考えつつ行してきた。

まあ、義弟のフレッドとは日常的に接する必要があるし、カインとは街で不意に遭遇してしまった。

エドワード殿下は、なぜか向こうから積極的に接してくるので、相手せざるを得ない。

私の思いとは裏腹に、『ドララ』の登場人と深く付き合ってしまっているのが現狀だ。

しかし最後の砦として、オスカーにだけはまだ接していなかった。

まさか、會場にるなり聲を掛けられてしまうとは。

「貴殿はイザベラ・アディントン殿とお見け致します。よろしければ、私と一緒にダンスでもいかがでしょう」

「…………」

どうしよう?

適當にあしらうべきか。

それとも、無難なけ答えをして乗り切るべきか。

私は思考を巡らせるのだった。

    人が読んでいる<乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください