になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#1

白い空間に立ってる。真っ白な場所だ。

「自分は……誰だっけ?」

思い出せない。どうしてここに居るのかも。すると何かが現れる。それは黒い渦。なんだろうか? れと? よくわからないが、近づくけど、渦にはれなかった。すると頭に『容姿を決めて出直してください』という文字が見えた。なにそれ、キャラメイクかなんか? そもそも今自分がどういう存在なのかもわからない。そう思ってると足元がぬかるんでボチャンと落ちた。

息が! とか思ったがどうやら問題ないようだ。そしてそこには何やら沢山のがあった。人から、ファンタジーでしか見たこと無いようなまである。選べってことか?

前が人間……だったかどうかは知らないが、あんまり人に手は向かない気がする。それよりもドラゴンの様な奴とか、頭に貓耳ついてるのとかのほうが気になる。そもそも自分は別は何だったんだろう? そこら辺も選べるのかな? そう思いながら々としてると最初は無かった人でも良いかなって思えてくる。だって奇を衒うよりも王道ってのも良いかもしれないって思えてきたんだ。

どうせだったらにでもして皆からチヤホヤされたい……そんな思いが有った気がする。てなわけでを選んだ。すると髪のとか、瞳のとか格とかそれなりに項目があった。

髪のは黒は飽きたな。かと言って金髪もそこまで珍しくもない。となると、ピンクとか緑とか白とかアニメみたいなので行ってしまうか? でもどういう世界にあの渦がつながってるのかわかんないし……もしかしたら忌のとか言われたら困るな。けどそんなこと悩んでもしょうがないか。自分がなりたい姿にうっきうっきでやるのが正しいはず。

でもとかは選べてもどういうパーツなのかはよくわからない。キレイ系とか可い系とかも選べるよう。とりあえず可い系で。可いは正義だからね。後はスタイルとかもあった。の大きさとかね。まあ巨じゃなくてもいいけど、全く無いのはアレだからスタイル完璧で。ある程度出ててしい。それがいいよね。あとは最後に変な項目が空中に浮かんでる。

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棒グラフのようなものだ。知力・力・筋力・魔力・容姿・運とある。今はちょっと容姿が出てるな。普通よりはいいってくらいになってるって事か。魔力って項目があるってことは、魔法とか使える世界なのかもしれない。でももう決めたんだ。普通なら魔法とか使ってみたいし、どんな世界かわからないのなら、なるべく自を強くするのが定石だろう。

けど、そんな定石はくそくらえだ! てな訳で全てを容姿に全振りした。まあそれでも一応他もちょびっとは殘ってるし大丈夫だろう。これで良いんですか? とか出てきたからハイを選択。それでも本當に本當に大丈夫ですか? となんかめっちゃ念を押されたがそれでも自分の意志は変わらない。そしてようやく自分は渦に飛び込んだ。

「う……ん?」

こういうのの定番は赤ちゃんから……とか思ってたがとても暖かさなんてじてられない。寧ろチクチクする。視界が確保されていくと草がを刺激してるとわかった。どうやら草原っぽい所に寢てたようだ。

「あ〰えーと……何がなにやらなんにもわかんないや。ん? んっあーあー」

よくわかんない事に不安になる前に自分の聲が甲高い事に気付いた。それにちょっともある。髪はさらさらの桜。自分の顔が見えないのが殘念だが、容姿に全振りしたし、きっと絶世ののはず。ワクワクしながら水辺でも探してみよう。

「それにしてもちょっと小さいかな?」

じゃないよがってことだ。まだ十歳とかそれくらいしかなさそう。これで保護者なしのとか変態に狙われそうである。まあそれは人に會った時に考えれば良いことだろう。草原はかなり広い。けど人の姿は見えない。どうしたものか? とりあえず立ち上がる。この服はどうなの? 白い布一枚で下著も履いてない。

ちょっと最低限のエチケットくらい気を配ってほしかった。すーすーするよ。この草原はまだ太とかもあって暖かさもあるからいいけど、雨とか振ってきたら不味い気がする。そうならないに今日の目標は街か村でも見つけることだろう。誰か人と出會えればいいが、それが男だと安心できない。十歳くらいのするかはわからないけど、自分は絶世のの筈だから男だと油斷できない。

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としてはの人に會えれば一番いいけど……とりあえずこの草原からどっちに向かうかが問題だ。下手したらこの選択で命運が別れるかもしれない。だからここは慎重に行こうと思う。なんせ容姿に全振りしたせいで運も最弱だからね。慎重に慎重を重ねるくらいが丁度いい。そんな事を思ってたら、ふと影が落ちた。雲でも太にかかったのかと思ったがなんか様子が違う。

中がざわざわするし、草原にいた変な達が一斉に背中を見せて逃げてってる。

「え? え? きゃっ――」

もの凄い風圧に地面にしがみつく。でもそれはどんどん強くなってきて小さな手じゃ直ぐに限界がきた。風圧に飛ばされる。ドスン、ゴロゴロと転がって風圧の元を仰ぎ見ると私の思考は停止した。だってそこに居たのは自分の薄い知識でもわかるほどの存在……い鱗に大きな翼、口からは火とか吐いて世界最強で神話上の生。黒い外裝のドラゴンがそこにはいた。

てか、著地しようとしてた。その風圧を私はけてたようだ。確かにこんな大きな存在の風圧とか飛ばされる……納得だね。

(って、これやばくない!?)

下に居たら潰されたかもしれないけど、ここ真正面なんですけど!! 完全にドラゴンは私のことを視界に捉えてる……よね? 今から逃げても見逃してくれるかな? とりあえず靜かに移してみよう。せっかくの真っ白の一帳羅だけど仕方ない。ここは歩伏前進である。命大事だからね。

(おいそこの奴)

そこの奴が自分自だという保証はないから歩伏前進を続ける。

(聞こえておろうそこで変な行をしてる貴様だ)

の筈の私が貴様なわけないから無視で。

(我をここまで無視する奴は初めでだ。貴様のことだ!!)

「え? え? わぁぁぁぁ!」

が淡くったと思ったらそのまま浮いて、強制的にドラゴンの傍に引き寄せられた。ちょっ、こういうのはレディに失禮じゃない? 言葉伝えられる癖にマナーがなってない。そこら辺はドラゴンだな……と思った。

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(貴様、何か言うことはないか?)

目の前に來ると威圧が半端ない。デカすぎで顔しか見えないし……その目は兇悪そのもの。けど案外自分が冷靜なのに逆に驚いてるというか。これは諦めだろうか? とりあえずもう無視は出來ないし、ここは開き直るしかない。

「言いづらいんだけど、口が臭い。息止めててくれますか?」

(ぬっそうか? わかった)

そう言ってドラゴンは息をするのを止めた。ドラゴンの呼吸だけで飛ばされそうだったからこれで踏ん張る必要がなくなった。てか、呼吸とか別に必要ないんだね。流石は最強の生。そもそもが失禮な事を言った気がするけどそれは人間基準だったようだ。

(貴様、何故ここにいる?)

「何故と言われましても。そもそも、の私に対して高圧的過ぎませんか? もっと優しくしてください!」

(優しく? そんなことを言われたのは初めてだ)

「なんでもかんでも初めてですね。ドラゴンだからそれで良いってずっと開き直ってたんじゃないですか? 周りがそれに付き合うのは貴方がドラゴンだからですよ。それでは真の友は育まれません」

(それは……)

ドラゴンは頭を下げてシュンとする。なんかチョロいなこのドラゴン――とか思いだす。そもそもそんな兇暴でもなさそうだし、ここは下手を打たなければ生き殘れるかもしれない。ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。いや、だからきっと可く見えるはず。

「それにいきなりレディを浮かせるのもどうかと、見えちゃうじゃないですか。マナーがなってないですよ」

(我は何も著てないのだが?)

「それはドラゴンだからでしょう? そっちだけの尺度で見る――それを傲慢と言わずとなんと言うんでしょう」

(むむ、なかなか面白いな貴様。我とこんな話すやつ居ないぞ。怖くないのか?)

ぶっちゃけめっちゃ怖いです。そりゃそうでしょう。自分の何十倍というに未知の力も持ってる。これで恐れるなと言う方が無理がある。人とは怖がりなんだよ。でもそれを正直に答えたらこのドラゴンなんだか傷つきそうな気がする。ちょっとしか話してないけど、こんなゴミ粒みたいな存在とちゃんと會話してるんだ。それだけで良い奴なんじゃないかと思えるもん。

絶対強者のただの興味本位って線もあるけど、そんなじじゃないんだよね。

「別に、會話できて対話する意志があるのなら、なんとだって仲良く出來る自信が私にはある! ってだけ」

(……くっ……ハッハッハッハッ!! なんとも面白い! 気にったぞ。我は『ゼルラグドーラ』だ。貴様……いや君の名を教えてほしい)

ゼルラグドーラと名乗ったドラゴンは口調も直してきた。こうなったら名乗らない訳にはいかない。私は一回転して白い……ちょっと汚れてるけど一応まだ白い布をふわっと靡かせ、その自慢の桜の髪を日に煌めかせ、どこかで見た様に布の端を摘んで淀みなく頭を下げる。

「ありがとうゼルラグドーラ。私の名は…………名は…………無いです」

ちょっとおおおおお! 折角超絶的に決めたかったのにどうしてくれるの? 顔上げれないよ!

(名がないとは面白い)

何が? そう思ってるとゼルラグドーラが意外な事を言ってきた。

(それならば我が君に名を與えよう。どうかな?)

「ええーゼルはなんかセンスなさそうだからちょっと……」

(ゼル!)

そこに反応するんだ。この子はもしかして友達が一人も居ないいわゆるボッチってやつではなかろうか? かわいそうになってきたから名前ぐらいつけさせても良いかな?

「まあ、可いのならいいよ」

(ふむ……よしし待て。うむむ……『ベルドラゴ』はどうだ?」

「卻下で」

なにそれ、全然可くないんだけど?

(『ドンザラグラー』)

「イヤ」

(『ギャルドラン』)

「ないね」

(『アルガザパラアルガ』)

「長いし言いにくい」

それから何個も何個もゼルラグドーラは名前を言ってくけど、全く私のに引っかからないよ。これが人とドラゴンの壁か。一人ゼーハーゼーハーしてるゼルラグドーラに対して私は言う。

「私達ここまでかもね」

(いやまて、次こそ必ず! 絶対に大丈夫だから!!)

必死に私を引き留めようとするゼルラグドーラだけど、なんか捨てられそうな駄目男の臺詞にしか聞こえないなー。こいつドラゴンだよね? 全くの違い? そんなのさえも越える貌が私にはある筈でしょう!! 伊達に全てを犠牲にしたわけじゃない筈よ。私はキッとゼルラグドーラを見上げて言い放つ。

「私を見なさい!! その目で、その心で見て私をじて! そしてそれをそのまま解き放つの!! さあ! 私は何!?」

ウンウンと唸ってたゼルラグドーラが私を見る。ただ見る。そして一瞬、大きく目を開きそして閉じ……ゼルラグドーラの聲が伝わってきた。

(『ラーゼ』)

「私は今日からラーゼよ。よろしくねゼル」

そういった瞬間だった。何やらの奧が暖かくなって何かが流れ込んでくる様な覚がする。知らない景……知らない風景……それに知識なんかも流れてるかもしれない。そんなのが一通り消え去ってくと、地面のを再びじて正気に戻った。

「なに? 今の?」

(魂の回廊が繋がったのだ。我らは魂で結ばれた存在ということだな)

「いや、よくわからないんだけど……」

それはつまりどういうことなのだろうか? 魂で結ばれたとか重すぎない? ちょっと引くんですけど……

(ラーゼは我の力を行使出來る存在になったと言うことだ)

「へ? マジそれ? 最強じゃん」

(そうだな。長い歴史の中でも我と魂の回廊を結んだ者は存在しない。我の力を行使出來る存在ならば最強といっておかしくない)

ゼルラグドーラは凄い自信で言い切った。でもこれは思わぬ幸運だ。運最低とか思ってたが、人生全部の運をここで使い切ったのかもしれない。けど、世界最強とれたのならそれも安いものではなかろうか? だって最強なら運なんて関係ないじゃん。なんだってやりたい放題だよ! 容姿だけに全振りしたことに後悔はない。けど不安が無かったわけじゃない。

いってことはそれだけ狙われるってことでもあるからね。けどドラゴンの力を持った今、私は最強のになってしまったわけだ。

「ぬふ……ぬふふふふふふ」

思わず気持ち悪い笑いが出てしまう。けどそれも仕方ないよね。だって最強だし。

(どんなか使ってみてはどうだ?)

「それもそうね。いざって時に使えませんじゃ格好悪いし。どう使うの?」

私はゼルラグドーラに力の使い方に教わる……おそわ……れると思ったんだけど……

(まずはのマナをじ、外に出力するための陣を想像する。これも不正確ではいかん。意味をもたせた文字で陣を描き、円環に魔力を通す。この時も無駄に大容量の魔力を流せばいいと言うわけではない。陣は繊細だからな。そしてマナは容易に意志を汲み取る。マナが意志を持ちすぎると陣とは違った効果を持ちうる事になりかねないからな。

そうなると危険だ。だから細心の注意を払ってだな――」

その後もゼルラグドーラの力の使い方講座は終わりそうもなく続いてく。いやいや、さっぱりなんですけど? 言ってることの大半がわからない。もういいや。私は右手を前に突き出してぶ。

「つまりはこういうことでしょ! とりあえずそこにある力に命令を下す!! 私の腕に力よ集まりなさい! おお!? ほんとに何かきた!! これはイケる! イケる! って私は信じる。そして極限まで力を溜めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ気合で撃ち出す!!」

腕から発された線は草原を抉って進み、遠くに郭だけ見えてた山の頂きを消し飛ばした。凄い……これが……これが……

「魔法……」

(いやラーゼのは魔法と呼べるではないぞ。ただ力を打ち出しただけだ。その証拠にが耐えられてない)

「ふぇ? って、腕がない!? ゼルゼル!!」

(愉快な奴だ)

腕は魔法でゼルラグドーラが治してくれた。魔法マジ便利。てか腕なくなってたのに痛くなかった。も出てなかったし……切れたとかもげたとかとも違ってたじ。まさに消滅に近かったかも。だから痛みさえも無かった? まあ治ったからどうでもいいかな。完璧な私のに欠損とかありえないからね。であり続ける事が使命なのだ。

「出力調整とかはどうするの?」

(さあな。我はそこら辺は意識したことがない。だいたい意思でどうにか出來る。無意識に我はやってるんだろう。というか、普通は自が消滅するような力は自が自制するものだろう。ラーゼはどこかに欠陥があるな)

「こんな完璧に欠陥なんてあるわけないでしょ? その兇悪な目でしっかり見なさいよ」

私は髪を掻き上げてファサーとする。ドラゴンじゃなかったら惚れてるんじゃない? まあゼルラグドーラはそのドラゴンだから無反応だけど……

(我にはその形態の意識はわからん)

「でしょうね。そうだ、この世界の事々と教えてよ。私なにも知らないから」

(ここにいたこともそうだが、ラーゼは謎だな。まあいいだろう。我が知ってることなら伝えよう)

そう言ってゼルラグドーラは々と教えてくれた。この世界は『シルグラント』と呼ばれてて世界には3つの大陸があってそれぞれにんな種族がいて國家型を形してるんだとか。そして當然に爭いは絶えないとゼルラグドーラは言う。

(愚かでしか無いな。奴等は小さな秤で爭い続ける。しだけそれがやんでもやがては爭う。いつの時代も同じだ)

その言葉はどこか寂しさがあった。ゼルラグドーラはずっとこの世界を見てきたのだろうか? もう諦めとかそんなのが見える。

「それじゃあそんな世界ぶっ壊せばいいじゃない。ゼルならそれが出來るんじゃない?」

(確かにそれも考えた。やったこともある。共通の敵が現れれば愚か者どもも一致団結するからな。だがそれも一時だけ。どんな厄災も危機も時が経てば忘れる。そして爭いは始まる。世界を壊すのは簡単だ。だが……何もない世界ほど虛しいものはない)

「つまり寂しいのは嫌なのね。だから我関せずを貫いて達観してると」

私のその言葉にゼルラグドーラは無言だ。図星かなとか思ってるとゼルラグドーラが問いかけてきた。

(お前はこれからどうするつもりだ?)

「私はこの容姿を使って、楽に生きられればどうでもいいかな?」

でも世界が爭いで満ちてるのならそれも難しいかもしれない。治安悪そうだし、こんなが一人でいたら確実に襲われるだろう。だからこそ力はありがたいが、まだ使いこなせないし……

「ちょっと修行でもしようかな?」

(そんな時間はないぞ)

「なんで!?」

もっと々とゼルラグドーラに教えてもらおうと思ってたのに! ここは邪魔するものもいない格好の場所かと思ったんだけどな……なにか問題があるんだろうか? てかここどこ? その3つの大陸の何処かなのだろうか? それを聞こうと思った矢先だった。どこかから綺麗な鐘の音が響く。

「綺麗な音」

そんな風に漠然と思ってると異変が起きる。ガシャンガシャンとなにか鉄がこすれる様な音が聞こえる。それも大量に。

(來たか……)

何が? それを聞こうと思ったが、それは向こうからきた。先頭にはダンゴムシの様な形狀の変な機械がいっぱい転がってきて、その後ろからは大きな人形と思しき姿が見える。ゴーレム……よりはそうだが、自分達よりは明らかにそうなそのは寸で、腕が足先までびてた。何がで見たエイリアンみたいな……いやそれにしては頭は小さいけどね。

てか目の部分がってそれが明らかにこっち向いてるんですけど……危険視するならゼルラグドーラの方でしょ? こっちは超絶なんですけど。

(我はここの関係者だからな。だがラーゼは違う。不法侵者のようなものだ)

「私が悪いっての?」

そんなこと言われたって知らないわよ。だって出てきたらここだったんだもん。

(そうではないが、奴等には言葉なんて通じはしない。ただ侵者を排除するだけの存在だ)

「じゃあゼルどうにかしてよ……」

(我は小奴らに手は出せない。そういう契約だ。それに……)

「それに?」

(ラーゼと魂の回廊を結んだから中々に眠いのだ。それだけの行いだったからな。なのでまあ……頑張れ)

「ちょっ!? ゼル!!」

こいつ瞳閉じて完全に寢る態勢だ。どうやらかなり力を消耗してしまったらしい……魂の回廊とやらはそれだけの行いなのか? よくわからないけど、こっちにとっては破格の力が手にったわけで凄いことだったのはわかる。けど……ゼルラグドーラにとってのメリットは何だったんだろうか? そう思ってると赤い線が私の手を貫いた。

「いっ!? 私のに傷つけるなんてやってくれるじゃない!」

一歩を踏むと大地が揺れた。それに髪が浮き上がってる。ゼルラグドーラの力がれ出てるじ。ふと見ると手の傷が塞がってた。力のおかげ? ラッキーとか思った瞬間力をじなくなる。

「あれ? あれれ?」

これはヤバイ? とりあえずさっきの一歩でひっくり返ってる奴等もいて、もがいてる今がチャンス! 私はダンゴムシみたいな奴等を飛び越えて走り出す。デカイ巨人は腕をばしてくるけどスライディングでを抜けてやった。そして走って走ってなんとか草原を囲んでた森にる。その頃にはダンゴムシ型が大量に追いかけてきてたけど、森にればこっちのもの。

の小ささを生かして茂みとかに隠れながら闇雲に進む。

「はあはあ……どこまで行けばいいのよ」

闇雲って行っても限界がある。お腹も減ったし……も乾いた。すごい力はあるけど、アレを使うと自滅してしまうし、最後の手段と考えるべき。自分の手足をふと見ると泥だけで傷だらけだ。せっかく真っ白でスベスベだったのに……なんか無にイライラしてきた。そんな時ダンゴムシの一がこっちに突っ込んでくる。回転しながら左右から砲を出して発される赤い

私はそれを手でけ止めて、絶好のタイミングで毆り返してやった。私と同じくらいの大きさで回転して迫ってたが容易に吹っ飛んでいく。すごい力だ。おで 両手はボロボロだけどね。けどスッキリはした。とりあえず(治れ治れ治れ)と心で唱えまくる。チラッと見ると治ってた。

「よし!」

けどこれ、怪我とかはきれいに直せるけど、疲労や力、空腹とかはどうにも出來ないみたい。まあ最悪そこらの草でも……ふと見ると、ダンゴムシがまだいてる。う~ん、これはなんだろうと思って近づく。傍までよって膝をおる。観察しても良くはわからない。そもそも機械とかそんな詳しくないし……でも結構近代的な技が使われてそうな気配はある。

けっこう高度な文明がある世界なのかな? ドラゴンがいたからファンタジーの定番中世かと勝手に思ってたけど、違うのかも。近くでみると気持ち悪いかもと思ったけど、機械だからか逆にワクワクする。こう……ギミックがガチャガチャやってるのが凄い。なんかずっと見てられる。でもこれっての子らしくないかも……もう前の別も覚えてないけど、なんか習っぽいのは殘ってる? 前の知識とかは微妙にあるしね。

そんな事を思ってるとどんどんときが悪くなってきた。ダメージは相當あったようだ。私はガバッとダンゴムシを裏返してが空いてる所に手を突っ込んだ。部は複雑な構造で何が何やら……けど中心に綺麗なクリスタルの様ながあった。それがくすんでる。もしかしたらこれが力源? わかんないけどそれに指先がれた。

「私がご主人さまだ!」

とかなんとか言って力を送るイメージをしてみた。散するかな? とか思ったけど、大人しくなったから手を引っこ抜く。襲ってくる気配はない。

「お手」

そう言うと上を起こして無數の足の幾つかでウジャウジャお手してくれた。

「気持ち悪い」

そう言うと今度はどこか落ち込んだように丸まった。外裝部分は治ってないんだけど……案外元気になったみたいだ。

「よしよし、君はダゴちゃんと命名しよう。ダゴちゃん、私を逃しておくれ」

そう言うとダゴちゃんは私を乗せていそいそと歩き出す。本當は回転したほうが速いんだろうけど、それじゃあ私が乗ってられないもんね。気を使ってくれてるんだろう。可いやつである。この子は他の仲間の位置がわかってるのか一回も他の同類に合わずに地下鉄のへのり口みたいな所にたどり著いた。こんな森の中でポツンとあるような場所、一人じゃ相當運が良くないと見つけられなかっただろう。

私の運は最悪だし、この子を手懐けてなかったらやばかった。

「ようし! レッツラゴー!!」

そう言って中にる。中は階段じゃなくスロープだった。なのでダゴちゃんでもらくらくである。奧へ進むとホームみたいなじ……路線図? みたいなのも確認できた。どうやらここ……下の方に人か……そんなじの人達が住んでたっぽい。けど……このホームの現狀を見る限り、既に廃墟になってそうではある。人っ子一人いないし、どこもかしこもボロボロだ。

ドラム缶みたいなロボットが何かを言いながらいてるだけ。多分だけどここに殘ってるのは機械だけなんだろう。ダゴちゃんは線路に降りて更に下を目指して進む。ふとそんなダゴちゃんに聞くよ。

「ここの人達はどうしたの?」

ピロピロリンと機械音が響くけど、何を言ってるのかはわからない。う~んこっちの世界の言葉はわからないし……そもそもこれは言葉ではないと思う。よく考えたら異世界で言葉なんて通じないよね。コミュニケーション能力の欠陥を失念してた。一番大事なことなのに……てかゼルラグドーラとは普通に會話できてたから……ってあれ? なんで會話できてたんだ?

きっとあれだよね。ゼルラグドーラはドラゴンで特別だった。そうしよう。けどよく考えたらダゴちゃんも私の言うこと理解してるよね? どういうことだろう? 魔法とかある世界だし、言葉じゃなくて心を読んでる? 機械が? とか思うけどここではなんでもありな気もする。魔法があるなら心の聲とか伝えられそうだし、それを読むことだって……頑張って集中してみる。

「むむむむむ……」

何かってくるじはする。けど理解することは出來ない。

「むむーー!」

頬を膨らませてもっと頑張ってみる。すると大量に何かがってくる。ダゴちゃんの中の形とか々と見えるけど、よくわからない。でもヒントはあった。ようは回路がちゃんとつながってないじなんだ。だからそれをつなげればいい。いっぱい流れ込んできたものがある。それは今は私の中でバラバラと放置されてる狀態。けどこれをつなげることが出來れば……

(必要なやつだけ繋がって!!)

そんな都合の良い願いを込めると、案外どうにかなった。何かが繋がった気がする。でもやっぱりダゴちゃんの言葉はわからない。けど、次の駅の名前は理解できた。

『トルドラ』と読める。その知識が脳と繋がったみたい。自販売機みたいなのも見えるし……やっぱり文面レベル高い。駅には沢山線路がある。って事はそれだけ繁栄してた駅と言うこと。この先にどんな街があるのかちょっと楽しみになってくる。ダゴちゃんの背に乗ってホームを進むと大きなエントランスホールから外にでる。

地下へと降りてきた……と思っんだけど、そこはでいっぱいだった。上から下へ水が流れ、蔦が絡まった家々は柱の様に下から上へとびてた。なんか高層ビル群のようなじだし、明の管が張り巡らされててなんだかそれはジェットコースターの様に見える。

(ジェットコースターってなんだっけ?)

とも思うが、目を閉じればその景が見える。でもあれはそんなアトラクション的なじじゃなく移手段みたいな気がする。まあその中にも植が生えててこの街に人が居なくなってからの年月をじさせる。これが古い場所ってのはわかる。ってことは外の文明はこれよりもずっと進んでる? 中世なんて訳ないな……と私は思った。

下手したら現代よりも進んでるだろう。ちょっとワクワクする。はやく人がいる所に行きたいものだ。チヤホヤされたい。楽したい。文明レベルも高そうだし、案外楽に生きれるかもしれない。

「げっ」

そんな事を思ってると、ダゴちゃんの仲間たちが奧からワラワラと湧いてきた。ヤバイじがする。

「ダゴちゃん!」

逃げてもらうけど、向こうは回転しながら迫ってる。どう見てもスピードは向こうが上だ。このままじゃ直ぐに追いつかれる。流石にあの數を相手にしてたらが持ちそうにないし、そもそも私はこのをなるべく傷つけたくない。だって折角キレイなんだよ? なるべくなら綺麗なままでいたいよ。でもいざという時は仕方ない。

でもまだ頑張ってダゴちゃん! とりあえず放ってくる赤いレーザーはなんとか防いどくから。建の影に隠れてなんとかやりすご……せない! ダゴちゃんの仲間はまるで見えてるかのようにどこに隠れててもこっちの居場所に正確に迫ってくる。もしかして……これって……

「ダゴちゃん、まさか位置共有してる?」

その質問になにも答えないダゴちゃん。沈黙は可ということか? でもそんなじはする。決斷するしか無い。

「ダゴちゃん、私達もここまでだね」

「ピーピー」

悲しげな音をだすダゴちゃん。確かに別れるのは辛いよ。けど、出會いがあれば別れがあるんだよ。悲しいけどね。でもこの子はここの地理に詳しい。それだけは惜しい気はする。私、運最低だしね。最悪私だけじゃさまよい続けるかもしれない。でもどうしたら……このままじゃ確実に追い詰められる。そう思ってると空を飛んで人形の奴が降ってきた。

まさか空まで飛べるとは……なんて高能な。これはまじでにげるのも無理かも。そんな風に思ってるとダゴちゃんが噴水の中へと飛び込んだ。何をするのかと思ったら水路を行くようだ。

なるほど、それは良いかもしれない。水が平気なのかは分からないが、ダゴちゃんも高能だろうしイケるだろう。けど問題が一つ……

(空気! 空気がヤバイ!!)

ダゴちゃんの背をバンバン叩いてそれを訴える私。けどダゴちゃんもどうにも出來ないよね。頑張って耐えるしか無い。そう思ってるとガバッと用水路の様な所に出た。

「死ぬかと思った」

私もゼルラグドーラの様に息しなくてもイケるかと思ったけど駄目だねこれは。酸素大事。ここは文明レベル高いけどエネルギーの源は電気ってわけじゃなさそう。さっきから通路を照らしてるのはクリスタルの様な石だ。なにか特別な力を石自がもってるっぽい。そう思いながら進んでいくとなんだか広くて不思議な空間にでた。ドーム狀の空間に沢山の箱? 近づいてみて私は思わず息を飲んだ。

「これって人?」

そこには人が寢てた。正確には天使っぽい人だけど。なんか羽が見えるし。もしかしなくてもここの住人達だろうか? でもなんでこんな事になってるのか……どうにも出來ないし、とりあえずここは後にして更に下を目指す事に。そこは沢山の巨人が並んでた。それはもう數え切れないくらいだ。一瞬くかと思ったけど、どうやらそれは無いっぽい。ここらへんまで蔦が來てる。植の生命力は凄まじい。

更に下に行くと何やらキューブ狀のがいっぱい浮いてた。それを伝って下へと更に降りていく。てかずっと下に降りてるんですけど……地底世界にでも行っちゃうの? と思う。そして何やら水が溜まって長よりも長くなった草がいっぱいの所に降り立った。

「あれれ? ダゴちゃん?」

こんな場所じゃ、ダゴちゃんがどこに居るかわかんないよ。そう思って下ばっかり見てたら何かにぶつかった。

「いつつ……あっ」

そこには巨人がいた。そしてダゴちゃん摑んでた。見せつける様にダゴちゃんを握り潰す巨人型ロボット。まさに次はお前だ……と言わんばかりだ。

「ダゴちゃん……」

敵は取る――と力を腕に込める。そう思ってるとがガシッと摑まれた。そして持ち上げられる。

「あーどうもー」

長い腕でクルッとされるとそこにも巨人型ロボットが居た。これは不味い。そう思ってると手に力が込められる。いきなりボキベキと嫌な音がからなる。急いで力を込めてそれに反発して、手を砕いて出する。そしてそこで気づいた……どんどん湧いて出てきてるよ!!

(ま……不味い)

そう思ってると壊れたダゴちゃんを見つけた。はボロボロだけど、核っぽい石は健在だった。それをとりあえずとって逃げる。けど暫く走ると壁にぶつかった。

「ここからどうしろっていうのダゴちゃん!!」

けど石となったダゴちゃんは言えない。大軍となって迫ってくる巨人型ロボットがその口にをあつめて細い線を放ってくる。それを飛び退いてかわす。アホみたいに発とかはしないみたい。ここを守る為に対象だけへの殺傷力を高めてるじだ。けどそこで気づいた。さっきの線がうがったからしてる。もしかして隣にイケる? 結構広そうな空間かも。こうなったら行くしか無い。

わたしはし助走をつけて壁へ向かう。を力で強化して――

「だりゃああああああああああああ!!」

――勢い良く突進して壁をぶち破る。すると足場がなかった。そして強烈に吹き付ける風……眼前に広がる真っ青な風景。

「えっと……空?」

地下なんかじゃなかった。落ちていく私の頭上には、空に浮かぶ巨大なが見えてた。

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