になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#15

「うっうっベルグゥゥゥ……ぐずっぐず」

大きな木のしたで泣きじゃくるスズリ。仮面で顔は見えないが、多分ぐっしゃぐしゃだろう。取り敢えず雨宿り出來るのは良いけど、流石に真っでは寒くなってきた。このままじゃ完璧に風邪引くね。風邪はやだなー。私はいそいそとスズリと近づいてピタッとひっつく。

「……冷たい」

やっぱり濡れた服にくっついても意味ないか。さっきから聲かけても全然反応してくれないし……このままじゃ二人揃って風邪になるよ。しょうがない。私は先ずはスズリの上著をがす。草とかで編んだのかわからないけど、あんまりおしゃれじゃないそれをがせて、次は著だ。これもを薄い布が覆ってるだけだったから後ろの紐を解いて上げる。すると重力に従って揺れた。

「おぉ……大層なをお持ちで」

押さえつけてたらしいは中々の大きさだった。しかも綺麗だし、私好みだよ。まあ私が長したらこれよりも完璧なバストになる予定だけどね。そして今度は下だ。これも獣の皮を使った簡易的なスカートみたいなのだからささっとぬがした。

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「生えてる……」

うっすらとだけどが見える。どこにとは言わないよ。わたしは全く無いからなんかやらしい。興味本位で一本抜いてみた。

「えい」

「いたっ――ってえ!? なななななな何を!?」

「もう遅い! てや!!」

私はスズリの上から全重を使って押し倒す。うーんやっぱりの子のは最高だ。スベスベで弾力があってらかい。そしてなによりも溫かい。やっぱり人が一番だね。互いの心音が重なりあう覚がある。落ち著く。そう思ってたのはどうやら私だけでは無かったようだ。

「ほんと……なんなのよ君は。もう……訳がわからないよ」

そういったスズリは仮面が取れてた。けどその顔を拝む前に私を強く抱きしめてそして頭に顔を埋められた。これじゃあけない。仕方ないから私もしっかりと著する。おっぱいのが癖になりそうだった。

どのくらいそうしてたのだろうか? 気付いたら雨が上がって……はなくて、代わりに黒い狼が近くに居た。けどなんだろう……その存在が曖昧な気がする。雨に溶けそうに揺らめいてる。けど、わかる。そこに確かにいると。

『懐かしいな。その力をじるのは』

頭に響く深く重い聲。目の前の狼が言ってるのはわかる。なんだろう……ベルグとかよりも小さくて普通の大型犬くらいのサイズなのに、見つめられてるだけで冷や汗がでる。こいつはヤバイと私の本能が言ってるよ。

『ゼルラグドーラの眷屬か?』

「!!」

まさかその名が出てくるとは……勝手に知ってる奴なんて居ないのだと。でも同じような存在ならありえるのかも。この狼に見つめられてると黙ってるとか噓つくとかしないほうが良い気がする。だから私は素直に答える。

「眷屬じゃない友達」

『面白いやつだ』

「知り合い?」

『二千年前にやりあったな。それ以來奴とは會ってはない』

「二千年って……」

ちょっと途方も無くてよくわからない。やっぱりこの狼はゼルラグドーラと同格クラスの存在と言うことか? まじヤバくね? 幾ら私の防力でもこいつは防げそうにない。

『我等永遠の存在にとって時間など関係ない』

「さらっと言うけどどうなのそれ? ゼルは達観してたけど……」

『ゼルか……友とは奇妙なを奴は作ったものだ。我も世界への干渉は極力避けてはいる。だがやつほどでは無いがな。種を作り、守り、そして見守っている。世界の行く末をな』

「それってベルグの事?」

『そうだ。アレも我が子の様なもの。薄れ行くと力の中で先祖返りした稀有な個だ』

なんか話が見えてきそうな気がしてきたぞ。ベルグはどうやらこの狼を始祖とした狼の末裔で特別に強い個だった。だからこのまま殺すのは惜しいとかそんなじじゃなかろうか?

「つまりはベルグを助けてほしいと?」

『それはどうでもよい』

あれま、案外冷たいのね。思ってたのと全然違ったからなんでこいつが出てきたのかまたわからなくなった。

『言ったであろう。干渉はしない。ああいう個が今まで居なかったわけでもないからな』

「別に惜しくはないと? 子供とは思ってるのよね? はないの?」

私が言うことでもないけど、ちょっと気になった。こんな規格外の存在とはそうそう會えるものでもないだろうし、どういう心境なのか興味がある。

『不思議な奴だ』

何故かこちらが不思議がられた。何故に? なんかゼルも同じような事言ってた気がする。そんなに私、不思議かな? でもミステリアスってのはの特徴の一つだし、悪いことじゃないよね。

はある。だからこそ種は続く。なに、我が來たのはその娘を離そうと思ったからだ。丁度いい機會だからな』

「ちょっと荷押し付けられるのはゴメンなんですけど……」

丁度いい機會とか私の事でしょ。拾ったのなら最後まで面倒を見る。これが鉄則だよ。面倒を見切る自信が無いのなら拾わない。これ大切。けど流石にこの狼には言えないな。

『ベルグは小さい頃、その特殊から群れから弾かれてたのだ』

(おう……なんか昔語り始めちゃったぞ。聞くしか無いのこれ?)

でもなんか皮だよね。だってベルグが一番この狼に近いはずなんだよね? それなのにベルグを弾くなんて始祖を否定してるようなでは? でも群れに突然変なのが生まれちゃったらやっぱりしょうがないのかもしれない。明確に違う……それは恐怖だから。

『そんな時に出會ったのがその娘だ。娘は赤子のまま捨てられていた。こんな時代だ。珍しいことでもない。普通なら直ぐに餌とするだろう。だがベルグは違った。その娘を育て始めた。きっと自分と重ねたのであろう。だが狼であるベルグが別の種の赤ん坊を育てられるはずがない』

「まあ……確かに」

そう言いつつ、私はちらりと寢息を立てるスズリをみる。居るけどねここに。けど次の言葉に私は狼とスズリを二度見する羽目になった。

『程なくして赤子は死んだ』

「ええ!?」

それって一どういうこと!? 雨はどんどんと強まり、次第に雷が鳴り出してた。まさに私の驚天地の心境を表してくれてるよ。

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