《になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#19
あれから二日が経った。本當はさっさと出発したいんだけど……いかんせん雨がやまない。私はこの二日で食料の保管されてた木箱を三つは空にしてた。流石にスズリに隠されてしまったよ。全く々と助けて上げたんだから好きなだけ食べさてくれたってよくない? 私、それだけの働きをしたはずだ。まあここ二日は食っちゃ寢しかしてないから十分高待遇とも言えるかもだけど……でもそれだけじゃ満足できないお年頃なのよね。
ここ何もないし。そもそもこの世界にはどういった娯楽があるのだろうか? そこら辺は全く分からない。でもテーブルゲームとかは流石にあるよね。もしかしたらTVゲームだって……それは無理あるかな? でもあの空中で観た都市になら有り得そう。けどあのレベルは期待しちゃいけないともうわかってる。多分あそこは大昔にでも滅びた都市なんだろう。
昔は栄華を極めてた都市があったけど今はもう失われたとかそんなのだと思われる。ならあそこ復活させてしまえばとも思うけど、戻り方とかわかんないしね。私空飛べないし……そもそもが空を飛べる程度であの場所にいけるのなら、とっくにあそこはこの世界の人々に調べつくされてるだろう。でもそんな形跡は無かった気がする。
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(つまりは正攻法の手段じゃたどり著けない)
ゼルラグドーラに頼めば乗せていってくれそうだけど、魂の回廊で呼びかけても反応しないんだよね。やっぱり生きる時間も桁違いの存在だから一度寢たら數百年単位で起きないんじゃなかろうか? 有り得そうな気がする。
(そういえばケプラーが船が飛ぶとか言ってたよね。つまりは飛べるのにあそこにはたどり著けてない時點で絶対に何かあるもんね)
何かたどり著くのに條件が必要とか? 飛行石か? やっぱりそんなアイテムがあるんだろうか?
「ねえベルグ……」
「なんだ娘?」
私の気のない言葉に直ぐ様反応するベルグ。私に二度も借りがあるこいつは私に逆らえないのである。だからこうやってもふもふのに寄り添ってグデーとしてるわけで……うん、私はここが一番のお気にりになったよ。ベルグが橫になって寛ぐ所で私もベルグの腹に上半を預けて寛ぐ。まさにwin-winの関係というやつだね。
やっぱり生きは暖かくていいね。雨続きで底冷えするからこの溫もりとふわふわは格別である。ちょっと獣臭いのがたまに傷だけど、もう慣れた。寧ろ私の良い匂いが移った気さえする。まあ私の見てない所でを壁や地面にり付けて消してるみたいだけどね。どうやら私のの匂いはベルグはお気に召さないらしい。
スズリの方がいいみたい。でもそれはしょうがないね。だって二人は魂で結ばれてるんだからね。そんなことより……だ。
「空に浮かぶ都市の事知ってる?」
「聞いたことはあるな」
「どんな?」
「大昔、世界はもっと高度に発展してたらしい。その時には選ばれし者達が住む都が空中に有ったと言うことだ」
ふむふむ、だいたい想像通りだね。じゃあどうして滅びたのだろうか?
「何故にその時代が終わったのかは誰も知らない。長壽を誇る種でもその記憶はないらしい。まるで世界からその事実が消されたかのようにな」
「ふーん。でも記憶を消したのには殘してるんだ」
「何を言ってる?」
あれ、まさかこの世界の生命はアレがまだ頭の上を飛んでる事を知らない? けどベルグって白狼の言い伝えレベルしか知らないし、そこまでこいつ基準で考えられないな。ちゃんとした國家とかだともっと々と研究してるかもしれないしね。再訪の仕方がわかるかもしれない。今の所あんまり戻る気もないけど、この世界で生き辛いとおもったらあそこに戻って自分の國を作るのもいいよね。
ロボットたちが問題だけど、それの解決方法も世界を回ればわかるかもしれない。でもそんな積極的にく気もないけど。この容姿があれば上流階級に取りるなんて朝飯前でしょ。男なんてみんなロリコンだしね。ロリコンでなくても私クラスのならそいつをロリコンに落とせるまである。でもそれには一にも二にもこの大陸から出なくちゃね。
ここじゃ私のっぷりがあんまり意味をしてないし。こんな片田舎みたいな大陸で埋もれたままでなんていられない。世界に私という存在を示さないと! それは私ほどの絶世のの使命みたいなものだ。
「もうその話はいいや、それよりもいつまでこの雨続くわけ? どうにかしてよ」
「貴様が振らせたんだろう……」
強引に話を変えたけど、こっちも深刻だらかね。ほんといつまで振るわけこの雨? 止む気配がない。
「まさかここまで降り続くなんて思わないじゃん。あんたの咆哮で雨雲散らせないわけ?」
「馬鹿なことを言うな。お前が振らせたんだから、お前が止めればいいだろう」
「だって疲れるし」
「こいつ……」
グルルと唸っくるベルグ。確かに私が再び銃を使うのが確実なんだろう。それはわかってる。けど流石にもう止むよね? 明日には止むよね? と思っちゃうのも普通じゃん。疲れるのは本當だし、私はるべく楽していきたい。でも流石にこれはもう止むのを待つとか言える狀況ではないのも確か。私だってそろそろ行したいしね。
私はそこらにほっぽってた銃に手をのばす。そして軽く埃を吹き払って「んしょ」といって立ち上がる。するとその時り口の簾みたいなのを潛ってスズリが戻ってきた。
「今日のは良いのがとれたよー」
そう言って擔いでる獲をドスンと置く。それは丸々としたイノシシみたいなに見えた。これは今日はご馳走だね。
「やっぱり明日から本気出す」
「おい!!」
私が腰を下ろすとその時地面が大きく揺れた。土砂崩れかな? 最近雨のせいでよく起きる。けど今回のは続けざまに響く。これは何かおかしいな? と私達は顔を見合わせる。取り敢えずスズリとベルグが外へ様子見に行く。私は濡れるの嫌だしスズリが獲ってきたイノシシをツンツンしてた。すると相を変えてスズリが戻ってきた。何かあったのかな?
「奴等だ」
「え?」
「奴等『アドパン』の兵士達が私達を狩りに來た。戦爭だ!」
そんなスズリの強い言葉に私はこれって戦爭と言える規模? とかおかしな事を考えてた。あと「アドパンってぷぷ」とかとも思ってた。
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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