《魔法が使えないけど古代魔で這い上がる》21 魔での稽古

「ふぅ、良い運になったわ」

「そうだな、たまにこうして運するのも良いかも知れんな」

それから數分後、どちらともなく剣を収めてすっきりした表を見せる2人。

あれほどのきを見せていたにも関わらずほとんど息も切れてない。

當人達からすると本當に「良い運」の範囲だったのだろう。

 

「どうかしらロイド。參考になったかしら?」

「いやなるかい」

あまりに高度なきは離れた位置から見ているにも関わらず目で追うのが必死な程だ。

無茶言うな、と言いたい。

「まぁ攻撃と防に絶え間なく切り替えて、剣より素早く攻めたり守ったり出來るのは分かったよ。……出來るかは別として」

「ふふ、それで十分よ。きなんてあとからにつけるものなんだから」

シルビアは微笑みを浮かべた。

そしてまたロングスカートをがばっと捲り上げ、短剣を納める。

その様子になんとも言えない表のルーガスだが、結局何も言わずにいた。

「んんっ!」

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そんな中、不意にロイドのズボンが引っ張られた。

振り返るとそこにはローゼがおり、お腹がすいたのか、屋敷に連れ戻そうと引っ張る。

「あら、ごめんねローゼ。さぁご飯にしましょう」

「すまないローゼ、お詫びに僕が食べさせてあげるからね」

「んんんーっ!」

「めっちゃ嫌がってるわよお兄ちゃん」

「なん…だって…?!」

「いや今更だろ。むしろそんなだから警戒してんじゃないか?」

「だがこの可さを前に表現をしない方がおかしいじゃないか!」

「フィンク、ほどほどに…」

「うっ、父上まで…」

そんなこんなで、いつも通りの朝食の時間を過ごすウィンディア家であった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

それからロイドは今まで通り朝に魔の練習と剣の訓練、朝食後は勉強を行い、午後の自由時間に魔力作の練習、そしてエミリーの稽古の後にシルビアから時間をもらって短剣二刀流の稽古をして日々を過ごしていた。

ちなみに、短剣のもう一本は町の武屋に売ってある初心者用の軽く扱いやすいものを購している。

そうして1ヶ月が経った。

やっと魔の暴走がしなくなり、本來の魔能が見えてきた。

「うりゃあっ!」

早朝の訓練にて、ロイドは魔の短剣に魔力を込めて振り下ろした。

すると、その延長上に風の刃が飛ぶ。

ロイドはこの魔の効果は、風の刃を自するというものだと考えている。

にて風をる中で、風の刃だけはほぼ意識せずとも発生する事から、風の魔のとりわけ風の刃生がこの短剣の機能だと予想したのだ。

今では魔力作の技も多は上がり、威力の調整も出來るようになった。

垂れ流すように吸い込ませていた魔力もだいぶロスがなくなり、まだ無駄に溢れた風が撒き散らかされてはいるが、それも軽く髪をなびかせる程度のものになっている。

「バカ正直に撃っても當たらんぞ」

風の刃を大剣で弾きつつ、ルーガスは距離を詰める。

大剣を構えて迫るルーガスの迫力に後退りたくなるがぐっとこらえ、短剣を橫に降るう。

橫一文字に発される風の刃を足を止めることなく駆けながら大剣で弾く。

が、すぐ目の前に追隨する形で迫る風の刃が。

  ロイドは訓練の果の1つとして、短剣を振るわなくとも風の刃をれるようになっていたのだ。

もっとも、戦闘中であれば同時に一発が限度である。

その為、短剣による風の刃に隠してその一発を撃ったのだ。

しかし、その攻撃もルーガスはを低くして躱す。

それでも走る速度は落ち、勢はなからず崩れた。

そのなけなしの僅かな隙をロイドは逃さない。

「もらったぁ!」

   短剣を思い切りぶん投げた。真っ直ぐにルーガスに向かう短剣。

だがそれさえもルーガスは驚異的な反応速度と剣速で大剣で短剣を払った。

「ふむ、今のは悪くなかっーー」

「もいっちょ!」

賛辭を送るルーガスを遮り、先程の短剣を投げる際に低い勢で駆け出したロイドが間合いにり、風の刃を纏った短剣を振り下ろす。

 

これにさえルーガスは大剣を盾のようにの前に戻してけてみせた。

まるで大剣を木の棒のような速度でかす筋力にいっそ笑いたくなるロイド。しかも強化はしていない。

だが、ここまで多段攻撃を繰り返した事でルーガスは完全に勢を崩している。

(これならいける!)

ロイドは構わず大剣に短剣を叩きつける。

そして、纏った風を解き放った。

「ぬっ!」

これにはルーガスも驚きの聲をあげた。

その予想外の衝撃に剣こそ離さなかったものの、激しい衝突音が響き渡りーー餅をついたルーガスがそこには居た。

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