《魔法が使えないけど古代魔で這い上がる》23 社界のお知らせ

その後、いつもの訓練に戻ったロイド達。ルーガスとの訓練を見ていたフィンクとエミリーに賛辭の言葉をもらいつつ、組手の訓練をしていた。

  

丁度エミリーが魔法、魔ありでの組手をロイドに申し出た時だった。白の鎧を著た兵士らしき者がルーガス達のもとにやってくる。

「ウィンディア伯爵、朝早くに失禮させて頂きます」

「気にするな。私がこの時間で頼んだんだ。――フィンク達はそのまま続けていい」

思わず手を止めていた3人だが、ルーガスの言葉で再びき出した。

どうやら審判と見張りを兼ねた役をフィンクがするようだ。「始め!」というフィンクの聲が聞こえてくる。

「それで、今度は陛下は何と仰ってるんだ?」

「はっ!陛下よりお預かりした手紙でございます」

――おらぁ、もういっちょお!

「全く。伝書鳩で伝えれば良いだろうに。お前達も大変だな」

「いえ!…と言うより、陛下が伝書鳩などではウィンディア伯爵が無視をしかねない、と仰っておりまして…」

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――それはさっき見たわよっ!

「…………そうか、陛下には一言申さねばならんな」

(めちゃくちゃ間が空いた上に顔が引き攣ってる…陛下の言葉は的を得ていたのか…)

――くそ、やっぱダメか!試してみるしかないかっ!

「…ふむ、今回はまともな要件だな。社界を兼ねた時期當主となるであろう子息のお披目會か。……これなら伝書鳩でなくても無視はせん」

「あの、小さい聲で何か聞き捨てならない言葉が…あと過去にまともじゃない要件とかもあったんですか?!」

――ふんっ!その高速移もさっき見たわよ!甘いわ!

「いや、気にするな。さて、返事は今渡して良いか?」

「気にしますよ。陛下からの手紙だと毎回決死の覚悟で意気込んでた私達は何だったんですか…。あ、はい、よろしければここでお預かり致します」

――おわっ、マジかよ?!くっ、いっ、うわぁっ!

「す、すまんな…あまり不用意な事はしないよう私からも申し上げておく。……よし、これを陛下に頼む」

「宜しくお願い致します……はい、確かにお預かり致しました。必ずやお屆け致します」

やり取りを終え、ルーガスが3人のほうに振り返る。つられて兵士も振り返ると、追い込まれたロイドにトドメを刺そうとするエミリーの姿が。

「まだまだねっ!その程度で私に挑もうだなんて6年早いわっ!」

的な數字は辭めろ!しかも地味に長いから余計傷付くわ!」

會話は余裕をじさせなくもないふざけたものだが、風の発で距離をとろうとするロイドに、風魔法の”突風”に乗っているのか高速で追いつつ火魔法の”火球”をマシンガンのように放つエミリー。

そろそろ止めるつもりか、ゆっくりと立ち上がるフィンク。

「うわ、2屬同時発ですか…さすがウィンディア家長、お若いのに素晴らしい戦闘技ですね」

「ふむ、細かい作が苦手で荒削りではあるがな」

そう會話していると、いよいよ火球を躱しきれなくなったロイドに火球が殺到する。

いやこれまずいだろ!とルーガスに目線を送る兵士だが、ルーガスは一歩もかず見ているだけだ。

 

これ僕が止めないといけないのか?!と、兵士の男が足に力をれた瞬間、火球とロイドの間に氷の壁を出現し、火球を完全に防ぎきった。

「し、死ぬかと思った…」

「負けたとはいえ、良くなってきてるよ。また頑張っていこうロイド」

ゆっくり歩み寄り告げるフィンクに禮を言いつつ立ち上がるロイド。

その景を見つつ、兵士は嘆したように呟く。

「あれが噂の神フィンク殿か…氷魔法、初めて見ました…」

用なやつでな。魔法を混ぜるなんて俺も妻も考えもしなかった」

「つまり我流ですか。あれで14歳とは…通り名に恥じぬ才能ですね」 

呆然と視線を送る兵士を脇目に、フィンク対エミリー、ロイドで勝負が始まった。12歳とは思えぬ苛烈な攻めと、10歳とは思えぬ策を講じてエミリーに合わせて攻めるロイドに、それらを危なげなく対応するフィンク。

ルーガスはそれらをしばし見つめた後兵士に目線をうつし、口を開いた。

「では手紙にも書いてはいるが、1週間後の社界には出席させてらもらう。宜しく頼む」

「え、あ、はい!かしこまりました!では私はこれにて」

ルーガスが役目を果たした兵士が門から出て行くのを見送ると、同じく見ていたのであろくフィンクがく。

「そろそろ朝ご飯に手伝いにしよう。これで終わり」

「冷たっ?!」

「ごぼぼっ!」

 エミリーの腕を握る剣ごと氷漬けにし、ロイドの顔を水球で包む。

そして、2人がきを止めたのを確認し、それらを解除した。

「ふむ、明日は俺と手合わせしようかフィンク」

「ふふ、ぜひ。楽しみにしてます」

エミリーは凍える腕を火魔法で溫めて、ロイドは濡れた髪と顔を風で乾かしながら、2人の會話を聞きつつ顔を寄せ合い小聲で話し合う。

「兄さんって、なんだかんだ戦うの好きだよな…」

「でなきゃあんなに強くならないわよ…昔なんて町の人達から”笑顔の戦闘狂”なんて呼ばれた時期もあったくらいなんだから」

「ふふ、懐かしいね。でもあまり好きじゃないんだ、ローゼには緒だよ?」

 くるり、と振り返って微笑みを浮かべて返すフィンクにびくぅっとが跳ねる2人。

地獄耳かよ…と、聞かれていた事とその妙な圧をじる微笑みに冷や汗をかきつつ、2人は引き攣った笑顔で頷くのであった。

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