《魔法が使えないけど古代魔で這い上がる》25 王都出発と刺客登場

それからあっと言う間に5日が経った。

その間、ルーガスやシルビアは手慣れた様子で準備をしていたが、フィンクは2人に必要なを確認しながらの準備だった為それなりに苦戦していた。

それでも稽古や勉強はもちろん、夕方の兄弟の遊びにまで顔を出していたのは流石だとロイドは思ったが。

そして出発當日の朝、ロイドとエミリーは3人を見送りに庭のすぐ外に出ていた。すでに馬車は來ている。者は馬車の近くに控えており、その間にラルフが立っていた。

ロイドは転生以來たまに馬を見てきたが、明らかに地球の馬より大きく屈強そうだった。

その記憶の馬よりも更に一回りは大きい馬が2頭並んでいる。並みが良く靜かな様子なのだが、反対にどこか圧倒されるような威圧さえじる。

その馬がひくのは白い馬車だ。ロイドは転生後初めて見るので比較出來ないが、これまた立派な馬車である。

「では行ってくる。何かあったら2人を頼む」

「おう、任せとけ。むしろ道場閉めて付いてても良かったんだけどな」

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「ありがたいが気持ちだけもらう。せっかくだからな。々自分達でやるのも経験だろう」

そう、ロイドの予想に反してルーガス達が王都へ向かう間はロイドとエミリーだけで過ごす事となった。

実際の所、地球では一人暮らしだったのでその事への不安はないが。

ラルフと話し終えたのか、ルーガスはおもむろにこちらを見た。

「エミリー、ロイド。困った事があればラルフに頼れ。いいな?」

「分かったわ、お父さん」

「2人とも、危ないことはしちゃダメよ?」

「分かってるよ母さん。…なぜ俺ばっか見てるのかな?」

「ふふ、なんででしょうね?」

 

なせだ、絶対エミリーの方が危なっかしいのに。と思ったがこれから2人で過ごすにあたり言うべきでないと口をつぐむ。

それを見て可笑しそうに笑うシルビア。その橫のフィンクがいつも通りの微笑みを浮かべて口を開く。

「ロイド、あまり無茶な特訓はしないようにね」

「大丈夫だっての。それより兄さんは自分の心配しとけよ。張してガチガチにならないよーにな」

「ふふ、そうだね。今から張しちゃってるよ」

普段通りの微笑みに軽口を浮かべといてよく言うわ、と心で吐き捨ててロイドは鼻を鳴らす。それを察したのかフィンクは微笑みをし意地悪げに歪めていた。

「もしお兄ちゃんがそんな事になってら教えてねお母さん!」

「ええ、安心なさい。どんな手を使ってでも映像に殘すわ」

「映像記録の魔法なんて高級品をそんな用途で使わないで下さい母上…」

もっと意地悪げな微笑みを浮かべたシルビアに微笑みが崩れそうなフィンク。

そのいつも通りな雰囲気に心配なさそうだと肩をすくめるロイドとルーガス。

「ではこれ以上待たせるのも良くない。そろそろ行くぞ」

「そうね。それじゃ良い子にしてるのよ2人とも」

「「はーい!」」

わいわいとピクニックでも行くかのような雰囲気のままに3人は馬車に乗り出発した。

しばらく遠退く馬車を見送ると、ラルフが聲をかけてきた。

「エミリー、ロイド。ルーガスのやつが言うように何かあれば言ってこい。道場かその橫の家にいるからな」

「ありがとう先生。その時は頼みます」

「もっとも、俺がこの家についても良いんだけどな。ルーガスはあぁ言ってたが、無理そうなら言ってくれればついててやるからな」

「大丈夫よラルフさん!もう私ら立派なレディなんだから!」

「おっ!そりゃ頼もしいな!」

  ニカッと笑って頭をでるラルフ。

ふふん!という効果音が聞こえそうな表を張っているエミリーを脇目にロイドは聲をかける。

「先生、とりあえず今日は道場は行かないでおきます」

「そーだな、家事やらもあるしな。頑張れよ」

「ありがとうございます。でもまぁ母さんの手伝いとかしてるし、大丈夫ですよ」

そうか、と笑って頭をでるラルフ。

そして、その後し雑談をしてからラルフは自宅へと戻っていった。

「それじゃあ朝やってなかった訓練でもしようかな」

「そうね。しばらくしたら組手ね」

「分かった」

それだけ言って2人はそれぞれ各自の訓練にっていった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その後、組手を終えた2人は勉強の時間をサボろうとするエミリーを引っ張り勉強をして、苦戦しながらも晝食を作り食べ終わった。

いつもより遅い時間となっているが仕方ないだろう。

「んじゃ姉さん、禮儀作法の自習頑張ってね」

「ええ、もちろんよ!」

清々しい笑顔でサムズアップするエミリー。

勉強の時間に見た姿とはかけ離れた反応はむしろ怪しさしかない。

「……帰ってきたらテストがあるって母さん言ってたろ。知らないぞ」

「だ、だからちゃんとやるわよっ!」

まぁいいや、と魔の練習を庭でやろうと立ち上がろうとしたロイドの耳に聞いた事のある聲が外の方から飛び込んできた。

「ロイドくん、居るー?!」

「………」

立ち上がろうとした勢のまま黙り込むロイドに、呆れた様子のエミリー。

「なに居留守しようとしてるのよ。ラピスちゃん呼んでるわよ」

「…いや、面倒な事になりそうだし」

「いいから行ってあげなさい。失禮よ」

エミリーの正論に渋々腰を上げるロイド。

逃げようかな、と思ったが背後から突き刺さるエミリーの視線をじて観念したのか、重たい足取りで玄関へと向かうのであった。

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