《魔法が使えないけど古代魔で這い上がる》27 お嬢

その危険さゆえに流すらないウィンディア領。

しかし、裏を返せば魔という”資源”には困らない土地とも言える。

 

エイルリア王國有數の危険地域と稱される理由の半分は魔であり、それを求めてこの地に足を踏みれる者も居る。

それは魔を狩り生計を立てている者であり、それを生業としている筆頭は冒険者である。

その為、冒険者ギルドはウィンディア領において最も領外の者が多く訪れる場所でもあった。

「ここよ、ロイドくん!」

「うわ、近くで見ると改めてでっかいな」

ウィンディア領でも最大規模でもある建がここ冒険者ギルドだ。

2階建の木造建築で、開けっ放しになっている扉の周りは何度か修繕されたように板が打ち付けられているのが印象的だった。

 

大きな魔を搬しようとして壊れたのかな?と思いつつ、ロイド達は建へと足を踏みれる。

「ここが…」

冒険者ギルドか、と辺りを見回すロイド。まるで前世の市役所のように端から端までカウンターで室が區切られており、そのカウンターに一定間隔で職員が窓口として座っていた。

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カウンターより手前には広いスペースを確保されているのは分かるがどこか圧迫がある程機や椅子が配置されている。

そしてそこには老若男問わず様々な人がいた。大がパーティと思われるグループに別れて話をしている。

「おぉっ?お嬢、久しぶりじゃねぇか!」

「あら久しぶりねぇラピスちゃん。元気にしてたぁ?」

「お久しぶりですっ!おかげで元気ですよ!」

 その中のグループの1つがこちらに気付き、破顔して話しかけてきた。

ラピスも気安い態度でそれに応じる。そしてそのグループの目線が狀況を摑めず目を丸くしているロイドに視線がうつり、それぞれの反応を見せた。

 ニヤニヤとからかうような笑みを浮かべたがラピスの頬を突きながら、

「ふーん、へぇー、ラピスちゃんも気づいたきちゃったかー。お姉さんなんか寂しいなー」

「メグリアさんっ?!ち、違いますよっ!てゆーか寂しい時の表じゃないですよそれっ!」

  顔を赤らめるラピスに一層ニヤニヤしたり。

メンバーでは最年長と思われる壯年の男が微かに目を剝きつつロイドに、

「もしや、お主はウィンディア家の…」

「あ、はい。次男のロイドです」

「やはりか。見るのは初めてだな。初めまして、ゴンズだ」

自己紹介をしつつ握手をしたり、それを聞いた男メンバーが一拍置いて何か思い出したような表現でロイドを指差しつつ、

「あぁー!あれか、”恥さらし”くんか!」

「はぁ……」

「ジークさんっ!ロイドくんはそんな人じゃないですっ!」

「そーよ、初対面でなんて事言うのよ。だからモテないのよ、このバカ!……ごめんなさいねロイドくん。こいつバカなだけで悪気とかはないの、許してあげて?」

「あ、いえ全然。お構いなく」

陣からボロカスに言われてバツが悪そうに頬をかきながら小さくなったり。

ロイドがけろっとした表で言うと、ジークと呼ばれた青年はごめんな、と謝罪した。

「だが、噂は所詮噂か。さすがウィンディア一族と言うべき魔力の持ち主ではないか」

 それに、気にしてないと言う態度は、虛勢でも諦めでもない、れているといった様子に見えた。年不相応の度量もある。

そう思ってゴンズがロイドを見つつ賛辭の言葉を送るが、ロイドは肩を竦めてため息混じりに言う。

「いえ、俺魔法適正がないんで」

「え?全くないの?そんな人いるの?」

メグリアと呼ばれたが驚愕の聲を上げる。

それにロイドはそうみたいですね、と軽く相槌を打つと、それをじーっと眺めていたジークが音もなく椅子から立ち上がる。

「ッ?!」

そのままいきなり剣を抜き一閃。咄嗟にそれをバックステップで躱すロイドに、ジークは追い討ちで前蹴りを放つ。

「ちょ、何をーー」

「こ、こらこのバカっ!」

慌ててるラピスやメグリアの聲を遠くに聞きつつ、ロイドは蹴りをを捻るようにして回避した。

そして、間髪れずさらにバックステップして距離をとり、腰につけていた風の魔を鞘から抜き放つ。

 

いきなりの事に心臓はバックバクだったが、それを無理やり抑え込み、魔を起させようとして、

「うん、やっぱな。噂通りどころか、なかなか鍛えてるじゃねーか」

「そうだな。まぁ強化を使わない辺り、適正がないと言うのは本當のようだが、見事な対応だ」

「だからって無茶しない!怪我したらどうするの!」

あっさりと剣を下ろして言うジークに、ゴンズが分かっていたかのように言葉を付け加える。

メグリアも怒る容からして意図は察していたようだ。もしかしたらよくある景なのかも知れない。

強化が使えても、きがなってなけりゃ意味がねえ。その點、このボウズは大したもんだぜ」

「はぁ…それはどうも。でも今後はいきなりは勘弁してください。心臓に悪いです」

そう、強化は筋力と防力を向上させる事が出來るが、きの補正や適正化は出來ない。

闘いの素人がいくら強化しようと、闘い慣れた者の強化なしには勝てないという事はよくある話だ。

そして、強化に頼ってきがい者は実は多くいるのだ。対して、ロイドは強化を使いたくても使えない。

それ故に捌きを向上させてきたのだが、この地道な努力こそ必要なものだとジークは言っているのだ。

「多分領主さんの指導もあんだろーけど、なかなか良いきをーー」

「ジークさん……?」

  いきなりの事に疲れと驚きを滲ませるロイドに、嬉しそうに破顔して賛辭の言葉を送ろうとしたジークがピシリと固まった。

小さい聲ながらも不思議と誰もが聞き取れる聲が、ラピスから響いたからだ。

「あ、えっと、お、お嬢?いや、もちろん手加減もしたし、もしボウズが避けれなくても寸止めするつもりだったぞ!」

「そういう問題じゃないんですよ…!」

慌てて弁明するもラピスはハイライトの消えた目でジークを見據えたままだ。

形だけは笑顔になっているが、笑ってないのは確かだ。

これはよろしくない、てかやべぇ!と助けを請うように仲間達にアイコンタクトを送るジーク。 それに自業自得よ!とアイコンタクトで返すメグリアに、ワシは知らんとアイコンタクトを返すゴンズ。それでも仲間かよ!とさらに返すジーク。 アイコンタクトの有用は高いのだ。

そのまま説教モードのラピスに言われるがまま小さくなるジーク。

それを脇目にメグリアがロイドに近付き、両手を合わせる。

「ごめんなさいね。うちのバカが迷かけちゃって」

「あー、いえ、當てる気もなかったみたいですし。それより、ラピスと仲良いんですね」

謝罪をけ取りつつ、何気に気になったラピスとの関係を問おうとする。

すると申し訳なさそうな表が一転、ニヤニヤした表になり、からかうような雰囲気に早変わりした。

「あら、嫉妬しちゃったぁ?大丈夫よ、そんなんじゃないから」

「そんなんならちょっとした事案ですよ。年齢差が許容されないレベルですわ」

ため息混じりにツッコむロイドに、メグリアはケラケラと笑う。それを橫で聞いていたゴンズが呆れつつと答えてくれた。

「すまんなうちのバカどもが。…まぁお嬢は生まれた頃から知ってるからな。わしら以外にもお嬢を気にかけている奴らは多いぞ。…なんたってギルド長の娘だしな」

「…んん?!え、ラピスのお父さんってギルド長なんですか?」

「お?知らなかったのか。ついでに言うと、あそこで付嬢をしてる人が母親だぞ」

「ええぇっ?!」

ラピス、まさかのギルド関係者のサラブレッドで、ギルドの"お嬢"。

立て続けに明かされた予想外すぎる事実に本気で驚くロイドの聲が響いた。

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