手を合わせ、骸骨の冥福を祈る。

「あの骸骨さん、獣人って言ってたよな」

本當にファンタジーゲームのような世界設定。

死ねば、元の世界に戻れるのだろうか？

――これまでじてきた痛みが、仮想かなにかだとでも？

「そもそも、戻りたいとも思わない」

○戦士．Ｌｖ８になりました。

「今回の特典はなんだ？」

○武への屬付與スキルを一つ修得出來ます。

★火屬付與　★氷屬付與　★雷屬付與

★水屬付與　★風屬付與

うん、分からん！

「ここまでで屬攻撃に弱そうなのには會っていない。見た目で分からなかっただけかもしれないが」

もうちょっと詳細とか無いの!?　毎度の事だけれどさ！

「……保留だな」

保留出來るんだから、保留したって良いじゃない！

○”獣人の伝統ブーメラン”を手にれました。

「ブーメランは手にれても裝備出來ないし……」

○“転剣使いのスキルカード”を手にれました。

「來たーッ!!」

これ、絶対ブーメランを使えるようになるためのスキルカードでしょ!!

「……なんでこんなに喜んでいるんだ？」

手にらないほどしくなるってやつかな？

思いがけず手にったから、こんなに喜んでいるのか？

「……こっちは使用するか」

“転剣のスキルカード”を使う。

○転剣を修得しました。

予想通りだな。

○遠目を修得しました。

「やっぱり大剣使いと同じ、上位の職業だったか」

予想通り、二つ取得出來た。

○”彷徨う者のマント”を手にれました。

「ん？」

こっちはアイテムか。

「マントは服じゃなくて、その他の所になるんだな」

その他も指同様、二つまでしか裝備出來ない。

「裝備の能力とか、分からないかな」

ゲームにしては不親切過ぎやしないか？

取り敢えず、“彷徨う者のマント”を裝備してみた。

「格好いい！　……のか？」

イメージとしては格好いいと思うのだが、鏡が無いことにはなんとも。

「見た目よりも安全だ！」

しでもステータス的なが上がるなら、見た目を気にしている場合じゃない！

先へと進むとすぐに、地面に置かれた奇妙なを見付ける。

「ポータル……かな？」

円柱狀の平べったいが、緑に発していた。

どこかへの転送裝置なんだろう。

「ここは安全エリアみたいだし、今夜はここで寢るか」

まだ十七時前だが、早めに休もう。

チケットで手にれたコンロと鍋を出し、水筒から水を移してコンロの火に掛ける。

コンロの正式名稱は”魔力コンロ”。

俺のＭＰを補充することで、火が點けられる仕様だ。

これまでに手にれた草と、加工していないグレイウルフのを切って一緒に茹でていく。

「もうし料理の知識があれば、まだマシな味になるんだろうけれどな」

アルミラージのは一度も食べた事が無いから、今日は茹でない。

焼くより茹でる方がには良いけれど、茹でると臭みがより強く出る。

アルミラージのの風味を知ってからじゃないと、茹でて食べるのは怖い。

鍋に塩と生姜をれて暫く待ち、木製のに盛り付けて食べる。

「おほ！　やっぱり、グレイウルフのは茹でた方が味い」

生姜で臭みは飛んでるし、茹でた方ががらかい！

一日歩きっぱなしだからこんな料理でも味しいと思えるが、暫くすると慣れちゃうんだろうなー。

「誰かが作ったご飯、食べたいな」

母のとは思わない當たり、本當に家族への想が盡きているようだ。

★

早く寢たためか、四時過ぎに目が覚める。

軽い朝食を終え、ブーメランの使い心地を確認し、準備を終え、ポータルの上へ。

視界が緑のに包まれ、數秒後には収まった。

ポータルの先に広がっていたのは、とても暗い空間。

「こっちにポータルが無いって事は、一方通行か」

・出・し・よ・う・と・す・る・事・が・唯・一・の・ル・ー・ル・って言っていたよな。

明らかに、戻れないように細工されている。

「まあ、こんな所に留まる気なんて無いけれど」

それにしても、やたら暗いな。最初にゴブリンと戦闘した場所くらい見えない。

遠くに青暗い場所が見える。

暗い巖の中を暫く歩くと、巨大な空間が広がっていた。

空間の中央左側に、青白く輝くなにかが居る。

「妖？」

小さな細の子供が、青白く輝く羽を生やして宙に浮いていたのだ。

髪は炎のように揺らめき、には植の蔦のような紋様があって、と言って差し支えない格好。

いや、あれはだな。

「あの……」

妖に話し掛けようとしたとき、妙な違和をじた。

俺が來たのとは逆方向に……なにか居る。

「……誰か居るのか？」

「ッ!!　フレイムランス!!」

悲痛なの子の聲と共に、炎の槍が飛んできた！

「ハイパワーブレイド！」

大剣を発し、グレートソードによる力任せで炎を切り裂く。

「ウソ……」

聲音にやたら悲壯が強いなと思いながらも、警戒したまま近付く。

「いきなり殺す気か？」

「それはお前が!!　……ダレ？」

こっちのセリフだよ。

「……コセ、とでも呼んでくれ」

「コセ？　変な名前ね」

あ、俺コイツ嫌いだわ。

「私は……ユリカ。ごめんなさい。暗がりなうえマントを著ていたから、アイツと間違えたの」

「アイツ？」

「青い槍を使う、人殺しの男よ」

話しに応じてくれた所を見るに、もうし近付いても大丈夫だと判斷する。

しずつ、彼に近付いていく。

「アンタ……反対側から來たわよね？　もしかして、一・人・の・方を選んだ人？」

「そういう君は、皆・の・方か」

「ええ、すぐ橫の道を通ってね」

暗くて分かりづらいが、彼が親指を向けた先には、確かにより暗い場所があった。

「パーティーメンバーを二人殺されたの……あっという間だった」

そうな黒髪を左右で三つ編みにした、黒縁眼鏡の勝ち気そうなの子。

かなりボロボロで、壁に上半を預け、左腳をばした狀態で座り込んでいる。

殺された……か。

彼がを、妙に傾けていることに気付く。

「怪我をしているのか？」

「……右腳をね」

聲音に警戒が滲む。

「ヒール」

「へ？」

「まだ痛むか？」

「……ええ、痛むわ」

更に二度、ヒールを使用する。

「もう大丈夫……ありがとう」

「助けた代わりに、報をくれ」

期待せずに報を求める。

「……その前に、先へ進みましょう。奴がいつ現れるか分からないわ」

「一緒に進むつもりはないぞ」

誰かに命を預けるなんてごめんだ。

「アレを見ても、まだそんな事が言える？」

彼の指差す方向は、妖の背後。

「巨大な……扉？」

高さ十メートルはありそうな石扉が存在している……ただの壁だと思っていた。

「あの妖と話してみれば、私がここに留まっていた理由が分かるわ。私は奴が來ないか警戒しているから、話しを聞いてきて」

立ち上がった彼が、さっさと行けとでも言いたげに手振りで促してくる。

やっぱりコイツ、嫌いだわ。

「やあ、冒険者」

妖に近付くと、冒険者と呼ばれた。

「地上へと出しようとする異世界の冒険者よ、この扉の先には第一ステージのボスが待ちけている」

あ、ここ異世界なんだ。

「ボス攻略に挑むなら、三人パーティーを推奨する。平均Ｌｖ４以上で、魔法使いが二人以上居るのが好ましい」

俺、魔法使えないんだけれど。

「分かったでしょう。ちなみに、私は魔法使い．Ｌｖ５よ」

彼が近付いてきた。

だから自分と組めとでも言いたげだな。

この狀況、一人で行した上、戦士を選んだ俺に不利すぎないか？

「第一ステージから、そこまで偏った仕様にするものかな？」

考え込んでいた俺の前に、チョイスプレートが表示される。

○1000Ｇ払うとボスの攻略報を聞けます。払いますか？

「君は聞いたの？」

「ええ、弱點は火屬らしいわ」

戦士．Ｌｖ８は火屬付與で決まりかな。

「攻略報も選択制で、私は弱點屬を選んだの。ちなみに、私は魔法使い．Ｌｖ３の時に火屬強化を選んだわ」

ヒールでそんなに信用してくれたのか？　どれだけ自分を売り込んでくるんだよ。

遠回しに、お前も1000Ｇ払えと言っているし。

まあ、払うつもりだったけれどさ。

――1000Ｇって、最初の手持ち資金と一緒だ。

ここまでお金を使う機會なんて無かったし、このための所持金だったのか？

「君の今の所持金は？」

「……200としよ」

イベントで手にれた分を除いても、俺はもっと稼いでたけれどなー。

パーティーを組んでいたせいで、稼ぎが分散されたのか？

「それがどうかしたの？」

「いや」

どうやら、ここまでで1000Ｇ稼ぐのは難しいらしい。

なら、最初から攻略報を知るための所持金と見て良いだろう。

つまり、攻略報が無いと倒すのが難しい難易度設定の可能が高い。

俺はYESボタンを押して、1000Ｇ支払った。