《ダンジョン・ザ・チョイス》14.ドジな二人
「塩100グラムで200G……」
薬屋に、トゥスカと一緒に買いに來ていた。
「安いですね」
「そうか?」
向こうだと、もっと安価で手にったから高くじるのかな?
でも、宿泊料金は一人20Gだよ? 相部屋って事でトゥスカの分は半額になったけれど。
ご飯は自分で用意しないといけないから、ただ寢泊まりする分の代金って事なんだろうけれどさ。
「塩、胡椒、ニンニク、ショウガ、マスタード、ワサビ? お酢? 味噌? 醤油? 他にも々」
「醤油や味噌もあるの? おっしゃ!!」
コクのある塩っ気が手にる!
「ご主人様、どうかされたのですか?」
「俺は、醤油と味噌が大好きなんだ♪」
5000Gも使って、味噌と醤油を特に大量に購しました。
……特段好きというわけでもなかったけれど、メチャクチャ醤油と味噌に飢えてたんだろうな。
★
「スキルカードのお店か」
スキルの上限が分かってしまうと、今は魅力をじないな。
店の片隅に、神服を著たようなが微だにせず佇んでいる。
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「すみません」
「戦士の冒険者様ですね。知っていますか? 回復魔法のスキルは魔法使いにしか修得出來ないのです。戦士の方が回復魔法を使うには、サブ職業に僧を選ぶ必要がありますよ」
にこやかにそう言う、金髪の。
やっぱり、報をくれるNPCか。
しかも有用な報だ。知らずに回復魔法を購しなくて良かった。
おかげで、スキルとして修得出來ないをサブ職業にする方が、メリットが大きいって事も分かったし。
「常識ですね。知らなかったのですか?」
「……はい、すいません」
トゥスカは知ってたのかよ!
「……後で々教えてくれる?」
「生き殘るためです、仕方ありませんね」
すいません。
★
「ダメか」
「ダメですね」
村の端の高さ二メートルの壁を”壁歩き”で登り、村を囲う草原を探索出來ないか試そうとしたけれど、壁の上には見えない壁が広がっているようで、”壁歩き”でも登ることは出來なかった。
「やっぱり、第二ステージを進むしかないな」
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ほんの數メートル先、ちょうど祭壇があった場所の反対側に、第二ステージへのり口が広がっていた。
「り口に居るNPCに、話を聞きに行くか」
「そうですね」
先程からまったく同じ場所からかないため、NPCだと判斷出來る。
「よう、冒険者! ちゃんと奴隷は連れて來ているな」
男が気安く、俺が気にしている事を指摘してきやがった。
俺だって、第二ステージに奴隷を連れて行かなければならないルールが無ければ、トゥスカを解放するのに!
「この第二ステージ、暫く進むと奴隷が居なきゃ先に進めない場所がある。で、その先に進んじまうとこの村には二度と引き返せなくなっちまうから気をつけな」
第一ステージでは良くあった現象だ。
「第二ステージにはり口が二つある」
男が手を左右に広げ、そのり口、二つの窟を指し示す。
「あんたから見て右が、皆で探索ルート。別のパーティーと遭遇する可能があり、襲ってくるモンスターが分散されるため、比較的楽に進める。左側は一つのパーティーで攻略するため、右側よりもちょいと難易度高めのルートだ。その分旨味も多い。ちなみに、右も左もダンジョンの構造自は同じだぜ!」
一人と皆の次は、一パーティーか複數パーティーで苦しむかを選べって事か。
「トゥスカならどっちを選ぶ?」
「左ですね。他の人間と遭遇した場合、どんなトラブルに巻き込まれるか分かりません」
まったくの同意見で嬉しくなる。
危険かもしれないというだけで殺すわけにはいかない同族こそ、もっとも厄介な敵だ。
「俺達が探索する時は左だな」
「聡明なご判斷かと」
持ち上げている? 自分の都合の良い方に導しようとしているだけか。
信用しているわけではなく、信用するしかないと考えているのかも。
「宿に戻ろう」
「し探索しませんか?」
「、休めなくて大丈夫か?」
トゥスカを購してから、ろくに休まずに村を歩き回っているのに。
「問題ありません。それに、Lvをある程度上げてから準備を整えた方が、効率的でしょう」
「……そうだな」
――得のしれない、嫌な予。
「戦いの勘を取り戻したいのです」
トゥスカの意見は正しい。
「分かった」
俺は、予よりも理屈を選んだ。
「その前に、トゥスカにお金を分けておくよ」
「よろしいんですか?」
トゥスカだって、俺に緒で何かを買いたい時だってあるだろう。
ここまでの買いで、トゥスカが浪費家じゃないのは分かったし。
俺はチョイスプレートを作し、トゥスカに20000Gを送る。
モンスターを倒したときも、俺とトゥスカのそれぞれにお金がるように設定し直した。
★
武を攜え、二人で左側のダンジョンにった。
あの村もダンジョンの一部だろうから、ダンジョンの中でダンジョンにるって変な気がするな。
第一ステージと特には変わらず、薄暗い巖が続く。
「キキッ!」
この聲は!
「ゴブリンですね、それも三」
「そこまで分かるんだ……」
鳴き聲でゴブリンだとは気付いたけれど、複數なのかどうかまでは分からなかった。
探知能力に関しては、自分よりもトゥスカを信頼した方が良さそうだ。
「一人で行ける?」
「はい、大丈夫です」
トゥスカが一人で前に出る。
「キキッ!」
ゴブリンが一、巖から飛び上がってきた!
「ふん!」
――トゥスカが瞬間移した!?
ゴブリンのクラブによる攻撃を躱し、瞬時に背後に回ったトゥスカ。
今のが”瞬足”のスキルか。
「パワーブレイド!」
「へ!?」
トゥスカのブーメランがゴブリンに當たるも、大して効いていない。
それもそのはず、剣のパワーブレイドが発していないのだから!
トゥスカのきが止まった瞬間、二のゴブリンが踴り掛かった!!
「トゥスカ!」
ゴブリンの持っていた杭が、トゥスカの右太を貫いてしまう!!
「ぐうっ!!」
ブーメランを振り回して三のゴブリンを薙ぎ払った瞬間、俺に背後を見せていたゴブリンの首を刎ね、トゥスカの傍に駆け寄った。
「すぐに終わらせるから、ジッとしていろ」
「すみません……」
「「キキッ!!」」
一切の容赦無く、二度グレートソードを振って戦闘を終わらせた。
「ヒール」
杭を抜き、トゥスカの太に開いたを治療する。
「腳を貫いてしまっています」
「辺りを警戒しておいてくれ。ヒール、ヒール」
ちょっとずつが塞がっていく。
「フゥー、ようやく塞がった」
九回もヒールを使用して、ようやく綺麗に塞がったよ。
「り傷や打撲よりも、刺し傷の方が治りづらいのかもな」
「本當に……申し訳ありません」
本當に申し訳なさそうな顔をしていた。
「Lv3じゃないと使えない武スキルを、使おうとしたんだもんな」
自分がLv1なのも忘れて。
ブーメランで剣を使用出來ない可能もあるが、使い慣れていると言っていた武でそこまで間違えたとは思えない。
「ほ、本當にすみません」
「ハハハハハハハハ。Lv3になるまでは、俺がモンスターと戦うよ」
「よ、よろしくお願いします……」
顔を赤くするトゥスカ……可い!
実は結構ドジなのかな?
「さっきのゴブリン、俺が知っている奴等よりもきが良かった」
「私もそう思います」
「第二ステージだからか、同じモンスターでも第一ステージより強いようだ」
戦い慣れたゴブリンやグレイウルフだからといって、油斷出來ないな。
★
「パワーブーメラン!」
トゥスカが放ったブーメランが、グレイウルフ二頭の首を刎ねた。
トゥスカのLvは4まで上がり、Lv2で盾使いのサブ職業を、Lv4ではTP回復速度アップを選んだ。
元々、盾とブーメランで戦うのが彼のバトルスタイルらしい。
今は、俺が手にれていた”木の盾”を使用している。
「大分勘を取り戻しました。腳を引っ張ってしまい、大変申し訳ありませんでした。本當にありがとうございます」
禮儀正しいなー。
「これから宜しく、相棒」
「はい、よろしくお願いします!」
コミュ障の俺が、まともに人付き合いしている!
そもそも、まともにコミュニケーションを取りたいと思えた事自が初めてだ!
「ちょっとりむいてるな。ヒール」
トゥスカの健康的な腳に出來た、小さなり傷を治療する。
「これくらいの傷に一々回復魔法を使っていたら、あっという間にMPがなくなってしまいますよ?」
「小さな怪我でも、痛みできに支障をきたす事だってあるだろう?」
トゥスカが困り顔を浮かべた。
「でもそうだな。そのうち、サブ職業屋で僧を購しようか」
二人とも回復手段を持っていた方が良い。
呑気に會話をしながら、ダンジョンのり口まで戻ってきた。
結局、遭遇したのはゴブリンとグレイウルフにリザードマンのみ。第一ステージと変わらない面子だ。
トゥスカと一緒の初めての戦闘だったし、戦い慣れていないモンスターが出なくて良かったと思うべきだろう。
「宿に戻って飯を食べよう!」
「ご迷をおかけしたので、今夜は私が作ります」
晝は、俺が焼いておいたリザードマンのを軽く食べて買いに出掛けたからな。
手作りでお返しをしたいらしい。
「トゥスカの手料理、楽しみだな」
ダンジョンり口から、真っ直ぐ宿に向かって歩いて行く。
その時の俺は、浮かれていたのだろう。
「みーっけた! パワーチャージ!!」
不快な聲が聞こえた瞬間――――俺の腹部を槍が貫いていた。
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