《たった一つの願いを葉えるために》出會い

「ハァ、ハァ、ハァ…ハァ」

「大丈夫ですかお嬢様?」

「…ええ…ハァ…大丈、夫です」

【常闇の樹海】の街道付近をボロボロになって走る二人がいた。

「追っ手は今の所いないみたいですので、ここでし休憩しましょう」

「わかったわ」

お嬢様と呼ばれたの名は、アリステラ・ノア・レイルリットという、【メーア王國】の四大公爵の一つであるレイルリット家の一人娘である。もう一人のは、ミッシェル・レビン。彼は孤児であるが、レイルリット家の現當主に拾われ、同い年ということもあり、アリステラと一緒に育ち、護衛として育ってきた。

二人とも14歳で隣國の【リオルテス學園】の中等部に所屬してる。春學期が終わり、帰省中に盜賊に襲われた。ただの盜賊ならば護衛に返り討ち、もしくは遭遇すらしなかったが、今回の盜賊はただの盜賊ではなかった。百人以上おり、裝備が普通の盜賊が手にれられる様なものではなかった。ボロボロの皮鎧の代わりにしっかり手れされた軽裝備に鋼の剣や盾を持ち、弓矢などで牽制しながら連攜して攻撃してきた。

さらに最悪なことに、護衛の騎士のほとんどが裏切りを起こした。殘った數人の護衛がなんとかアリステラとミッシェル逃したが、圧倒的な人數差で押されすぐに追っ手が來た。

一か八かで【常闇の樹海】の中を進み、追っ手から見つからずに今に至る。

「まさか、護衛が裏切るなんて……」

「あの盜賊たちもただの盜賊とは思えないほど連攜が取れてました。…まさか?」

「どうしましたミッシェル?」

「……いえ、なんでもありまーーッ!」

ミッシェルがそう言いかけてた時、アリステラの背後から剣が振りかぶるのが見えた。

ザシュッ!

「ミッ…シェル?」

◆◇◆◇

「くそ、全然森を抜けられない!」

あれから數日が経ち、テルは今だに樹海をさまよっていた。小型の恐竜の群れや、巨大な昆蟲、追いかけてくる食人植など、そのほかにもたくさんの魔と戦闘したり逃げたりして、ろくに寢ることができないため神の疲労がピークを迎えていた。

「ああ、ゆっくり休みたい。人どころか街道すら見つからないってどれだけ広いんだよこの森は」

〈まだこの世界で人と會話してませんもんね。……會話相手が自分のスキルとか、ぷくくー〉

「…うぜぇ」

「というか質問なんだが、[叡智神]の能力でこの世界の地図は手できないのか?」

〈……ああ!〉

「忘れてたんかい!この數日間はなんだったんだよ」

〈まぁまぁ、失敗は誰にでもありますよマスター。気にしたらダメですよ〉

「なに、俺が失敗した風に言ってんだよ」

〈マスターが早く気づかないのが悪いんじゃないですか〉

「え?俺が悪いの?んなアホな」

〈自分の失敗をちゃんと認めないとダメですよ〉

「…もう訂正するのもめんどくさい。やっと見つけたし、街道にとっとと出よう」

こうして數日間さまよった挙句、簡単に街道を見つけられて、若干落ち込みながらも街道に向かうテルであった。

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