《『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』》回り始める縁
「もう大丈夫みたいだね」
背後を振り返り、3人組の冒険者が追ってきてないか? ベルトは確認をするフリをした。
ベルトが撃ち込んだ毒は命に別狀はない品だ。ただし30分はが麻痺してけなくなる。
足を止めると彼――――初心者冒険者の姿を見る。
白いフードつきの服。
頭からスッポリとフードを被っているが短めの黒髪が見えている。
冒険者に不向きな細の。 しかし、何らかの特殊技能を持っているのだろう。
測定した魔力量は、かなりのものだ。
魔法職と考えれば――――
「ジロジロと見すぎるのは失禮だったな」
ベルトは彼の視線に気づき謝罪した。しかし、反対に彼からは――――
「あの……すいませんでした」
逆にペコリと頭を下げられた。
「なぜ、謝るんだ? 俺の方が失禮な事をしたと思うのだが?」
「いえ、視線のことではありません」
「?」
「私は、貴方を助けようとしました。でも、結局は何もできなかったので……」
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彼は恥じている。力ない自分を……
そして、それを理由に助ける事を躊躇した事を……
ベルトは彼の心を読み取ると肩をすくめてみせた。
「もちろん、冒険者の世界じゃ結果は大切だ。けれども、実行に起こす勇気がないと結果に結びつかないものだ」
ベルトは、そう言った。
だが彼は「ごめんなさい。よくわかりません」と返した。
「むっ……そうか。いや、気にすることはない。ただの戯言だ」
「あの……」
「ん? どうかしたのか?」
「その腕なんですが……」
「あぁ、これか」とベルトは震える腕を見せた。
「これは後癥だ。先の戦爭で深手を負ってね。激しい運を行うと震え始めるんだよ」
しかし、彼は――――
「……いえ、違います」
ハッキリと言った。
「違う? それは、どういう事だ?」
ベルトは彼の心意を測りかねていた。
しかし、その強く真剣な眼差しはいい加減なものではない。
ベルトは問いかける。何か拠があるのか……と。
「私は冒険者になる前は教會で修業を積んでいました」
「教會? 修道士か」
ベルトはかつて戦った異端審問たちを思い出していた。
魔法とは似て非なる力を使い、戦い難い敵だった。
目の前の小柄なも異端審問? いや、そうとは思えないが?
「そこで私はある素質に目覚めました」
彼はベルトの腕を摑んだ。信じられない事にベルトは反応ができなかった。
最強暗殺者のベルトが初心者冒険者のきに反応できなかったのだ……
「貴方の腕に『呪詛』がかけられています」
「呪詛?」
それは、世界各地を旅してきたSSSランク冒険者であるベルトですら知らない言葉。
「魔族が使う呪いのようなものと言えば分かりやすいかもしれません。教會でも上位魔族による使用を數件確認しているだけなので、まだまだ研究対象とされていますが……私なら、『聖』として能力をに著けた私なら、ある程の浄化なら!」
ベルトは腕に熱をじた。
それどころか――――
「こ、これは! 腕が黒い変している」
「追い出されようとする『呪詛』が抵抗するために活化しています。でも、この『呪詛』は……凄い。こんなの初めて……見たことも聞いたこともない」
彼のがり始める。
そのが徐々にベルトの腕へ移っていく。
(本當に……本當に浄化されている? そんな馬鹿な! 治ると言うのか!)
からナニカが抜け落ちていくような覚。その反面、力を取り戻すような覚も得る。
しかし、不意にベルトの腕からが消えた。――――いや、治療をおこなっていた彼のからもは消え失せた。
「す、すいません。この濃度の『呪詛』は1度の浄化で完全に……」
彼は最後まで言う事が出來ず、その場で崩れ落ちた。
・・・
・・・・・
・・・・・・・・
SSSランク冒険者のみで構された勇者カムイのパーティ。
彼らは現在、特別な依頼をけてダンジョンの中でテントを張り、休息と取っていた。
その中から1つのテント部では――――
――――は歓喜に震えていた。
「やった。やってやったぞ。あのベルトをここから追い出してやった」
容易かった。実に容易かった。
勇者のパーティは厚い信頼によって支えあっていた。
しかし、逆に言ってしまえば……
それだけだ。
信頼だけのパーティだった。
だから、ベルトは追放するように導のは簡単だった。
なぜなら、勇者を除いた全員にベルトを追放したがる機と言うものが存在していたからだ。
例えば、アルデバラン。
彼は、毎晩のようにベルトと賭けを行っていた。
しかも、ベルトは遊び半分でイカサマをしかけていた。
アルデバランがベルトのイカサマを見抜いていたのか、どうかは今となって不明だが……
例えば、マシロ。
彼に取って、ベルトは最初の敵だった。
する勇者の命を狙う殘忍な暗殺者。それが彼が持っているベルトに対する最初の印象だったはずだ。
だから、勇者とベルトが和解して共に戦うようになっても、彼の警戒心が霧散することはなかった。
いや、もしも――――
勇者とベルトが敵対関係からの始まりでなくとも、
一國の姫君である彼は勇者のパーティに暗殺者がいる事自を良しとは思わなかっただろう。
そういえば、ベルトの追放する機として、「勇者を除いた……」と考えていたが……
本當に『剣の勇者』カムイにはベルトを追放する機がなかったのだろうか?
最強の勇者となったカムイにとって仲間でアニキ役として振舞うベルトは、どう映っていたのだろうか?
それに聞けば――――
魔王との最後の戦い。最後の最後でベルトの活躍によって魔王を討ち取った。
その話が事実なら、勇者として彼の自尊心は傷つかないにしても、グラグラと揺れく事すらなかったのだろうか?
嗚呼、何てことはない。
このパーティは実力という強い信頼で結ばれている。
しかし、地面は薄氷のように脆く、結ばれている信頼と言う名前の命綱が切れれば、後は落ちるだけ……
元々、脆いパーティに過ぎなかったのだ。
ザァ――
私、シン・シンラはそう考える。
そして、他ならぬ私自にもベルトを追い出す機と言うものは存在していたのだ。
彼は私の別を知っている。 それは、彼が私のを見たからに他ならない。
私が住んでいた國で、が男にを見られたなら――――
相手を殺すか、嫁に行くか
その二択しかない。
ザァ――
ん? 何だ。 先ほどから、視界が砂嵐のような……
ザァ―――
ナニカオカシイ。
私はベルトを殺そうとしていたのだろうか?
それが事実なら、どうして私はベルトを見逃した?
相手を殺すか? 嫁に行くか?
その二択ではなかったのか?
ザァ――――
あれ?あれ?あれ?
私はベルトを憎んでいた? 私はベルトをしていた?
あれ?
誰か助けて! 助けてベルト! 私は――――
私は、私は、私は、わたしは、わたしは、わたわたわた……
ザァ――――
「やった。やってやったぞ。あのベルトをここから追い出してやった」
シンラは歓喜に震えていた。
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